平成27年度 第20回県政知事懇談「湯崎英彦の地域の宝チャレンジ・トーク」を,次のとおり海田町において開催しました。
平成28年1月16日(土曜日) 13時30分から14時40分まで
ひまわりプラザ
(安芸郡海田町南つくも町11-16)
訪問先 | 内容 |
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町の歴史・文化の探求と町民の郷土愛醸成の取組 (海田郷土文化研究会 | ○ 海田市町と東海田町が合併して発足した現海田町は,今年で町制60周年。 |
和太鼓文化の継承と青少年健全育成の取組 (海田町民センター | ○ 和太鼓を通じて,海田町の文化の伝承と青少年健全育成を図ることを目的に,町内小中学生による和太鼓クラブを結成。(H18年) |
海田東公民館に伺い,「海田郷土文化研究会」の皆さんから,古い写真の収集,保存,展示活動についてお話を伺いました。
海田町民センターに移動し,海田町の小中学生を中心にして結成された和太鼓クラブ「海田鼓童子」の皆さんの練習風景を視察させていただきました。
あらかじめ選定した,海田町で活躍されている方に「人づくり」「新たな経済成長」「安心な暮らしづくり」「豊かな地域づくり」等の分野の取組について発表していただきました。
名前・職業など | 取組内容など | テーマ |
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八木 紀光(やぎ のりみつ)さん 織田幹雄スポーツ振興会 理事 | ○ 海田町出身で日本人初の金メダリスト,1928年織田幹雄氏(アムステルダム大会三段跳び競技)の偉業を讃えるとともに,海田町民のスポーツについての理解と関心を深め,指導者の育成やスポーツの振興,競技力の向上を図ることを目的に,「織田幹雄スポーツ振興会」を設立。(H7年) | 海田町からオリンピック選手を! |
川上 一望(かわかみ かずもち)さん 住民グループ「かいたのヒマワリ屋さん」 | ○ 町花である「ヒマワリ」について,もっと町民に親しみを持ってもらえるよう,ヒマワリによる景観の美化活動や,町内の小学校と連携した花壇の整備,栽培等の他,イベントを通じ,町民へのヒマワリの種の配布事業なども行っている。 | 町花ヒマワリを「一家に一花」を! |
岩田 尚也 町立海田西中学校3年 | ○ 校区内の小学校と連携し,教員・保護者・地域住民とが一体となって行う河川敷クリーン活動やあいさつ運動など地域貢献活動に参画。 | 地域とともに心の元気「あいさつ ふれあい 夢いっぱい 海田町」 |
栗原 育美 町立海田中学校2年 | ○ 海外留学生と交流活動を行う「グローバル・キャンプ」(町主催)に積極的に参加し,異文化の理解を深めた。 | 地域の方に支えられて |
倉本 碧 県立海田高等学校家政科2年 | ○ 3年生が自らデザイン・製作した衣装を着用してのNTTクレドホールでのファッションショーへの出演や,日本の中世衣装を製作し,県立歴史博物館へ寄贈するなど,研究の成果を披露した。 | 文化の伝承と創造の風 ~海高生の挑戦~ |
○事例発表者(永海)
織田幹雄さんは,1905年に海田町の稲荷町でお生まれになりました。広島一中時代,最初はサッカー部に所属されていたが,徒歩部ができたことをきっかけに陸上を本格的に始められ,1924年19歳の時に第8回オリンピック・パリ大会に出場。4年後の第9回オリンピック・アムステルダム大会において,三段跳びで日本人初の金メダリストとなられました。
引退後も1964年の東京オリンピックで陸上競技日本代表総監督を務められるなど,日本の陸上の発展にご尽力されました。平成6年,織田幹雄さんご本人から,海田町のスポーツ振興に役立てて欲しいと多額のご寄附をいただき,これを有効に活用しようと,平成7年に織田幹雄スポーツ振興会を発足。町民のスポーツに対する理解と関心を深めること,スポーツ指導者を育成すること,競技力の向上を図ることなどを目的にスポーツ教室を開催する他,織田幹雄さんが金メダルを獲得された8月2日にちなみ,「金メダルの日記念事業」として,ジャンプ&ジャンプ大会を開催。今年度は走り幅跳びや短距離走について,アテネオリンピックに出場された松田亮さんなどにご指導いただき,小中高生計86名の参加がありました。
その他,振興会が主催する事業の中で一番大きな大会は,海田町駅伝大会。平成26年度は,136チーム816名の方にご参加をいただきました。
