平成25年度 第23回県政知事懇談「湯崎英彦の地域の宝チャレンジ・トーク」を,次のとおり広島市において開催しました。
平成25年7月20日(土曜日) 13時30分から14時40分まで
紙屋町地下街シャレオ中央広場 : 広島市中区基町地下街100
訪問先 | 内容 |
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井口・鈴が峰 (広島市西区井口) | ○井口公民館と鈴が峰公民館を拠点に活動。 |
段原地区 (広島市南区段原) | ○地域活性化,環境保全,ボランティア育成の |
小己斐明神,正順寺を訪れ,西国街道の歴史・文化遺産を拝見しました。
協議会のみなさんが開催されている「猿猴川河童まつり」など,地域活性化のために取り組まれているお話を伺いました。
広島市在住で,あらかじめ選定した方に「人づくり」「新たな経済成長」「安心な暮らしづくり」「豊かな地域づくり」等の分野の取組について発表していただきました。
名前・職業等 | 取組内容 | テーマ |
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楠勲二(くすのきくんじ)さん 井口・鈴が峰魅力づくり委員会会長 | ○取組現場の訪問と同じ | 「井口・鈴が峰地区の |
石田邦夫(いしだくにお)さん はなみどり会長 | ○佐伯区まちづくり百人委 | 「佐伯区全体を植物公園 にする事を目指した 『街づくり,人づくり, 地域づくり』」 |
佐々木愛(ささきあい)さん 広島市立舟入高等学校3・2年生 本荘寿乃(ほんじょうひさの)さん 広島市立沼田高等学校2年生 | ○舟入高校と沼田高校の | 「『はばたけ!劇団ピピオ』 ~弁護士と高校生による 合同演劇の取り組み~」 |
山本匠研(やまもとたくみ)さん 広島市立庚午中学校3・2年生 | ○生徒と生徒がつながる生 徒会活動を目指し,様々な ことにチャレンジしている。 ○地域と連携した「庚午ボラ ンティアネット」を開始し,そ の運営を行なっている。 (平成22年度~) ○多くの生徒がボランティア を行うきっかけとなり,地域 からも喜ばれている。その 功績がたたえられ,広島 グッドチャレンジ賞(市教委) を受賞。(平成24年度) | 「目指せ広島一! |
●楠・川島・兼重
広島市の西,商工センターの北にそびえる標高312メートルの鈴ケ峰は,市民に親しまれている山。その頂上から東の尾根を少し下ったところに,大きな石碑が市内を見下ろしている。この石碑は今から115年前に建てられたもので,石碑の裏側には明治31年1月,それに関わりのあった58名の方の名前が刻まれている。石碑に書かれている「鈴峰」という字は,広島藩最後の藩主・浅野長勲公が書かれた。
石碑は,建てられた7年後,芸予地震に見舞われている。広島は震度5から6を記録したそうだ。それから95年後の2000年10月,震度4の鳥取西部地震にも耐えたが,その5ヵ月後,2001年3月24日,安芸灘を震源とした芸予地震で石碑はついに倒れてしまった。
鈴ケ峰の中腹は40年ほど前から開発が進んでおり,山側の鈴が峰団地と海側の商工センターという双子の団地を生み出している。5年前,800年の歴史を持つ井口と,わずか30年ばかりの鈴が峰周辺地域の人たちが,ともに地域の新しい魅力をつくっていこうと集まった。月1回会合を重ね,鈴が峰地区で唯一の歴史遺産であり,地震で倒れた石碑を復元しようと考えた。
昨年6月,西区の魅力と活力向上推進事業補助金に承認され,復元活動は本格的にスタートした。石碑は高さ1.7メートル,幅1.5メートル,重さは推定で1.7トン。業者と打ち合わせて,工事の時期は10月が望ましいということになった。この間に,地域住民の方に募金を呼びかけたところ,およそ400名の方から63万円を超える募金をいただいた。山の上の工事は重機を使えない。急な山道を往復して,20kgの支柱や25kgの発電機などを運んだ。チェーンブロックで寝ている石碑を起こし,それから三脚を横に移動させ,立ったものを少しずつ斜め上に上げていく。この過程を繰り返しながら台座へ据えた。こうして,3日間の作業で復元された。石にはこけがついたりしていたが,これを磨くと,115年前に刻まれた文字も浮かび上がってきた。さらに,周辺の木を伐採し,大きな木はベンチにつくりかえた。石碑の周辺整備を行い,毎年行われる鈴が峰登山の日の4月7日に除幕式を行った。
