平成25年度広島県消費者苦情処理委員会調停事件第1号について
平成25年4月19日に,広島県知事から「広島県消費者苦情処理委員会(会長 西脇廣治 県立広島大学経営情報学部教授)(以下「委員会」という。)」に付託した「賃貸マンションの退去に伴う敷金返還に係る紛争」の調停について,本日,委員会から審議の経過と結果について報告がありました。
1 紛争の概要
申請者は,平成18年5月に相手方経営の賃貸マンションの賃貸借契約を締結しました。平成24年10月に申請者の解約により契約終了となり,本件住宅を明け渡しました。平成24年11月に,申請者は,相手方が選定した本件住宅の管理会社から,退去時営繕補修費明細を示され,本件住宅に係る敷金24万4000円から控除されるべき原状回復費用が17万3347円であるとの見積りを提示されました。これに対し,申請者は,敷金から控除されるべき債務がないとして,「相手方は申請者に対して,24万4000円及びこれに対する平成24年11月から支払済みまで年6分の割合による金員を支払う。」との調停を求めました。
2 解決内容
委員会は,敷金から控除されるべき債務はないとして,敷金24万4000円を支払う内容を調停案として提示し,受諾の勧告により両者が合意し,解決しました。
3 問題点と審議内容
敷金に関しては,平成23年8月に国土交通省住宅局が策定した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」に沿って調停案を作成,提示しました。
本事案の検討を行うに当たって,委員会としては,「原状回復義務について」,「特約について」,「敷金から控除されるべき債務について」の3つの項目について検討を行いました。
(1)原状回復義務について
相手方が主張した特別損耗について,程度や範囲についての根拠の提示もなく,特別損耗の存在については認めることができない。
(2)特約について
通常損耗修繕特約の存否について,申請者が通常の原状回復を超えた修繕等の義務を負うことについて認識しているとは言えず,通常損耗の修繕費用を負担するという特約が明確に定められているとは言えないため,特約は認められない。
(3)敷金から控除されるべき債務について
特別損耗の存在を認めることができず,また,通常損耗についても,申請者と負担の特約の合意がされているとは言えないものであることから,敷金から控除されるべき債務はない。
なお,詳細については,別添ファイルのとおりです。
賃貸マンションの退去に伴う敷金返還トラブルを調停により解決(資料提供) (PDFファイル)(217KB)
平成25年度広島県消費者苦情処理委員会調停事件第1号について(広島県消費者苦情処理委員会) (PDFファイル)(379KB)
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