今後,大きく2つのチャレンジをしていきたいと思っています。1つ目は本日の発表のタイトルでもある「海田町からオリンピック選手を!」で,2つ目は,スポーツを通じたまちづくり。海田町は織田幹雄さんをはじめ,多くのアスリートを輩出した町。今後も主に若い世代を対象にした多くのスポーツ事業を行うことによって,町の活性化に取り組んでいきたいと考えています。
なお,現在町において織田幹雄記念館を建設する動きがあります。この記念館を核にさらに海田町のスポーツ振興の中心的な役割を果たしてまいりたいです。
●知 事
このスポーツ振興会が取り組まれている事業や行事は,たくさんありますね。
駅伝にあっては周辺も含めて816名もの多くの方が関わっていらっしゃるとのこと,運営自体本当に大変だと思います。こういった取組で子どもたちが走ること,あるいはスポーツを楽しむということをしっかりと身につけてくれたら,将来的にも本当にすばらしいと思います。また,たくさんの人が来て賑わうことで,町の活性化にもつながります。
これからも海田の子どもたち,海田町のため,そして何よりも織田幹雄さんの名前をずっとつなげていくためにも,頑張っていただきたいと思います。
○事例発表者(川上)
昭和61年9月に海田町合併30周年記念の事業の一環としてヒマワリは,町花として制定されました。「町花ヒマワリをまちいっぱいに咲かせよう」をスローガンにヒマワリの輪を広げよう運動を町民組織として展開するため,団体・事業所・組織の長を発起人として,平成6年5月12日,ひまわりの会を設立。ヒマワリ畑を町内の中心に整備し,ヒマワリ畑は,約8,000本の大輪の花が咲く,見る人に夢と希望が膨らむ場所となりました。
しかしながら,管理するヒマワリ畑が,バイパス工事の用地に決定したことや,活動の中心役の田原会長が高齢で退任することになったこと,代替地も見通しが立たないことから,平成26年6月25日の役員会で解散が決定されました。
解散決定後,海田町からヒマワリが消えるのは寂しいなど,多くの人から「町花ヒマワリ」を望む声があったため,ひまわりの会にお願いをし,新たにヒマワリ畑を借りることができました。ひまわりの会の畑から土を2カ所に運び,そして立派な畑をつくりました。
私たちは十分に検討を重ねた結果,新たに「海田のヒマワリ屋さん」を平成27年4月1日に立ち上げることにいたしました。
「町花ヒマワリを一家に一花を!」これをスローガンに町花ヒマワリが咲く明るいまちを。学校にヒマワリで笑顔を。これらを柱に普及活動を進めてまいりました。
○事例発表者(宮尾)
そして,ついにヒマワリの種まきの時が来ました。海田南小学校栽培委員会の25人が約10平方メートルの専用花壇に,あいりちゃん,はるかちゃんゆかりのヒマワリの種200粒を20センチ間隔で植えつけをしました。できたヒマワリ畑に歓喜が沸きました。
海田南小学校の種まき報道を見て協力したいという方が増え,ヒマワリの種,畑の整備など,うれしいお手伝いをいただきました。海田南小学校の正門前,海田東小学校のプランターで通学路に咲いたビッグスマイルなどで行き交う人の心を癒してくれました。
海田西小学校では,命の花プロジェクトとして福島ひまわり里親プロジェクト,木下あいりちゃん,加藤はるかちゃん,命の土のヒマワリを育て,立派に咲かせました。
海田小学校のヒマワリ畑は正門横とグラウンドの掲揚台横につくりました。8月16日の海田小学校区自治会連合会盆踊り大会に咲かせるため,種まきも6月23日に行い,無事当日に咲かせることができました。
平成17年11月22日。下校時に殺害された木下あいりちゃん,当時7歳の事件を風化させないため,あいりちゃんゆかりのヒマワリの種を平成27年9月12日に植えつけ,無事に咲かすことができました。咲いたヒマワリは11月22日の命日の朝,事件現場に花束にしたヒマワリを献花し10年目の冥福を祈りました。私たちは今後もこの活動は続けていきたいと思っています。
町花ヒマワリの普及活動の一環として,スマイルフェスタinかいたで,タネリンピックのイベントで参加しています。知事もお時間がありましたらぜひチャレンジしてみてください。
●知 事
「ヒマワリがあるとうれしいな」とか「無いと寂しいな」といった思いがこの20年の間に町民の皆さんに浸透していったということですよね。一家に一花ということで町中にヒマワリが咲くようになる,これは新しい展開ですね。
