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1-10 就業規則の作成に当たって留意しなければならない点は何か|労働相談Q&A

印刷用ページを表示する掲載日2018年7月31日

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1-10 就業規則の作成に当たって留意しなければならない点は何か

質問

当社は,これまで従業員が6人しかおらず,就業規則は作成していませんでした。この度,従業員を新たに5人雇い入れることになったため,就業規則を整備しようと考えています。法的な規制などがあれば教えてください。

回答

<ポイント!>

  1. 就業規則に記載すべき事項は法律で定められています。
  2. 就業規則を作成するに当たっては,労働者を代表する者から意見を聴かなければなりません。
  3. 作成した就業規則は,労働基準監督署に届け出なければなりません。

就業規則の記載事項

常時10人以上の労働者を使用する事業場の使用者は,就業規則を作成することを義務づけられています(労基法第89条)。なお,常時10人以上の労働者を使用しているかどうかは「企業」単位ではなく,「事業場」(○○支店,××工場など)単位で計算します。
さて,労基法は就業規則の記載事項について次のように定めています(同法第89条)。

  1. 絶対的必要記載事項:いかなる就業規則にも必ず記載しなければならない事項をいいます。労働時間・休憩・休日・休暇関係,賃金関係,退職関係に関する事項がこれに該当します(同条第1号~3号)。
  2. 相対的必要記載事項:次のような制度を設ける場合(設けるかどうかは自由です。)には,必ず記載しなければならない事項をいいます。退職手当関係,賞与・最低賃金関係,食費・作業用品関係,安全衛生関係,職業訓練関係,業務上外の傷病補償・扶助関係,表彰・制裁関係,その他当該事業場の労働者のすべてに適用される定めに関する事項がこれに該当します(同条第3号の2~10号)。
  3. 任意的記載事項:上記以外の事項は記載するかどうかは自由ですので,このように呼ばれています。就業規則の基本精神をうたった規定などがこれに当たります。

労働者代表からの意見聴取

使用者は,就業規則を作成又は変更しようとする場合には,労働者の過半数で組織する労働組合(それがない場合には,労働者の過半数を代表する者)の意見を聴かなければなりません(労働基準法第90条第1項)。
ここに「意見を聴く」とは,文字どおり意見を聴くことを指し,同意を得るとか協議をするとかの意味ではありません。
「労働者の過半数を代表する者」とは,次の項目のいずれにも該当する者でなければなりません(同法施行規則第6条の2)。

  1. 管理・監督の地位にある者(労基法第41条第2号)でないこと。
  2. 労使協定等とする者を選出することを明らかにして実施される投票,選挙等の方法による手続により選出された者であること。

なお,パートタイマーに関する就業規則を作成したり変更したりする場合は,上記の労働者代表からの意見聴取とは別に,パートタイマー(短時間労働者)の過半数を代表する者からも意見聴取するように努めなければなりません(パートタイム労働法第7条)。

労働基準監督署への届出

就業規則を作成したり,変更したときは,労働基準監督署に届け出なければなりません(労基法第89条)。
届出に当たっては,労働者側の意見書を添付しなければなりません(同法第90条第2項)。意見書には,労働者代表の署名又は記名押印が必要です(同法施行規則第49条第2項)。

労働者への周知

作成又は変更した就業規則は,労働者に周知しなければなりません(労基法第106条第1項)。周知の方法は,次のいずれかによらなければなりません(同法施行規則第52条の2)。

  1. 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し,又は備え付けること。
  2. 書面を労働者に交付すること。
  3. 磁気テープ,磁気ディスク等に記録し,各作業場に労働者がその内容を常時確認できる機器を設置すること。

こんな対応を!

就業規則を作成する場合には,以上述べた手続を踏んだ上で行ってください。
なお,就業規則の内容が法令や労働協約に反してはならないことは,言うまでもありません(労基法第92条)。