このページの本文へ
ページの先頭です。

平成27年度「ひろしま木造建築塾」の取組

印刷用ページを表示する掲載日2015年10月15日

 平成27年度「ひろしま木造建築塾」の取組

平成27年度「ひろしま木造建築塾」の実施状況

広島県では,県産材を活用した中大規模建築物の木造・木質化を推進するために,「ひろしま木造建築塾」を昨年度に引き続き開講しています。
 その「ひろしま木造建築塾」の概要や講座の様子について紹介します。

平成27年度ひろしま木造建築塾「木材コーディネート講座」を次のとおり実施しました。

講座写真1

◆ひろしま木造建築塾「木材コーディネート講座」◆

【期間】
 平成27年6月16日~18日
【参加者】
 広島県内で業務を行う建築士事務所に所属する一級建築士 22名
 広島県内で森林林業・木材製造流通・建築に関わる実務者 12名

【講座内容】

日程 講義内容 講師等
平成27年6月16日(火曜日)

≪講義A≫
 公共施設木造木質化概論

原田 浩司氏
(木構造振興株式会社客員研究員・ウッドストック主宰)

≪講義B≫
 広島県の森林林業と広島県産木材の製造流通

藤田 和彦氏
(広島県立総合技術研究所林業技術センター林業研究部総括研究員)
≪情報提供≫
 県産材利用促進に向けた広島県の取組
広島県農林水産局林業課

≪事例報告≫
 原木市場の役割及び取組
 効率的な流通・加工体制の構築
 原木調達から製材加工までの取組


竹常 明仁氏
(広島林産中市協同組合参事)

渡辺 雄己氏
(広島県森林組合連合会 生産・流通対策監)

野田 康宏氏
(中国木材株式会社営業部営業推進課課長)

平成27年6月17日(水曜日) ≪講義C≫
 木材コーディネートの事例
能口 秀一氏
(京都府立林業大学校客員教授・有限会社ウッズ代表取締役)
≪演習≫
 グループワーク(「木の学校」基本計画立案)
≪演習≫
 グループワーク発表
 
平成27年6月18日(木曜日) ≪講義D≫
 木を使った公共建築の計画に関わる建築士の役割
片山 和俊氏
(東京藝術大学名誉教授・建築家)
≪設計監理講座≫
 オリエンテーション・演習課題発表
 

 

【開催場所】 広島県三次庁舎
【主催】 広島県
【運営事務】 NPO法人サウンドウッズ

1日目(6月16日)
講義A:公共施設木造木質化概論
講 師:原田 浩司氏 (木構造振興株式会社客員研究員・ウッドストック主宰)

中大規模の木造建築物を設計するために最低限必要な知識・考え方について
原田講師にご教示いただきました。

講座写真2

建材としての木材の強度、含水率、耐火性など木材を取り扱う者が最低限
押さえておくべき知識や考え方を学びました。
また、集成材やエンジニアード・ウッド、構造用単板積層材(LVL)、クロス・
ラミネーティッド・ティンバー(CLT)など昨今注目されている建築材料について
事例をまじえてご紹介いただきました。

講座写真3

講義の後半には、森林林業・木材製造流通・建築・施工・県職員で構成された
グループ内で、テーマに基づいた意見交換をする機会を持ちました。

講座写真4

講義B:広島県の森林林業と広島県産木材の製造流通
講 師:藤田 和彦氏(広島県立総合技術研究所林業技術センター林業研究部総括研究員)

講義Bは、中国地方・広島県の森林林業・木材製造流通事情に
ついての学習です。

講座写真5

中国地方の各県における森林率・林業産出額を押さえた上で、
県内の森林の特徴を押さえていただきました。

さらに、県産材がどのような経路で流通されているのか。
木材利用促進に向けた新たな動きの一つであるCLTやLVLについても
詳しく学びました。

県林業課から、現在県事業で取り組んでいる「2020広島県農林水産業
チャレンジプラン アクションプログラム」について情報提供を行いました。

県内林業における現状と課題を踏まえた上で、競争力のある県産材の
供給体制の構築に向けた方針・目標値をお示ししました。

講座写真6

次に、県内の森林・林業について、以下の3事業体より情報提供をいただきました。

原木市場の役割及び取組(竹常氏)

 

