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加熱調味にしょうゆを使った時の硬さの変化

印刷用ページを表示する掲載日2025年3月4日

Q 野菜や豆類をしょうゆを用いて加熱調味する場合、これらの素材のテクスチャーはどのように変化するのか教えてください。

A しょうゆを加熱調味の最初から用いると、食品が硬くなるため、調味の最終段階で加えるのがよいといわれています。しかし、工場規模で加工するときは最初からしょうゆを用いて調味する場合がほとんどですから、食品の硬さに及ぼすしょうゆの影響は大きいと思われます。

中谷らは、じゃがいも、大根、大豆について調べています 1)。食塩濃度を1~18%にしたしょうゆと食塩水でこれらの素材を煮熟すると、しょうゆの場合、食塩濃度がおよそ5%まではどの素材もあまり硬くなりませんが、これ以上になるとしだいに硬さが増していきます。
食塩水では、大豆の場合だけ濃度に比例して硬さが増していきますが、他の素材のときはほとんど変化しません(図1~3)。実際によく用いられる調味液の食塩濃度は最終濃度が1%前後ですが、この濃度に調整したしょうゆと食塩水を比較すると、特に大根ではしょうゆの方が硬くなっています。

グラフ

しょうゆ中のどのような成分が硬さに影響するのか、大豆について調べたところ、有機酸(乳酸、酢酸、コハク酸など16種)ではいずれも大豆を硬くし、アミノ酸ではグルタミン酸、アスパラギン酸に大豆を硬くする作用がありました。また、食塩を含む緩衝液中に乳酸、酢酸、コハク酸を溶かしたもので処理すると、これらの有機酸単独の水溶液で処理した場合より軟らかくなることが分かりました 2)。

参考文献

1) 中谷圭子、 松元文子、 桜井芳人 (1974). 加熱調理における醤油の食品のテクスチャーに及ぼす影響(第1報)、家政学雑誌、25(3)、195-200.

2) 中谷圭子、 松元文子、 桜井芳人 (1974). 加熱調理における醤油の食品のテクスチャーに及ぼす影響(第2報)、家政学雑誌、25(3)、201-206.


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