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広島県産小豆の栄養成分分析と加工適性分析

印刷用ページを表示する掲載日2023年10月27日

宮地夏奈、今井佳積、下久由希、坂本みのり

1 背景

 広島県はかつて小豆の産地でした。広島県菓子工業組合では、地域特産物を活用した新しい菓子の開発と普及に向けた取り組みとして、広島県産小豆を使った「広島県産あずきスイーツ」の開発を行っています。当センターでは、菓子業界支援として、原料となる広島県産小豆の栄養成分および加工適性について生産年度別に分析を実施しました。
図1分析試料

2 方法

  1. 栄養成分分析
    ​ 2018~2021年産の広島県産小豆、2018年産の北海道産小豆を試料としました。一般成分(熱量、炭水化物、水分、タンパク質、脂質、水分)と食物繊維は消費者庁通知の食品表示基準別添「栄養成分等の分析方法等」に準じ、ポリフェノールはFolin-Denis法に準じて測定しました。
  2. 加工適性分析
     ​2018~2021年産の広島県産小豆、2018年産の北海道産小豆について、百粒重および吸水率を常法に準じて測定しました。2019~2021年産の県産小豆について、製餡工程における本煮中(0~60分、10分毎)の硬さ変化を、クリープメータを用いて測定しました。

3 結果

  1. 栄養成分分析
     ​一般成分は日本食品標準成分表の値と同程度であり、産地や生産年度による大きな差は認められませんでした。総食物繊維とポリフェノールについては、生産年度による変動がありました。広島県産小豆の総食物繊維は、北海道産と比較して多い傾向にありました(表1)。
    表1小豆の各栄養成分
  2. 加工適性分析
     ​百粒重は、北海道産よりも広島県産で大きい傾向が見られました。2020年以前の広島県産小豆は吸水率が低く、ばらつきも大きかったですが、2021年産(三次・世羅産)では改善されました(表2)。本煮工程について、2021年産は2019、2020年産と比較して、小豆が十分軟化するまでの時間が短く、煮えむらも少なく炊くことができました。選別精度の向上とそれに伴う吸水率の増加により、炊きやすさの改善につながったと考えられます(図2)。
    表2小豆の百粒重、吸水率・図2小豆の本煮中の硬さ変化

4 食品企業へ向けたPR

 広島県の菓子企業8社により、広島県産小豆を使った「広島県産あずきスイーツ」が開発され、2021年と2022年には販売イベントも開催されました。

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