このページの本文へ
ページの先頭です。

四季折々ひろしまの旬を楽しめる「瀬戸内さかな」の魅力に迫る!

四季折々ひろしまの旬を楽しめる
「瀬戸内さかな」の魅力に迫る!

瀬戸内さかなに関わる、皆さんによる特別座談会

瀬戸内さかなの美味しいを広げ隊 さん

2024年1月25日

メインビジュアル

瀬戸内魚さかなは美味しいし今後さらに評価が高まるはず

3名の漁師さんの個々の写真

 

ー 皆さんの思う「瀬戸内さかな」の魅力を教えてください。

坪木 やっぱり小魚が美味しいし、全部の魚の味が違うんです。
瀬戸内海って一見穏やかに見えるけど、外洋より潮の流れが速いので身が締まってますよ。

内藤 時期時期で美味しい魚が変わるし、獲れる魚の種類も多いですね。
回遊魚もおるし根付き魚(同じ場所にいる魚)もおる。
広島湾周辺は汽水域(淡水と海水が混ざる地域)もありますから。

坪木 県外の人によく驚かれるのは穴子の刺身。穴子を刺身で食べる文化って広島と博多ぐらいだからびっくりされます。

内藤 あと瀬戸内海って牡蠣筏が多いじゃないですか。食べてもらったらわかるけど、
筏の中におる魚と外におる魚って味が全然違うんです。牡蠣筏の周りは栄養がええんか、
筏の中におるカワハギなんか、肝も大きくて身もよう肥えてますよ。

牡蠣筏

望月 同じカワハギでも全然違いますよね! 
フグなどが高級魚って言われるけど、僕の中では抜群にカワハギですもん。

坪木 魚に詳しい人は「今日ハゲ(=マルハゲ。カワハギの別名)食べられる?」って聞いてくるよね。マルハゲは秋冬、ウマヅラ(カワハギの仲間)は春って時期が分かれてるのもいいんです。

望月 広島湾で獲れる魚の6割がカタクチイワシなんです。それ以外にオコゼやタイ、
カワハギが入ってきて。チヌ(クロダイ)は一時期増えすぎたけど今度は獲れなくなって。
冬のチヌは身が飴色で美味しくて狙い目ですよ。

内藤 気候のせいもあるんか、この40年の間で獲れる魚も変わったよね。
たとえばサワラとか昔はあんまり獲れんかったけど最近は獲れ出して。
しかもサワラって春の魚って書くけど(鰆)、実は秋が一番美味しいんですよ。

居酒屋で語り合っている3名の漁師さん

ー 現状の「瀬戸内さかな」に感じる課題などありますか?

望月 基本的に瀬戸内の魚はどれも美味しいんです。ただ料理人の人でもあまり瀬戸内の魚を食べたことがない人が多くて。だから市場としては「こんな食べ方がありますよ」って
SNSで発信するようにしています。

坪木 うちの店でも若い子はお客さんに魚について聞かれても説明できなかったりするんです。ワインでもソムリエがストーリーを語ってくれることで、より美味しく感じられる部分があるじゃないですか。特に海外や県外のお客さんにもっとストーリー性を伝えられたら、瀬戸内さかなの魅力も上がると思うんです。

望月 あと「広島人あるある」ですけど、地元の人が地魚の価値にそこまで気付いてないんです。牡蠣の消費量も日本一なのにこれが普通だと思ってる。
地元にこんな四季折々楽しめる美味しい魚があるんだってことを認識して、それをもっと個々が発信してくれたら盛り上がるんじゃないかと思います。

瀬戸内さかな

​ー「瀬戸内さかな」を知ってもらうためにできることは何でしょうか?

坪木 イベントなど消費者とのコミュニケーションの場をどれだけ持てるかでしょうね。
コロナも収束して、みんなフェスとか求めてますから。

望月 中央卸売市場でも今年の3月に4年ぶりに「市場まつり」を開催するんです。
あと近い将来、市場の建て替えが計画されてるんですけど、一般の方も観光で楽しめる情報発信地的な要素も入れたいと思っています。

内藤 やっぱPRじゃろうね。ノドグロなんてテニスの錦織圭選手が「日本に帰ったら食べたい」って一言言ったことで全然手に入らんようになったけえ。
有名人の有吉(弘行)くんとかに何か言ってもらえんかな(笑)。

坪木 最近ウチは江田島の「ハジマリノテラス」で魚の加工を始めたんです。
下処理したものや煮つけのセットにして急速冷凍をかけて、買った人は温めるだけ。
すごく評判いいですよ。

居酒屋を経営されている男性

内藤 作ったものを食べさせてもらったけど、冷凍じゃ言われんと漁師のわしでも味の違いがわからんかったけえね。

坪木 せっかく急速冷凍という技術があるんだから、鮮魚はもちろん水産加工品でもアピールできる余地はあると思うんです。瀬戸内の魚は世界的に見ても抜群に美味しいし、
加工品だと世界中に届けられますから。

望月 僕は今回「瀬戸内さかな」という取り組みで漁業関係者が横の繋がりを持てたことが大きいと思うんです。こうやって漁師、飲食業者、流通業者が集まって情報交換することで魚に関するストーリーを共有できる。
これが新しいイノベーションのきっかけになればと思います。

坪木 海外で日本食を食べて「現地で食べたらもっと美味しいに違いない!」って思ってる人が今、インバウンドで押し寄せてます。
今後瀬戸内の魚はもっともっと評価が高まると思いますよ。

望月 将来的には「メイドイン広島」の魚を世界に発信していきたいと思ってます!

居酒屋で語り合っている2名の漁師さん

 

紹介人物画像

瀬戸内さかなの美味しいを広げ隊 さん

瀬戸内さかなに関わる、皆さんによる特別座談会

「七宝丸」坪木則幸(つぼきのりゆき)さん
江田島でその日に獲れた新鮮な魚が味わえる『番屋 七宝丸』は2023年銀山町に「離れ」がオープン。江田島で土産物屋&カフェ「ハジマリノテラス」も経営。
【私の推し魚】カワハギ

「鹿川漁業組合」内藤希誉志(ないとうきよし)さん
江田島の能美町鹿川で漁師を営む。18歳の時から船に乗り始めて漁師歴41年! 定置網を中心としながら自ら海に潜りサザエやナマコを獲ることも。
【私の推し魚】秋サワラ

「魚食普及委員会」望月 亮(もちづきまこと)さん
「株式会社ヒロスイ」代表取締役社長。広島市中央卸売市場で水産加工や鮮魚の仲卸をする傍ら、魚の魅力を発信する「魚食普及委員会」委員長も務める。
【私の推し魚】牡蠣筏のカワハギ