講座写真7

効率的な流通・加工体制の構築(渡辺氏)

 

講座写真8

原木調達から製材加工までの取組(野田氏)

講座写真9

 

意見交換会

1日目の講義終了後には、異業種交流会が催されました。

 

講座写真10

参加者は県内各地から参加されていることもあり、異業種間の貴重な
交流の場となりました。

2日目
講義C:木材コーディネートの事例
講 師:能口 秀一氏(京都府立林業大学校客員教授・有限会社ウッズ代表取締役)

2日目の午前中は講義Cです。

木材コーディネーターの役割をはじめ、地域材を利用した公共木造建築
事業を推進する際における留意点や供給の流れ、林工分離発注による木材
調達の流れについて学んでいただきました。

講座写真11

演習A:グループワーク(「木の学校」基本計画立案)
ファシリテーター:安田 哲也(NPO法人サウンドウッズ代表理事)

午後からは、1日目と同様、森林林業・木材製造流通・建築・施工・
県職員で構成されたグループに分かれ、ワークショップです。

グループ全員が県内のとある市に住む森林林業・木材製造流通・木造
建築の専門家であり、各々が市内の小学校を改築するための設計要件
を取りまとめる委員会のメンバーに選出されたと仮定して、
『グループごとに市の誇りとなる魅力的な「木の学校」を整備するための
基本計画の内容を検討』しました。

まずは、学校を木造木質化する場合に考えられる良い面・悪い面を
付箋を使って整理し、グループごとに共有しました。

 

講座写真12

参加者はそれぞれ専門的な立場から意見を述べ、議論しながら進めて
いきます。

 

講座写真13

講座写真14

 

講座写真15

最後は、発表用に模造紙にまとめていきます。

 

講座写真16

講座写真17

演習B:グループワーク発表
ファシリテーター:安田 哲也(NPO法人サウンドウッズ代表理事)

最後は、グループごとに、
施設整備における重点テーマとその課題、対策について事業工程とともに
発表です。

 

講座写真18

それぞれのグループについて、
講師の片山先生、藤田先生、能口先生による質疑・講評がされました。

 

講座写真19

講師陣からは、市産材調達の手法や供給側の情報を収集することの重要性
についてアドバイスをいただきました。

講座写真20

 

3日目
講義D:木を使った公共建築の計画に関わる建築士の役割
講 師:片山 和俊氏(東京藝術大学名誉教授・建築家)

3日目は、7月2日より始まる「木造木質化設計監理講座」を
受講する、県内で業務を行う建築士事務所に所属する一級建築士
の方のみの講義です。

 

講座写真21

午前中は、片山先生がこれまで手掛けてこられたプロジェクトを
題材として、地域の木材を活用した木造建築のあり方、木の建築を設計する
者としての心がけについてご教示いただきました。

 

講座写真22

その後、次回からスタートする木造木質化設計監理講座のオリエン
テーションや演習課題についての解説が行われました。

 

講座写真23

皆様、ご参加ありがとうございました。

講座写真24

 

平成27年度ひろしま木造建築塾「木造木質化設計監理講座」

ひろしま木造建築塾の「木材コーディネート講座」に続き、
全4回の「木造木質化設計監理講座」がスタートしました。

第1回目の模様をレポートします。

 講座写真

◆ひろしま木造建築塾「木造木質化設計監理講座」◆

第1回目:平成27年7月2日実施

【参加者】
 広島県内で業務を行う建築士事務所に所属する一級建築士 21名
【講師】
 原田 浩司氏(木構造振興株式会社客員研究員・ウッドストック主宰)
 藤田 和彦氏(広島県立総合技術研究所林業技術センター林業研究部総括研究員)
 山田 憲明氏(株式会社山田憲明構造設計事務所代表取締役)
【開催場所】
 広島市青少年センター
【主催】
 広島県
【運営事務】
 NPO法人サウンドウッズ

木造木質化設計監理講座の第1回目が7月2日に行われました。

講座写真2

講義A:地域の木材を使った構造計画(山田講師)

 講座写真3

山田先生が手掛けてこられた事例を基に、中大規模木造建築と木造住宅との
構造上の違いについて、木材供給と加工における違い・空間構成における違い
と2つの違いの観点から対応策をご教示いただきました。

 講座写真4

講義B:公共建築物木造化に向けてのポイント(原田講師)

