第2部    環境の現状と県の取組
 
第1章   環境への負荷が少ない循環型社会広島
第1節   循環型社会の構築
1   3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進
2   廃棄物の適正処理の推進
3   健全な水循環の確保

第1章   環境への負荷が少ない循環型社会広島
 
   環境の復元能力や有限性を認識して,生態系の微妙な均衡を保持し,人の健康の保護及び生活環境の保全を図るため,県民の日常生活や事業活動から生じる環境への負荷の低減を図るとともに,資源の効率的利用,水資源,廃棄物などの循環利用を推進し,将来にわたって持続可能な社会システムを構築します。
 
第1節   循環型社会の構築
 
1   3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進
 
現状と課題
 
(1)   排出の状況
 一般廃棄物は,市町村が定める処理計画に沿って処理が行われていますが,県内では,年間100万t以上が排出されています。排出総量及び1人1日当たり排出量ともに,平成8年度から平成13年度にかけ,増加傾向にありましたが,平成14年度には,減少に転じています。
 また,事業者の責任で処理することになっている産業廃棄物の排出量は微増しています。
 
(2)   再使用(リユース)・再生利用(リサイクル)の状況
 一般廃棄物,産業廃棄物ともに,各種リサイクル法の整備などを背景にリサイクルへの着実な取組がなされており,一般廃棄物資源化率,産業廃棄物再生利用率ともに増加しています。
 しかし,廃棄物の多様化も進み,パソコン等の処理困難なものも増えています。また,消費ニーズにあった製品開発の遅れやコストの要因等により廃自動車のシュレッダーダストなどリサイクルが遅れている分野もあります。
 こうした状況を踏まえ,フリーマーケットやリサイクルショップに関する情報提供の充実などによる再使用(リユース),実用的なリサイクル技術の開発,リサイクル製品の販路拡大などによる再生利用(リサイクル)の取組をさらに強化する必要があります。
図表1-1-1 一般廃棄物排出量及び1人1日排出量
    資料:県一般廃棄物対策室
 
図表1-1-2 一般廃棄物処理区域の面積・人口等の推移
 区分 8年度 9年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度
面積
(q2)
全県
計画処理区域
8,475
8,475
8,476
8,476
8,476
8,476
8,476
8,476
8,476
8,476
8,477
8,477
8,477
8,477
人口
(人)
総人口
計画処理区域人口
計画収集人口
自家処理人口
2,899,863
2,899,863
2,878,018
21,845
2,902,590
2,902,590
2,884,580
18,010
2,904,533
2,904,533
2,888,466
16,067
2,884,794
2,884,794
2,869,697
15,097
2,882,547
2,882,547
2,868,116
14,431
2,879,923
2,879,923
2,867,346
12,577
2,878,950
2,878,950
2,871,180
7,770
資料:県一般廃棄物対策室
図表1−1−3 産業廃棄物排出量の推移
資料:県産業廃棄物対策室
 
[施策の方向]
循環型社会の構築を目指した3R〔リデュース(排出抑制)・リユース(再使用)・リサイクル(再生利用・熱回収)〕の推進
 
施策の展開
 
(1)   排出抑制(リデュース)の推進
 
県民による取組の促進
 
 廃棄物の発生が少ないライフスタイルの確立に向け,新聞・テレビ,パンフレット等を活用した幅広い広報・啓発活動を実施し,使用済み製品の再使用,使い捨て製品の使用自粛,過剰包装の辞退,資源ごみの分別収集,生ごみの堆肥化などによる有機性廃棄物の資源化等の取組を促進します。
 市町村が行う家庭・事業所生ごみのコンポスト化,デポジット機の設置,買い物袋持参運動などの取組に対して啓発等の必要な支援を行います。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
(ア)廃棄物再生事業者登録制度の推進[循環型社会推進室]
 廃棄物の再生事業や市町村でのリサイクル運動の推進を図るため,廃棄物の再生事業について,一定の基準を満たす事業者を登録します。
[平成15年度事業実績] 平成15年度末時点で,68事業者の登録を行っています。
[平成16年度事業内容] 引き続き,事業者の申請に基づき登録を行います。
 
