第2部    環境の現状と県の取組
 
第3章   自然と人がふれあう潤いのある広島
第1節   優れた自然環境と生物多様性の保全
1   豊かな森林の保全と再生
2   自然公園等の指定
3   水辺の保全・再生
4   生物多様性の保全
 
第3章 自然と人がふれあう潤いのある広島
 
   人も生態系を構成している一員であることを認識し,貴重な自然の保護や身近な自然の形成による自然との豊かなふれあいを保ちながら,自然への適切な働きかけや賢明な利用を通して,健全な生態系を維持・回復し,自然と県民の間に豊かな交流を保つなど,自然と県民が共生できる豊かで潤いのある環境を確保します。
 
第1節 優れた自然環境と生物多様性の保全
 
1 豊かな森林の保全と再生
 
現状と課題
 
 森林は,水源かん養,山地災害防止,地球温暖化防止,生活環境保全,保健休養,生物多様性の保全などの多様な機能を有しています。
 本県の森林面積は,県土面積の約7割に当たる613,655ha(平成16年4月現在,全国第10位)であり,横ばいで推移しており,森林蓄積量は微増傾向にあります。 
 現存植生は99%以上が代償植生であり,自然植生は非常に貴重なものとなっています。全森林面積に対する保安林率は39%に達し,県土の保全,水源のかん養,土砂の流出その他災害の防備,レクリエーションの場の提供など,森林の公益的機能の維持増進に大きな役割を果たしています。所有形態別にみると,国有林が49,089haで全体の8%に過ぎず,残りの564,565haが民有林で92%を占めています。民有林の松林は約20万haあり,民有林面積の約36%を占め,全国一です。松林は,県土の保全や景観形成等,様々な機能を通じて,安全で豊かな県民生活を支える重要な役割を担っていますが,依然として猛威をふるっている松くい虫による被害は,県内ほぼ全域に広がっており,貴重な資源である松林を松くい虫被害から守っていく必要があります。 
 なお,森林火災が,瀬戸内海沿岸部を中心に発生しており,出火件数は長期的には減少傾向にあるものの,今後も予防啓発による防止が必要です。
 
図表3-1-1 保安林面積
資料:県治山室
 
図表3-1-2 所有形態別森林面積及び蓄積(平成16.4.1現在)
(単位:千ha,千m3,%)
(注) 1  国有林は,近畿中国森林管理局「国有林の地域別森林計画書」(平成16年4月公表)
2  国有林は,県林務管理室「地域森林計画書」(平成16年4月公表)
3  内訳は,四捨五入のため一致しない場合があります。
 
図表3-1-3 民有林の資源構成(平成16.4.1現在)
(単位:千ha,千m3,%)
(注)1    県林務管理室「地域森林計画書」(平成16年4月公表)
2  内訳は,四捨五入のため一致しない場合があります。
 
図表3-1-4 松くい虫による被害区域面積及び被害材積
資料:県森林保全室
[施策の方向]
森林の状態や植生,所有の形態等に応じた保全・再生の推進
 
施策の展開
 
 県土面積の7割を占める森林は,水源かん養,山地災害防止,保健休養,生物多様性の保全などの多様な機能を有しており,地域の特性に応じた保全を推進します。
 優れた自然環境を有する森林の保全を図るため,「広島県自然環境保全条例」に基づく保全地域等の指定を推進するとともに,「広島県みどりと景観の基金」を活用した公有化の検討や保全地域等の指定に伴う私権の制限に対する補償等,適正な管理を行います。
 植物の自生地や野生生物の生息地として重要な天然林は,県自然環境保全地域や保安林として厳正な保護・管理を行います。
 重要水源地域においては,流域単位で水源かん養保安林,干害防備保安林を指定し,適切な管理を行います。
 上・下流域が一体となって行う水源林の整備を進めるとともに,企業や団体からの協力を受けて造成を実施するなど,県民参加の森づくりを推進します。
 奥地森林に広葉樹の植林等による森林構成の多様化や植生の復元等を推進します。
 自然生態系との調和を一層重視した複層林や天然林の育成による多様な森林の造成を推進します。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
自然保護協力奨励金・立木損失補償事業[自然環境保全室]
 優れた自然環境を有する森林の保全を図るため,「広島県自然環境保全条例」に基づく県自然環境保全地域等の指定を行うとともに,「広島県みどりと景観の基金」を活用した県自然環境保全地域等の指定に伴う私権の制限に対する補償等,適正な管理を行います。
[平成15年度事業実績] 自然保護協力奨励金として746件3,637千円,立木損失補償金として255件14,489千円を交付しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,指定地域内における立木の伐採規制等各種行為規制の代償として補償等を行い,私権との調整を図ります。
 
