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さわやかな酸味をもった清酒

印刷用ページを表示する掲載日2025年9月29日

Q さわやかな酸味をもった酒を造りたいので清酒中の有機酸について教えてください。

A  清酒中の有機酸は、約73%がもろみ中の酵母によって生成されます。約17%は酒母由来、残りの約10%が蒸米と麹に由来します。もろみ中ではコハク酸とリンゴ酸の生成量が多く、ついで乳酸の生成がみられます。酒母では酢酸とコハク酸の生成が多いとされています※。

 近年、消費者の嗜好の変化に伴い、清酒の多様化が求められており、従来の清酒とは異なった低アルコール酒や、発泡性を持たせた清酒が発売されています。この様な清酒には、風味のバランスを取るために、比較的多くの糖質と酸味を多く含有させる必要があります。リンゴ酸は、白ワインのような「甘味を伴う爽やかな酸味」、クエン酸は「シャープな酸味」を有しているため、その量を増加させることで、甘味と酸味を調和させます。

 清酒中の有機酸の組成は、使用する麹菌や酵母の種類によって、大きく変化させることが出来ます。例えば、焼酎用の麹菌はクエン酸を多量に生成するため、この麹を一部使用して、クエン酸を多く含む清酒の製造が可能です。 また、日本醸造協会から頒布されている「リンゴ酸高生産性酵母 No.28」や「リンゴ酸高生産性高エステル生成酵母 No.77」といったリンゴ酸高生成酵母を使用することでリンゴ酸を多く含む清酒を製造できます。広島県が開発した酵母では、「ひろしまLeG-爽」及び「ひろしまLeG-彩」がもろみ中で多量のリンゴ酸を生成します。これらの酵母は、通常の清酒酵母と比較して、それぞれ3倍及び2倍程度のリンゴ酸を生成するため、リンゴ酸を特徴とした白ワイン様の酒質の清酒の製造に活用できます。

 ただし、有機酸が酒質に与える影響は他の成分と違って大きいので、きき酒や嗜好調査を行って適正酸量を決定する必要があります。

関連する技術情報

輸出用清酒の醸造に適した品質を向上させる酵母開発

参考資料

醸造物の成分(日本醸造協会,1999,p 50)


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