事業者による取組の促進
   「拡大生産者責任」の考え方に基づき,使い捨て製品の製造販売や過剰包装の自粛,リサイクルしやすい製品の開発,再生資源の利用について働きかけを行うなど,事業者における取組を促進します。
 廃棄物処理法で義務付けられている多量排出事業者を中心に「産業廃棄物処理計画」の策定などを促進します。
 廃棄物抑制検討懇話会の提言(平成14年2月)に基づき,平成15年4月1日から導入した「産業廃棄物埋立税」により,不特定多数の排出事業者に対して経済的インセンティブを与え,産業廃棄物の継続的な排出抑制を促すとともに,その税収により,リサイクルの推進や産業廃棄物の抑制などの幅広い施策を推進します。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
(ア)廃棄物再生事業者登録制度の推進[循環型社会推進室] (再掲)
 
(イ)多量排出事業者への産業廃棄物処理計画の策定指導[循環型社会推進室]
 産業廃棄物の前年度発生量が500トン以上(特別管理産業廃棄物については50トン以上)の多量排出事業者等への,産業廃棄物処理計画の策定を指導します。
[平成15年度事業実績] 産業廃棄物処理計画の作成に当たり,事業者へ指導しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,廃棄物処理法に基づく計画の策定を指導します。また,広島県生活環境の保全等に関する条例により,新たに産業廃棄物の前年度発生量が500トン以上1,000トン未満の事業者についても指導します。
 
(ウ)産業廃棄物に対する税の導入と税充当事業の実施[循環型社会推進室・一般廃棄物対策室・産業廃棄物対策室]
 県内で埋め立てられる産業廃棄物を抑制する方策として「産業廃棄物埋立税」を鳥取県・岡山県と連携して導入し,その税収をリサイクルや廃棄物対策の推進,自主的環境活動の支援に活用します。
[平成15年度事業実績]
[平成16年度事業内容]
税収を用いて次の事業を展開します。
リサイクル関連研究開発費助成事業(詳細はこちら
リサイクル施設整備費助成事業(詳細はこちら
資源循環広域システム構築事業(詳細はこちら
リサイクル製品使用促進事業(詳細はこちら
不法投棄監視体制強化事業(詳細はこちら
産業廃棄物処理業者情報公開支援事業(詳細はこちら
地域廃棄物対策支援事業(詳細はこちら
環境マネジメントシステム導入促進事業(詳細はこちら
環の応援団支援事業(詳細はこちら
 
(2) 再利用(リユース)・再生利用・熱回収(リサイクル)の推進
 
リサイクル資源の利用拡大
 
 ごみのリサイクルを推進するためには,適切な分別が必要であり,市町村が実施する多種分別収集や資源化などの取組に対し助言・支援を行います。
 今後増加が予想される焼却灰の溶融スラグについては,土木資材等への活用を推進します。
 リサイクル製品登録制度の実施,環境負荷の低減効果を表示するラベリングの開発,アンテナショップの設置など,県民,事業者等への関連情報等の積極的な提供によりリサイクル製品の利用拡大を図ります。
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
(ア)広域ゴミゼロアクション支援事業[一般廃棄物対策室]
 市町村が共同して広域的に3R事業を進めるための実行プランづくりを支援し,ごみの減量化・資源化施策を推進します。
[平成15年度事業実績] 尾道ブロック,三原ブロックを支援しました。(平成15年度終了)
図表 1-1-4 広域ゴミゼロアクション事業の概要
 
)資源循環広域システム構築事業[循環型社会推進室]
 廃棄物処理に伴う環境負荷が大きく,リサイクルが可能ながら十分に活用されていない産業廃棄物について,排出,収集・運搬・中間処理,リサイクルに至る各業界代表等で構成する検討会を設け,広域的なリサイクルシステムを構築します。
[平成15年度事業実績] 木くず,有機性汚泥等について,広域的なリサイクルシステムの事業化の方策を検討しました。
[平成16年度事業内容] 廃プラスチック類を対象にして、広域的なリサイクルシステムの構築を検討します。
 
)リサイクル製品使用促進事業[循環型社会推進室]
 県内産リサイクル製品の使用促進のため,事業者からの申請に基づき,要件・基準に適合した県内産リサイクル製品の登録を行います。県のホームページ等で製品情報を豊富に提供し,利用者の選択機会の充実を図ります。
[平成15年度事業実績] リサイクル製品登録制度を創設し,57製品の登録を行いました。
[平成16年度事業内容] 登録制度を引き続き実施し,ホームページで情報提供を行うとともに,製品カタログを作成し,配布し,県内全体でのリサイクル製品の普及・使用促進を図ります。
 
