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“放置艇対策”って何?Vol.3

印刷用ページを表示する掲載日2013年3月22日

海や川は,みんなが共有する財産です。

 誰か特定の人が,許可なく,独占的に使用できるものではありません。
 また,プレジャーボートを放置しますと,ゴミの不法投棄や騒音等により周辺の生活環境を悪化させたり,津波・高潮等により流出し,被害を一層拡大させるおそれがあります。
 このため,広島県では,係留保管施設を整備し,生活環境や防災上の支障がある水域から優先的に放置等禁止区域を指定した上で,プレジャーボート所有者の皆さんに適正な係留保管を求めています。

 私たち広島港湾振興事務所(港営課管理第二係)は,管轄する港湾及び漁港の放置等禁止区域において,主にプレジャーボートの撤去指導を行っています。

 今日は,広報・啓発活動の一環として,広島県ホームページを活用し,引き続き,私たちが現場で取り組んでいる仕事についてご紹介します。

“放置艇対策”って何?Vol.1はこちら

“放置艇対策”って何?Vol.2はこちら

事務所の写真
 広島県広島港湾振興事務所庁舎及びホイストクレーン

 それでは,まず,広島港江波地区をご案内します。

 平成24年10月1日,広島港江波地区に放置等禁止区域を指定してから,半年が過ぎようとしています。

放置等禁止区域指定図の画像 
【放置等禁止区域指定図】

 私たちは,既に撤去指導に入っており,指導票に続き,平成25年2月8日,勧告書をプレジャーボート所有者の皆さんに送りました。

 さらに,平成25年1月16日,放置等禁止区域に放置されたプレジャーボートを,代執行により撤去しました。

アンカー引き上げの写真
アンカー引き上げ

船舶曳航の写真
事務所配備の公用船メロス号で船舶曳航

事務所到着の写真
事務所に到着

陸揚げの写真
事務所配備のホイストクレーンで船舶陸揚げ

船舶保管の写真
船舶保管

 これらの取組により,放置等禁止区域にあるプレジャーボートは,着実に減っています。

次に,「FRP船リサイクルシステム」についてご紹介します。

 プレジャーボートの適正保管について所有者の皆さんに話をすると,「もう廃船したいのだが,どうすればよいか?」と質問を受けることがあります。
 そのとき,私たちは,「FRP船リサイクルシステム」をご紹介します。

 なぜなら,このリサイクルシステムを利用すれば,FRP船は適切に廃船処理されますし,また,セメントの原料として再資源化されるので,循環型社会づくりの推進にもつながるからです。

詳しくはこちら(社団法人日本舟艇工業会:FRP船リサイクル)

 平成17年11月にスタートしたこのリサイクルシステムは,「FRP船リサイクルセンター(社団法人日本舟艇工業会内)」が管理運用しています。また,費用等の相談や処理申込みの受付は,各地域に設けられた次のマークのある「登録販売店」が行っています。

マークの写真

 私たちは,プレジャーボート所有者の皆さんに指導票等を送る際,「FRP船リサイクルシステム案内」を同封するなど,不用となったプレジャーボートが海や川に不法投棄されないように,環境にやさしいこのリサイクルシステムの周知・広報に協力しています。

続いて,「行政代執行により撤去した船舶の取扱い」について説明します。

 行政代執行により船舶を撤去した場合,執行者は,善良なる管理者の注意義務をもって保管しなければならず,また,所有者が引き取るまでは保管を続けなければならないとされています。

 しかし,所有者にいくら引取り要請をしても,全く応じない場合があり,そのことが課題となっていました。

 私たちは,風雨による毀損や劣化が心配されることなどから,撤去船舶を適正な第三者機関(供託機関)に供託しようと考えました。しかし,広島県内には,供託法第5条第1項の規定に基づき,法務大臣に指定された倉庫業者がいませんでした。

 そこで,民法第497条の規定に基づき,撤去船舶を「供託に適しない物」として競売にかけ,その換価代金を法務局に供託しようと考え,所要の手続をとりました。

 参考までに,そのときの事例をご紹介します。

 平成21年3月12日に行政代執行により撤去した船舶について,平成23年4月20日,広島地方裁判所に弁済物競売許可申請を行い,同年6月21日,船舶競売の許可決定を受けました。
 これにより,同年7月20日,広島地方裁判所に競売の申立てを行い,同年8月11日,船舶の差押え,同年8月31日,競売を執行しました。

関係法令 (PDFファイル)(88KB)

操舵室の写真
操舵室の窓ガラスに執行官が差押物件標目票を布テープで貼付

ここで,広島県が漁港区域に整備した五日市メープルマリーナ(五日市漁港フィッシャリーナ)をご紹介します。

 放置艇が引き起こす問題は,海や川だけで発生するわけではありません。
 かつて,五日市漁港(広島市佐伯区海老園三丁目)においても,プレジャーボートの利用者が増え,漁港内が雑然と利用される時期がありました。このため,漁船との事故による漁業への悪影響やゴミの不法投棄・騒音などによる地域住民とのトラブルが心配されました。

 これらの問題を解決するため,広島県は,五日市漁港に放置等禁止区域を段階的に指定し,総合的なフィッシャリーナ施設の整備を進めてきました。

フィッシャリーナとは!

フィッシャリーナとは,フィッシュ《魚》とアリーナ《劇場》を組み合わせた造語であり,魚を中心に人々が集まる所(交流の場)をイメージしています

詳しくはこちら(社団法人全国漁港漁場協会:フィッシャリーナって何?)

 平成20年7月1日,五日市メープルマリーナ(五日市漁港フィッシャリーナ)(収容能力:海上536隻,陸上167隻)が供用開始しました。

海上桟橋の写真
プレジャーボートの係留状況(海上桟橋)

陸上保管ヤードの写真
プレジャーボートの保管状況(陸上保管ヤード)

 このように,広島県では,漁港区域にも係留保管施設を整備し,漁業と海洋性レクリエーション活動の共存を図りながら,さらに地域の活性化についても推進しています。

最後は,「プレジャーボート等対策連絡協議会」についてです。

 撤去指導により,海に放置されたプレジャーボートがいなくなっても,今度は川や漁港に放置されたのでは意味がありません。
 よって,港湾・河川・漁港の三水域管理者は,連携して放置艇対策に取り組む必要があります。

 昭和62年1月12日,旧建設省,広島海上保安部,広島県,広島県警察本部及び広島市が集まり,プレジャーボート対策連絡協議会を設立しました。(平成23年度にプレジャーボート等対策連絡協議会に名称変更)

 現在の構成機関は,次のとおりです。(もちろん,広島港湾振興事務所も構成機関になっています。)

平成24年度プレジャーボート等対策連絡協議会構成機関 (PDFファイル)(17KB) 

 平成19年10月1日,ボートパーク広島(収容能力:516隻)のオープンを契機に,港湾法等に基づく規制区域を大幅に拡大してからは,毎年度,プレジャーボート対策連絡協議会を開催し,取組状況に関する報告や情報交換等を行い,三水域管理者の連携強化を図ってきました。

 また,平成23年2月1日,プレジャーボート対策連絡協議会として,「安全で美しい水の都・ひろしまを」と題した新聞折込チラシを発行し,プレジャーボートの適正保管に向けて,広く情報提供・意識啓発を行いました。(発行部数:48万6千部)

安全で美しい水の都・ひろしまを (PDFファイル)(1.43MB)

 今後とも,三水域管理者が連携し,放置艇対策を推進していきます。

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