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12-5 厚生年金には必ず加入しなければいけないのか|労働相談Q&A

印刷用ページを表示する掲載日2018年7月31日

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12-5 厚生年金には必ず加入しなければいけないのか

質問

私は,従業員20人の輸送機械器具製造の会社に勤めています。給与明細を見ると,厚生年金保険料が控除されていますが,健康保険はともかくとして,厚生年金については,必要ないのではないかと思っています。厚生年金には必ず加入しなければならないのでしょうか。

回答

<ポイント!>

強制適用事業所に雇用されている70歳未満の人は,原則として,必ず厚生年金保険に加入することとなります。

厚生年金保険とは

厚生年金保険とは,労働者の老齢,障害又は死亡について保険給付を行い,労働者又はその遺族の生活の安定と,福祉の向上に寄与することを目的としています。厚生年金は民間企業に雇われている人を対象としています。

公的年金制度の体系

現在の公的年金制度は,いわゆる2階建ての仕組みを取っていて,すべての国民に共通する基礎年金部分として国民年金があり,その上に報酬比例部分として,民間サラリーマンを対象とする厚生年金保険,公務員等を対象とする数種の共済組合が乗っています。
また,民間雇用者に,より豊かな老後を保障するものとして厚生年金基金があり,自営業者等に基礎年金の上乗せ支給をするものとして国民年金基金があります。

公的年金制度の体系

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年金の対象者

国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人は,すべて国民年金に加入することになっています(国民年金法第7条)。
これに対して,厚生年金は,民間雇用者を対象としています。
厚生年金保険が強制的に適用される事業所(強制適用事業所)は,常時1人以上の従業員を使用する法人(株式会社,有限会社等)や,常時5人以上の従業員を使用する製造業,土木建築業,鉱業,運輸業,販売業,金融保険業などです(厚生年金保険法第6条)。
強制適用事業所に雇用されている70歳未満の人は,一部の例外を除いて,本人の意思に関係なく,必ず厚生年金保険に加入することとなります(同法第9条)。
厚生年金保険の被保険者は,70歳になれば,被保険者の資格を失います。ただし,老齢給付の受給資格期間を満たしていない場合には,その期間を満たすまで任意に厚生年金に加入することができます(「高齢任意加入被保険者」。同法附則第4条の3)。

給付の内容

国民年金と厚生年金保険の給付の概要は,次表のとおりです。

  国民年金 厚生年金保険
老齢給付 老齢基礎年金
支給要件
受給資格期間25年
支給開始年齢
65歳
(60歳からの繰上げ支給,66歳から70歳までの繰下げ支給可)
老齢厚生年金
支給要件
老齢基礎年金の支給要件を満たしていること
厚生年金保険の被保険者期間が1ヶ月以上あること
支給開始年齢
報酬比例部分
60歳
(男性は昭和28年4月2日生まれ,女性は昭和33年4月2日生まれの者から61歳とし,以後,生年月日に応じて段階的に引き上げ,最終的には65歳)
定額部分
生年月日に応じて,61歳から段階的引上げが進行中。(原則,厚生年金保険の被保険者期間を1年以上有すること。)
障害給付 障害基礎年金
障害の原因となった病気やケガの初診日に被保険者である(被保険者であった)こと。
支給要件
保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が加入期間の3分の2以上(平成28年3月末までは,初診日の前日において,初診日の前々月までの直近1年間に保険料を滞納していなければよい。 )
障害等級
1級,2級
障害厚生年金
支給要件
被保険者期間中に初めて医師の診療を受けた傷病による障害
障害基礎年金の支給要件を満たしていること
障害等級
1~3級
遺族給付 遺族基礎年金
支給要件
夫又は親が死亡した日に,夫又は親が次のいずれかであること
(1)被保険者
(2)被保険者であった60歳以上65歳未満の者
(3)老齢基礎年金の受給権者
(4)老齢基礎年金の受給資格要件を満たしている者
死亡した者について,保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が加入期間の3分の2以上(平成28年3月末までは,死亡日の前日において,死亡月の前々月までの直近1年間に保険料を滞納していなければよい。)
遺族厚生年金
支給要件
被保険者が死亡したとき,又は被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき(保険料納付済期間が3分の2以上の場合に限る。(平成28年3月末までは,死亡日の前日において,死亡月の前々月までの直近1年間に保険料を滞納していなければよい。))
老齢厚生年金を受けている人や受ける資格期間のある人が死亡したとき
1・2級の障害厚生年金を受けられる人が死亡したとき

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こんな対応を!

厚生年金保険は,一部の例外を除いて,加入が強制されています。この保険は,労働者やその遺族の生活の安定などを図るための重要な制度であり,その意義と役割について正しく理解しましょう。
なお,厚生年金保険や国民年金の制度の詳細や手続については,日本年金機構にお問い合わせください。