実用的な技術開発に対する支援と積極的な導入
 
 廃棄物を資源として利用するうえでは,実用的な技術の開発が重要課題であるため,工業技術センター等における調査・研究を推進します。
 実用的な技術開発を促進するためには,コスト・リスクの軽減を図ることが重要であり,県内事業者が行うリサイクル技術等の開発や実用化・事業化等の各段階における助成制度の充実等を図ります。
 「広島県環境関連産業創出推進協議会」などの活動を通じ,産学官の連携や,同業種・異業種などの多面的な事業者間連携を促進し,環境関連の技術開発を促進します。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
(ア)環境関連産業コンプレックスの形成[新産業振興室]
→ 詳細はこちら
 
(イ)試験研究機関における調査・研究[研究開発推進室]
→ 詳細はこちら
 
)リサイクル関連研究開発費助成事業[循環型社会推進室]
 事業者の実施する廃棄物リサイクルに関する研究開発を支援することにより,その成果の事業化を通して,資源循環・廃棄物の削減を積極的に推進します。
項目 内容
対象分野 廃棄物の排出抑制,減量化,リサイクル
対象者 構成員の2/3以上が県内に本社を置く中小企業者である3者以上の構成員から成る共同研究グループ
県内に主たる事務所を置く組合等
対象経費 即効性が高いと見込まれる研究開発 
対象経費が15,000千円以上
補助率 2/3以内
補助額 10,000千円以上20,000千円以内/件
[平成15年度事業実績] 3事業総額35,000千円の支援を行いました。
[平成16年度事業内容] 4事業について支援を行います。
 
)リサイクル施設整備費助成事業[循環型社会推進室]
 資源循環型社会への転換を進める上において効果が大きいと認められるリサイクル関係施設等の整備に要する費用の一部を助成します。
項目 内容
対象分野 廃棄物の排出抑制,減量化,リサイクル
対象者 新設施設(国庫補助対象を除く)の設置者
対象経費 技術の優位性・先導性,県内への波及効果,県内埋立量の減量効果が高い設備の整備費
補助率 1/3以内(びんごエコタウンモデル地域内は,1/3+5%以内)
補助額 1億円以内/件
[平成15年度事業実績] 3事業総額264,016千円の支援を行いました。
[平成16年度事業内容] 4事業について支援を行います。
 
各種リサイクル法の円滑な運用
 
 「資源有効利用促進法」,「容器包装リサイクル法」,「家電リサイクル法」,「食品リサイクル法」,「建設リサイクル法」,「自動車リサイクル法」の周知等を徹底するとともに,各法制度の趣旨を踏まえた関係機関,県民等が連携した取組への指導・支援等を推進します。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
(ア)資源有効利用促進法[循環型社会推進室]
 資源有効利用促進法に基づき,県民に対して,廃パーソナルコンピュータの適正な引渡しとリサイクル料金の負担について周知します。
[平成15年度事業実績] 製造事業者による廃パーソナルコンピュータの自主回収・リサイクルの取組に協力するよう県民等への普及・啓発活動を行いました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,制度の周知を図ります。
 
(イ)容器包装リサイクル法の推進[循環型社会推進室・一般廃棄物対策室]
 容器包装リサイクル法に基づき,分別収集の徹底に向けた市町村の取組を支援していくとともに,県民に対して分別の必要性を周知します。
[平成15年度実績]
図表 1-1-5 容器包装廃棄物分別の分別収集の状況 (単位:t)
資料:県一般廃棄物対策室
[平成16年度事業内容]平成15年4月を始期とする第3期広島県分別収集促進計画の推進を図ります。
図表1-1-6 広島県分別収集促進計画(第3期)の概要 (単位:t)
資料:県一般廃棄物対策室
 
(ウ)家電リサイクル法の推進[循環型社会推進室・一般廃棄物対策室]
 家電リサイクル法に基づき,県民に対して,廃家電(対象4品目)の適正な引渡しとリサイクル料金等の負担について周知します。
[平成15年度事業実績] 家電リサイクル法の適正な運用を図るための普及・啓発活動を行いました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,適正な運用を推進します。
 
(エ)建設リサイクル法の推進[技術調整室]
 建設リサイクル法の趣旨に基づき,建設副産物のリサイクルを推進します。
 また,建設リサイクル推進計画2002の目標値達成のため,建設リサイクルの推進に向けた基本的な考え方,目標,具体的施策を定め,建設副産物に対する総合的な対策を推進します。
[平成15年度事業実績] 建設汚泥リサイクル促進計画策定業務,建設リサイクル法届出審査業務等を行いました。
[平成16年度事業内容] 建設リサイクル法届出審査業務及びパトロールを行います。
 
