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透明なブドウジュースの製造方法

印刷用ページを表示する掲載日2025年3月4日

 

Q 透明なブドウジュースを製造する方法を教えてください。

A 透明果汁を製造することを、一般に果汁の清澄化と呼んでいます。ブドウ果汁に限らず、果実を搾汁した果汁中には、パルプ質や高分子状態のペクチンがコロイド状態で大量に浮遊しています。このため搾汁液は粘度が高く、濁った状態になります。透明な果汁を得るためには、果汁をろ過してペクチンを除去する必要がありますが、ろ過の際、透過流束の低下や目詰まりを起こすため、ペクチン分解酵素を加えて、ペクチンを低分子化し、ろ過しやすい状態に変える必要があります。また、高分子ペクチンの残存量が多くなると、貯蔵中に沈殿が生じることがあります。ペクチン分解酵素処理を行うと粘度と残渣が減少するため、果汁の回収率が20%程度増加する効果もあります。ろ過は、通常珪藻土ろ過を行いますが、分子量10万以下の物質をろ過可能な限外ろ過膜を使用する場合もあります。

得られたブドウ果汁をそのまま瓶などに充填すると、やがて酒石と呼ばれる沈殿が生じます。これは、ブドウに含まれる有機酸の一種である酒石酸が、果汁中のカリウムやカルシウムなどのイオンと結合して結晶化し、沈殿したもので、ジュース、ワイン、ジャムなどで発生することがあります。人体に害はありませんが、商品価値を損なう恐れがあるため、ほとんどの場合除去されます。酒石は、果汁を0℃程度の低温で2~3週間程度冷却し、強制的に酒石を生成させ、上澄みを採取するかろ過することで除去できます。イオン交換樹脂を用いて、カリウムなどのイオンを除去する方法もありますが、設備投資に多額の費用がかかるため、冷却処理が多く用いられています。

参考資料

  • 最新果汁・果実飲料辞典(日本果汁協会編集、朝倉書店、1997)
  • 最新・ソフトドリンクス(最新ソフトドリンクス編集委員会、光琳、2003)

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