流域林業活性化推進事業[林務管理室]
 流域を基本単位として,「緑と水」の源泉である多様な森林の整備,木材の生産から流通・加工に至る産地化の形成を図ることで,流域の森林・林業の活性化を図るとともに,多様な森林の整備を促進するために,下流域を含む市町村間等において,情報交換,協議,研修を行い,流域内市町村等の連携と森林整備の実行体制を強化します。
[平成15年度事業実績] 太田川流域森林整備センター,瀬戸内流域森林整備センター,江の川・高梁川上流流域森林整備センターにおいて,森林整備実施計画の進行管理,森林・林業情報の収集・提供,木材安定供給確保推進活動を実施しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,同様の事業を計画しています。
 
森林整備地域活動支援事業[林務管理室](再掲)
 適切な森林整備の推進を通じて森林の有する多面的機能の発揮を図るため,森林所有者等による計画的かつ一体的な森林施業の実施が特に重要であることから,その実施に不可欠な森林の現況調査等の地域活動を確保するための支援を行います。
[平成15年度事業実績] 374団地(33市町村)の29,280haに対し,292,799千円を交付しました。
[平成16年度事業内容] 374団地(33市町村)の29,402haに対し,294,020千円を交付します。
 
森林病害虫駆除事業・松くい虫防除緊急対策事業[森林保全室](再掲)
 保安林等公益的機能の高い保全すべき松林を松くい虫から守るため,特別防除(薬剤空中散布)のほか,伐倒駆除,特別伐倒駆除(被害木の焼却・破砕),被害拡大未然防止対策緊急防除(被害木に薬剤空中散布)等を実施するとともに,感染源を除去するために保全すべき松林の周辺松林の樹種転換を推進します。
[平成15年度事業実績] 12市町村で空中散布(3,010ha)を実施したほか,予防事業として地上散布(39ha),駆除散布として緊急防除(500m3),特別伐倒駆除(1,050m3),伐倒駆除(6,545m3),衛生伐といった各事業を総合的に実施しました。
[平成16年度事業内容] 11市町村で空中散布(2,714ha),地上散布(33ha),緊急防除(500m3),特別伐倒駆除(1,000m3),伐倒駆除(7,000m3),衛生伐といった各事業について総合的な実施を計画しています。
 
山火事ゼロ推進特別事業等[森林保全室]
 林野火災の発生が集中する時季にかけて,市町村や関係者への「山火事注意」ののぼり配布,予防対策会議や防止対策パンフレットなどを利用した林野火災予防キャンペーンなど予防啓発を行っています。
 また,平成12年度に全国初となる林野火災予防情報システムを導入し,平成12〜14年度の間に観測ステーションを8基設置するとともに,ラジオスポット放送及び林野火災予防情報システムを活用した「山林乾燥情報」のテレビ放映を通じた予防啓発を行うことにより県民への防火意識の啓発を図っています。
[平成15年度事業実績] 林野火災予防情報システムの維持管理を行うとともに,「山林乾燥情報」のテレビ放映や山火事予防ラジオスポット放送を通じて防火意識の啓発を行いました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,林野火災情報システムの維持管理を行うとともに,テレビやラジオ放送を通じた防火意識の啓発を行います。
 
県民参加のみどりづくり推進事業[森林保全室](再掲)
 県民活動組織の体制整備を進めるとともに,関係団体と連携し,県植樹祭等のイベントを開催するなど,森林に対する普及啓発活動を行います。
[平成15年度事業実績] 県植樹祭(三良坂町),緑の集い(緑化センター),緑の少年団交流集会(県民の森)の開催,森林イベントカレンダー配布や森林ボランティアの支援により,普及啓発しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,県植樹祭(東広島市),緑の集い(緑化センター)等を計画しています。
 
水源林造成事業[森林整備室](再掲)
→詳細はこちら
 
森林整備事業(造林事業)[森林整備室](再掲)
 奥地の森林を対象に,広葉樹の植林等による森林構成の多様化や植生の復元等を推進するとともに,自然生態系との調和を一層重視した複層林や天然林の育成による多様な森林の造成を推進します。
[平成15年度事業実績] 従来のスギ・ヒノキの一斉造林のみでなく,広葉樹造林,育成複層林施業等の多様な森林整備を実施しました。(整備面積:10,200ha)
[平成16年度事業内容] 地域の森林の重視すべき機能に応じて,育成単層林整備のほか,育成複層林の整備等の多様な森林整備を実施します。(整備予定面積:9,800ha)
 
第5期保安林整備計画に基づく保安林の促進[治山室](再掲)
 水源かん養,災害防備等の森林の公益的機能の維持増進を図るため,保安林整備臨時措置法による第5期保安林整備計画(平成6〜15年度)に基づき,保安林の量的・質的な配備を積極的に推進するとともに,これらの保安林の適切な管理に努めます。
[平成15年度事業実績] 50件,271haの保安林を新たに指定し70件,48haの保安林を解除しました。
[平成16年度事業内容] 150件,780haの保安林を新たに指定する見込みです。
 