(オ)自動車リサイクル法の推進[産業廃棄物対策室]
 平成17年1月に完全施行される自動車リサイクル法の円滑な運用を図ります。
[平成15年度事業実績] 法制度の説明会の開催等を通じて,自動車リサイクル法の内容を,県民・事業者へ周知しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,県民・事業者へ周知します。また,関連事業者の登録・許可によって,使用済自動車の適正な再資源化の推進を図ります。
 
サーマルリサイクル・廃棄物発電の促進
 
 再生利用が困難で焼却処分せざるを得ない廃棄物については,エネルギーとして活用することにより,化石燃料の使用量の抑制を推進します。
 ごみ焼却施設の整備に当たっては,廃熱を有効に活用できる廃棄物発電や新技術の導入により,可能な限り電気や熱などのエネルギーとしての回収を促進します。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
(ア)福山リサイクル発電事業の運用[一般廃棄物対策室]
 一般廃棄物の広域処理とサーマルリサイクルを通じてダイオキシン類,二酸化炭素の削減等環境対策を進めるとともに,資源・エネルギー対策を進め,併せて市町村の廃棄物処理コストの低減を図るため,福山リサイクル発電(株)によるRDF発電・灰溶融事業を実施します。
[平成15年度事業実績] 試運転による設備・機器の調整を行い,施設を竣工しました。
[平成16年度事業内容] RDF発電・灰溶融事業の運用を開始します。
 
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2   廃棄物の適正処理の推進
 
現状と課題
 
(1) 適正処理の状況
 廃棄物が適正に処理されるよう,排出量や処理目的に応じ,効率的に施設の整備を図るとともに,「広島県一般廃棄物広域処理計画」に基づき,市町村と連携して,各ブロックにおける処理の広域化等を進めています。
 一方,廃棄物処理法の規制強化,最終処分場の逼迫,廃棄物処理費用の増加,各種リサイクル法の施行などにより不法投棄等の不適正処理が増加することが懸念されることから,処理施設への立入検査等の実施により,不法投棄・不適正処理の防止に積極的に取り組む必要があります。
 また,「産業廃棄物分野の構造改革」を進め,優良な処理事業者の育成に努める必要があります。
図表1-1-7 家電リサイクル法対象4品目不法投棄台数
(1)品目別
区分 テレビ 冷蔵庫 エアコン 洗濯機
13年度 1,163 338 149 269 1,919
14年度 1,670 454 251 378 2,753
15年度 1,288 371 193 266 2,118
 
(2)場所別
区分 ごみ
ステーション
山林 道路 その他
13年度 520 335 548 516 1,919
14年度 755 793 814 391 2,753
15年度 624 385 617 492 2,118
 
(3)地域別
区分 市域(県内14市) 町村域(県内51町村) 
13年度 1,302 617 1,919
14年度 2,009 744 2,753
15年度 1,479 639 2,118
資料:県一般廃棄物対策室
図表1-1-8 産業廃棄物不法投棄発生状況(投棄量10トン以上の事案)
資料:県産業廃棄物対策室
 
(2) 最終処分場の状況
 一般廃棄物,産業廃棄物ともに,最終処分場の残余容量は逼迫した状況にあることから,新規埋立処分場の整備等により最終処分場を確保する必要があります。
 特に,産業廃棄物の最終処分場の残余年数は,大規模な民間処分場が1件設置されて増加したものの,管理型処分場で約7年しかなく,また,公共関与による新規埋立処分場の整備等により最終処分場を確保する必要があります。
図表1-1-9 一般廃棄物最終処分場の残余容量及び年数
資料:県一般廃棄物対策室
 
図表1-1-10 産業廃棄物最終処分場の施設数及び残余容量
資料:県産業廃棄物対策室
図表1-1-11 産業廃棄物最終処分場の設置等状況
(平成13年度末現在)
設置主体 施設数 残余容量(万m3) 残余
年数
排出事業者 処理業者 公共 排出事業者 処理業者 公共
安定型
最終処分場
7 76 1 84 10 450 23 483 10.1
管理型
最終処分場
8 30 2 40 7 320 67 393 7.3
15 106 3 124 17 770 90 877 8.6
資料:県産業廃棄物対策室
注) 1 表中の施設は,廃棄物処理法第15条の許可対象施設です。
2 残余年数は,平成13年度の埋立量の実績(管理型54万立方メートル,安定型48万立方メートル)から試算したものです。
 
