製菓工場の微生物管理
印刷用ページを表示する掲載日2025年3月4日
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Q 製菓工場を新設しようと思いますが、微生物管理の点から気をつけることを教えてください。
A 製菓工場を新設する場合、一般的な食品工場と同様に衛生管理された工場とすることはもちろんですが、菓子製造現場に特有の粉原料を扱う点に注意が必要です。
- 工場内は一般区域(外部)と作業区域(工場内)に分け、作業区域は清潔作業区域、準清潔作業区域、汚染作業区域に分けます。原料受入・保管・梱包室、計量・仕込み室、製造作業室、包装室、箱詰め・製品置場を適切に配置します。人、物、製品の導線を明確に分け、交差汚染を防止します。
- 菓子の製造では小麦粉などの粉原料を多量に扱うため、計量室では空気の吸排気のバランスを取り、粉塵回収装置を設置すると良いでしょう。従来の工場でよく見られる計量・仕込み室と作業室が分かれていないレイアウトでは、製造した製品に原料由来の落下菌が付着するなど、微生物汚染の原因となる場合が見られます。特に製品が仕上がる午後に作業室に広がった粉塵が落下しやすい傾向があります。
- 製造作業室では、焼成や蒸煮が行われます。温かい空気は上部に留るため、工場内の出来るだけ高い所へ換気扇を設置し排気します。室内への給気と排気を調整し、給気はフィルターを通した清浄な空気を使用します。室内の清掃後の水の蒸発により結露することもあるため、換気扇を作動させて工場内の冷却と除湿を行うことも重要です。
- 包装室にもフィルターを通した清浄な空気を給気します。箱詰め室は汚染区域となるため、人の出入りを禁止します。
現在、国ではHACCPの義務化(制度化)について議論されています。広島県では平成27年12月に「食品衛生法に基づく営業の基準等に関する条例」を一部改正し、衛生管理方法として従来型基準に加え、HACCP導入型基準を追加しています。また、広島県では、HACCPの考え方に基づく一定水準以上の衛生管理を行っている施設を認証する事業を実施し、食品事業者の方の自主的な衛生管理も推進しています。工場施設の新設の際に、これらの衛生管理手法を取り入れると良いでしょう。
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