治山事業(山地災害対策事業・保安林整備事業等)[治山室]
 県土の開発や都市化の進展に伴う山地災害危険地区対策,水需要の増大に係る水源森林の整備,都市周辺森林における環境保全対策等,県土の保全・基盤の充実を図ります。
[平成15年度事業実績] 「第9次治山事業七箇年計画」(平成9〜15年度,基本方針:災害に強い安全な県土づくり,水源地域の森林機能強化,豊かな環境づくり)に基づき,202箇所において治山施設及び森林の整備を実施しました。
[平成16年度事業内容] 国が策定した,平成16年度を始期とする「森林整備保全事業計画」(平成16〜20年度,基本方針:安全で安心して暮らせる国土づくり,豊かな水を育む森林づくり,身近な自然の再生等による多様で豊かな環境づくり)に基づき,190箇所において治山施設及び森林の整備を実施します。
 
地球温暖化防止森林吸収源特別対策事業[林務管理室,林業振興室,森林保全室](再掲)
→詳細はこちら
●コラム● 森林ボランティア活動 ひろしま人と樹の会
  
[団体名]
   ひろしま人と樹の会(1992年設立)
  
[目的]
 広島の松林が,松くい虫被害等によって立ち枯れていく様を憂い,里山における「緑の再生」を願い,「自分たちの足元から」「自分たちの手で」という構想で「森を育てる」「人を育てる」「ボランティア精神を育てる」ことを目的に活動しています。
  
[活動概要]
  (活動方針)
  1. みどりを増進させる森林体験活動,
  2. 森林体験を通しての地域交流活動,
  3. 森林保全に関する自然学習講座活動,
  4. 緑化推進に関する国際交流活動,
  5. その他本会の達成に必要な活動
(主な活動内容) マツ枯損木の伐採・整理,広葉樹等の植林,間伐・枝打ち,竹林整理,下草刈り・除伐等の里山管理,炭焼き,自然学習会等
 
(事務局長の声)
 市民が森林を守っていく活動は,全国的に「大きなうねり」といえるほど広がりを見せています。
 当会は多くの市民に加え,林業家,植物の達人,道具のスペシャリスト,生態学の研究者などを抱え,会員数は200名に達しています。
 チェーンソー,カマ,ナタ,ヘルメットなど作業道具も買い揃えてきました。
 怪我や事故については,必ず作業前に注意を呼びかけ,万が一のため傷害保険も掛けています。
 活動フィールドは,県下一円の里山林で植樹,下草刈,枝打ち,間伐,炭焼き,枯損木の伐倒,竹林整備,自然学習会などを行っています。
 要請があればどこへでも出向き,森林の重要性の啓発に貢献していきます。
 どなたでも参加できます。
 まずは自然と友達になることから始めませんか?
ボランティアでマツ枯損木の伐採・整理(豊栄町)
ボランティアでマツ枯損木の伐採・整理(豊栄町)
森づくりの合間に森のコンサートで交流促進(世羅西町)
森づくりの合間に森のコンサートで交流促進(世羅西町)
隣県ボランティアと共同でマツ枯損木の炭焼き(島根県江津市)
隣県ボランティアと共同でマツ枯損木の炭焼き(島根県江津市)
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2 自然公園等の指定
 
現状と課題
 
 我が国を代表する優れた自然の風景地やそれに準ずる地域,都道府県を代表する優れた自然の風景地は,「自然公園法」に基づきそれぞれ国立公園,国定公園,都道府県自然公園に指定し,生物多様性の確保など自然環境の保護を図るとともに,自然とのふれあいの場として適正な利用を推進しています。自然公園の保護と利用を適正に行うために,それぞれの公園ごとに公園計画が定められています。
 県内には,瀬戸内海国立公園,比婆道後帝釈国定公園,西中国山地国定公園及び6箇所の県立自然公園があり,それらの面積は県土の約4%を占めています。また,県内の優れた自然環境の保全を図るため,「広島県自然環境保全条例」に基づき「県自然環境保全地域」等の指定を行っています。
(自然公園等指定状況は,資料編「自然環境23」参照)
 
図表3-1-5 自然公園の面積(平成16.4.1現在)
資料:県自然環境保全室
 
図表3-1-6 県自然環境保全地域等の地域数及び面積(平成16.4.1現在)
資料:県自然環境保全室
 
[施策の方向]
 「自然公園法」「広島県自然環境保全条例」等に基づく優れた自然や貴重な動植物が生息する地域の保全・管理
 
施策の展開
 
 優れた自然の風景を有する地域や貴重な動植物の生息する地域を自然公園や県自然環境保全地域等として指定し,その保全・管理に努めます。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
自然公園等の保全と管理[自然環境保全室]
 公園指定以降の自然的・社会的条件の変化に対し,公園計画の見直し(再検討・点検)を行うとともに,保護と利用の調和を図ります。
[平成15年度事業実績] 公園計画に基づいた適正な保護・管理を行い,自然公園指導員等による利用の適正化や事故の防止に努めました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,公園区域内を適正に保護・管理し,景観の維持や利用の増進を図ります。
 
三段峡(三段滝)
三段峡(三段滝)
 