木造建築物を扱う上で留意すべき法令について解説をいただきました。
特に、防耐火・耐久に関する課題と対応策について詳しくお話いただきました。

講座写真5

演習:グループワーク

木造木質化設計監理講座では、事前に演習課題が設定されています。
設計を行うにあたって生じた疑問点をまずはグループ内で共有しました。

講座写真6

講師には、山田先生と同じく構造設計が専門の原田講師、県内の森林
・木材の現況や木質材料などが専門の藤田講師も参加されており、
グループ内から様々な質問が飛び交いました。

講座写真7

講座写真8

グループ内で解決が図れない質問事項については集約をし、後ほど講師から
回答を得ることになります。

講座番号9

講座写真10

受講生の方からは、クリープ変形について、木トラスと和小屋における
接合部と部材の留意点、防音対策、燃えしろ設計、意匠設計士と構造設計士の
設計段階における関わり方など、多岐に渡る質問が出ました。

講座写真9

講師陣からは、具体的な事例などを交えて解説をいただきました。

講座写真12

第二回『木造木質化設計監理講座』レポート

ひろしま木造建築塾「木造木質化設計監理講座」の第二回目が
次のとおり実施されました。

 講座写真1

◆ひろしま木造建築塾「木造木質化設計監理講座」◆

第2回目:平成27年7月23日実施

【参加者】
 広島県内で業務を行う建築士事務所に所属する一級建築士21名
【講師】
 長澤     悟氏(東洋大学名誉教授・教育環境研究所理事長兼所長,
                           木と建築で創造する共生社会実践研究会会長)
 原田 浩司氏(木構造振興株式会社客員研究員・ウッドストック主宰)
 藤田 和彦氏(広島県立総合技術研究所林業技術センター林業研究部総括研究員)
【開催場所】
 広島市青少年センター
【主催】
 広島県
【運営事務】
 NPO法人サウンドウッズ

木造木質化設計監理講座の第二回目が7月23日に行われました。

講座写真2

講義C:地域材でつくる木の学校(長澤講師)

 講座写真3

長澤先生には、木の学校づくりの意義や背景を整理いただいた上で、学校づくり
を考える上で着目すべきポイントや、コスト縮減・メンテナンス等、木の学校づく
りならではの留意点について教えていただきました。

演習:グループワーク

今回は、演習課題として配置図と平面計画案を事前に作成した上で、講座に
臨んでいただきました。
グループワークでは、設計図面の作成にあたり生じた疑問点を共有しました。

講座写真4

今回も、原田講師と藤田講師にもご参加いただいており、疑問点については
講師にも随時アドバイスをいただきました。

講座写真5

グループ内で解決が図れない質問事項については集約をし、後ほど講師から
回答を得ることになります。

講座写真6

受講生の方からは、教室の広さの設定方法、ユニバーサルデザインのあり方、
防火区画などについて様々な質問が提示されました。

講座写真7

講師陣からは、具体的な事例などを交えて解説をいただきました。

講座写真8

第三回『木造木質化設計監理講座』レポート

ひろしま木造建築塾「木造木質化設計監理講座」の第三回目が
次のとおり実施されました。

講座写真1

◆ひろしま木造建築塾「木造木質化設計監理講座」◆

第3回目:平成27年9月2日実施

【参加者】
 広島県内で業務を行う建築士事務所に所属する一級建築士21名
【講師】
 中島 正夫氏(関東学院大学・教授)
 安井      昇氏(早稲田大学理工学研究所客員研究員・桜設計集団代表)
 藤田 和彦氏(広島県立総合技術研究所林業技術センター林業研究部総括研究員)
【開催場所】
 広島県庁舎内
【主催】
 広島県
【運営事務】
 NPO法人サウンドウッズ

木造木質化設計監理講座の第3回目が9月2日に行われました。

講座写真2

講義D:中大規模木造建築の防耐火性能(安井講師)

 講座写真3

安井先生には、様々な火災実験の映像などをご紹介いただきながら、「耐火建築物」
と「準耐火建築物」との違い、燃え「抜けない」こととは何か。「内装制限」と「構造制限」
について、「避難安全」と「延焼防止」について詳しく教えていただきました。

講義E:木造建築物の耐久性計画・維持保全(中島講師)

