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細菌性食中毒の特徴と予防法について

印刷用ページを表示する掲載日2024年3月22日

細菌性食中毒

  1. サルモネラ食中毒
  2. 腸炎ビブリオ食中毒
  3. カンピロバクター食中毒
  4. 黄色ブドウ球菌食中毒
  5. ウエルシュ菌食中毒
  6. ボツリヌス食中毒
  7. 病原大腸菌食中毒

 ※画像の使用を希望される場合は、こちらへ

1 サルモネラ食中毒

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 サルモネラ属菌の電子顕微鏡写真

[症状] 下痢(黒緑色の粘血便)、発熱(38~40℃)、腹痛 
 
[潜伏期間] 12~24時間 
 
[原因食品] 鶏卵、食肉などの畜産食品、うなぎ、スッポン 
 
[原因菌、その分布と特徴]

 サルモネラ属菌 (Salmonella spp.

  • ヒト、動物、河川水など広く分布している。
  • 熱に対しては比較的弱いが、乾燥に対しては抵抗性がある。 

[予防方法など]

  • 鶏卵、食肉の生食は避け、十分加熱する。
  • 鶏卵、食肉を扱った器具、手指はその都度洗浄、消毒する。
  • 食品は低温で保存する。

2 腸炎ビブリオ食中毒

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腸炎ビブリオ菌の電子顕微鏡写真

[症状] 激しい腹痛(上腹部痛)、下痢(水様血便)、発熱(軽微)、嘔吐 

[潜伏期間] 3~20時間 

[原因食品] 海産生鮮魚介類及びその加工品、漬物(二次汚染)

[原因菌、その分布と特徴]

 腸炎ビブリオ菌 (Vibrio parahaemolyticus

  • 海水中や海泥中に広く分布している。
  • 他の菌に比べて増殖速度が速く、塩分濃度2~7%で増殖が盛んになる。
  • 真水や加熱に対する抵抗性が弱い。 

[予防方法など]

  • 生鮮魚介類は低温(10℃以下)で保管し、調理前に流水(真水)で洗浄する。
  • タコ、カニなどの調理は中心温度70℃で1分以上加熱する。
  • 調理器具は専用のものを使用し、使用後は流水で洗浄、消毒をする。

3 カンピロバクター食中毒

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[症状] 下痢(水様性時に粘血便)、発熱(38~39℃)、腹痛

[潜伏期間] 2~7日

[原因食品] 食肉(特に鶏肉)、井戸水、沢水

[原因菌、その分布と特徴]

 カンピロバクター・ジェジュニ / コリ (Campylobacter jejuni / coli

  • 動物の腸管内をはじめ自然環境に広く分布する。
  • 加熱や乾燥に対する抵抗性が弱い。
  • 10℃以下の低温でも長時間生存し、少量の菌量でも発症する。

[予防方法など]

  • 生肉などは早めに調理し、十分加熱する。
  • 生肉と調理済食品は別々に保管する。
  • 調理器具などは十分乾燥させる。
  • 井戸や貯水槽の水は衛生管理に注意し、必要に応じて殺菌あるいは滅菌処理をして使用する。
  • 生水は飲まない。

4 黄色ブドウ球菌食中毒 

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黄色ブドウ球菌の電子顕微鏡写真

[症状] 激しい嘔吐、腹痛、下痢、発熱はない

[潜伏期間] 1~6時間(通常3時間程度)

[原因食品] おにぎり、弁当類、生菓子(特にシュークリーム)

[原因菌、その分布と特徴]

 黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus

  • ヒトの手のあかぎれ、化膿巣に分布し、鼻の穴、のど、手指、髪の毛などにも存在する。
  • 食品中で増殖の際に食中毒の原因となる毒素(エンテロトキシン)を作る。
  • 菌は熱に弱いが、エンテロトキシンは熱に強い。
  • 5℃以下ではほとんど増殖しない。

[予防方法など]

