さわやかな酸味をもった清酒
Q さわやかな酸味をもった酒を造りたいので清酒中の有機酸について教えてください。
A 清酒中の有機酸は、約73%がもろみ中の酵母によって生成されます。約17%は酒母由来、残りの約10%が蒸米と麹に由来します。もろみ中ではコハク酸とリンゴ酸の生成量が多く、ついで乳酸の生成がみられます。酒母では酢酸とコハク酸の生成が多いとされています。
近年、従来の清酒とは異なった低アルコール酒や、発泡性を持たせた清酒が発売されています。この様な清酒には比較的多くの糖質が含まれており、風味のバランスを取るには酸味を多く含有させる必要があります。リンゴ酸やクエン酸は、味覚においてさわやかな酸味を有しているため、その量を増加させることで、甘味と酸味を調和させます。
清酒中の有機酸の組成は、使用する麹菌や酵母の種類によって、大きく変化させることができます。例えば、焼酎用の麹菌はクエン酸を多量に生成するため、この麹を一部使用して、クエン酸を多く含む清酒の製造が可能です。また、きょうかいNo.28やNo.77といったリンゴ酸高生成酵母を使用することでリンゴ酸を多く含む清酒を製造できます。
ただし、有機酸が酒質に与える影響は他の成分と違って大きいので、きき酒や嗜好調査を行って適正酸量を決定する必要があります。
参考資料
醸造物の成分(日本醸造協会、1999、p 50)
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