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平成22年広島県議会9月定例会(平成22年9月21日)

印刷用ページを表示する掲載日2011年12月1日

知事説明要旨 

 9月定例県議会の開会に当たり,ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして,当面する県政の課題などについてご報告申し上げます。 

1 当面する県政の課題

まず,豪雨災害への対応についてでございます。

去る7月12日からの梅雨前線等による豪雨は,死傷者,住宅の被害をはじめ,河川の氾濫,道路や山林の崩壊,農地,農作物被害など,甚大な被害をもたらしました。

この度の災害により,犠牲となられました方々に対しまして,改めて,衷心より哀悼の意を表しますとともに,被災された皆様に,心からお見舞い申し上げます。

災害発生後,2箇月が経ちましたが,被災された方々の中には,生活再建の途上で,様々な不安を抱えておられる方々もございます。

県といたしましては,災害援護資金を無利子で活用できる制度を創設するとともに,県の職員公舎や県営住宅等への特別入居者の家賃免除の期間を1年間に延長するなど,今後も,市町と連携し,被災された方々の不安を解消し,一日でも早い生活の再建を図るため,引き続ききめ細かい支援を行って参ります。

被災した河川,道路などの公共施設,また,二次災害の恐れがある被災箇所につきましては,台風シーズン到来に備え,速やかに応急復旧工事を実施するなどの対策を講じているところでございます。

  さらに,再度の土砂災害を防止するため,新たに必要な砂防施設等につきましては,既に事業着手するなど,早期の安全確保に向け,取り組んでいるところでございます。

  加えて,さらなる安全確保を図るため,県の単独事業として実施する公共施設の修繕や,ため池等の緊急点検に要する経費などを9月補正予算に計上しております。

また,被災した農地等につきましては,本県といたしましても強く要望して参りました激甚災害に指定され,市町や農家等の負担が軽減されることになりました。

  県といたしましては,今後も,こころのケアや健康支援,必要な資金の提供や融資などにより,被災された方々の生活再建を積極的に支援するとともに,早期の災害復旧や再度の災害を防止するための対策などに全力で取り組んで参ります。

なお,この度の災害に当たりましては,多くの方々にボランティアとしてご協力いただくとともに,各方面から,多くの義援金などが寄せられました。改めまして,厚く御礼を申し上げます。

次に,国においては,各省庁からの概算要求が明らかになるなど,来年度予算の編成作業が進められております。

県といたしましては,地方財政を自主的かつ安定的に運営できるよう,地方交付税の増額や必要な一般財源総額の確保などについて,引き続き,国に提案して参ります。

また,一括交付金制度の創設や高齢者医療制度の見直しなど,新たな仕組みの具体的な制度設計に当たっては,地方の意見を十分反映するよう,国に強く働きかけて参ります。

次に,平和貢献についてでございます。8月6日に行われました平和記念式典には,潘 基文氏が,国連の事務総長として初めて出席されたほか,核兵器保有国である,アメリカ,イギリス,フランスの代表も,初めて出席されました。

このように世界の指導者が広島を訪れ,各国の指導者自らがリーダーシップをとって,核兵器の廃絶に向けた取組を進められることを期待しております。

また,当日の午後には,県と広島市,財団法人放射線影響研究所などの関係機関でつくる,放射線被曝者医療国際協力推進協議会(HICARE)と国際原子力機関(IAEA)との間で,放射線被ばく者医療の分野での人材育成や共同研究など,協働事業に関する覚書が取り交わされ,私もその場に立ち会いました。

本県といたしましては,核兵器廃絶に向けて高まっている現下の国際的機運を捉え,更なる平和貢献の基盤を固め,世界に向けて平和のメッセージを発信していく必要があると考えております。

次に,鞆地区における道路港湾整備事業につきましては,先月22日の第3回地域振興住民協議会において,道路交通をはじめ,まちづくりなどについて活発な議論が交わされました。次回の第4回では,道路交通問題に係る当面の対策について,県から行政面・技術面に関する検討材料を提供し,更に具体的な議論を進めていただくこととしております。

こうした個々の課題について,具体的な議論を重ねる中で,できるだけ早期に,一定の方向性を見い出していけるよう努めて参ります。

次に,広島エアポートビレッジ開発株式会社の民事再生手続きにつきましては,本年6月の債権者集会で可決された再生計画に基づき,8月末までにホテル建物とゴルフ場の売却が終了するなど,着実に実行されております。

県といたしましては,県の出資金や貸付金を放棄するに至ったことについて,県民の皆様に対しまして,大変申し訳なく思っております。同社の経営から撤退いたしましたが,空港周辺地域の活性化の機能が,譲渡先の企業においても発揮されるとともに,引き続き,再生計画の手続きが着実に実行されることを期待しております。