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3 水辺の保全・再生
 
現状と課題
 
 河川整備においては,災害防止の観点とともに,生物の生育・育成,水の浄化等の機能を保全・創造することの重要性が認識され,自然環境や生態系の保全に配慮した多自然型工法の導入や親水性や景観に配慮した護岸整備が進められています。
 一方で,自然海岸は,高度経済成長期から行われた各種の開発行為等により,約33%が残存するのみとなっていることから,優れた環境を有する自然海岸の保全を図るため「広島県自然海浜保全条例」に基づき「自然海浜保全地区」に指定しています。
 水質の浄化機能を有し,魚介類の産卵・育成等の場として重要である藻場・干潟についても,沿岸域の環境変化や開発行為等により減少していることから,残された藻場・干潟を保護・保全するとともに,周辺の景観や生態系などの自然環境と調和した人工海浜や離岸堤,緩傾斜護岸の整備等を行う必要があります。
 また,ダム貯水池,ため池,農業用水路などの水辺は,魚,昆虫をはじめ野鳥が活動し,水生植物などを含む豊かな生物相が育まれており,地域住民にとって,散策,レクリエーションなどの憩いの場所として,重要な役割を果たしています。
(自然海浜保全地区指定状況は,資料編「自然環境4」参照)
 
図表参3-1-7 自然海浜保全地区数及び面積(平成16.4.1現在)
区分 地区数 陸域面積(ha)
自然海浜保全地区 19 17
資料:県自然環境保全室
 
図表3-1-8 海岸線の状況
区分 自然海岸 半自然海岸 人工海岸 河口部 総延長
延長km % 延長km % 延長km % 延長km % km
H5 355.3 33.0 49.4 4.6 663.7 61.7 6.9 0.7 1,075.3
  全国 18105.7 55.2 4,467.5 13.6 9,941.8 30.3 264.0 0.8 32,778.9
S59 366.0 34.3 57.5 5.4 637.0 59.7 6.9 0.6 1,067.3
  全国 18,402.1 56.7 4,511.4 13.9 9,294.5 28.6 263.8 0.8 32,471.9
S53 369.6 35.0 59.0 5.5 621.0 58.8 6.9 0.7 1,056.5
  全国 18,967.2 59.0 4,340.4 13.5 8,599.0 26.7 263.7 0.8 32,170.2
出典:環境庁第2回,第3回及び第4回自然環境保全基礎調査
 
図表3−1−9 藻場・干潟の現存面積と消滅面積
区分 藻場(ha) 干潟(ha)      
現存面積 消滅面積
(昭和53年度以降)
現存面積 消滅面積
(昭和53年度以降)
広島県 2,059 34 1,024 143
全国 201,212 6,403 51,443 3,857
出典:環境庁第4回(平成元年〜平成4年)自然環境保全基礎調査
 
[施策の方向]
 自然とのふれあいの場である河川や海岸・海浜などの水辺の生物の生息・育成環境に配慮した保全・再生
 
(1) 自然環境に配慮した河川の整備
 
 水生生物の移動の分断を回避する魚道の整備,水際部の水生植物の維持・回復のための自然石を使った岩組み・石積み,魚巣ブロック・ホタル護岸など,地域の状況を考慮した工法の採用等により,自然環境に配慮した河川の整備を進めます。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
多自然型川づくり[河川企画整備室]
 水生生物の移動の分断を回避する魚道の整備,水際部の水生植物の維持・回復のための自然石を使った岩組み・石積み・魚巣ブロック・ホタル護岸など,地域の状況を考慮した工法の採用等により,自然環境に配慮した河川の整備を進めます。
[平成15年度事業実績] 江の川,長瀬川,安川などにおいて地域の状況を考慮した工法により整備をしました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,地域の状況を考慮した工法により整備を行います。
 
(2) 海岸・海浜や海の自然の保全と再生
 
 優れた環境を有する海岸は「広島県自然海浜保全条例」に基づき,自然海浜保全地区に指定し保全に努めます。
 藻場や干潟は,水質の浄化機能を有し,魚介類の産卵・生育等の場としても重要であることから,自然に残された貴重な藻場・干潟の保護・保全と再生を図ります。
 ミティゲーションの考え方に基づき,自然と調和のとれた港湾の整備を行うとともに,自然環境や生態系の保全・再生を積極的に進めるとともに,藻場,干潟や湿地等の保全・復元などの自然再生事業を推進します。
 水産試験場を再編整備し,藻場・干潟等の浅海域の環境保全・修復技術等に関する調査研究を進めます。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
自然海浜保全地区の指定等[自然環境保全室]
 優れた環境を有する自然海岸を自然海浜保全地区に指定し,自然海浜の保全及び適正な利用を図ります。
[平成15年度事業実績] 県内19箇所で指定されている自然海浜保全地区の保全と適正な利用に努めました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,自然海浜の保全と適正な利用に努めていきます。
 
