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合せ酢の殺菌効果

印刷用ページを表示する掲載日2025年3月4日

食品工業技術センター > 企業のためになるQ&A > 合せ酢の殺菌効果


Q 食酢には殺菌効果があるといわれていますが、これを合せ酢とした場合の殺菌効果を教えてください。

A 食酢の主成分は、酢酸です。酢酸は、強力な殺菌力があり、微生物が増殖できる限界pHは、他の酸よりかなり高いようです。例をあげますと、サルモネラ菌に対してはクエン酸を使うとpH4.05以下、また、酢酸を使うとpH5.40以下では増殖できません。しかし、酢酸=食酢ではありませんし、また、食酢を単独で食品の調味に使わず、合せ酢として使うことが一般的です。

 その場合、殺菌力が変化することが十分に考えられ、モデル実験によるものですが、表1に示したようなことが分っています 1) 。

表1 食酢の殺菌力に及ぼすブドウ糖と食塩の効果
区分 ブドウ糖 食塩
バクテリア 弱められる 強められる
カビ類 強められる 弱められる
酵母類 弱められる 弱められる

 実際に合せ酢を使用して、バクテリアに対する殺菌効果を求めた実験では、砂糖を加えて甘酢にすると殺菌力が弱くなり、食塩を加えて二杯酢にすると強くなり、砂糖と食塩を加えた三杯酢にすると、甘酢と二杯酢の中間位の殺菌力になることが分っています。また、醤油を使った二杯酢、三杯酢は、食塩を使った場合より殺菌力が弱くなったそうです。それは、醤油を使った場合、合せ酢のpHが約1.0上昇することに原因があるようです。このように、食酢の殺菌力は、他の調味料を加えることにより大きく変化します。

 加工しようとする食品の成分は、多種多様なものですから企業でこの知見を応用する場合には、対象とする食品を使って予備実験を繰り返す必要があります。

引用文献

1)日本食品工業学会誌Vol.28(7)(円谷 悦造、 柴田 邦彦、 川村 吉也、 正井 博之、日本食品工業学会、1981、p 387-392)


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