次に,出島廃棄物処分場事業につきましては,廃棄物の埋立量の減少をはじめとする様々な状況変化をもとに,先日実施した現地調査や地域住民の方々のご意見等を総合的に勘案したうえで,廃棄物を海上から搬入する現行計画を,陸上から直接搬入する方向で,再検討することといたしました。今後,計画変更のための諸条件を検証し,地元の皆様のご理解を得たうえで,事業計画の見直しを行い,処分場の早期供用開始に努めて参ります。

2 緊急経済・雇用対策

次に,本年度進めております主要施策について,その状況をご報告いたします。

まず,緊急経済・雇用対策についてでございます。

県内の景気は,海外経済の改善などを背景に,自動車,鉄鋼などで高めの操業が続き,生産が増加するとともに,設備投資も前年を上回るなど,緩やかに回復しております。

  その一方で,ヨーロッパ金融の信用不安や,アメリカ経済の低迷などを背景に,円高の状況が続いており,県内の輸出関連産業等への影響が懸念されております。このため,県といたしましては,県の預託融資制度である緊急経営基盤強化資金などにより,中小企業者の経営を支援するとともに,引き続き,今後の県内産業に与える影響について注視して参ります。

  また,県内の雇用・労働情勢に目を向けますと,本年7月の有効求人倍率は,0.64倍と依然として厳しい状況が続いております。

  こうした中,来年3月卒業予定の高校生の求人数は,本年7月末現在で,昨年を若干上回るものの,2年前と比較して,引き続き半減のレベルであり,新規学卒者を取り巻く雇用環境は厳しい状況が続いております。

  このため,広島労働局と連携して,求人情報等の共有化や「合同就職面接会」を開催するなど,新規学卒者の就職支援の取組を一層強化しているところでございます。

  このような県内の厳しい経済・雇用情勢に対応するため,この度の9月補正予算におきましても,引き続き,「緊急経済・雇用対策」を実施いたします。

  まず,本年1月から県立高等学校に就職支援専門員を配置し,求人開拓や生徒相談などを行って参りましたが,生徒への支援効果が高いことに鑑み,新たに私立高等学校にも配置するとともに,企業の求人ニーズを掘り起こす効果の高い,求人開拓員を増員するなど,新規学卒者の就職支援の取組を一層強化いたします。

  また,離職者を対象に,介護やIT分野などの職業能力を習得するための訓練などを追加実施いたします。

  さらに,国の経済対策のための交付金を活用し,県民の皆様の安全・安心を確保するため,県立学校や社会福祉施設の耐震化等を促進するとともに,道路,河川,砂防施設等の基盤施設の緊急補修などを,前倒しで実施して参ります。

  この他,今般,国の経済対策も発表されたところであり,これに呼応した追加的な措置につきましても,早急に検討して参ります。 

3 新たな活力を創出するための重点事業

次に,新たな活力を創出するための重点事業などについて,ご報告いたします。

本年度は,新たな挑戦のための仕込みと基盤づくりの年であり,基本的な構想を練り上げ,事業化に向けた基盤を整備することとしております。

まず,10年後を展望し,本県の目指すべき姿を描き,これを実現する取組の方向や戦略を示す,「新たな総合計画」につきましては,今月8日に開催した総合計画審議会を経て,「人づくり」,「新たな経済成長」,「安心な暮らしづくり」,「豊かな地域づくり」の分野毎に,これまでの審議の取りまとめを行い,現在,県民の皆様からの意見募集を行っているところでございます。

今後,寄せられた意見等を踏まえ,さらに議論を深めるなど,新しい広島県づくりを県民の皆様とともに進めるためのビジョンとするよう,本年10月の策定を目指し積極的に取り組んで参ります。

  併せて,連動する,新たな「産業振興ビジョン」や「農林水産業・農山漁村活性化行動計画」につきましても,これまでの取組や環境の変化等を踏まえ,関係者や県民の皆様のご意見を伺うなど,策定に向けた取組を行っているところでございます。

また,これらの計画を支える財政健全化の推進につきましては,先月,今後10年間の財政収支見通しを公表いたしました。急激な景気悪化に伴い,県税収入が大幅に減少していることに加え,高齢化の進展により,福祉医療関係費の増加が見込まれることなどにより,引き続き将来にわたって,厳しい状況が見込まれているところであります。

このため,「広島県経済財政会議」などのご意見も伺いながら,財政健全化に向けた,財政面での基盤づくりについて,その具体的な取組の検討を進め,「中期財政健全化計画」の年内の策定に向けて取り組んで参ります。