水産基盤整備事業[漁港漁場整備室]
 藻場や干潟などの魚介類の産卵,幼稚魚育成の場づくりや優良な漁場を構成するとともに,海底に堆積したゴミを除去して漁場環境を保全することで,漁場生産量の増大を図ります。
[平成15年度事業実績] 藻場の造成(豊浜2.3ha,因島2.3ha),魚礁の設置(尾道市他3箇所6,364空m3),干潟の造成(田尻1.9ha),海底の清掃(広島市他5箇所21.6km2)を行いました。
[平成16年度事業内容] 藻場の造成(豊浜1.7ha,因島0.8ha,横島1.6ha),魚礁の設置(呉市他4箇所8,111空m3),海底の清掃(広島市他2箇所12.3km2)を行います。
 
水産海洋技術センター(仮称)の整備[研究開発推進室]
 現在の水産試験場を,瀬戸内海の環境保全や水産資源の維持増大を図る技術開発など,海,河川に関する幅広い要請に応えられる水産・海洋技術開発の拠点として,再整備します。
[平成15年度事業実績] 本館の整備に着手しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,本年度末までに水産試験場の再整備を行います。
 
河川清掃等業務委託事業[河川管理室]
 
河川清掃「クリーン太田川」[河川管理室]
 
広島県ラブリバー制度推進事業[河川管理室]
→エ,オ,カの詳細はこちら
 
放置艇の規制[港湾管理室]
→詳細はこちら
 
エココースト事業[港湾企画整備室]
 良好な自然環境を積極的に保全・回復する必要性が高い竹原港海岸において,高潮・津波などの自然災害から海岸を防護することと併せ,生態系や自然景観等の周辺の自然環境に配慮した海岸の形成を図り,自然と共生した海岸づくりを進めます。
[平成15年度事業実績] 護岸整備(40m)を行いました。なお,生物分布状況調査により,干潟生息生物の個体数の増加が確認されました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,護岸整備(40m),養浜工(A:8,400m)を行います。
 
港湾環境整備事業[港湾企画整備室]
→詳細はこちら
 
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4 生物多様性の保全
 
現状と課題
 
 本県は,中国山地を形成する1,000m級の山々の北部積雪地帯とそれに続く内陸の台地,そして気候温暖な瀬戸内沿岸部や島しょ部からなり,その複雑な地形と多様な気候によって,豊富な生物相を呈しています。
 平成3年から平成6年に実施した「広島県緊急に保護を要する野生生物の種の選定調査」結果から,絶滅のおそれのある野生生物種を選定しています。
 このうち,緊急に保護対策を要するミヤジマトンボなど動物7種,オグラセンノウなど植物4種の野生生物種を「広島県野生生物の種の保護に関する条例」に基づく指定野生生物種等に指定しています。
 今後,野生生物について,科学的な個体数管理を行い,体系的に保全していくためには,野生生物の生息状況等に関する基礎的な調査を実施し,現状を把握するとともに,野生生物に関する情報の提供を行い,野生生物保護思想の普及啓発を行う必要があります。
 また,「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」や「広島県野生生物の種の保護に関する条例」に基づき,野生生物の保護を進めるとともに,鳥獣保護区や野生生物保護区の指定などにより,生息・生育圏の保全を図る必要があります。
 一方,シカやイノシシなどの一部の野生鳥獣により農林業に深刻な被害が生じており,また,指定野生生物種であるツキノワグマによる人身被害が発生するなど,適切な個体数管理が求められています。
 さらに,外国から持ち込まれた外来生物が地域固有の生物や生態系に大きな脅威となっていることが指摘されています。
 
図表3-1-10
広島県内に生息する野生生物種数(動物)
図表3-1-11
広島県内に生息する野生生物種数(植物)
資料:県自然環境保全室 資料:県自然環境保全室
 
図表3-1-12 絶滅のおそれのある野生生物の種の選定状況
分類群 県内種数 選定種数 カテゴリー別種数
絶滅 絶滅危惧
1種
絶滅危惧
2種
準絶滅危惧 情報不足
哺乳類 43 19 3 4 3 6 3
鳥類 302 39 0 9 6 17 7
爬虫類 16 5 0 0 1 3 1
両生類 19 9 0 2 3 4 0
淡水魚類 84 18 0 11 3 4 0
昆虫類 8,313 152 4 23 41 84 0
クモ類 389 3 0 0 0 3 0
甲殻類 23 3 0 1 0 2 0
陸淡水産貝類 133 37 1 4 9 15 8
小計 9327 285 8 54 66 138 19
種子植物 2625 304 3 67 109 101 24
シダ植物 303 50 0 13 16 20 1
コケ植物 719 54 0 38 10 4 2
淡水藻類 1,258 11 0 1 0 0 10
地衣植物 382 14 0 3 8 3 0
菌類 700 33 0 0 9 24 0
小計 5,987 466 3 122 152 152 37
合計 15,314 751 11 176 218 290 56
資料:県自然環境保全室
 