 講座写真4

中島先生には、耐久設計のポイントとして、外壁の軸組、屋外の構造耐力上主要な部分、
接合金物、土台、地盤・床下、水を多用する室の6つの視点、維持保全のポイントとして
建築計画上の配慮、診断方法、補修等について、様々な事例を交えて解説いただきました。

演習:グループワーク

グループワークでは、本日の講義を受けて、防耐火と耐久性計画についての
疑問点を共有しました。

講座写真5

グループ内で解決が図れない質問事項については集約をし、後ほど講師から
回答を得ることになります。

講座写真6

受講生の方からは、耐火区画について、エポキシ補修の耐久性について、
集成材の劣化についてなどの質問が出されました。

講座写真7

講師陣からは、具体的な事例などを交えて解説をいただきました。

講座写真8

第四回『木造木質化設計監理講座』レポート

ひろしま木造建築塾「木造木質化設計監理講座」の第四回目が
次のとおり実施されました。

講座写真1

◆ひろしま木造建築塾「木造木質化設計監理講座」◆

第4回目:平成27年9月17日実施

【参加者】
 広島県内で業務を行う建築士事務所に所属する一級建築士19名
【講師】
 片山 和俊氏(東京藝術大学名誉教授・建築家)
 能口 秀一氏(京都府立林業大学校客員教授・有限会社ウッズ代表取締役)
 原田 浩司氏(木構造振興株式会社客員研究員・ウッドストック主宰)
 藤田 和彦氏(広島県立総合技術研究所林業技術センター林業研究部総括研究員)
【開催場所】
 広島県庁舎内
【主催】
 広島県
【運営事務】
 NPO法人サウンドウッズ

木造木質化設計監理講座の第4回目が9月17日に行われました。
最終回となる今回は、受講生の皆様にこの間作成いただいていた「木の学校」の
設計図面をお一人ずつ発表いただくプログラムです。

講座写真2

演習課題発表

県内に実際にある小学校の建て替えを行う設定で、受講生の皆様には、建物のコンセプトや
配置計画、環境への配慮などについて提案書4枚を作成いただきました。
その提案書について、おひとり3分ずつ発表いただき、それぞれに講師からの質疑がありました。

講座写真3

講師陣からは、動線や配置計画、部材の接合部についての質問が出されました。
特に、部材である県産材の供給が可能か、調達計画についての質問が飛び交いました。

講座写真4

相互講評

発表後には、受講生同士がそれぞれの演習課題を講評し合う機会を持ちました。

講座写真5

全体講評

各講師から作品全体の講評をいただきました。

講師:能口 秀一氏

木材調達や木材の使い方についてもう一歩言及を期待したい。
地域材や流通材の設定について情報が不足している作品が多く見られた。
木材コーディネート講座に参加された供給・生産側の方と連携して情報を
収集することでより具体的な提案書となる。

講座写真6

講師:藤田 和彦氏

木材コーディネート講座の参加者から地域の市場や製材所における出材状況
(樹種や材の長さ)に関する情報を得ることができる。ぜひ今後もつながりを
継続させてほしい。

講座写真7

講師:原田 浩司氏

今回の演習課題であった、延床面積が3,000平方メートル程度の施設を
一般流通材のみでそろえることは、コスト、調達の両面で現実的でない。
木材と他の建材をうまく組み合わせることによって木造が魅せられるのである。

講座写真8

講師:片山 和俊氏

演習課題は、敷地が狭いこと、山に囲まれた環境であること、敷地内に高低差が
あることなど様々な特徴があり、それぞれがこの点をどのように捉えるか大変興味
があった。
ぜひ木造建築の内・外部の造り方にこだわりを持ち、追求していただきたい。

