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酒造工程におけるデジタル技術を活用した発酵制御管理

印刷用ページを表示する掲載日2023年10月27日

荒瀬雄也、谷本暁、大場健司、岡野仁、石田大騎、山崎梨沙、大土井律之

1 背景・目的

 清酒もろみは、「糖化」と「発酵」が並行して進む複雑系である。製品品質の安定化には、製造管理における「加水」や「温度調整」などの操作の判断が重要である。これらの判断は、熟練技術者が過去の経験をもとに将来の状態を予測することで実施しており適切な操作には長年の経験や勘が必要とされる。本研究では、デジタル技術を活用し、将来のもろみの状態をAIにより予測させることでもろみ管理をサポートすることを目的とした。

2 方法

 表1よりアルコール予測モデルを作成した。また、当センターで実施しているパイロットスケール醸造試験において、アルコール予測モデルを用いたもろみ管理を行い、予測精度を検証した。さらに、県内酒造会社に対して、アルコール予測モデルを組み込んだ「もろみ管理支援システム」を配布し、アンケート調査によりアルコールの予測精度やシステムの使用感について確認した。

表1予測モデルの情報

3 結果

 パイロットスケール醸造試験において、モデルにより算出した予測値を用いたもろみ管理で加水の判断を適切に行うことが可能であることが示唆された。さらに、県内酒造会社に表2の通り、分析値を送信すると自動で予測値が出るシステムを加水操作の判断指標として使用してもらったところ、今までの感覚に近い値が出力され、加水判断の指標となったという意見があった。一方で、これまでの感覚と異なる値だったという意見もあった。多様なパターンのもろみ経過を学習データに入れることやもろみ経過に合わせた予測モデルを作成することで予測精度を向上させることが、今後の課題である。

表2もろみ管理支援システムの概要

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