図表3-1-13 指定野生生物種等の指定状況
ツキノワグマ 哺乳類 ヒメシロチョウ 昆虫類
アビ類
(シロエリオオハム,
オオハム,アビ)
鳥類 ミズニラ
(シナミミズニラを含む。)
シダ植物
ダマルガエル 両生類 オグラセンノウ 種子植物
スイゲンゼニタナゴ 淡水魚類 ツルマンリョウ
カワシンジュガイ 陸淡水産貝類 ヤチシャジン
(ミヤジマトンボ) 昆虫類 計11種類
(内1種は特定野生生物種。実数は10種)
資料:県自然環境保全室
 
図表3-1-14 特定野生生物種
ミヤジマトンボ 昆虫類 1種
資料:県自然環境保全室
 
図表3-1-15 鳥獣保護区等の設置状況 (単位:ha)
区分 平成15年度 第9次計画(14〜18年度)
箇所数 設置面積 箇所数 設置面積
鳥獣保護区 森林鳥獣生息地 50 40,701 49 38,532
集団飛来地 9 15,466 9 15,466
身近な鳥獣生息地 55 9,486 55 9,486
(特別保護地区) (8) (7,962) (8) (7,962)
114 65,653 113 63,484
休猟区 0 0 0 0
銃猟禁止区域 42 34,432 43 36,330
(放鳥獣)猟区 3 4,631 3 4,631
資料:県自然環境保全室
 
図表3-1-16 野生鳥獣による農作物被害額 (単位:百万円)
区分 H11年度 H12年度 H13年度 H14年度 H15年度
イノシシ 357 552 448 411 373
サル 25 33 31 26 35
シカ 18 23 27 39 33
その他獣類 47 50 45 37 36
鳥類 199 189 162 201 196
646 847 713 714 673
資料:食品流通安全室
 
[施策の方向]
基礎的調査の実施及び体系的な基礎情報の整備
「広島県野生生物の種の保護に関する条例」等に基づく希少野生生物種の保護の推進
自然保護に関する各種制度等の活用による野生生物生息・生育域の保護・保全
有害鳥獣等の適正な個体数管理による共存の実現
外来生物への適切な対応など野生生物の生息環境の保全と再生
 
施策の展開
 
(1) 基礎的調査の実施,基礎資料の整備
 
 生物の多様性を体系的に保全していくため,希少野生生物種の生息状況に関する調査など,自然を科学的・客観的に把握するための基礎的な調査を実施します。
 「広島県の絶滅のおそれのある野生生物レッドデータブックひろしま」の改訂版の発行など,野生生物保護対策を推進するための基礎資料の整備に努めます。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
第2次広島県版レッドデータブックの種の選定事業[自然環境保全室]
 絶滅のおそれのある野生生物の現状を把握し,広島県版レッドデータブックの改訂版を公表することにより,希少野生生物に配慮した地域開発や県民への意識啓発を行います。
[平成15年度事業実績] 選定種決定のための現地調査(春)や選定委員会を開催し,広島県版レッドデータブックの改訂版を作成しました。
[平成16年度事業内容] 広島県レッドデータブックの改訂版を県内の市町村,高等学校,大学,主要図書館へ配布します。
 
(2) 保護を要する野生生物種の保護
 
 「広島県野生生物の種の保護に関する条例」に基づく指定野生生物種の指定,野生生物保護区の指定などにより,緊急に保護を要する野生生物種の保護を図ります。
 必要に応じて「広島県野生生物の種の保護に関する条例」に基づく指定野生生物種の見直し等を行います。
 ミヤジマトンボなど,県内に生息する希少野生生物種を保存するため,「保護管理計画」に基づく徹底した保護対策を推進します。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
ミヤジマトンボの生息環境の整備[自然環境保全室]
 ミヤジマトンボ(特定野生生物種)の生息地の環境が海砂の侵入により悪化しているため,その生息環境を整備します。
[平成15年度事業実績] 土嚢を積み生息地への海砂の侵入を防止しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,生息環境を整備します。
 
ヤチシャジンの保護管理[自然環境保全室]
 ヤチシャジン(指定野生生物種)の保護管理を図るため,その生息環境を整備します。
[平成15年度事業実績] 甲山町内の生息場所の草刈等を実施しました。(平成15年度終了)
 
アビ生息調査[自然環境保全室]
 県鳥に指定されているアビ(指定野生生物種)について,その飛来数を調査し保護対策を行います。
[平成15年度事業実績] 生息海域において,飛来数調査を実施しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,飛来数調査を実施します。
 
ダルマガエルの保護管理[自然環境保全室]
 土地区画整理事業地内に生息していて,緊急避難しているダルマガエル(指定野生生物種)について,関係者や専門家と協議しながら保護管理をすすめます。
[平成15年度事業実績] 関係者や専門家の意見を聞き,緊急避難している個体の今後の対応について検討しました。
[平成16年度事業内容] 緊急避難している個体を試験放流し,追跡調査を実施します。
 
