良いものは受け継ぎ、新しいことに取り組み、次世代につなげたい
良いものは受け継ぎ、
新しいことに取り組み、
次世代につなげたい
株式会社サタケ 広報
大橋奈央 さん
2023年9月25日
こんな素敵な人たちがお酒を造ってるって知ってもらいたい
「実際お酒をつくれない私たちができるのは、日本酒を飲む人の裾野を広げること。
少しでも日本酒の魅力を知ってもらえれば」。熱い口調でそう語る大橋奈央さんは、就職活動で教授に勧められるまで「株式会社サタケ」のことを知りませんでした。東広島に本社があり、精米機の分野では世界的シェアを誇るメーカー。最初は精米も、配属された広報の仕事もチンプンカンプンなものだったといいます。
転機を迎えたのは入社6年目。会社が開発した新技術「扁平精米・原形精米」との出会いでした。「その新型精米機を導入した酒蔵に取材に行ったんですけど、そこで2つも心が揺れたんです。1つは『日本酒づくりってこんなに神秘的で面白いのか!』ってこと。
もう1つは『この技術は日本酒の新たな可能性を切り拓くチカラがある。何か形にできないかな?』っていう」。米は日本酒の命であり、精米の仕方は味に直結する。大橋さんは新技術を用いた酒を「真吟(しんぎん)」と名付けブランド展開を始めました。「自分で企画を立ち上げるのも初めてなら、『何を言われてもやり遂げたい!』と思えたのも初めて。とにかくこんな素敵な人たちがお酒を造ってるってことを多くの人に知ってもらいたいと思ったんです」。
日本酒人口を拡大することで広島をさらに盛り上げられれば
胸に灯った日本酒への恋心が大橋さんを突き動かします。日本酒への情熱はやがて多くの酒蔵を有する地元広島への思いにつながりました。昨年は異業種が集う「ひろしまをつなげる30人」に参加し、大学生に酒づくりを体験してもらう「ハタチの縁会」プロジェクトを起案。日本酒人口を拡大することで故郷をさらに盛り上げたいという願いがあります。
「不易流行の精神で良いものは受け継ぎながら、常に新しいことに取り組み、次の世代につなげたい。変化を怖れず互いの挑戦を応援することで、もっともっと広島の日本酒業界は心躍るものになると思います」。生来の明るさで軽やかに流行を刷新する大橋さん。新しい時代の乾杯には新しい味の酒がよく似合います。
大橋 奈央(おおはし なお) さん
株式会社サタケ 広報
鳥取県生まれ。大学卒業後、精米機メーカー株式会社サタケに入社。広報として、同社の精米技術「真吟精米」のPR に尽力。米を球形に削る従来の精米法よりも、でんぷん質を効率よく残しながら削ることができる精米法として全国に広げた。広島県観光連盟主催のまちづくりプロジェクト「広島をつなげる30 人」に第二期メンバーとして参加し、吟醸酒発祥の地・広島から日本酒の魅力を発信する「KANPAI」プロジェクト等に所属。お酒との付き合いがはじまる年に自分で飲む日本酒を仲間と共に醸す「ハタチの縁会」を企画・運営している。父親の転勤で各地を転々としたのち、初めて親友ができた場所が広島。地元という安心感があるという。