2年目となる今年度は,5月に石碑の周辺整備を行った。また,石碑の裏に掘られている文字を解読していただき,新しい説明板もつくることにしている。こうして鈴が峰に新しい観光名所が復元・整備されており,地域に活力を呼び起こしている。
○知 事
地域には,その地域のおもしろいこと,すてきなことがたくさんあるけれども,知られていなかったり,発掘されていなかったり,忘れられていたりする。それを発掘し,広めていくことで,その輪がだんだんと広がっていくのではないかと思う。引き続き地域のすばらしいものを発掘していただきたい。
●石田・六拾部
「はなみどり」は,平成24年5月,佐伯区百人委員会に参加する有志でつくった,花と緑いっぱいのまちづくりをするという推進団体。活動を通じて,花づくり,人づくり,街づくりにつなげていくこと目指しており,誰でも自由に参加していただける。これまで,JR五日市駅北口やコイン通りに,ウイスキー樽を利用して季節に準じた花を植えたものを設置した。また,佐伯区スポーツセンターの花壇や,河内地区のごみ収集場所に花を植え,きれいにしようと取り組んできた。
佐伯区全体を植物園化する取り組みをしている。広島市唯一の植物園の中だけでなく,公共施設などにも花を植え,花を通して地域を明るくしたい。このため,いくつかテーマを設けている。
まず,区役所と一緒に今年度の事業として,区のシンボルになる花または木を決めようと取り組んでいる。決定すれば,それぞれのご家庭,あるいは公共施設などにもその花を植えて,皆さんと一緒に育てたい。
次に,植物を見ながらの回遊コースができれば,多くの人々に佐伯区に来ていただける,楽しめるまちになると思っている。回遊コースを企画・設定すると,植栽をする場所の提供,あるいは費用という問題や,ベンチやトイレなどの環境整備も必要になる。行政の力を借りながら進めたい。回遊コース案として,花言葉によるパワースポットと,桜やツツジなどの植栽スポットとを巡り,コイン通り商店街を中心に商店街の回遊性,駅前地区,楽々園地区の回遊性,温泉がある湯来,そして河内,石内地区の回遊性を考えている。
新名所づくりとして,佐伯区の南の玄関口になる「みずとりの浜公園」で,世界三大の花であるジャカランダを育てたい。寒さに弱く,2年間失敗しているが,今年は何とか冬越しができるように,右往左往している。管理をするにも費用がかかるが,行政,地域,そして我々が一緒になって,知恵を出し合いながらやっていきたい。
また,小中学校の植育指導の充実や,学校内外の植栽ボランティアによる社会交流など,人と人とのつながりを持たせる目的で,私たちが植栽の技術を学び,講師として地域に出向き,お花づくりの勉強・指導を行っていきたいと考えている。
「Flower Power-愛と平和-」若い人から子ども,お年寄りまで,どなたでも愛せる花と緑のある,平和都市広島にふさわしい街づくり,人づくり,地域づくりを進めていきたい。小さな団体だが,みんなで力をあわせて佐伯区を植物園化したいという気持ちで頑張りたい。
○知 事
花づくりが全体で進み,回遊コースが設定されて回遊すると,疲れて食べ物を食べたり,飲み物を飲んだり,お店で何か買うなど,経済的な効果も出てくるだろう。観光や人々が集まる賑わいがいろいろな形で進めば,いろいろな効果がありそう。この夢がかなって佐伯区が植物園になるとすばらしい。これからも頑張っていただきたい。
●佐々木・藤井・木村・本荘・樽本
舟入高校,沼田高校演劇部は,広島弁護士会の弁護士さんたちと合同で演劇をつくり,毎年4月下旬に公演を行っている。4年前から活動を始め,今年で4回目の公演となった。今,見ていただいたのは,今年4月に上演した「はばたけ!ピピオ4~へし折られた指揮棒~」のワンシーン。この演劇は中学生を主人公にした,いじめがテーマの演劇。いじめる側,いじめられる側,それぞれに複雑な背景があり,かかわった教師や弁護士たちが協力して解決を目指していくという物語。脚本を弁護士さんが書かれ,高校生と弁護士さんがタッグを組んで,土・日を中心に約3ヵ月練習してつくりあげた。
