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叡啓大学「多文化共生社会論」で男女共同参画に関するグループワークを行いました!

印刷用ページを表示する掲載日2022年11月4日

 

概要

令和4年10月18日(火曜) 叡啓大学  瀬古素子准教授(ソーシャルシステムデザイン学部)が行う「多文化共生社会論」の中で,わたしらしい生き方応援課の職員が,男女共同参画に関するグループワーク等を行いました。

叡啓大学

​叡啓大学の「多文化共生社会論」は,2年生を対象とした選択科目で,ジェンダーやダイバーシティ,インクルージョンの視点から現代の社会課題を理解し,様々な社会課題の解決にあたって不可欠となる個の尊重や男女共同参画,多様性受容などの考え方を体得することを目指す授業です。

この授業の4コマ目はジェンダーがテーマだったことから,広島県の男女共同参画の現状等について行政説明を行った後,グループに分かれて2つのワークを行い,ディスカッションや課題の深掘りを行いながら,ジェンダー平等や男女共同参画について学生の皆さんの意見を聞きました。

 

講義内容

1 講義を始めるに当たって

最初に,学生の皆さんに内閣府男女共同参画局作成の「無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)チェックシート」の設問に答えていただきました。
性別に関する無意識の思い込みが当てはまるかどうか,直感で答えてもらい,後のワークにつなげる導入としました。

内閣府アンコンシャス・バイアスチェックシート1内閣府アンコンシャス・バイアスチェックシート2

2 行政説明

広島県の男女共同参画の現状についてデータを用いて説明した後,性別に関する固定観念の解消に向けたワークショップや,主催・後援事業への男女共同参画の視点の反映など,「わたしらしい生き方応援プランひろしま」に基づいた最近の取組を紹介しました。

行政説明1

3 グループワークA ~ジェンダーバイアスチェックの設問作成~

最初に回答した,内閣府作成のチェックシートの設問の意味を考えながら,今度は,10代後半から20代前半の若者の本音を引き出す,ジェンダーに関するアンコンシャス・バイアスチェックの設問をグループで作成してもらいました。

グループワークA


【学生が作成した「ジェンダーバイアス」チェック設問の例】

 ○ デートでは男性が奢るべきだ
 ○ 初めてのデートで男性から割り勘を申し出るのは気が引ける(男性向け)
 ○ 男性から割り勘を申し出られることに違和感がある(女性向け)
 ○ デートプランは男性が考えるべきだ
 ○ プロポーズや告白は男性からするべきだ/女性側は告白を待ってしまう
 ○ 長髪の男性店員に接客されるとびっくりする
 ○ 女性は花束をもらうと嬉しい/男性は花束をもらってもうれしくない
 ○ 女性はある程度のわがままが許される
 ○ 男性が何か欲しいと言ったら,自分で買えば?となる

4 グループワークB ~行政への施策提案~

事前に課題として1人5つずつ考えてもらった,ジェンダーに関する行政への提案について,自分が良いと思うものを選んでもらいました。

5つの行政への提案のうち,広島県の施設で必ず行うべきジェンダー配慮,広島県の広報で必ず付けるジェンダー視点の一言も,併せて考えてもらっており,全員の提案から,1人3つ選びました。

投票数の多かった提案については,どこが良かったから選んだのかを,またその提案を考えた学生さんには,提案の意図などを発表してもらいました。

グループワークB グループワークB2 

 

【学生が提案した行政施策の例】

○学校や職場での男女の制服の選択化
 ➢男女別制服はジェンダーのステレオタイプを助長している最たる要因だと考えている。スカートでもパンツでも自分の性別に関わらず好きなものを選べることができるようになるべき。
○個室の更衣室の用意
 ➢女子更衣室はあるが男子更衣室がない。そういう点から「男は強い,小さいことは気にしない」「男性は
他人に裸を見られてもかまわない」​という認識が生まれてしまう。一方で,女子/男子で分けると,LGBTQ+の場合など,どちらを使えばいいか悩む場合もあるので,誰でも使える個室の更衣室を設ける。
○「誰でもトイレ」を増やす
 ➢LGBTQ+の方への配慮や入口に扉のない男性トイレなどプライバシーの配慮などの観点から,多目的で誰でも使えるトイレの数を増やすべき。
○県の広報で「女性が輝く」とか「男性も家庭に」というような男女どちらかに寄せた表現をやめる
 ➢
男女共同参画を意識するあまり、男女二元論を強調する結果になることが多いように感じる。あくまでも個々人を尊重し,性別を意識させない,「あなたがあなたらしく生きることのできる社会へ」などの一言を添える。 

 

5 学生によるエソール広島の紹介

授業の最後に,県と連携して男女共同参画の取組を進めている公益財団法人広島県男女共同参画財団で,インターンシップの実習を行った学生の方から,当財団が運営する「エソール広島」について活動内容などの紹介がありました。

エソール広島紹介① 

 

