中間水分食品
Q 中間水分食品とはどんなものか教えてください。
A 食品を分類する基準には、いろいろなものがあります。
中間水分食品(lntermediate Moisture Foods、IMF)は、水分活性(Aw)の大きさを基準にして食品を分類した場合の呼称です。単一食品の名称ではありません。食品をAwの立場からみますと、概して、生鮮食品(肉、魚、野菜など)や多水分食品(かまぼこ、ハムなど)のAwは0.85よりも大きく、乾燥食品(穀類、煮干し、焼菓子など)は0.85よりも小さい。Awが0.65~0.85である食品を、IMFといいますが、Awが0.2~0.85や0.6~0.85である食品をIMFとしている学者もいます。
伝統的な食品のうち、例えば、
(1)かなり乾燥された製品(レーズン、干しがきなど)
(2)砂糖を加えた製品(ジャム、ゼリーなど)
(3)食塩と砂糖を加えた製品(ドライソーセージ、佃煮など)は、IMFとみなされます。
本来のIMFは、食品とAwまたは水との関係を熟知し、新たな技術を駆使して開発されたものなのです。現代的なIMFの例は、アメリカにおけるペットフード、軍用食、宇宙食にみられます。完全なIMFは、通常の加熱殺菌、冷凍貯蔵、包装を要しませんし、また、遊離水もかなり含まれていますから、可塑性があって食感もよいということです。
IMFの製造法には、
(1)湿式浸透法(ソルビトール、食塩、水などを配合した溶液に素材を浸漬し、成分の平衡化を図り、最終製品のAwを所定の値に調整する)
(2)乾式浸透法(素材を凍結乾燥して多孔質にしたのち、所定のAwが得られるように調整した溶液に浸漬する)
(3)混合法(最終製品のAwが所定の値になるように、諸材料を混合、調理する)があります。
しかし、今のところ、完ぺきなIMFの製造法はありません。安定性のよいIMFを製造するためには、受容性が高く、低濃度でAw低減効果の大きい添加物の開発などが必要です。
引用文献
乾燥食品事典(木村 進 総編集、朝倉書店、1984、p411-413)
本情報の利用にあたっては、閲覧者の責任と判断において行って下さい。
本情報の利用により生じた損害については一切の責任を負いません。