講座写真9

講師の皆様には、全体講評以外に発表課題について、それぞれ講師のお名前を
冠とした、能口賞、藤田賞、原田賞、片山賞、そして、特別賞を選出いただきました。

選ばれた方には、副賞として、講師に事前に挙げていただいた推薦書籍が
贈呈されました。

こちらは講師賞・特別賞選考の様子

講座写真10

最後に、広島県農林水産局林業振興部長の相良氏よりご挨拶いただきました。

講座写真11

ひろしま木造建築塾「スキルアップ講座」レポート

ひろしま木造建築塾の修了者を対象とした「スキルアップ講座」がスタートしました。
全4回の講座で,第1回目の講座を下記のとおり実施しました。

 研修写真1

◆ひろしま木造建築塾「スキルアップ講座」◆

 第1回目:平成27年11月19日実施

【参加者】
 広島県内で業務を行う建築士事務所に所属する一級建築士 23名
 広島県内で森林林業・木材製造流通・建築に関わる実務者 4名

【講師】
 三原 聖史氏 (株式会社スガノ)
 向井田 輝紀氏 (佐伯森林組合)
 小城 貴嗣氏 (株式会社小城六右衛門商店)
 安田 翔太氏 (有限会社安田林業)
 佐々木 一清氏 (広島林産中市協同組合)
 竹常 明仁氏 (広島林産中市協同組合)

【視察先】
 株式会社スガノ グリーンビュー施設
 佐伯森林組合 製材所/株式会社小城六右衛門商店の取組
 有限会社安田林業
 広島林産中市協同組合

【主催】
 広島県

【運営事務】
 NPO法人サウンドウッズ

スキルアップ講座について

 住宅以外の建築物の木造・木質化を促進し,県産材の利用拡大を図っていくためには,
県産材の流通状況を把握のうえ,施主等に対して木造・木質化を提案していくことが重要
です。
 このため,設計を担う「ひろしま木造建築塾」の修了者が県産材の木材生産流通を担う
実務者の下に赴き,現地研修及び意見交換することにより,森林林業・木材産業の知識を
深めることを目的とした講座です。

研修写真2

第1回目は,全部で4カ所の視察先に伺いました。
視察の順は,木造建築物から木材生産へと流通を遡っていきました。

訪問地1:株式会社スガノ(スガノグリーンビュー施設)

一つ目の視察先は,株式会社スガノです。
講師の三原氏は,平成26年度のひろしま木造建築塾を修了いただいた方です。

まず,広島県林業課から県内におけるプレカットの位置付けを解説した後に
三原氏から,スガノグリーンビューの案内をしていただきました。

スガノグリーンビューは,同社社員の福利厚生及びスポーツやレクリエーション
施設として利用されています。

建物は,元々この地にあったマツやスギを丸太や桁として使用されています。
水平トラスや梁などの構造体も見学させていただきました。

研修写真3

訪問地2:佐伯森林組合(事務所施設,製材工場)/(株)小城六右衛門商店の取組紹介

木造建築現場から流通を遡り,続いては佐伯森林組合(事務所)と隣接する
製材工場に訪問しました。

佐伯森林組合では,木造の事務所施設を見学した後に,所有しておられる
製材機の解説をいただきました。

同組合の製材機は,1回で2面挽くことができるツインソーではなく,1回につき
1面のみの製材能力ですが,その分70センチメート程度の大径丸太を挽くこと
ができるなど,他の製材工場と比較した製材能力についてお話を伺いました。

研修写真4

続いて,佐伯森林組合とも連携して製材品を供給している株式会社小城六右衛門商店
の小城氏から同社の取り組みについて解説いただきました。

小城氏も平成26年度のひろしま木造建築塾「木材コーディネート講座」を受講
いただいています。

同社では,公共建築物への木材需要に対応できるよう,素材業から乾燥・加工,
プレカットまでの様々な事業体と協同した「広島西部木材振興協同組合」の取り組み
を紹介いただきました。

研修写真5

訪問地3:有限会社安田林業

解説いただいた安田氏も平成27年度のひろしま木造建築塾「木材コーディネート
講座」を受講いただいています。

こちらでは,伐木から造材までの一連の流れをデモンストレーションしていた
だきながら解説をしていただきました。

研修写真6

その後,同社の土場に移動し,取組概要などについて話を伺いました。
造材時にその原木がどのような用途で使われるのか判断されるため,土場
では用途別に原木が山積みされていました。