オグラセンノウの保護管理[自然環境保全室]
 オグラセンノウ(指定野生生物)の保護管理を図るため,生息状況を調査します。
[平成16年度事業内容] 専門家の意見を聞き,生息状況について調査します。
 
(3) 体系的な生態系の保全
 
 シカやイノシシなど,一部の野生鳥獣については,生息状況等の変化に伴い,農林水産業に被害を与えるなどの問題が生じているため,鳥獣保護区の適正配置,休猟区の全廃などの対策を講じるとともに,市町村が行う個体数管理対策に対して適切な助言を行います。
 指定野生生物種に指定しているツキノワグマの里山定着化を防ぐため,出没地域周辺でのパトロール,奥山への放獣などの保護対策を進めるとともに,隣接の山口県・島根県と協力して「特定鳥獣保護管理計画」に基づき,科学的な個体数管理を講じていきます。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
特定鳥獣保護管理計画の策定[自然環境保全室]
 ツキノワグマ,イノシシ,ニホンジカについて「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」に基づいた「特定鳥獣保護管理計画」を策定しました。ツキノワグマについては,西中国山地個体群として,山口・島根との3県で保護管理を進めます。また,イノシシ,ニホンジカについては,著しく増加し,農林作物の被害の拡大により住民と軋轢が生じており,農林作物の被害の沈静化を図るため,国が定めている狩猟規制を緩和し捕獲頭数の増加を目指します。
[平成15年度事業実績] 特定鳥獣保護管理計画を策定し,計画の達成状況を検証するため,追跡調査を実施しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,特定鳥獣保護管理計画に基づき適正に個体類管理を行うとともに,計画の達成状況を検証し,追跡・調査を実施します。
 
クマレンジャー事業[自然環境保全室]
 クマ出没地域周辺のパトロール等を実施することにより,ツキノワグマの里山への定着化を防止し,人身被害発生の危険性を軽減します。
[平成15年度事業実績] クマ出没地域周辺のパトロールを実施しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,クマ出没地域周辺のパトロール等を実施します。
広島県ツキノワグマ対策協議会の設置[自然環境保全室]
 ツキノワグマの保護管理対策を円滑に実施するため,県と関係市町村で構成する広島県ツキノワグマ対策協議会を設立し,保護管理対策を検討,実施するとともに,ツキノワグマによる人身事故被害者への見舞金制度を実施します。
[平成15年度事業実績] 構成市町村28市町村(うち6市町が新規加入)により,ツキノワグマの保護管理対策について検討しました。
[平成16年度事業内容] 構成市町村21市町村により,引き続き,保護管理対策等を検討,実施します。
 
鳥獣保護区等の設定[自然環境保全室]
 鳥獣の捕獲を禁止し,その安定した生存を確保するとともに,多様な鳥獣の生息環境を保全・管理及び整備するため,第9次鳥獣保護事業計画に基づき,鳥獣保護区等を設定します。
[平成15年度事業実績] 鳥獣保護区の更新(11箇所6,624ha),変更(2箇所566ha増),廃止(2箇所△547ha)及び銃猟禁止区域の設定(1箇所65ha),更新(1箇所424ha)を行いました。
[平成16年度事業内容] 鳥獣保護区の更新(22箇所26,045ha),特別保護地区の再指定(4箇所7,091ha)及び銃猟禁止区域の更新(2箇所202ha)を行います。
 
(4) 野生生物の生息環境の保全・再生
 
 「広島県野生生物の種の保護に関する条例」に基づく野生生物保護区の指定や「広島県自然環境保全条例」に基づく野生動植物保護地区の指定などにより,野生生物の生息・生育環境の保全を図ります。
 自然生態系との調和を重視した複層林・天然林施業等による森林造成,都市周辺における生態系に配慮した里山林の保全・多自然型護岸の整備・魚介類の産卵・生育等の場として重要な藻場や干潟の保護・保全,ビオトープの整備などにより,野生生物の生息・生育環境の復元・再生を図ります。
 臥龍山など,希少な動物類や植生群落が存在し,放置すれば貴重な生態系が失われるおそれのある地域については,自然環境の再生を行います。
 絶滅危惧種のほぼ5割が,人手が入ることによって生物多様性のバランスを保ってきた里地里山に生息している現状を踏まえ,地域住民やNPOとの連携による地域の実情に応じた保全対策を推進します。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
臥龍山麓自然再生事業[自然環境保全室]
 西中国山地国定公園の臥竜山麓八幡原湿原地域には,希少な動物類や植生群落が存在するものの,放置すれば貴重な生態系が失われるおそれがあるため,損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻すことを目的として,自然再生事業を行います。
[平成15年度事業実績] 県だけでなく,芸北町(地元市町村),地域住民,専門家,NPO等地域の多様な主体の参加と連携を図りつつ,検討協議会を設置するとともに,科学的な調査に着手しました。
[平成16年度事業内容] 「自然再生推進法」に則り全体構想案を策定する予定です。
 
