【解説】
甲立古墳は,広島県の山間部安芸高田市東部の江の川(可愛川〔えのかわ〕)とそれにつながるいくつかの河川の合流点に所在する。江の川は,日本海側の石見地域とつながる,中国地方最大の河川である。
本古墳は墳長77.5mの前方後円墳で,葺(ふき)石(いし)が墳丘斜面のほぼ全面に施されている。後円部平坦面では墓坑1基を検出し,電気探査によると竪穴式石室や礫槨(れきかく)などの埋葬施設であると考えられる。墳丘からは円筒埴輪と器(き)財(ざい)形(がた)埴輪(はにわ)が出土した。後円部平坦面には墳丘に沿って円筒埴輪が樹立し,その内側には5個体の家形埴輪が一列に配置されていた。埴輪の特徴から古墳時代前期末,4世紀後半に築造されたと考えられる。
古墳は均整の取れた墳形,緻密に施された葺石,丁寧かつ精巧に製作された家形埴輪を有し,築造に畿内地域の勢力が深く関わっていたことが考えられる。4世紀後半は大和政権が朝鮮半島と対外交流において関係を深めた時期に当たり,本古墳が瀬戸内海と日本海を結ぶ内陸部に築造されたことによって,大和政権の対外政策の在り方を知ることができる。更に,後円部での埴輪群は当時の葬送儀礼の在り方を知ることもできる。古墳時代前期の政治や交通そして葬送儀礼の在り方を知る上で重要である。
名称 | 甲立古墳 | |
---|---|---|
よみがな | こうたちこふん | |
指定 | 国指定 | |
種別 | 史跡 | |
種類 | ||
所在地 | 安芸高田市甲田町上甲立 | |
員数 |
指定面積24,617.35平方メートル |
|
指定年月日 | 平成28年3月1日 | |
構造形式 | ||
法量 | 全長77.5m,後円部径56.2m,前方部長29m,後円部高さ7~8m | |
公開状況 | 常時公開 | |
交通案内 | JR甲立駅から北西へ約2km | |
関連施設 | 名称 | 安芸高田市歴史民俗博物館 |
開館時間 | 9時~17時 | |
休館日 | 月曜日,祝休日の翌日,12月29日~1月3日 | |
入館料 | 一般300円(200円),小・中学生150円(100円)※( )は20人以上の団体,企画展等は別料金 | |
所在地 | 安芸高田市吉田町吉田 | |
電話番号 | 0826-42-0070 | |
交通案内 | ○JR「向原駅」から西へ約10km ○中国自動車道「高田I.C」から吉田方面へ約10km ○「広島バスセンター」から「広電吉田出張所行」バスで「安芸高田市役所前」下車,西へ約500m |