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食品の非酵素的褐変現象と抑制策

印刷用ページを表示する掲載日2025年3月4日

Q 食品の非酵素的褐変現象と、その抑制策について教えてください。

褐変現象

食品を加工及び貯蔵するときに、しばしば褐色に着色することがあります。この現象を褐変(browning)と呼びます。みそ、しょうゆ、パン、ケーキ及び紅茶などでは、適度な褐変が利点になることもあります。一方で、乾燥果実・野菜、果汁及び干し魚などでは、褐変は好まれない現象です。

食品は有機物のため、高温で焼くなど過酷な条件下ではすべて褐変し、最終的には炭化します。しかし、100℃以下の加熱や、常温で2~3か月ほど貯蔵した場合にも褐変が生じることがあります。このような比較的穏和な条件下での褐変が、食品では問題となります。

褐変の原因となる成分

褐変の原因には、窒素を含まない成分と、窒素を含む成分があります。

  • 窒素を含まない成分
    モノ・ポリフェノール、油脂、レダクトン類(ビタミンCなど)及び還元糖の4群があります。これらは、自動酸化や分解反応によって、非常に反応性の強いカルボニルを生成し、褐変を引き起こします。
  • 窒素を含む成分
    アミノ酸、ペプチド、タンパク質など、いわゆるアミノ化合物があります。これら自体は安定で、褐変活性はありません。ところが、前記4群の成分から生ずるカルボニルと反応しやすく、褐変を促進する作用をもちます。この反応を、アミノ-カルボニル反応、またはメイラード(Maillard)反応と呼びます。

褐変の抑制策

褐変現象には様々な反応経路や多くの因子が関与しているため、完全に防止することは不可能です。ただし、褐変に関与すると考えられるpH、水分、温度、酸素、金属(鉄、銅等)及び弱酸アニオン(リン酸、酢酸等)を制御すれば、ある程度は抑制することができます。実際には、特に温度制御(低温貯蔵)が重要になります。


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