図表1-1-12 公共関与による埋立処分事業の実施状況
(平成15年度末)
名称 埋立面積
(ha)
埋立容量
(千m3) 
進捗率
(%)
事業期間 事業主体
箕島地区 35 1,597 100 昭和63年10月〜 (財)広島県環境保全公社
五日市
地区
37.5 4,855 92.5 平成3年1月〜 (財)広島県環境保全公社
 資料:県産業廃棄物対策室
 
[施策の方向]
不法投棄の防止など適正処理の推進,優良な処理業者の育成
最終処分場の確保
 
施策の展開
 
(1) 廃棄物処理の安全性の向上
 
市町村に対する支援
 一般廃棄物の適正処理を推進するため,市町村や一部事務組合のし尿・ごみ処理施設等への定期的な立入検査等を実施し,施設の適正な運営や環境保全に関する指導・助言を行うとともに,既存施設の耐用年数や老朽化の状況などを勘案しながら施設整備に対する適切な支援を行います。
 ごみ処理の効率化とダイオキシン類対策の徹底を図るため,市町村合併の動向等を踏まえながら,ごみ処理の広域化に向けた市町村の取組を引き続き支援します。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
(ア)一般廃棄物処理施設整備の促進〔一般廃棄物対策室〕
 一般廃棄物処理施設については,既存施設の老朽化や廃棄物量の増加などを踏まえ,市町村による計画的な施設整備を推進します。
[平成15年度事業実績]
図1-1-13 一般廃棄物処理施設整備状況(稼動ベース)
区分 13年度 14年度
し尿処理施設 ごみ処理施設 し尿処理施設 ごみ処理施設
施設数 36 85 36 95
処理能力 2,834kl/日 4,464t/日 2,849kl/日 5,208t/日
資料:県一般廃棄物対策室
[平成16年度事業内容]引き続き,計画的な施設整備を推進します。
 
(イ)監視・指導等[一般廃棄物対策室]
 一般廃棄物処理施設の適正な維持管理を促進するため,立入検査等を実施します。
[平成15年度事業実績]
図表1-1-14 一般廃棄物処理施設立入検査・指導件数
区分 立入検査・指導件数
し尿処理施設
ごみ処理施設
埋立処分地
浄化槽
86
133
41
2,868
3,128
資料:県一般廃棄物対策室
[平成16年度事業内容]引き続き,立入検査等を実施します。
 
産業廃棄物排出事業者・処理業者に対する指導
 
 排出事業者責任の原則のもと,「廃棄物処理法」に基づき計画的な立入検査を実施するとともに,マニフェスト制度の徹底や排出事業者による産業廃棄物処理委託時の処理能力等の確認の徹底など,排出事業者・処理業者等に対し適正処理を指導します。
 ダイオキシン類の発生源である産業廃棄物焼却施設の設置管理者に対して構造基準,維持管理基準の徹底を図るとともに,ダイオキシン恒久基準への適合を継続的に監視します。
 「ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物処理基本計画」に沿った県内PCB廃棄物の適正処理,「感染性廃棄物処理マニュアル」に基づく医療機関及び処理業者に対する指導など,有害産業廃棄物の適正処理を推進します。
 「産業廃棄物分野の構造改革」につながるよう,産業廃棄物の処理に関する情報の開示を推進し,優良な産業廃棄物処理業者の育成を図るとともに,産業廃棄物処理業者で構成する団体の活動に対して支援を行い,業界全体の健全な発展を促進します。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
(ア)監視・指導等[産業廃棄物対策室]
 産業廃棄物の適正処理を推進し,生活環境の保全を図るため,排出事業者及び産業廃棄物処理業者の事業所及び処理施設の立入検査を実施します。
[平成15年度事業実績]
図表1-1-15 事業所立入検査件数
区分 立入検査件数 延指導件数
産業廃棄物排出事業所 1,671 135
産業廃棄物処理業者 1,406 88
不法投棄等監視パトロール 513 3
産業廃棄物運搬車両検査 41 13
3,631 239
資料:県産業廃棄物対策室
図表1−1−16 産業廃棄物処理業者許可状況(平成16.3.31)
区分 広島県 広島市 呉市 福山市
産業廃棄物 収集運搬 2,419 1,306 551 933
中間処理 218 90 16 38
最終処分 47 9 2 9
中間処理・最終処分 20 0 1 3
小計 2,704 1,405 570 983
特別管理産業廃棄物 収集運搬 355 202 94 160
中間処理 20 11 0 5
最終処分 3 0 0 0
中間処理・最終処分 0 0 0 0
小計 378 213 94 165
合計   3,082 1,618 664 1,148
資料:県産業廃棄物対策室,広島市,呉市,福山市
 