研修写真7

訪問地4:広島林産中市協同組合

最後に,広島林産中市協同組合へ訪問しました。
こちらは,前日に優良木材展示会があったばかりだったため,普段では見る
ことが少ない多くの銘木が集まっていました。

解説いただいたのは,理事長の佐々木氏と,平成27年度ひろしま木造建築塾
「木材コーディネート講座」を受講いただいた竹常氏です。

始に同組合の概要についてお話いただいた後,佐々木氏から,市場に置かれ
ている原木の樹種や品質について,詳しく解説をいただきました。

研修写真8

研修写真9

今回の視察では,主に「製材品」をテーマとしましたが,次回は「集成材」を
テーマに県内を視察します。

ひろしま木造建築塾「第2回スキルアップ講座」レポート

ひろしま木造建築塾の修了者を対象とした「スキルアップ講座」の第2回目を
下記のとおり実施しました。(全4回の講座)

講座写真1

 ◆ひろしま木造建築塾「スキルアップ講座」◆

 第2回目:平成27年12月10日実施

【参加者】
 広島県内で業務を行う建築士事務所に所属する一級建築士 18名
 広島県内で森林林業・木材製造流通・建築に関わる実務者 2名

【講師】
 中国木材株式会社 北広島工場/郷原工場
       重信 氏
       藤原 氏
     神田 氏
       田部 氏
       森 氏
       高松 氏

【視察先】
 ひろしま木材事業協同組合
 中国木材株式会社 北広島工場
 中国木材株式会社 郷原工場

【主催】
 広島県

【運営事務】
 NPO法人サウンドウッズ


 

 前回(第1回目)は,無垢材テーマに視察しましたが,
第2回目は集成材をテーマに3カ所を視察しました。 

訪問地1,2:ひろしま木材事業協同組合(木材集出荷施設)/中国木材株式会社北広島工場(製材工場)

講座写真2

一つ目の視察先は,ひろしま木材事業協同組合と中国木材株式会社北広島工場です。

まず,広島県林業課から,県内において今回の視察先がどのような特徴があるのか
解説した後に,中国木材株式会社の重信氏から,同社で取り扱っている木材や,
集成材について解説していただきました。

講座写真3

その後,施設内を見学しました。

ひろしま木材事業協同組合の敷地では,原木の集荷場や原木の直径・曲がりなどを
検収し,選別を行う機械を見学しました。

講座写真4

また,中国木材株式会社北広島工場では,製材の流れを見学しました。
ひろしま木材事業協同組合の選別作業で規格内の直材・曲がり材と分けられたものが
工場内に搬入されると,原木の曲がりなどの欠点や径によってオペレーターが適切に
選別し,ラミナ材や板材などに細かく分類・加工されていく過程を見学しました。

講座写真5

講座写真6

訪問地3:中国木材株式会社郷原工場(集成材,乾燥,プレカット加工)

講座写真7

午後からは,同じく中国木材株式会社の乾燥・集成・プレカットを行っている郷原工場へ
移動し,視察を行いました。

まずは,乾燥や集成加工を行っている過程を見学しました。
北広島工場などで加工された製材品は郷原工場に搬入され,日本一の規模を誇る
乾燥炉で人工乾燥されています。

講座写真8

その後,幾度もの品質チェックや修正挽きが行われたのち,フィンガージョイント
加工や接着が行われ,集成材が作られていきます。

講座写真9

講座写真10

郷原工場では,集成材以外にも,ベイマツの乾燥材であるドライ・ビームも生産
されており,そちらも見学しました。

その後,プレカットを行っている施設へ移動し,加工現場を回りました。
ことらでは,様々なプレカットに対応できる機械が導入されており,
金物加工や斜め材加工など複雑な加工が施されていました。

講座写真11

次回は,第1回・第2回の視察で得た情報をベースとしながら,
木造の公共物件の建設プロジェクトの事例を題材に,建設コストや地域材調達の
過程を考える機会を設けます。

​​

ひろしま木造建築塾「第3回スキルアップ講座」レポート

新年あらたまって初めてとなる『ひろしま木造建築塾「スキルアップ講座」』の
第3回目を下記のとおり実施しました。(全4回の講座)

講座写真1

 ◆ひろしま木造建築塾「スキルアップ講座」◆

 第3回目:平成28年1月20日実施

【参加者】
 広島県内で業務を行う建築士事務所に所属する一級建築士 25名
 広島県内で森林林業・木材製造流通・建築に関わる実務者 3名

【講師】
 今井 信博氏(株式会社現代計画研究所代表取締役)
 山辺 豊彦氏(有限会社山辺構造設計事務所所長)
 安田 哲也氏(NPO法人サウンドウッズ代表理事)

