坐り操作のポイント
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Q 冷凍すり身を主原料としてかまぼこを製造しています。先頃、坐り装置を設置しましたが、なかなか思うような製品ができません。坐り操作のポイントを教えてください。
A 坐り操作とは、成型したすり身をすぐには加熱しないで一定時間静置しておくことをいい、静置温度が高いほど坐りが早く進行します。
坐りの進行につれて、でき上がり製品の弾力が強くなるといえます。しかし、坐りが進み過ぎると、もどり現象といって、弾力が下がるようになり、品質的に問題が出てきます。そこで、坐りの限界となる操作時間を温度ごとにチェックする必要があります。この限界時間について、冷凍すり身(特)で試験した一例を示すと、40℃で45分間、30℃で3時間、20℃で16時間、10℃で48時間、3℃で5日です。これらの条件で弾力が最も強くなりますが、成型したときのすり身の温度が高いときには、すでにもどり現象が出てくる危険性もあります。したがって、実際の坐り操作時間は、ここに示した限界時間の5~8分目にすれば失敗がありません。
次に注意すべきことは、それぞれの温度にて最適の坐り操作を行ったとしても、でき上がり製品の弾力の質がかなり違うということです。この質の違いを、物性測定値の面で説明すると、30℃や40℃における、いわゆる高温坐りでは、20℃以下の低温坐りに比べて、破壊強度がかなり小さいけれど凹みの大きさは割合同等に近く、軟らかさの値が非常に大きいということです。言い換えると、低温坐りでは弾力が非常に強く、高温坐りでは弾力の強さはそれほど大きくないが、ソフトな感触が保たれるということになります。
なお、冷凍すり身の等級の低いもの、あるいは成型するまでの温度管理が悪くて、その時点で坐りがすでに進んでいるものでは、思ったほど弾力が増強されない場合があります。特に、40℃以上の温度で坐り操作を行った場合にこの傾向が強いようです。
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