町民のお一人お一人がヒマワリが良かったなと思われたら,皆さんご参加いただくことによって,素晴らしいヒマワリ,海田総ヒマワリ畑みたいな感じになっていくのではないかと思います。
○事例発表者(岩田)
私の中学校で取り組んでいる3つのことを紹介します。
1つ目はあいさつ運動です。日ごろは生徒のみで行っていますが,月に3回は小学生や地域の方々にも参加していただいています。朝早くから行っていますが,多くの地域の方々が参加してくださり,いつも心温かくなりうれしく思います。あいさつ運動は学校だけでなく海田市駅前のひまわり大橋でも活動を行っています。これからも地域の方々とあいさつ運動を続け,あいさつの輪を広げていきます。
2つ目は3校合同クリーンキャンペーンです。おととしから小学生とともに瀬野川の河川敷を掃除する活動を行っています。しかし,これまでは,当日の参加は30人程度でした。そこで今年は,100人以上参加してもらおうという目標を決めて積極的に呼びかけたところ,平日にもかかわらず130人ほどの方々に集まっていただきました。私は地域の方々の温かさを感じることができ,いつも支えてもらっていることを実感しました。
3つ目は植栽活動です。きれいなまちになるように,また,日ごろ伝えることができない地域の方々への感謝の気持ちを込めて,それぞれのプランターにメッセージを添えています。このまちの方々は私の誇りであり目標です。
これからも地域の方々とよりよいまちにしていきます。
●知 事
学校をあげて,こうして地域と関わる活動をされるのは本当に素晴らしいです。大きな町だとなかなか難しいと思います。学校間で協力するのも大変でしょうが,この海田町のサイズならできるということもあると思います。この海田の特徴をうまく活用して活動されているなと感じました。
○事例発表者(栗原)
私たち海田町の小中学生は一昨年より,特に英語の授業を通して自分の意見や考えを英語で表現できるように学習してきました。今年度は,広島県内に留学している海外の高校生との交流を始め,海田町のふるさと館でワークショップ形式で日本や海田町の歴史を紹介。海田町出身の金メダリスト織田幹雄さんを紹介しました。
事前に,織田幹雄さんのことを調べたりすることで,改めて偉大な人がこの海田町出身だということを誇りに思いました。また,それを英語を使って紹介することができ,織田幹雄さんの有名な言葉である,世界人に一歩近づけたような気がしました。
実は私も陸上部に所属していますが,近年はなかなか思うような成績が出せずにいました。
昨年の4月より,海田中学校出身の先輩が指導者として来てくださるようになり,また,地域の方々が私たちを応援してくださるようになったおかげもあり,記録も徐々に伸び始め,昨年11月に行われた広島県駅伝大会に,女子は8年ぶりに出場することができました。
出場が決まった時は,部員,先生,コーチみんなで抱き合って喜びました。陸上部以外の部活動でも運動部・文化部を問わずたくさんの地域のボランティアの方々が,私たちの指導に来てくださっています。本当に地元に愛されている学校だなと思います。
これからも海田中学校,そして海田町出身ということを自慢できるように勉強に部活動に頑張ります。
●知 事
先ほどの岩田君の発表でもそうですが,皆さんと一緒にやっているということが,本当に素晴らしいなと思います。
この海田で育っている子どもたちを見ると,元気をもらえますね。きっとのびのびと育ってくれるのではないかと思います。
○事例発表者(倉本)
海田高校は,伝統ある学校です。そして,海田高校には広島県でも数少ない家政科があります。家政科では,将来のスペシャリストを目指し,衣生活,食生活,保育や福祉にかかわる専門的な知識や技術を学んでいます。私たちは学んだことを生かし,生活文化の知識と技術を身につけるために技術検定1級に挑戦しています。
また,各種コンテストにも積極的に挑戦しています。
2年生の3学期にはふれあい交流会を行います。この活動は,海田町社会福祉協議会の支援,協力を得ながら実施しており,地域の高齢者へ私たちが献立から考えた手づくり弁当を贈るという活動を平成元年以来続けています。
また,3年生は地域の方々を学校にお招きする恒例となっている行事の1つ,海高レストランを開催しています。
他にも地域社会に貢献させていただいた活動があります。平成23年度に壺装束という中世の衣装を先輩たちが製作し,広島県立歴史博物館へ寄贈しました。着用体験用に製作した壺装束は現在でも展示されており,着用体験や記念撮影もできるそうです。