講義を終えて

【授業後の学生アンケートより】

〈全般〉
●私自身、大学に入るまで、「女の子はこうでないと」、「男の子はこうでなくちゃ」などの固定観念を持っていた人間でした。大学に入学して「女っぽい、女の子らしい」や「男っぽい、男らしい」の言葉が背後に持つバイアスについて考える機会が増えた中で、今回の講義を受けて、「わたしらしい」という言葉がすごく好きになりました。ジェンダーにとらわれない表現でありつつ、男・女などの括りに当てはまらない個人にフォーカスしていると感じたからです。
●この講義を受けて、ジェンダーや多様性についての知識を得たり、ワークを通して具体的な案を考えたりすることも大切であるが、それを発信したり実現に向けて何か行動したりすることが私たち学生にとって大切であると感じた。
●無意識の思い込みについて、日ごろ感じる違和感やあるあるを気楽に話し合うことができた。ふだんはどうしても固くなってしまうテーマだったが、同年代同士で話し合うことで共感することが多く、とても良い授業だった。


〈行政説明〉
●近年、世の中の多文化共生について関心も高まり、男性も女性も関係なく生きやすい社会になってきていると思っていた。しかし、世界的に見た日本のジェンダーギャップは先進国の中でも最低であると知り驚いた。改めて一人ひとりの人間が生きやすい社会を作っていくことが必要だと講義を通して感じた。
●内閣府の「女性のチャレンジ支援策の推進について」などにあるような、”指導的地位における女性の割合30%”といった目標設定に少し疑問を持ったもしもある組織で、その地位にふさわしいほど能力があり貢献している社員に男性が多く女性に少なかった場合、逆に能力に見合ってない、性別による優遇が生まれると思うからだ。だが、私はまだ企業等で働いた経験がないので、”同じスキルがあっても男性の方がより指導的地位につきやすい”という状況を目の当たりにしたことがないからそう考えるのかもしれない。そういった実際の事例についてもよく知りたいと思った。


〈チェックシート設問作成〉
●内閣府のジェンダーバイアスチェックシートは,案の定多くの人がその裏にある意図を読み取りチェック(Yes)をつけなかった様子だが、その後の若者の本心を探る「ひっかかりそうな設問」を考える場面では,ふだんなかなか気づきづらいジェンダーバイアスに気づかされることもあった
●ジェンダーについての質問を考えるワークで、自分が今まで何も気にしてなかった当たり前な感覚だと思っていたことが、偏見を含んでいるということに気付き,身についてしまっている考えを変えていくのは難しいことだと思った。このようなワークは、この授業を履修している学生だけでなく、叡啓の学生にも機会があると良いと感じた。
●行政の政策などで、「差別をなくそう」とか「誰も取り残さない社会へ」というような、差別やマイノリティーに対して直接的な取組やキャッチコピーは聞くことが少なくはないけど、アンコンシャス・バイアスのように、個人に染みついている考えによって知らぬ間に差別をしてしまっていることに着目されていたのが新鮮でした。
●内閣府のアンケートに回答したとき、「今の時代でこんなに多様的でない考えをもっている人がいるものか」と思った。だが、後のグループワークで「彼氏や彼女はいるか、と尋ねるか」「ご飯をおかわり、というときは、茶碗を父に渡すか、母に渡すか」「人前で泣くことを躊躇うか」など身近な質問に落とし込んでいったときに、自分も無意識のうちに、あまり多様的とは言えない態度をとってきた場面があるかもしれないと考え直した。そのことは自分にとって大きな気付きとなったので、非常に有意義なグループワークであったと思う。 


〈施策提案〉
●私は事前課題で「公的な文書における性別欄の撤廃」を提案したのだが、現段階でそうしてしまうと男女差別の実態を把握する術がなくなってしまうとの回答をいただき、自分が見落としていた点を突かれ非常に勉強になった。改めて自身の意見を周りに公表してそれに対するフィードバックをいただくことの重要性を感じた
●提案された施策の中で「女性の議員を増やす」というものがあったが、そもそも立候補する女性が少ないという実態がある(もちろんその背景には「女性は積極的に政治に参画すべきではない」「女性は家事育児をすべき」といったバイアスが関係しているだろうが)。つまり、女性の立候補者数を増やす必要があるが、議員になりたいと思う女性が少ないというデータを以前どこかで見聞きしたことがある。その意識すらもジェンダーバイアスが関わっているだろうが、議員に別になりたくない」と感じる女性が多い中、どのようにして女性の立候補者数を増やすことができるのだろうか。授業内で議論できなかったポイントなのでどこかでまた議論してみたい
みんながこれあったらいいなと思うものは結構共通しているのに驚いた。私は、更衣室の個室がぜひあったらいいと思う。男女どちらに入ったらいいかわからない人の為でもあるし、体形を気にして多くの人がいる中で着替えたくない人もいるだろうし、制服等の入れ違いがなくなるということもあると思うからである。とても難しいと思うけれど、このアイデアが行政に伝わって実現すればいいと思う。楽しくたくさんの学びを得ることができて充実した講義でした。

 

★ジェンダーに関する若者の意識や行政への提案を伺う貴重な機会となりました。叡啓大学の学生さん方や瀬古先生,関係の皆様,大変ありがとうございました!

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