広島県に生息しているツキノワグマは,島根県・山口県にまたがる地域に分布している西中国地域個体群です。この地域個体群は他の地域から孤立しており,環境省により絶滅の恐れのある地域個体群に指定されていて狩猟による捕獲が禁止されています。このことから,近年,生息域は拡大しつつあり,推定生息頭数は安定的な状態にあります。一方で,農耕地や人家周辺に出没し,農林作物等への被害を発生させるとともに人身被害をもたらすこともあるなど,地域住民との間に軋轢を生じています。
こうしたことから広島県では,島根県・山口県と共同で,モニタリング調査の実施や第二種特定鳥獣管理計画の策定などを行っており,県境を越えた取り組みを推進しています。
図 西中国地域におけるツキノワグマの生息範囲の経年変化
1 計画の目的
ツキノワグマによる人身被害を回避し,農林作物家畜等の被害を軽減するとともに,地域個体群の安定的な存続を図り,ツキノワグマと人との共存を目指すことを目的としています。
〇生息推定数(広島県,島根県及び山口県での生息頭数)
【参考】
2 計画の期間
令和4年4月1日~令和9年3月31日
3 対象区域
広島県全域(島根県,山口県も各々の県で策定)
4 目標
【個体群管理】
【被害防止対策】
【生息環境管理】
【普及啓発】
5 特定鳥獣の個体群管理に関する事項
人身被害や農林作物家畜等の被害が発生していることから,必要最小限の除去はやむを得ないとの考えから,除去頭数の上限目安値を設定し,それ以下になるよう対策を行っています。なおこの上限目安値は,ツキノワグマの生息数を元に,ツキノワグマを減少させない数を算出したものです。
また,錯誤捕獲を防止するため,くくりわな架設禁止区域の設定や,箱わなへの脱出穴設置の推進などを行っています。
6 モニタリング等による調査研究
ツキノワグマの生息譲許等を把握するため,生息数,捕獲状況,被害状況等のモニタリング調査を行い,計画の評価・検討を継続的に行っています。
7 その他特定鳥獣の保護のために必要な事項
3県や関係機関と連携を密にして,実施体制及び評価・合意形成を図っています。
西中国山地(広島県,山口県,島根県)におけるツキノワグマ個体群を将来にわたり安定した状態で維持・存続させるとともに,農林養蜂業及び人身の被害の軽減を図り,人とツキノワグマの共存を目指す,「特定鳥獣(ツキノワグマ)保護管理計画」の適切な推進を目的として,3県の行政機関,専門家,関係団体などで構成された「西中国山地ツキノワグマ保護管理対策協議会」を設置しています。
この協議会には,下部組織として専門家により構成された科学部会を設置し,ツキノワグマ生態調査・生息環境調査等の手法とその結果の評価などを行っています。
ツキノワグマの保護管理対策を円滑に実施するため,県及び関係市町で構成された「広島県ツキノワグマ対策協議会」を設置しています。
この協議会では,現行対策の効果的な進め方や新たな保護管理対策などについて,検討や実施などを行っています。
ツキノワグマの主要な餌食物である堅果類(ドングリ)などの豊凶状況について,3県の研究機関などで調査しています。
ツキノワグマの生態や特性について正しい理解を進めるとともに,クマとの遭遇を避ける方法や出会った場合の対処方法等について,実践を通じた学習の機会を設けることにより被害の防止を図ることを目的に,主に小学校を対象に,専門家を派遣して普及啓発事業(クマ学習会)を実施しています。
学習会の様子
ツキノワグマは本来臆病な動物であり,通常は人間を避けて行動をしています。
しかし,食べ物を求めて集落に入り,庭の柿や栗などのほか,農作物(果樹など),畜産飼料,養魚場などに被害を出すことがあります。
また,山中などで人間とばったり出会ったりすると,自身や子グマを守るために,攻撃を加えることがあります。
こうしたツキノワグマによる被害を未然に防ぐために,気を付けることなどをまとめましたので,参考にしてください。
冬眠の準備に追われる秋は,ツキノワグマがエサを求めて活発に活動する時期ですので特にご注意ください。
詳しくはこのページをご覧ください。
ツキノワグマが生息している地域において,イノシシやニホンジカなどを,狩猟や有害鳥獣捕獲でによって,わなで捕獲される方は,以下の点に注意ください。
市町からの情報提供により,県ホームページにおいてもツキノワグマの目撃情報を掲載します。
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