また,毎年2月には,NTTクレドホールで,専門学校とのコラボでファッションショーを開催しています。今年も2月11日建国記念の日に開催します。ぜひ,お越しください。
今年で40回目の節目を迎える全国高等学校総合文化祭とは,文化部のインターハイとも呼ばれる高校生の芸術文化活動の祭典です。全国から2万人もの高校生が広島に集まります。海田高校家政科は家庭部門として参加します。私はその家庭部門の生徒実行委員長を務めています。
昨年の11月にはプレ大会を行い,本番さながらに研究発表や私たちが製作した作品の展示,ファッションショーなどを行いました。今年の夏はいよいよ本大会です。多くの方のご来場を心よりお待ちしております。
私は,生徒実行委員長として準備を進める中で充実感や達成感が得られ,コミュニケーション能力や責任感が身につきました。この経験や海田高校で学んだことを将来に生かしていきたいです。
●知 事
本当に海田高校は,高齢者の方にお弁当を配るといったことも含めて,とても地域とかかわりを持っていますね。小学校,中学校,高校とこうして地域との関わりを本当に大事にしてくれているというのは,うれしいことだと思っています。
やはり県外に出て広くいろいろなことを知ることも大事かなとも思います。
また将来,海田,広島に戻ってきてくれるとうれしいなと思います。
今日5組の皆様に発表していただきましたが,地域との関わりや地域を本当に大事にされているということを深く感じることができました。地域に対する愛情がすごく伝わってきて,しかもそれを行動に表されているというところが,皆さん本当に素晴らしいと思いました。
織田さんはスーパーな人でしたが,決してスーパーなことをしなければならないわけではないと思います。ただ,「誰かがやってくれる」と思って何もしないのではなく,例えば織田さんの功績を伝え,この伝統を守って陸上活動を振興していただいています。
また,県の花がモミジだということを皆さんもご存じでしょうが,他の市や町に行っても,市の花や町の花というのを意識されることは少ないと思います。ヒマワリ屋さんや,その前のひまわりの会の皆さんのおかげで,町民の皆さんに浸透しているのだと思います。
そして,中学校,高校のみんなも地域と大きく関わりながら,あいさつ運動をすることによって町全体が明るくなっていくなど,本当にすばらしい活動だなと思いました。
広島市のベッドタウンではありますけれども,長い歴史を持つ海田町。本当に皆さんのお力,そして愛する心ですばらしい地域になっているなと思います。
ぜひ,これからもやはり,住民のお一人お一人のお力がそれぞれの地域をつくっていくと思いますので,そうした活動が町,ひいては県の活性化へとつながっていくよう,これからもよろしくお願いいたします。
約130名
〇各発表者それぞれよくまとめられて分かりやすく良かった。その発表者に対し,知事のていねいな質問のやりとりに大変感動した。
〇1人の思い,1人の活動が地域を動かしていくことを学ばせてもらいました。
〇各発表を聴き,知らなかったことを理解でき,皆さん皆さんで活動している様子を見て,元気をもらったように思いました。私も何かの形で参加できたらと思います。
・かいたのヒマワリ屋さん 代表 川上 一望さん
湯崎英彦の「地域の宝チャレンジ・トーク」に参加し,多くの町民のみなさんに「町花・ヒマワリ」の普及活動を伝えることができ,大変ありがとうございました。
発表を聞いた人より,大変良かったとお褒めの言葉を頂き嬉しく思いました。
また発表の中で海田西小学校の取組を紹介しました。
後日,海田西小学校の校長先生よりお礼の言葉があり,今年もヒマワリの栽培をお手伝いしていきたいと思っています。
会場に来られた多くの人が,すばらしいチャレンジ・トークの会だと言われましたことをお伝えします。
・かいたのヒマワリ屋さん 宮尾 利奈子さん
チャレンジ・トーク発表後,会場にいらっしゃっていた方から声をかけて頂きました。「今年は、ヒマワリを育ててみるね!」「ヒマワリの活動頑張ってください!」など。
この言葉を力に 海田の町がヒマワリでいっぱいになるよう,長く活動できればと思います。
今回,貴重な場を与えて頂き,有り難うございました。
・県立海田高等学校家政科2年 倉本 碧さん
懇談の模様は,録画でご覧いただけます。
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