里山林整備推進事業[森林保全室]
→詳細はこちら
 
絆の森整備事業[森林整備室]
 市民の参画を得た森林整備や,野生生物の生息・生育環境の整備と必要な路網整備を推進します。
[平成15年度事業実績] 広島市(2.9ha),廿日市市(12.17ha)油木町(7.63ha)で整備しました。
[平成16年度事業内容] 広島市(0.3ha),廿日市市(12.17ha)油木町(9.2ha),豊浜町(0.1ha)を整備します。
 
森林整備事業(造林事業)[森林整備室}(再掲)
→詳細はこちら
 
公共事業や開発事業における野生生物に対する配慮「道路企画室」
 規模の大きな事業等を進める際,環境アセスメントを行い,猛禽類等のレッドデータブックに記載されている希少種等を調査し,存在が確認された場合には,生育環境等を勘案してルート等を決定します。
[平成15年度事業実績] 江府三次道路等において,環境調査を行いました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,環境調査を行います。
 
道路改良により生じる法面の自然植生の回復「道路企画室」
 道路法面の緑化については,生態系への影響などを考慮し,周辺の植物を用いた植栽や在来種による植生を行います。法面の緑化は,道路改良や維持修繕の際,必要に応じて行います。
 
(5) 野生生物保護思想の普及啓発
 野生生物や生態系の保全に関する県民の理解を深めるため,広報の実施,愛鳥週間行事等の開催,野生生物保護推進員による啓発などの取組を推進します。
  
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
愛鳥週間ポスター及び標語募集[自然環境保全室]
 鳥獣保護の意識啓発のため,愛鳥週間に向けて小学生,中学生,高校生を対象にポスター及び標語を募集し表彰します。
[平成15年度事業実績] ポスターには408点(小学生167,中学生112,高校生129),標語には102点(小学生75,中学生23,高校生4)の応募がありました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,ポスター及び標語を募集し鳥獣保護の意識啓発をします。
 
平成16年度愛鳥週間ポスター特選
愛鳥週間ポスター特選 愛鳥週間ポスター特選 愛鳥週間ポスター特選
世羅西町立せらにし小学校2年
市尻 航輝
広島市立亀山中学校3年
菅沼 亜衣
広島県立可部高等学校3年
青木 聡子
 
野生生物保護啓発事業[自然環境保全室]
 専門的知識を有する講師が,小学生を対象に絶滅危惧種等の現状や保護活動を紹介することにより,野生生物保護意識の形成を図ります。
[平成15年度事業実績] 「三良坂町の自然」について三良坂町立仁賀小学校で,「絶滅危惧種」について三良坂町立三良坂小学校で,「県鳥アビ」について蒲刈町立蒲刈小学校で,その現状等を紹介しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,3小学校で絶滅危惧種等の現状や保護活動を紹介します。
 
●コラム● 「改訂・広島県の絶滅のおそれのある野生生物」−レッドデータブックひろしま2003−の発行
  
[実施主体名] レッドデータブック
  広島県版レッドデータブック見直し検討会,広島県
   
[目的]
 レッドデータブックは,人間活動によって野生生物の絶滅が引き起こされないよう,種の保存と生物多様性の重要性の理解を広く県民に求め,また,各種施策において環境保全への配慮を促進するための基礎的資料として広く活用されることを目的としています。
   
[概要]
   広島県では,1995年(平成7年)に「広島県の絶滅のおそれのある野生生物−レッドデータブックひろしま−」を公表しました。その後,8年が経過し,カテゴリー定義の更新や前回作成時に十分得られなかった生物分野の情報収集が進み,これらの情報に基づく選定・評価の見直しが必要となってきたため,今回「改訂・広島県の絶滅のおそれのある野生生物−レッドデータブックひろしま2003−」を発行しました。
 
◆調査体制
 平成12年度に県内の野生生物の状況評価ができる専門家12名(広島県版レッドデータブック見直し検討会委員)により,前回選定種のカテゴリー見直しを行い,平成14年度と平成15年度に現地調査,選定種の確定,編集等を行いました。
 
◆調査経緯
 
[選定状況]
 選定種については,前回300種(動物122,植物178)で,生息記録が不明なものや,県内で比較的多く生息するものなどを削除し,コケ植物など新たな分類群の追加や,カテゴリーの見直しによる追加で,全体で751種となっています。(動物285,植物466)
 この選定種数の増加は,前回以降に発行された環境省や他県のレッドデータブックに準拠して見直しを行ったことによるものがほとんどですが,これまで身近に当たり前に生息していた(ニホン)トカゲやトノサマガエルなども今回新たに選定されています。
 こちらに絶滅のおそれのある野生生物の種の選定状況を掲載しています。
 
[本書の構成]
 A4版 515ページ(2色刷り)
 各都道府県,市町村,高等学校,大学,図書館等へ配布しています。また,有償による販売も行っています。
詳しくは県のホームページをご覧ください。(http://www.pref.hiroshima.lg.jp/eco/
 
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