  また,戦略的な行政経営,組織体制の最適化や新たな人材マネジメントの構築を目指した計画につきましても,現在議論を進めているところであり,年内に策定して参ります。

  次に,新たな活力を創出するための人づくりへの挑戦についてでございます。

  本年の全国学力・学習状況調査の結果では,県内の小・中学校ともに,全教科で全国平均以上となり平成21年度の体力・運動能力調査におきましても,全国平均以上の種目の割合が70%を超えるなど,本県の児童生徒の力は着実に向上しております。

さらに,今年度から新たに実施しております,「山・海・島」体験活動推進事業での小学生の集団宿泊体験活動などを通じ,豊かな心の育成にも取り組んでいるところでございます。今後とも,知・徳・体の総合力を,より一層,高めていくよう取り組んで参ります。

次に,新たな経済成長への挑戦についてでございます。

本年7月に,本県の魅力をPRするため,中国を訪問いたしました。その際,上海市の旅遊局から,定期的な意見交換の場を設けたいというご提案も頂くとともに,中国の目覚しい発展を目の当たりにし,今後,中国との経済交流の拡大が,本県にとりまして,不可欠であると改めて認識したところでございます。

 こうしたことから,県内企業の中国市場での販路開拓支援やインバウンド対策などに戦略的に取り組むため,中国経済交流プログラムの策定に着手いたします。現在,尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件をめぐって,日中関係が緊張しておりますが,その動きも注視しつつ,本県の強みである四川省との友好提携の蓄積を活かしながら,中国関連施策を一元的かつ集中的に推進するよう準備して参ります。

次に,観光振興についてでございます。

まず,JR西日本と連携した観光キャンペーンの一環として,7月に東京で,トレンド発信力の強い女性誌の編集者などを対象に,本県の豊かな食材を通じて観光の魅力を紹介し,広島への関心を高めてもらうきっかけづくりを行ったところでございます。

  また,羽田空港の発着枠の拡大を踏まえ,県としても要望しておりました,広島~羽田線が,来月31日から1往復増便されることとなり,広島空港の路線充実が図られることとなりました。

  このような状況の中で,観光客の増加を図るため,首都圏のメディアを対象に本県への取材旅行を企画するなど,本県の魅力発信とブランドイメージ強化の取組をさらに進めて参ります。

また,4月の台湾訪問以来,台湾からの広島訪問客が増加しているところでありますが,先月からの台北航空路線の増便を踏まえ,今月11日から14日までの3日間,台湾の航空会社や自転車メーカーのトップ,テレビや旅行雑誌などのマスコミをお招きし,しまなみ海道でのサイクリングやしまなみクルーズなど,瀬戸内観光の新たな魅力をPRいたしました。

  引き続き,マスコミや旅行エージェントに対する取組を強化するなど,積極的にインバウンド対策を推進して参ります。

  また,本県観光の顔である宮島の弥山山頂にある老朽化した展望休憩所を,国と協力して再整備することとし,平成23年度中の完成を目指して,準備を進めるなど,本県の更なる魅力向上に努めて参ります。

次に,安心な暮らしづくりへの挑戦についてでございます。

まず,がん対策につきましては,検診受診率の向上を図るため,今月から,民間企業・患者団体・行政等の協働による,「がん検診へ行こうよキャンペーン広島2010」を展開しております。このキャンペーン等を通じ全県的な普及啓発に努めるとともに,市町や医療保険者と連携し,受診の促進に向けた取組を進めて参ります。

また,高度ながん医療機能を持ち,地域の医療連携の中核的役割を担う病院を指定する,本県独自の「がん診療連携拠点病院」制度を先月創設いたしました。今後,医療機関を指定し,地域における,がん診療水準の更なる向上を図って参ります。

次に,安全・安心なまちづくりにつきましては,「減らそう犯罪」県民総ぐるみ運動の成果を土台として,「犯罪をなくす」という視点に立ち「日本一安全・安心な広島県の実現」を目指した,次期アクション・プランを策定し,県民,事業者,関係団体など,多様な主体が協働・連携した取組を推進して参ります。

次に,豊かな地域づくりと真の地域主権の確立への挑戦についてでございます。

  まず,「瀬戸内 海の道構想」につきましては,現在,集客や新たな産業づくり,地域の魅力向上につながるような19の事業を公募等により選定し,実証的に実施しているところでございます。

  これらの実施過程で抽出された課題や対応方策等を,「瀬戸内 海の道構想」に反映させ,来年度以降の取組につなげて参ります。本構想については各方面から多くの関心が寄せられているところであり,様々な主体が,その力を合わせて瀬戸内の魅力を高めていけるよう計画を取りまとめていく所存であります。

