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「稲生物怪録」と「稲亭物怪録」

印刷用ページを表示する掲載日2023年5月17日

「稲生物怪録」と「稲亭物怪録」1

「稲生物怪録」と「稲亭物怪録」2

 広島県三次市を舞台とした江戸時代の妖怪物語である「稲生物怪録(いのうもののけろく)」は、全国的にも著名な妖怪の物語の一つです。三次在住の稲生平太郎という若者が7月の1月間にわたって多数のもののけと遭遇しますが、何事にも動じず、ついにはもののけが逃げ出してしまうというあらすじで、江戸時代からすでに多くの人たちに注目され、本・絵本・絵巻として数多く制作されました。
 明治時代以降、講談本や怪談本として引き継がれ、さらに、小説・戯曲・漫画の題材とされたり、映画や子ども向けの絵本にもなるなど、今日まで、様々な形で多くの人たちに親しまれています。
 ここで紹介する当館所蔵の「稲亭物怪録、(とうていぶっかいろく)」と題する絵巻は、題名が「稲生物怪録」とは異なっており、今まであまり知られていなかった系統の絵巻です。長文の物語と多くの挿絵(65枚)が掲載されています。絵の内容もこれまで知られていた絵巻と異なっており、「稲生物怪録」の成立と展開を考える上で非常に重要な資料といえます。

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