注) 1 表中の数字は許可業者数を表している。
2 1つの業者が複数の区分,複数の自治体の許可を有する場合,それぞれ計上している。
 
[平成16年度事業内容]引き続き,立入検査を実施します。
 
(イ)ダイオキシン対策[産業廃棄物対策室]
 平成14年12月から適用された産業廃棄物焼却施設のダイオキシン恒久基準対応を推進するため,施設の改善指導を行うとともに,排ガスの行政検査を実施します。
[平成15年度事業実績] 10施設について,排ガスの行政検査を実施しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,行政検査を実施します。
 
(ウ)PCB [産業廃棄物対策室]
 平成13年7月に施行されたPCB廃棄物適正処理推進特別措置法に基づき,PCB廃棄物の保管状況を把握し,適正保管・保管状況等の届出を指導します。
 また,中小企業に対してPCB廃棄物の処理費用の助成をするため,環境事業団のPCB廃棄物処理基金へ拠出(45,000千円)します。
[平成15年度事業実績]
図表1-1-17 PCB廃棄物保管等届出状況(平成15.3.31)
資料:県産業廃棄物対策室,広島市,呉市,福山市
注)容量で報告されたものは,重量に換算しています。
 
[平成16年度事業内容] 引き続き,届出指導等を行います。
 
)優良な産業廃棄物処理業者の育成[産業廃棄物対策室]
 産業廃棄物の処理に関する情報の公開を推進する産業廃棄物処理業者及びその団体の活動に対し,産業廃棄物埋立税を財源とした支援を行い,業界の健全な発展を促進します。
[平成15年度事業実績]
事業名 データベース構築事業 処理施設公開支援事業
実施主体 (社)広島県産業廃棄物協会 産業廃棄物処理業者
事業内容
県内処理業者の
データベース化
業者検索システム
の構築
インターネットで
情報公開
処理施設等の情報公開機器の整備(4件)
補助率 1/2 1/2
((社)広島県産業廃棄物協会への間接補助)
補助金額 2,997千円 1,700千円
 
[平成16年度事業内容] 引き続き,情報公開の推進等,業界の健全育成に資する費用を助成します。
 
(2) 不法投棄防止対策の推進
 
 廃棄時にリサイクル費用を負担する「家電リサイクル法」の施行や最終処分場の逼迫等により不法投棄が多発することが懸念されるため,県の組織体制の充実を図るとともに,「不法投棄110番・ファックス」による情報収集や,車両,ヘリコプター及び船舶を使用したパトロールの実施など,市町村,警察機関,JA・郵便局等,地域に根ざした各種団体,地域住民等との連携により監視体制の強化を図り,不法投棄の未然防止に努めます。
 市町村が行う監視機器や防止設備の設置,監視体制の強化などの取組に対して必要な支援を行います。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年に講じる施策
 
監視・パトロール[産業廃棄物対策室]
 「不法投棄110番」による情報収集や,車両,ヘリコプター及び船舶を使用した監視パトロールを実施し,早期発見・早期是正に努めます。
[平成15年度事業実績] 車両によるパトロール(107回),ヘリコプターによるパトロール(16回),船舶によるパトロール(10回)を実施しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,パトロールを実施します。
 
不法投棄対策班の活動[産業廃棄物対策室]
 悪質・巧妙化する不法投棄等不適正処理に対する監視体制などを強化するため,産業廃棄物対策室に現職警察官,警察官OB及び県職員からなる「不法投棄対策班」を設置し,不適正処理事案に関する調査活動,原因者の究明及び監視指導を行い,早期発見・早期是正による事案の拡大防止を図ります。
[平成15年度事業実績] 不法投棄110番通報,関係機関からの要請等を受けて,延べ185回出動し,不適正処理事案への対応を行いました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,監視体制を強化し,早期対応を行います。
 
地区不法投棄防止連絡協議会の設置[産業廃棄物対策室]
 地域事務所の管轄区域毎に,地域事務所,市町村,警察及び海上保安部で構成する地区不法投棄防止連絡協議会を設置し,不法投棄の情報交換等を実施します。
[平成15年度事業実績] 協議会を延べ12回開催しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,協議会を開催します。
 
