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「酒」を通じて社会を醸し新しい価値を創造する

「酒」を通じて社会を醸し、
新しい価値を創造する

ナオライ株式会社 代表取締役

三宅紘一郎 さん

2023年6月27日

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原点は上海。日本酒の「弱み」を克服した広島発の新しい酒

「し」ょうちゅうではなく「じ」ょうちゅう。日本酒のような香りと、ウイスキーのような深い味わいが特長の和酒「浄酎」を引っ提げて、この春東京に打って出た三宅さん。「飲んだことないお酒」と受け入れてもらい、手応えを感じています。

三宅さんが創業したナオライは、2019年、低温で純米酒からアルコールを抽出する「低温浄溜」で特許を取得。時間経過とともに味が劣化することが弱点の日本酒を、ウイスキーのごとく時間が経つほどに味わいを増す酒に変え、広島発の全く新しい酒を生み出しました。

浄酎

生まれ育ちは呉市。親族に酒造関係者が多く、自然と日本酒に興味を持ったそうです。立命館大学在学中、日本酒を中国で売りたいと留学。気づけば20代の延べ9年を、世界中のモノとヒトが集まる巨大都市・上海で過ごしていました。その中で、「本当に良いブランドでないと世界の人は振り向いてくれない」と学んだそうです。

自分の故郷にある素晴らしい瀬戸内の自然。そこから新しい日本酒のブランドを創ろうと、‘15年、三角島(みかどじま・呉市豊町久比)で「ナオライ」を創業しました。

浄酎の出来を見る三宅さん

社名の由来は、「直会(なおらい)」。祭りの後、神前に奉納した酒を神職ら参加者で酌み交わす伝統のことを指しています。「直会のように、日本酒が社会で重要な役割を担っている風景を増やしたい」という三宅さんの想いが込められています。

 

蘇った酒蔵を拠点に広がる有機農業。眠る価値を地域の力に​

島で作った完全無農薬レモンを使ったスパークリング酒「MIKADO LEMON」をリリース後、クラウドファンディングで浄酎開発をスタートし、3年かけて商品に仕上げました。その後、神石高原にあった廃業した酒蔵に最先端の製造設備を導入し、地元で有機栽培された酒米で浄酎を製造。酒蔵に息吹が戻り、そこを拠点に、仲間たちと連携して有機栽培を広げています。

ナオライの皆さん

古いモノから新しいモノを創る。そんな酒造りを通じて、三宅さんは近代化前の広島の地力を感じるそうです。「本当の日本の良さを語るのに広島は十分すぎます。見えなくなっている価値を掘り起こして、地域の力にしたいです」。

 

200万本売ることは目指さず、2万本売るモデルを各地に作れたらいい。「浄酎モデル」で全国各地のまちおこしをすることが目標の三宅さんに、広島県内のみならず、関西地方や四国などから熱視線が注がれています。

話す三宅さん

 

紹介人物画像

三宅紘一郎(みやけこういちろう) さん

ナオライ株式会社 代表取締役

広島県呉市で生まれ育つ。大学時代、日本酒の中国輸出に関心があり上海留学を経験。
瀬戸内の自然を活かし新しい日本酒のブランドを創りたいと、2015年に呉市の三角島で「ナオライ」を創業。島で作られた完全無農薬レモンを使ったスパークリング酒「MIKADO LEMON」を発売後、クラウドファンディングで開発を進め、2019年、低温で純米酒からアルコールを抽出する「低温浄溜」で特許を取得。
神石高原町の旧日本酒酒蔵に併設する蔵で浄酎を生産。地元で有機栽培された米を原料にするなど、隠れていた地域の価値を活かしてまちおこしに繋げている。全く新しい「浄酎」は、ウイスキーのように時間経過を楽しむことのできる日本酒が好評で、県内外で注目されている。