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食品の非酵素的褐変現象と抑制策

印刷用ページを表示する掲載日2020年11月10日

Q 食品の非酵素的褐変現象と,その抑制策について教えてください。

褐変現象

食品を加工及び貯蔵するときに,しばしば褐色に着色することがあります。この現象を褐変(browning)と呼びます。みそ,しょうゆ,パン,ケーキ及び紅茶などでは,適度な褐変が利点になることもあります。一方で,乾燥果実・野菜,果汁及び干し魚などでは,褐変は好まれない現象です。

食品は有機物のため,高温で焼くなど過酷な条件下ではすべて褐変し,最終的には炭化します。しかし,100℃以下の加熱や,常温で2~3か月ほど貯蔵した場合にも褐変が生じることがあります。このような比較的穏和な条件下での褐変が,食品では問題となります。

褐変の原因となる成分

褐変の原因には,窒素を含まない成分と,窒素を含む成分があります。

  • 窒素を含まない成分
    モノ・ポリフェノール,油脂,レダクトン類(ビタミンCなど)及び還元糖の4群があります。これらは,自動酸化や分解反応によって,非常に反応性の強いカルボニルを生成し,褐変を引き起こします。
  • 窒素を含む成分
    アミノ酸,ペプチド,タンパク質など,いわゆるアミノ化合物があります。これら自体は安定で,褐変活性はありません。ところが,前記4群の成分から生ずるカルボニルと反応しやすく,褐変を促進する作用をもちます。この反応を,アミノ-カルボニル反応,またはメイラード(Maillard)反応と呼びます。

褐変の抑制策

褐変現象には様々な反応経路や多くの因子が関与しているため,完全に防止することは不可能です。ただし,褐変に関与すると考えられるpH,水分,温度,酸素,金属(鉄,銅等)及び弱酸アニオン(リン酸,酢酸等)を制御すれば,ある程度は抑制することができます。実際には,特に温度制御(低温貯蔵)が重要になります。


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