こうした取組を行うようになったきっかけは,子どもの人権を考えるシンポジウムの一貫として,演劇の上演を計画されていた弁護士会の方が舟入高校演劇部に「一緒にやりませんか」と声をかけてくださったこと。2010年4月,最初に上演した「はばたけ!ピピオ」は,虐待などが原因で居場所を失った子どもたちの緊急避難施設「子どもシェルター」をテーマにした劇だった。この劇がきっかけとなり,広島市に子どもシェルター「ピピオの家」が開設された。私たちの劇が人々の心に響き,子どもの人権を守る活動につながったことに,大きな喜びと達成感,そして演劇の力を感じた。以来,毎回新しいテーマで子どもの人権に向き合う創作劇にチャレンジし続けている。大人の方々と一緒に劇をつくる活動を通して,演劇だけでなく,人権や社会,仕事といった様々なことを学んでいる。
何より弁護士さんや,舟入高校,沼田高校が一緒になって活動することがとても楽しい。1回目に主役を演じた卒業生は,自分も子どもの人権問題に携わる弁護士になりたいという目標を抱いて,現在,大学で法学を勉強している。OBとしてかかわってくださる先輩,毎年加わってきてくださる弁護士会の新メンバーの方,そして新入部員,新しい仲間を迎えながら,劇団ピピオはますます羽ばたいていく。来年4月にはパート5を上演する予定。これからも頑張ります。
○知 事
ピピオの家のきっかけがこの演劇というのを初めて知ったが,活動の広がりも生んでいて,すばらしいと思う。真剣に演劇に取り組み,社会的なテーマをすることで自らも成長しているのではないか。いつも子どもたちが未来をつくると思っているが,やっぱり未来は明るいと改めて思った。
●山本・橋本・木本・小林
庚午中学校は広島市西区にあり,生徒数は男女あわせて718人,創立は昭和22年と,歴史ある学校。生徒はみんな元気よく,学校は活気にあふれている。
庚午中学校では,毎朝,生徒と先生,保護者の方々によるあいさつ運動が行われている。当番のクラスが正門付近に立ち,登校中の生徒に元気よくあいさつをしている。また,地域の小学校にも出向いて,小学生と一緒にあいさつ運動を行っている。気持ちのよいあいさつから1日をスタートし,あいさつから心を通わせていきたいと思っている。
庚午中学校には,庚午ボランティアネットという,学校と地域が連携したボランティア活動を行う仕組みがある。地域の方々が中学生の力を必要としたときに,学校にボランティアを依頼する。学校では,生徒会を通してボランティアの依頼内容を紹介し,参加したいと思った生徒が申し込みをする。中には,人気があり抽選で決まるものもある。
庚午夏灯路では,小学生がデザインした灯籠を並べ,灯をつけるまでの作業などを行う。地道な作業が多く大変だったが,灯籠に灯をつけ終わり,美しく浮かび上がる文字や籠を見たときは感動し,大きな達成感を味わえた。
公民館や小学校などで行われる行事の手伝いもある。グランドゴルフは,地域の方々と小学生で一つのグループをつくり,遊びながら交流を深める活動。たくさんの方々が準備をして,参加者を楽しませる努力をしてくださっていることを知り,地域の方々の力添えで行事が成り立っていると実感した。
冬のとんどでは,受付やとんどをつくる作業を行う。力仕事なのでとても疲れたが,完成したとんどを見て,大きな喜びと達成感を味わった。伝統行事を続けていくことはとても大変だと実感し,地域の方々の団結力を感じた。
毎年7月には草津車イス町点検ボランティアがある。草津地区の歩道を実際に車いすに乗って移動することで,車いすを利用している人にとって危険な場所が潜んでいないか見つけるもの。普段できない貴重な体験ができた。また,世代を超えたグループでの行動により,いろいろな年代の方々と交流できた。ボランティアは,人の役に立つだけでなく,人間関係を築いたり,新しいことに出会えるよい機会だと思った。
ボランティアを行うことで,地域とのつながりを実感した。地域の方々に支えられながら僕たち庚午中学校の生徒は今を過ごしている。地域の人たちと関係を深め,つながるためにも,これからもあいさつを大切にしていく。あいさつの心を誇りに,庚午中学校をみんなでつくりあげていきたい。
○知 事
ボランティアとして裏方を経験することで,苦労などを理解し,やってくれている人たちに対する感謝の気持ちがわく。感謝の気持ちがあると,地域の皆さんに対して自然とあいさつもできる。感謝を込めてあいさつをすることで,また絆が強まっていくことが感じられた。しっかりと活動して,地域貢献してくれていると思う。
約150名
懇談の模様を録画でご覧いただけます。
こちら(インターネット放送局)からご覧ください。
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