【開催場所】
 広島県庁内

【主催】
 広島県

【運営事務】
 NPO法人サウンドウッズ


スキルアップ講座は,これまで2回実施しており,それぞれ製材と集成材を
テーマに県内の供給事業者を視察しました。

3回目となる今回は,今後,広島県産材を利用した木造建築プロジェクトの
事業化に向け,具体的な建設プロジェクトを題材としたワークショップを実施
しました。

実際に建設された木造・木質化学校建築を事例として,そのプロジェクトに
関わられた3名の講師にお越しいただき,企画立案・基本計画などの流れを
紹介していただくとともに,地域材の調達に考慮した工程計画や設計上の
留意点など,多面的に検証しました。

講座写真2

講義A:プロジェクトの概要説明(安田講師)

当該事業の運営事務も担当しているNPO法人サウンドウッズは,今回の題材
となった学校建築プロジェクトで,事業プロデュース・木材調達管理を担当され
ていました。

講師の安田氏からは,当該プロジェクトの概要,木材調達からみた木造・木質化
建築の留意点などについて,解説していただきました。

講座写真3

講義B:設計要点解説1(今井講師)

今井氏は,当該学校建築プロジェクトにおいて,意匠設計の立場で関わって
おられました。

意匠設計として,対象となる木造・木質化学校建築の立地や社会的背景,冬場
の積雪などの様々な諸条件からどのようにコンセプトデザインしたのかなど,建築
プロポーザルから建設までの流れや地域材調達における木材コーディネーターの
役割などについて,詳しく解説していただきました。

講座写真4

講義C:設計要点解説2(山辺講師)

続いて,当該学校建築プロジェクトにおいて,構造設計を担われた山辺氏から,
木構造における留意点の整理,当該プロジェクトをはじめとする中大規模木造
建築物における課題や地域材利用のために検討すべきことについて,お話し
していただきました。

講座写真5

グループワーク

3名の講師による解説ののち,グループワークを行いました。

講座写真6

まずは,3名の解説を聞いて生じた疑問点をグループ内で共有し,不明点の
解決をグループ内で図りました。

解決が図れないものについては,全体でそれらを共有しました。

講座写真7

受講者からは,木材特有のメンテナンスへの理解をどのように図るのか,
クレームへの対応,コストや構造についてなど,様々な視点からの質問が
飛び交いました。

講座写真8

最後に,今井講師と山辺講師から,今後,県内産材を活用した木造・木質化
建築プロジェクトの担い手となる受講者に対して,一言ずつアドバイスをいた
だきました。

≪今井講師≫
 公共建築物等における木材の利用促進法の施行以来,木造・木質化建築の
 建設を希望する自治体は増加傾向にあるが,これらに関わる際は,メンテナンス
 への理解も含め,何のための木造・木質化建築物なのか,動機を明確にすべきである。
 また,自治体内の関係部署も多岐にわたることから,これら関係部署との密な
 コミュニケーションも重要である。

≪山辺講師≫
 今後,より技術や知識を積み上げるためには,座学だけでなく実証実験などを
 しながら学ぶと,より広く・深く知見が得られる。奮起してほしい。

次回は,木造・木質化プロジェクトにおける建設コストについて学ぶ機会となります。

ひろしま木造建築塾「第4回スキルアップ講座」レポート

2カ年に渡り実施してきた,ひろしま木造建築塾の最後の講座となる
「スキルアップ講座」の第4回目を下記のとおり実施しました。

講座写真1

 ◆ひろしま木造建築塾「スキルアップ講座」◆

 第4回目:平成28年3月3日実施 (全4回)

【参加者】
 広島県内で業務を行う建築士事務所に所属する一級建築士 27名
 広島県内で森林林業・木材製造流通・建築に関わる実務者 3名

【講師】
 片山 和俊氏(東京藝術大学名誉教授・建築家)
 能口 秀一氏(京都府立林業大学校客員教授・有限会社ウッズ代表取締役)
 原田 浩司氏(木構造振興株式会社客員研究員・ウッドストック主宰)
 藤田 和彦氏(広島県立総合技術研究所林業技術センター総括研究員)
 安田 哲也氏(NPO法人サウンドウッズ代表理事)

