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4-10 支給日に在籍していないとボーナスはもらえないのか|労働相談Q&A

印刷用ページを表示する掲載日2023年11月20日

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4-10 支給日に在籍していないとボーナスはもらえないのか

質問

私は,5月31日付けで会社を退職しました。私の会社のボーナスは,12月から5月までを算定期間としているので,先日,会社側にボーナスを支払うよう請求したのですが,支給日の6月10日に在籍していないので,支払う必要はないと断られました。私としては納得がいかないのですが,こうした場合には,ボーナスはもらえないのでしょうか。

回答

<ポイント!>

  1. 判例では,支給日に在籍していることを支給要件とすることは,法的には差し支えないと判断しているようです。
  2. ただし,自主退職でなく,解雇や定年などの場合には,事情が異なります。

支給日在籍要件の合理性

就業規則等に「賞与は,支給日に在籍している者に対し支給する。」などと,「支給日在籍要件」を定めることについては,判例は,合理的なものとして認めているようです(京都新聞社事件・最一小判昭和60年11月28日など)。
また,就業規則等の明文の定めがなくても,労使間で従来からそのような慣行が確立している場合には,同じように在籍しないことを理由に支給しなくても差し支えないと考えられています(大和銀行事件・最一小判昭和57年10月7日 )。
したがって,就業規則等による定めや労使慣行が存在すれば,算定期間の全部ないしは一部を勤務したのに,賞与支給日に在籍していない者には賞与を支給しないという取扱いは適法と認められることになります。
判例がこのような見解をとるのは,賞与を出すかどうか,賞与を出す場合どのような条件とするかなどについては法令では定められておらず,労使の自由に任されており,したがって,「支給日に在籍していない者には賞与を支給しない」旨の規定も有効と考えられるからです(梶鋳造所事件・名古屋地判昭和55年10月8日)。

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会社都合による場合

退職日を労働者本人が選ぶことのできる自主退職の場合でなく,整理解雇などの会社都合の退職や定年の場合も,支給日在籍要件は合理的といえるでしょうか。
まず,賞与支給を避けるために解雇するといった場合は,解雇自体無効,仮に解雇が有効としても,解雇によって支給日に在籍しないことを理由とする賞与不支給が無効とされるでしょうから,賞与の支給を受けることができるのは当然です。
次に,懲戒解雇や諭旨解雇のように労働者に解雇される原因がある場合はともかく,整理解雇など会社都合で解雇される場合や定年退職の場合については,在籍日数に応じてなど,一定額を支給するのが妥当と考えます(なお,定年退職者に対する不支給を適法とした判決に,カツデン事件・東京地判平成8年10月29日があります)。その理由は次のとおりです。

  1. 賞与の支給は査定期間を設け,その間の勤務状態・成績などに応じてなされるのが普通ですから,支給日に在籍していなくとも,査定期間中(その全部又は一部)勤務した労働者に対しては,これに応じて支給するのが理にかなっていると思われます。
  2. 会社都合の解雇や定年で退職する労働者は自らの意思で退職日を選んだわけではありません。
  3. 在職者支給制度のねらいの一つは,賞与支給後も引き続き勤務し,がんばってもらうというところにあるものと思われますが,1.にみたように,賞与は基本的には過去(査定期間中)の勤務に対する報償であることからすれば,こうしたいわば「将来に対する期待料」に大きなウェイトをもたせること(支給日に在籍していない者には不支給とすると,「期待料」が100%ということになります)は疑問です(ベネッセコーポレーション事件・東京地判平成8年6月26日参照。この事件では,賞与支給後間もなく退職した労働者についてですが,会社が賞与規定に基づいて支給額の約8割カットを求めたところ,判決はこれを認めず約2割に限ってカットできるとしました。すなわち,このケースでは期待料は約2割の限度でしか認められないというのです)。

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こんな対応を!

会社の就業規則などを確認し,支給日在籍要件が規定されているかどうか,また,労使慣行として確立しているかどうかを確認してみましょう。
お尋ねでは,既に会社を退職されたとのことですが,まだ退職されていないのなら,賞与の支給日以後に退職日を変更することも,一つの方法でしょう。