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乾燥レモンの外観品質の向上方法

印刷用ページを表示する掲載日2022年1月11日

中津沙弥香,今井佳積,谷本暁

1 背景

広島県産レモンは,国内生産量が全国一位の知名度の高い産品です。青果は勿論,様々な加工食品素材としても高い需要があります。そのうちの一つに熱風乾燥させたスライスレモンがあります。しかし,時折,皮の白い部分(アルベド)に赤色の斑紋が出ることが外観品質の課題とされてきました。そこで,当センターでは,赤色斑紋の出現を抑制する乾燥方法の確立に取り組みました。
斑紋

2 方法

これまでの研究成果から,赤色斑紋の出現には酸素が関係している可能性が示唆されました。そこで,複数種類の酸化防止剤の有効性を試験しました。赤道面に対して水平に5 mm厚にスライスしたレモンを用いて,0.1%(w/v)の酸化防止剤水溶液に1時間浸漬させた後,水気を切って45℃,24時間乾燥させたスライスレモンについて目視により赤色斑紋を確認して出現率を算出しました。

3 結果

 ビタミンE乳化物,ブラボノイド系酸化抑制剤,亜硫酸ナトリウムに出現抑制効果が認められました(図1)。もっとも効果の高かったのが亜硫酸ナトリウムでした。赤色斑紋の抑制効果のあった製剤は,果肉の褐変抑制効果も認められました(図2)。

図1グラフ

図2写真

4 食品企業に向けたPR

(1)処理が簡単

スライス後,酸化防止剤水溶液に1時間程度浸漬するだけで,これまで同様の乾燥処理が適応できます。大きな工程改善が不要です。

(2)酸化防止剤に複数の選択肢

本結果では,ビタミンE乳化物,フラボノイド系酸化防止剤,亜硫酸ナトリウムと複数種類の酸化防止剤で赤色斑紋出現の抑制効果が認められました。商品イメージやコスト等から利用する酸化防止剤を適宜選択できます。

 

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