  • 手指に傷のあるヒトは調理をしない。
  • 調理、盛り付け時には清潔な衣服、帽子、マスクを着用する。
  • 食品は低温で保存する。

5 ウエルシュ菌食中毒

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[症状] 下痢(水様便)、腹痛(症状は比較的軽く、一過性)

[潜伏期間] 6~18時間(通常12時間程度)

[原因食品] 大量に加熱調理された後、長時間室温に放置される食品が多い(カレーライス、シチュー、スープなど)

[原因菌、その分布と特徴]

 ウエルシュ菌 (Clostridium perfringens

  • ヒトや動物の腸管内や、下水、土壌などの自然環境に広く分布する。
  • 耐熱性の芽胞を作るので、熱に非常に強い。
  • 空気のないところでしか発育できない嫌気性菌である。

[予防方法など]

  • 前日調理を避け、加熱調理後はなるべく早く食べる。
  • 加熱調理後は速やかに冷却し、冷蔵保存する。
  • 食べる前に再加熱する。

6 ボツリヌス食中毒

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[症状] 神経症状(視覚異常、言語障害、呼吸困難、嚥下[のみこみ]困難など)、重症例では死亡(神経症状の発症前に嘔吐、下痢、便秘などを示すこともある)

[潜伏期間] 12~36時間

[原因食品] いずし、缶詰・びん詰食品、レトルト食品(空気を遮断した食品)、ハチミツ(乳児ボツリヌス症の原因食品)

[原因菌、その分布と特徴]

 ボツリヌス菌 (Clostridium botulinum

  • 海水、河川などの泥砂や、そこに生息する魚介類などに広く分布している。
  • 空気のないところでしか発育できない嫌気性菌である。
  • 食品中で増殖の際に食中毒の原因となる毒素を作る。
  • 耐熱性の芽胞を作るので、熱に非常に強い(熱に弱いものもいる)。
  • 低温でも発育できる。

[予防方法など]

  • 真空パック、缶詰が膨張していたら食べない。
  • 調理には新鮮な原材料を使い、十分に洗浄する。
  • 魚の調理には腸内容物が魚肉を汚染しないように注意する。
  • 1歳未満の赤ちゃんにハチミツ入りの飲料・お菓子などを与えない

7 病原大腸菌食中毒 

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大腸菌の電子顕微鏡写真

[症状]

●腸管出血性大腸菌
 激しい腹痛、下痢(初め水様、後に鮮血便)、発熱(軽微)、重症例では溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こす

●毒素原性大腸菌
 下痢(米のとぎ汁状水様便)、腹痛(軽微)、嘔吐

●腸管侵入性大腸菌
 下痢(粘血便)、発熱、腹痛、嘔吐

●その他の病原大腸菌
 下痢(水様便)、腹痛  

[潜伏期間]
●腸管出血性大腸菌 3~7日  
●毒素原性大腸菌 12時間~2日  
●腸管侵入性大腸菌 2~3日  
●その他の病原大腸菌 2~6日

[原因食品] 家畜などの糞便に汚染された食品、食肉、水

[原因菌、その分布と特徴]

 病原大腸菌 (Escherichia coli

  • ヒトや動物の腸管内など自然界に広く分布している。
  • 腸管出血性大腸菌(血清型O157、O26、O111などが多い)はベロ毒素を作り、少量の菌量で発症する。
  • 毒素原性大腸菌は毒素(エンテロトキシン)を作り、コレラに似た症状を起こす。
  • 腸管侵入性大腸菌は腸管の細胞に侵入して赤痢に似た症状を起こす。

[予防方法など]

  • 食品は十分加熱して食べる。
  • 食肉などから他の食品が汚染されないように注意する。
  • 調理器具の洗浄、消毒を十分行う。
  • 食品は低温で保存する。
  • 井戸や貯水槽の水は衛生管理に注意し、必要に応じて殺菌あるいは滅菌処理をして使用する。

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