【情報提供者】
 小城 貴嗣氏(株式会社小城六右衛門商店代表取締役社長)
 竹常 明仁氏(広島林産中市協同組合参事)
 山場 淳史氏(広島県立総合技術研究所林業技術センター副主任研究員)

【開催場所】
 広島県庁内会議室

【主催】
 広島県

【運営事務】
 NPO法人サウンドウッズ


今回のスキルアップ講座は,県産材調達時における各流通段階にかかるコストを,
県内の原木市場や製材などの実際の情報を提供いただきながら積算し,その結果を
考察する内容でした。

講座写真2

講義:建築士が知るべき地域材の知識(安田講師)

当該事業の運営事務も担当しているNPO法人サウンドウッズの安田氏より,
建築士が知っておくべき地域材の知識として,「製材段階における木取り次第で
立木価値を上げることができること。」「地域材の供給能力や主製品だけでなく
副製品を加味した設計を検討することにより,持続可能な山づくりに建築士も
寄与することができること。」について解説をいただきました。

講座写真3

また,県立総合技術研究所林業技術センターの山場氏より,3Dレーザースキャナを
活用し,立木の位置や形状(直径・樹高・矢高)を解析するシステムについての解説
がありました。

講座写真4

グループワーク

グループワークでは,各グループに必要製品寸法が与えられ,粗挽き寸法,
原木寸法,JAS原木寸法を導き出しました。

講座写真5

続いて,素材,原木市場,製材,販売の各段階において掛かるコストを積算し,
最終工務店販売額(建主着値)における費用を算出しました。

途中,株式会社小城六右衛門商店の小城氏と広島林産中市協同組合の竹常氏
から,県内の原木市場や製材・材木店販売額の相場について情報提供をいただ
きました。

講座写真6

各グループの工務店販売額(建主着値)が出そろったのち,その結果を検証しました。

「適寸であれば,歩留りの良い木取りができるが,丸太の木口に対して長方形となる
木取りとなる場合,丸太歩留りが悪くなるため,副製品を取ることで立木価値を上げ
ることが可能になる。」
「今後,地域材を活用した木造建築プロジェクトに関わる際は,ぜひ森林林業・木材
製材流通分野の方とコミュニケーションを取り,地域でどのような材が搬出可能なのか
情報収集をし,主製品だけでなく副製品も考慮に入れた設計をおこなってほしい。」
などのアドバイスをいただきました。

講座写真7

講座の最後に,2年にわたって「ひろしま木造建築塾」のコンテンツや運営など様々な
協力をいただいた片山先生,原田先生,藤田先生,能口先生から,受講者へエールを
いただきました。

≪能口秀一氏≫
 今回学んでいただいた流通コストは,地域の関連事業者の状況や原木の品質など
 により変化する。
 したがって,今後それぞれのプロジェクトで流通コストを計算する場合は,山側や流通
 加工現場などの供給サイドとしっかりコミュニケーションを取りながらコストを把握して
 ほしい。
 今後,みなさんが関わる木造建築プロジェクトが立ち上がることを期待している。

講座写真8

≪藤田和彦氏≫
 2年間お疲れ様でした。ひろしま木造建築塾で学んだことを実務に活かすためには,
 今後も引き続き勉強をしてもらいたい。
 地域材のことなど分からないことがあれば,私をはじめ本建築塾で培ったネットワーク
 を通じて課題を解決していただきたい。

講座写真9

≪原田浩司氏≫
 今後ますます木材のこと,地域の森林のこと,各事業者のことを学んでいただくこと
 を期待するが,その際に重要なことは,一人の意見を信じるなということである。
 必ず複数の意見を聴いてから自分の意見を検討すべきである。

 ぜひ木造建築プロジェクトに関わっていただき,建築の一部でも良いので木材を取り
 入れてほしい。

講座写真10

≪片山和俊氏≫
 この2年間は,自身にとっても良い学びの場となった。受講者において,本当に重要
 なのはこれからである。木の建築に対する思いが本木造塾を通して芽生えていると
 思うので,ぜひ木造建築を続けていただきたい。

 広島県内に限らないが,特に非住宅建築はコンクリート造が目立つ。そこへ木造建築
 が建つと,コンクリート造に比べ目につきやすい。さらに木の持つ温かみが人の心を惹
 きつける。
 木造建築が県内に今後増えていくことを期待している。

講座写真11

おすすめコンテンツ