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平成23年広島県議会6月定例会(平成23年6月24日)

印刷用ページを表示する掲載日2011年12月24日

知事説明要旨

 6月定例県議会の開会に当たり,ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして,当面する県政の課題などについてご報告申し上げます。

1 東日本大震災への対応 まず,東日本大震災への対応についてでございます。
 震災発生後3ヶ月が経過いたしましたが,8万人を超える方が避難生活を続けておられ,また,東京電力・福島第一原子力発電所の事故もいまだ終息に至らず,不安定な状況が続くなど,依然として厳しい情勢にあります。
 本県といたしましては,これまでの職員派遣に加え,仮設住宅建設や土木施設等の復旧支援に従事する職員を派遣するなど,被災地の状況に応じた対応を行っているところでございます。
 加えて,被災家屋における土砂等の撤去や清掃活動など,被災された方々の生活再建をサポートするボランティアの派遣についても支援することとし,この度の 6月補正予算にこれらの経費を計上したところでございます。
 また,被災された企業等に対しましては,本県での事業展開を支援するなどの取組を行っているところでありますが,6月補正予算では,壊滅的な被害を受けた宮城県のかき生産の早期再開を支援するとともに,供給能力の低下による消費者のかき離れを防ぐため,広島かきの生産拡大に向けた取組を支援することといたしました。
 一方,県内に避難されてきた被災者に対しましては,これまでの生活支援に加え,国の第一次補正予算を受けて,市町,私立学校等を通じ,被災した幼児・児童・生徒の就園・就学を支援することとしております。
 また,福島第一原子力発電所の事故による影響につきましては,今月14日,国に対し,福島県が実施される健康管理への国の全面的な支援の必要性について,放射線被曝者医療国際協力推進協議会会長とともに提言したところであり,今後とも,広島大学や放射線影響研究所等の関係機関と一体となって,「オール広島」として,最大限の協力をして参る所存であります。
 次に県内経済への影響と対策等についてでございます。
 本県経済は,震災直後から,幅広い業種で,生産活動の低下や売上減少などの影響が表れておりました。
 震災の影響の長期化や電力使用制限などへの懸念から,先行きへの不透明感は残っておりますが,最近では,自動車産業において生産活動の制約が和らいできたことや,国内観光や個人消費の持ち直しといった動きも見られるところであります。
 一方,県内の雇用情勢は,震災の影響による新規求人数の伸び悩みにより,本年4月の有効求人倍率が0.79倍と,16ヶ月振りに悪化いたしました。
 このため,雇用対策としては,人材不足感の強い「介護」,「農林水産業」分野での就業促進を図るとともに,未就職のまま高等学校や大学等を卒業した方々を対象とした,企業での就業体験と研修を組み合わせた就職支援など,雇用関連基金を活用した事業を実施し,切れ目のない雇用機会の創出に努めているところでございます。
 この度の6月補正予算におきましても,就業体験を通じた就職支援事業や,市町における特産品の販売力強化など,地域の創意工夫により就業機会を創出する事業を追加実施して参ります。
 また,震災の影響により,直接,又は間接的に著しい被害を受けた中小企業等を対象に,これまでの震災対応融資よりも,さらに低利な「東日本大震災対応特別資金」を新設したところであります。
 また,東日本大震災による風評被害対策の一環として,広島港と福山港に放射線検査体制を確立し,現在,海外に向けて,本県の港の安全性について,集中的な PR活動を実施しているところでありますが,併せて,輸出食品の産地等に係る証明書の発行により,農産物等の輸出の円滑な推進を図ることとしております。
 さらに,広島空港の国際線の広告宣伝活動を支援するとともに,来月には,私自身も直接,韓国と中国の航空会社などを訪問し,本県の旅行先としての安全PRを行うこととしており,風評被害などで落ち込んだ旅行需要の喚起を図って参ります。
 なお,広島空港の「広島~上海線」につきましては,来月11日より,成都まで延伸されることとなり,従来培ってきた四川省との提携関係強化に資するものとして期待しているところであります。
 さらに今後とも,一層の路線の充実に努めて参ります。
 次に,県立学校施設の耐震化につきましては,工事工法や実施体制等を見直して加速化することとし,平成27年度末までの5年間で耐震化率100%を達成することを目指すことといたしました。
 このため,6月補正予算における緊急防災対策として,県立学校施設の耐震化に係る経費を計上しておりますほか,耐震診断が未実施の県立福祉施設について緊急に実施することとしております。
 なお,この前倒しによって,中期財政健全化計画に掲げる財政健全化目標への影響が懸念されるところではありますが,将来の負債を管理していく上で目標とした水準の範囲内に収まること,また,県債残高についても今後の健全化努力等により計画の範囲内に抑制することが可能であると見込んでおります。
 引き続き,適切な財政規律を守りながら,中期財政健全化計画の達成に向けて努力したいと考えております。
 次に,先月開催した広島県防災会議において,東日本大震災を踏まえた防災対策の強化について,協議・決定をいたしました。
 現在,プロジェクトチームにおきまして,課題の洗い出しを進めているところであり,今後,国の対応状況も踏まえて,県の地域防災計画の見直しに取り組んで参ります。

