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味噌用新酵母「DBH114株」の紹介

印刷用ページを表示する掲載日2020年12月25日

広島県味噌協同組合と共同で開発した新酵母「DBH114株」により,無添加味噌のパッケージがふくれるリスク低減を実現しました。

開発について

味噌の醸造では,耐塩性酵母がアルコールや香りの生成という重要な役割を担います。

醸造された味噌には酵母が生きた状態で存在し,そのまま袋・容器詰めすると,再発酵により炭酸ガスが発生し,ふくれが生じることがあります。

ふくれが生じると,商品価値がなくなるため,充填前の加熱処理やアルコール添加,あるいは通気口付容器の使用といった対策がとられています。

このような背景から,広島県味噌協同組合からのアルコール使用量低減の要望を受け,新酵母開発に取り組みました。

平成26年度から開発に着手し,広島県味噌協同組合使用のD-9株を親株とし変異株の取得と選抜,味噌醸造試験を経て,平成30年に実使用できる酵母であると判断しました。

【醸造された味噌のふくれ対策】

醸造された味噌のふくれ対策

新酵母「DBH114株」の特徴

酵母は自身の生成したアルコールでダメージを受け,やがて生きている酵母の数が低下します。

DBH114株は,D-9株よりも酵母生菌数の低下が早めに生じる特徴をもっています。

生きている酵母が存在する醸造味噌において,DBH114株は,D-9株よりも少ないアルコール濃度でふくれを抑えることができました。

これらの事実から,DBH114株は,アルコール無添加味噌のパッケージがふくれるリスクが低い酵母であるといえます。

なお,アルコール生成能は,D-9株と違いはなく,醸造される味噌の品質も同程度です。

【味噌醸造におけるアルコール生成量と酵母生菌数の推移(模式図)】

味噌醸造におけるアルコール生成量と酵母生菌数の推移(模式図)

「DBH114株」の使用状況

新酵母「DBH114株」は,令和元年度から,広島県味噌協同組合で使用され,年間850Lの酵母培養液が生産されています。

米味噌の醸造に新酵母「DBH114株」を使用している組合員企業より,次のようなコメントをいただきました。

○無添加の生味噌で出荷する際、あまりに多くの生きている酵母が残っていると困っていました。新酵母の使用を平成28年に試験的に開始し、今では年間30トンの味噌の醸造に使用しています。
○D-9株と比べ香りがやわらかく,洋風の印象です。
○センターから情報提供を受けた「酵母の増殖と発酵を旺盛にするためには溶存酸素が必要である」ことをふまえ,省力化もできることから,重石をしない仕込みを実行し,発酵は順調です。
○他の酵母株に比べ,無添加生味噌の出荷後の問題発生がなく,香味の面でも好印象をもっています。

【旺盛な発酵により樽からはみ出す勢いの味噌】

旺盛な発酵により樽からはみ出す勢いの味噌

 

 

 

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