地域廃棄物対策支援事業[一般廃棄物対策室]
 廃棄物の不法投棄等,不適正な処理が増加することが懸念されるため,市町村又は一部事務組合が実施する不法投棄対策事業を支援し,不法投棄の未然防止及び早期発見・早期是正を図ります。
項目 内容
実施主体 市町村(一部事務組合を含む)
対象事業 不法投棄監視事業,不法投棄防止に関する普及啓発活動事業,その他不法投棄に関する事業
対象経費 不法投棄防止パトロール,住民団体・民間警備会社への不法投棄監視委託,監視機器の設置,啓発活動,パンフレット作成等に係る費用
補助率 1/3
補助額 200千円〜10,000千円/市町村以内(人口規模等で異なる。広域的な取組の場合は,限度額を上乗せする。)
[平成15年度事業実績] 26市町村1事務組合に対し補助(15,131千円)しました。
[平成16年度事業内容] 20市町2事務組合に対し補助します。
 
(3) 最終処分場の確保
 最終処分場設置者と地域住民とのコミュニケーションが円滑に図られるよう調整を行います。
 最終処分場の設置の円滑化を図るため,周辺の環境保全整備に対する支援方策を検討します。
 廃棄物処理施設の設置をめぐる紛争や「廃棄物処理法」の規制強化などにより廃棄物最終処分場の確保が困難になっていることから,広島市出島地区及び福山市箕沖地区の2地区において公共関与による新規廃棄物処分場の整備を推進することとしています。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
公共関与産業廃棄物処分場整備事業[産業廃棄物対策室]
 箕島地区及び五日市地区処分場の後継処分場として,広島地域(出島地区)及び備後地域(箕沖地区)において新たな最終処分場の整備を推進します。
 
図表1-1-8 公共関与による新規廃棄物処分場
名称 埋立面積(千m2 埋立容量(千m3 埋立開始予定
出島地区(広島市) 180 1,900 平成18年度
箕沖地区(福山市) 157 1,044 平成22年度以降
資料:県産業廃棄物対策室
 
●コラム「産業廃棄物処理業者検索システム」
 
  [実施主体名]
 社団法人広島県産業廃棄物協会
 
[概要]
 産業廃棄物の適正処理やリサイクルを推進するため,協会では県内の全産業廃棄物処理業者についての情報を検索できる「産業廃棄物処理業者検索システム」を開発し,平成16年4月から運用開始しています。
 
[検索システムの特徴]
取扱う廃棄物,施設所在地等多様な条件をもとに,最適の処理業者を検索できます。
ISO取得業者等信頼できる優良な産業廃棄物処理業者を容易に検索できます。
リサイクル製品登録業者等各種のリサイクル業者を選択できます。
 
広島県産業廃棄物協会のホームページ
http://www.hiro‐sanpai.or.jp
 
[協会事務局から一言]
 今後も利用しやすいシステムに改善していきたいと思います。
 検索方法や検索内容等についての御意見や御要望,また改善点についての御提案がございましたら協会まで御一報ください。
 (Tel:082−247−8499,Fax:082−247−9719,e‐mail:hsanpai@gol.com)
 

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3 健全な水循環の確保
 
現状と課題
 
 水は,蒸発・降水・浸透・貯留・流下・海への流入という過程を繰り返す中で浄化されますが,戦後,都市への急激な人口・産業の集中と過疎化の進行,産業構造の変化などの社会経済の変化を背景として水循環が急激に変化したことにより,河川流量や雨水浸透量の減少,湧水の枯渇,水質汚濁,生態系への悪影響などの諸問題が生じています。
 こうした問題の解決を図るためには,それぞれの地点における環境の質を判断し,汚濁負荷の低減を通じて環境の保全を図る「場の視点」からの取組とあわせ,水源となる森林から海までの河川の流域を一体的な水循環系として捉えた「流れの視点」に基づいて,河川流量や地下浸透量の確保等の取組が不可欠です。あわせて,家庭や工場・事業場における水の合理的・循環的利用をさらに進める必要があります。
 