 次に,過疎地域の暮らしの安心についてでございます。

過疎地域における地元商店の閉店や生活交通の廃止・縮小など,厳しい環境を踏まえ,買い物など,日常生活上の不便を解消するため,北広島町など3市町で,生活支援配送システムの実証実験に着手いたしました。今後,過疎地域に適したシステムの構築に向けて,検討を進めて参ります。

次に,地域主権改革の推進についてでございます。

  現在,国では,地域主権戦略大綱に基づいて,地域主権戦略会議を中心に,一括交付金制度の創設,義務付け・枠付けの見直し,基礎自治体への権限移譲,国の出先機関の抜本的な改革などについて,具体的な議論が進められております。

  県といたしましては,これらの改革が,真の地域主権の実現に寄与するものとなるよう,引き続き,国に対して,積極的な働きかけを行って参ります。

  次に,行政運営刷新への挑戦についてでございます。

  私は,知事就任以来,定例記者会見の動画配信や予算編成過程の日程公開を行うとともに,先月には交際費支出の公開の対象を副知事,局長等に拡大するなど,情報公開に関して,積極的に取り組んで参りました。

  引き続き,情報公開を徹底するため,「情報公開推進のための行動計画」の策定に取り組んでおり,11月を目途に策定いたします。

  また,公開の場で,外部の客観的な視点により事業を点検し,その結果を県政全般にわたる事業見直しに反映させるとともに,県政運営の透明性の向上を図るため,今月18日から昨日の20日までの3日間,事業仕分けを実施いたしました。

  今後,この場で得られたご意見や,県議会からのご提言などを踏まえ,仕分け対象事業の見直しはもとより,他の事業についても,横断的に検証を行い,来年度予算などへ反映させて参ります。

  このような取組のほか,最適な行政経営を目指し,組織の活性化や効率化を図るための新たな職員提案制度を実施するとともに,新たな人材マネジメントの一環として,私と局長との間で目標を共有する目標管理制度の試行を始めたところでございます。

  今後とも,行政運営刷新への取組を一層推進して参ります。

4 補正予算案等の概要

さて,今回提出いたしました議案について,その概要をご説明申し上げます。

まず,補正予算案についてでございます。

  先ほどご説明いたしました,豪雨災害への対応や緊急経済・雇用対策などに必要な経費のほか,子育てバリアフリーの推進などを行う市町を支援するための経費などを計上しております。

また,本年度当初予算において,高速道路料金の引き下げに伴い深刻な影響を受けている,一般旅客定期航路の係船料を本年4月から9月までの半年間免除することといたしておりましたが,現行の高速道路料金割引制度が継続する本年度末まで免除措置を延長することとし,所要の経費を港湾特別整備事業費特別会計に繰り出すこととしております。

これらの結果,一般会計の歳入歳出補正予算額は75億2,946万円となり,本年度予算の累計額は9,576億5,483万円となります。

予算以外の議案といたしましては,一般旅客定期航路の係船料を免除するための,「広島県港湾施設管理条例の一部を改正する条例」の条例案1件,人事案件として,「広島県教育委員会委員の任命の同意について」など3件,その他の議案では,交通信号機の電球を,県内企業が開発した新型LED電球に交換するための「財産の取得について」など3件のほか,平成21年度一般会計,特別会計及び企業会計の決算認定議案などを提出しております。

どうぞ,慎重にご審議いただいたうえ,適切なご議決をくださるよう,よろしくお願いいたします。

 

  追加提出議案(平成22年9月27日)

 

知事説明要旨

  ただいま追加提出いたしました,平成22年度一般会計補正予算案につきまして,その概要をご説明申し上げます。
  依然として,厳しい県内の経済・雇用情勢に機動的かつ効果的に対応するため,国の経済対策を活用し,「緊急経済・雇用対策」を速やかに実施することといたしました。
  まず,緊急雇用対策基金を活用し,現在実施している雇用対策事業の中でも,特に雇用創出効果や民間からのニーズの高い事業を実施いたします。
  その内容につきましては,介護,医療,農林水産など,人材が不足している分野での雇用を創出する事業や,就職に必要な知識・技能を習得させる人材育成事業を追加実施することとし,県が実施する経費と市町の取組を助成する経費を計上しております。
  また,事業実施期間が来年度まで継続することから,債務負担行為を設定しております。
  次に,県民の皆様の安全・安心を確保するため,道路,河川,砂防施設の整備など,地域の防災対策に資する事業を前倒しして実施し,事業効果の早期発現を図ることとしております。
  以上の結果,一般会計の歳入歳出補正予算額は41億3,300万円となり,本年度予算の累計額は9,617億8,783万円となります。この財源といたしましては,国庫支出金30億1,270万円,県債8億1,530万円などを充当しております。 
  どうぞ,慎重にご審議いただいた上,適切なご議決をいただきますよう,よろしくお願いいたします。

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