2 当面する県政の課題 次に,当面する県政の課題についてでございます。
 先月27日,松井広島市長と会談し,主要施策の相互協力等について意見交換を行いました。
 懸案となっておりました広島西飛行場につきましては,ヘリポートに機能転換し,共同運営を行うことで,合意が得られました。
 併せて,広島空港のアクセス改善についても,引き続き,広島市と連携して取り組んでいくことといたしました。
 今後とも,定期的に会談を開催し,広島市との連携・協力関係を強化して参りたいと考えております。
 次に,鞆地区における道路港湾整備事業につきましては,地域振興の観点から,これまで12回にわたり住民協議会を開催し,様々な課題について話し合いを重ねてきたところであります。
 本協議会は,架橋計画の是非によって,将来にわたって地域の分断が生まれることをできるだけ避けるということを目的とし,立場を超えて鞆地区の住民の皆さまの共通理解を深めることにより,課題の解決を図ろうとするものであります。現在,混雑の度合等,交通問題に対する考えなどに,論点を絞って話し合いを深めておりますが,その中で共通認識が得られるなど,協議会での話し合いが着実に進展していると考えております。今後,交通ネットワークと町の活性化の関連などについて,更に本質的な話し合いを進めていただく中で,できるだけ早期に解決の方向性を見い出せるよう,努めて参ります。
 次に,出島廃棄物処分場に係る廃棄物の陸上搬入への見直しにつきましては,地元の方々との合意が得られましたので,4月末に地元との確認書を締結し,計画の変更を決定したところでございます。
 今後とも,地元協議会を通じて,住民の皆様との連絡調整を密にしながら事業を進めて参ります。
 次に,国においては,地域主権改革の実現に向けての取組が進められているところでありますが,その一方で,現在,本格的な震災復興対策に係る財源確保の観点から,既存施策や既定方針の見直し等も進められております。
 また,社会保障改革について,政府・与党における検討内容が示されておりますが,これらの動きは,今後,地方の行財政運営や県民生活に重要な影響を及ぼすものであり,着実に地方の意見を反映させるべきものと考えております。
 また,「地方の固有財源」である地方交付税につきましては,地方の意見を踏まえることなく安易に削減することがあってはならず,このことにつきまして,中国地方知事会とも連携をして国に働きかけを行ったところであります。
 今後とも,国の動向を注視し,適切に対応して参ります。