図表1-1-19
1日及び1日1人当たり平均給水量
図表1-1-20
1日当たり工業用水及び回収水使用量

出典:県統計年鑑,水道統計 出典:県統計年鑑,工業統計
 
[施策の方向]
河川の流域を一体的な水循環系と捉えた保全・再生の推進
水源林造成,雨水地下浸透促進施設等の整備推進
水の合理的・循環的利用の促進
 
施策の展開
 
(1) 河川の流域における水循環の一体的な保全・再生
 
 都市への急激な人口や産業の集中,過疎化の進行,産業構造の変化などの社会経済の変化を背景とする水の循環の急激な変化により,生態系への悪影響,河川流量の減少,都市における水害や渇水,水質汚濁,親水機能の低下などの問題が発生している状況を踏まえ,河川の流域を一体的な水循環系として促えて保全・再生する取組を推進します。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
治水ダム建設事業[ダム室]
 水害防除と既得取水の安定化及び河川環境の保全などを目的にダムを建設しています。
[平成15年度事業実績] 四川ダム,仁賀ダム,梶毛ダムを建設しています。
[平成16年度事業内容] 引き続き,事業を実施します。
 
多目的ダム建設事業[ダム室]
 水害防除や既得取水の安定化及び河川環境の保全,都市用水などの補給を目的にダムを建設しています。
[平成15年度事業実績] 福富ダム,山田川ダム,野間川ダム,庄原ダムを建設しています。
[平成16年度事業内容] 引き続き,事業を実施します。
 
尾崎川統合河川整備事業[河川企画整備室]
 二級河川尾崎川は,流域の市街化により生活排水等が流入し,長年に渡って河床に堆積したヘドロ等により水質が悪化しています。このため,安芸郡海田町及び広島市安芸区の尾崎川において汚泥浚渫を実施しており,隣接する二級河川瀬野川からの導水を計画しています。
[平成15年度事業実績] 広島市安芸区で浚渫量3,100m(工事延長319m)の施工をしました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,浚渫量2,900m(工事延長52m)の施工をします。
 
平成16年度に講じる施策(新規)
 
健やかな流域づくり事業(黒瀬川モデル)[環境調整室]
→詳細はこちら
 
(2) 雨水等の地下浸透の推進
 排水性舗装,貯留浸透型の雨水排水設備など,雨水の地下浸透を促す施設等の整備を推進します。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
植樹帯や法面の緑化[道路企画室]
 道路を緑化し,良好な道路環境を確保するよう,植樹帯や法面の緑化を実施します。
 
透水性舗装の使用[道路企画室]
 道路の舗装面上に降った雨水を,間隙が多い舗装材の特質を利用して地中に浸透させる舗装工法で,地下水を保全・かん養します。
[平成15年度事業実績] なし。
[平成16年度事業内容] 一般国道2号(尾道市新浜)において,200mの透水性舗道を実施します。
 
浸透ますの設置[道路企画室]
 従来の雨水ますと違い,底と横に穴があいている雨水浸透ますを,砕石で被い設置することにより,雨水を地下にしみ込みやすくします。
 
街路事業[都市整備室]
 道路工事において,透水性舗装をすることにより,雨水の地下浸透を促進し,地盤の持つ保水能力を維持・回復するように努めます。
[平成15年度事業実績] 大須土橋線において,透水性舗装を整備しました。
[平成16年度事業内容]
 
(3) 水源林造成の推進
 
 ダム上流域等の森林を対象に「水源の森」の指定を拡大するとともに,事業者やNPO団体等の協力を得つつ,上下流域が一体となった県民参加による水源林の造成を推進します。
 水資源の確保を図るため,森林の有する水源かん養機能を高度に発揮させる上で重要な役割を果たす水源かん養保安林等について,適切な保全・管理を推進します。
 
平成15年度に講じた施策・平成16年度に講じる施策
 
水源林造成事業[森林整備室]
 都市部における水不足の解消に寄与するための水源林の造成,充実を目的として,上下流の住民が一体となり,流域ぐるみで水源かん養機能の高い森林づくりを実施します。
[平成15年度事業実績] ダム上流域等の森林を対象に「水源の森」の指定を拡大するとともに,企業・漁協等の事業者やNPO団体等の協力により,県民参加による水源林の造成を実施しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,個別補助事業,市町村森林整備事業,農林振興センター事業,普及啓発事業を計画的かつ着実に実施します。
 
水源地域整備事業[治山室]
 水源地域において,森林の有する水源かん養機能を高度に発揮させ,水資源の確保と国土の保全に資するため,荒廃地,荒廃移行地の復旧整備及び荒廃森林の整備を総合的に実施します。
[平成15年度事業実績] 特に重要な水資源地域において,荒廃した森林等6地区の整備を実施しました。
[平成16年度事業内容] 引き続き,4地区において整備します。

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