13-7 労働者の募集・採用に当たって年齢制限はできるか|労働相談Q&A
13-7 労働者の募集・採用に当たって年齢制限はできるか
質問
私は,ある会社で従業員の募集事務を担当しているのですが,この度,法律が改正されて,会社が社員を募集するに当たっては,例えば「40歳まで」といったような年齢制限を設けることができなくなったと聞きました。これについて,詳しく教えてください。
回答
<ポイント!>
雇用対策法が改正され,平成19年10月1日から労働者の募集・採用における年齢制限が禁止されました。また,高年齢者雇用安定法では,やむを得ない理由により65歳未満の年齢制限を行う場合には,求職者に対し,その理由を示さなければならないこととなっています。
改正雇用対策法
雇用対策法が改正され,労働者の募集・採用における年齢制限が禁止されました。その規定の全文は,次のとおりです。
雇用対策法第10条 事業主は,労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは,労働者の募集及び採用について,厚生労働省令で定めるところにより,その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
例外的に年齢制限を行うことが認められる場合
募集・採用における年齢制限は禁止されますが,合理的な理由があって例外的に年齢制限が認められる場合(以下「例外事由」という。)を厚生労働省令で定めています。
募集・採用の際に年齢制限をする場合には,次のいずれかの例外事由に該当することが必要です。
例外事由(雇用対策法施行規則第1条の3第1項)
- 1号:定年年齢を上限として,当該上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
- 2号:労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合
- 3号のイ:長期勤続によるキャリア形成を図る観点から,若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
- 3号のロ:技能・ノウハウの継承の観点から,特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し,かつ,期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
- 3号のハ:芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合
- 3号のニ:60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る。)の対象となる者に限定して募集・採用する場合
年齢制限を設ける場合における理由の提示について
1.理由の提示義務について
例外的に年齢制限を設ける場合(例外事由のいずれかに該当する場合)において,上限(65歳未満のものに限る。)を定める場合には,求職者,職業紹介事業者等に対して,その理由を書面や電子媒体により提示することが義務付けられています(高年齢者雇用安定法第18条の2第1項)。
2.理由の提示に関する特例について
以下の場合に限り,理由提示の方法に関する特例が設けられており,求職者の求めに応じて遅滞なく,書面を交付するか,電子メールの送信やホームページへの掲示等すればよいとされています。
- 新聞や雑誌,広告等を活用して,労働者の募集・採用を行う場合で,求人広告紙面の制約により,詳細な情報の提供が難しいなどの理由から,あらかじめ当該広告等にやむを得ない理由を提示することが困難な場合
- 口頭により労働者の募集・採用を行う場合など,労働者の募集・採用の際に使用する書面又は電磁的記録がない場合
こんな対応を!
「例外的に年齢制限が認められる場合」に該当しない限り,労働者の募集や採用に当たって,例えば「○○歳以下の人に限る」などのように年齢による制限をつけることなく,どの年齢層の人にも均等な機会を与えるようにしましょう。もちろん,文言だけでなく,実際の運用においても,そのようにすることが求められます。