3 平成23年度主要施策 次に,平成23年度当初予算における主要施策について,ご報告いたします。
【「人づくり」への挑戦】 まず,「人づくり」でございますが,重点施策として,国際的視野やコミュニケーション能力を持ったグローバル人材や,新たな成長を促す産業人材の育成・確保を推進することとしております。
 グローバル人材の育成につきましては,本年4月に開設した「広島県留学生活躍支援センター」により,大学等における留学生の受け入れから,県内での就職までを総合的にサポートする態勢を整えたほか,県内の高等学校における海外の学校との姉妹校提携や留学の促進に向けた取組を進めているところでございます。
 産業人材の育成につきましては,農業者の経営力を高める「農業経営者学校」を今月,開校したほか,新分野への進出に向け,大学や研修機関を活用して行う中小企業者等の社員研修への支援や,看護学校等の教員に対する公開授業の開催など,各分野での人材育成を推進しているところでございます。
 また,県内での産業人材を確保していくため,県内の理工系大学生に対して,ものづくりの技術開発等を紹介する出前講座を先月から開催し,県内企業の魅力を発信しているところでございます。
 そのほか,県内の高等教育機関の魅力向上に向けた大学の連携方策や,子育てに配慮した住まい・住環境のあり方や実現方策についても検討を進めており,今後,検討結果を施策に活かして参ります。
 また,この度の6月補正予算では,新たに,職業体験などを通して,子どもたちに達成感や成功体験を得る機会を与える,体験型の事業「広島キッズシティ2011」を支援することとしたほか,保育所整備や子育てバリアフリー化等についての支援も推進することとしております。
【「新たな経済成長」への挑戦】 次に,「新たな経済成長」についてでございます。
 まず,これまで広島版「産業革新機構」としておりましたひろしまイノベーション推進機構につきましては,その運営会社を5月に設立するとともに,県として 40億円を出資する投資事業有限責任組合を,今月17日に設立いたしました。
 運営会社におきましては,本年10月頃を目途に,民間企業や政府関係機関等が出資する,60億円程度の投資事業有限責任組合を設立することとしており,支援先企業の発掘・調査等を経て,適切な時期に第一号案件の実施を目指しているところでございます。
 今後,その状況につきましては,県議会や県民の皆様に,適宜ご報告いたしますとともに,イノベーション推進機構の運営が適切に行われますよう,出資者としての監督責任を果たして参ります。
 次に,先月31日,本県の福山港が,岡山県の水島港とともに鉄鉱石などの資源のばら積み貨物の輸入拠点として,国の重点整備の対象となる「国際バルク戦略港湾」に選定されました。
 今回の選定により,大型船に対応した,一括大量輸送できる港湾の整備が可能となるため,瀬戸内海地域の鉄鋼業や関連産業の競争力強化にとって,極めて効果的であると考えております。
 また,今回,広島港及び福山港の国際コンテナターミナルを港湾運営会社に貸し付けるために必要な条例改正案を提出しているところであり,今後,民間の経営手法を活かした効率的な港湾運営に取り組むことにより,国際競争力の更なる強化を図って参ります。
 次に,アジアを中心とする成長市場の獲得に向けた取組を進めるため,特に成長の著しい中国市場をターゲットとし,向こう3年間に県が取り組むべき施策を,「中国経済交流プログラム」として,先般,取りまとめたところでございます。
 このプログラムに基づき,本年8月には私自身,重点戦略地域とした四川省・重慶市を訪問し,広島の魅力をPRするとともに,県内企業の事業展開への機運醸成や,現地の情報,ビジネス機会の提供など,企業のニーズに応じた支援策を機動的に展開して参ります。
【「安心な暮らしづくり」への挑戦】 次に,「安心な暮らしづくり」についてでございます。
 まず,安心できる医療サービスの提供について,県,市町,広島大学や広島県医師会等の医療関係者とで協力をして準備を進めて参りました「財団法人広島県地域保健医療推進機構」を来月1日に設立する予定となりました。
 この機構の設立により,関係団体等と連携して,本県独自の医師確保対策等を総合的かつ機動的に推進して参ります。
 また,がん対策の推進のため,「二葉の里地区」への整備を予定しております「高精度放射線治療センター(仮称)」につきましては,広島県医師会が設置する「地域医療総合支援センター(仮称)」と合築することとしておりますが,この度,調整が整い,県が一括して設計に着手して参ることとなりました。
 県東部地域の障害児療育体制の充実・強化に向け移転整備を進めております県立福山若草園につきましては,移転先を福山市水呑町に決定したところであり,今後,整備を着実に推進して参ります。
 次に,治安の向上についてですが,今年度から警察本部へ安全安心推進課を新設するとともに,県東部へ分室の配置も行ったところであり,「『なくそう犯罪』ひろしま新アクション・プラン」に基づき,子ども・女性の安全対策や少年を見守る社会機運醸成などについて,多様な主体と連携して,一層の推進を図って参ります。
【「豊かな地域づくり」への挑戦】 次に,「豊かな地域づくり」についてでございます。
 まず,「瀬戸内 海の道構想」につきましては,近隣県等,関係先との意見交換を進める中で,その内容を深めていきたいとの趣旨から,先般,「中間報告」として公表したところでございます。
 実現に向けては,市町や近隣県との連携のもと,「瀬戸内ブランド」の形成を目指して,各種プロジェクトの広域的な展開に取り組んで参りたいと考えております。
 また,この構想を推進する上で,様々な主体と連携して,情報,人材確保・育成,資金等の課題に対応する仕組みとなる,「瀬戸内プラットフォーム」についての検討を進め,具体化を図って参ります。
 次に,被爆と復興の経験などを活かし,広島が,核兵器廃絶と復興・平和構築の国際的な拠点となることを目指し,本年度「国際平和拠点ひろしま構想」を策定することとしております。
 この度,明石康元国連事務次長をはじめとした国際的にも著名な有識者による構想策定委員会を設置したところであり,この秋を目途に,構想の取りまとめを進めて参ります。
 また,策定後は,広島で国際シンポジウムを開催するほか,国連本部などを訪問し,構想を世界に発信することとしております。
【「見える県政」の推進】 次に,「見える県政」の推進についてでございます。
 今年度,県民の皆様と直接意見交換させていただく県政知事懇談「湯崎英彦の宝さがし !) 未来チャレンジトーク」を県内8地域で開催することとしました。
 この県政知事懇談におきましては,私自身が「ひろしま未来チャレンジビジョン」を説明させていただくとともに,地域の皆様の取組事例をお聞きし,意見交換をさせていただく中で,県民の皆様の県政への理解と参画を促進して参りたいと考えております。
 私の県政の,実質的に2年目となる平成23年度は,「実行の年」と位置づけ,昨年来準備して参りました各種政策を実施する段階に入っております。新年度に入り,3ヶ月が経とうとしているところですが,今後とも各事業のPDCA,すなわち計画・実施・評価・改善のサイクルを回しながら,中長期的な視点から大きな成果を生んでいくよう全力を尽くして参ります。

