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故郷の良さを発信するのが使命。丁寧な手仕事で「広島」を握る

故郷の良さを発信するのが使命。丁寧な手仕事で「広島」を握る

鮨 稲穂店主

三原美穂 さん

2022年9月25日

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すべてのネタを受け止めるシャリは広島の大地が作ったもの

「江戸前鮨」ではなく「瀬戸内前鮨」――『鮨 稲穂』の店主、三原美穂さんは、店のスタイルをそう呼んでいます。それは単に瀬戸内で獲れる魚を使用するという意味ではないそうです。

「広島の鮨って鮮度のいいネタをそのまま握る『お刺身鮨』っていうイメージが強いと思うんです。でもネタに一手間二手間かけるのが江戸前の流儀。漬けにするとか熟成させるとか酢で締めるとか。それを広島という風土に合わせてやるから僕は『瀬戸内前』を名乗ってるんです」。

料理の画像

一晩寝かしたイシダイ、漬けにした赤身……繊細な手仕事からは三原さんの鋭利な職人魂が伝わってきます。そんな宝飾品のようなネタを受け止めるのが広島県産のシャリです。

「シャリは広島のお米と広島のお酢と広島のお水で作ってて。ネタは広島産だけで揃えるのは無理だけど、それを受け止めるシャリは広島の大地が作ったもの。このシャリはどんなネタが来ても受け止められるエネルギーを持っていて、ウチの鮨の命そのものです」。

広島各地に眠っている優れた食材を後世に伝えていきたい

江田島に生まれ、中高時代はバレーボールに熱中したという三原さん。しかし背が足りず何度も苦汁を味わったそうです。料理の道に飛び込んだのは腕一本で勝負できる潔さに惹かれたからと言います。日本料理を学び、鮨に関してはほぼ独学。店をはじめる前に島に戻って漁場に通い、地産魚介を学び直しました。

「僕が広島で店をやる理由は広島の良さを発信し続けるため。それをやるのが僕の使命。広島ってこんないいものがたくさんあるよってことを伝えられる人間になりたいんです」。

調味料の写真

広島に対するこだわりは誰よりも強い三原さん。握っているのは、単に鮨ではなく、風土を握り、故郷を振る舞っているように感じられます。情熱で炙られた一貫一貫が地域の未来を照らしています。

「これから広島の名産品を再構築していきたいんです。広島、尾道、福山、江田島、庄原……各土地に優れた食材はまだたくさん眠ってて、それを後世にどう伝えていくか。今は日々そのことを考えています」。

三原さんの画像

紹介人物画像

三原美穂(みはらよしほ) さん

鮨 稲穂店主

江田島市生まれ。広島と大阪で様々な和食店と鮨店で修業。料理家平野寿将さんの料理塾「啐啄塾」でも学ぶ。2014年に独立し、2017年から現店舗で営業。知る人ぞ知る隠れ家的な鮨の名店として知られる。魚は瀬戸内海近辺で採れた新鮮なものを厳選し、シャリは庄原市東城町の米と水、尾道造酢と庄原・後藤商店の赤酢をブレンドしたすし酢を使うなど、ひろしまらしさを追求した鮨が特徴。故郷江田島沖美町の海があり山がある雄大な風景が好きで、一線を退いたら店を構えたいという思いがある。