4 6月補正予算案等の概要 さて,今回提出いたしました議案について,その概要をご説明申し上げます。
 まず,一般会計補正予算につきましては,先ほどご説明いたしました,東日本大震災に係る被災者支援及び復興支援や,県内の県立学校施設の耐震化の前倒しなど,震災対応を中心に予算編成を行った結果,歳入歳出補正予算額は49億1,872万円となり,本年度予算の累計額は9,367億7,872万円となります。
 また,公の施設の管理運営業務を指定管理者に委託するため,一般会計において,債務負担行為予算を計上しております。
 この予算の設定に当たりましては,原則5年間の指定管理期間としておりますが,健康福祉センターなどの3施設につきましては,引き続き施設のあり方を検討することとし,その検討期間を確保するため,現指定管理者への委託を基本として,指定管理期間を1年又は2年とすることといたしました。
 次に,予算以外の議案といたしましては,「広島県広島ヘリポート条例」の新設など条例案8件,人事案件として,「広島県人事委員会委員の選任の同意について」など2件,その他の議案では,「工事請負契約の締結について」の議案など2件を提出しております。
 また,報告事項として,専決処分のほか,平成22年度繰越明許費繰越計算書,県が資本金の二分の一以上を出資等している法人の経営状況説明書などを提出しております。
 どうぞ,慎重にご審議いただいたうえ,適切なご議決をいただくよう,よろしくお願いいたします。

  追加提出議案(平成23年6月29日)

知事説明要旨

 ただいま追加提出いたしました議案は,副知事の退職に伴う後任副知事の選任につきまして県議会の同意を求める議案であります。
 どうぞ,適切なご議決をくださるよう,よろしくお願いいたします。

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