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公益通報に関する保護制度

印刷用ページを表示する掲載日2023年3月10日

『公益通報者保護法』により、公益通報に関する保護制度が整備されています。

<ポイント!>

  • 労働者等が、公益のために通報をした場合、それを理由とする解雇は無効であり、降格、減給などの不利益な取扱いも禁止されています。
  • 事業者は、公益通報を行ったことを理由とする解雇など不利益な取扱いの禁止、通報・相談窓口の設置、通報処理を行うに当たっての個人情報の保護、通報者への処理状況の通知を行うことなどが求められます。

<公益通報者保護法制定の背景>

国民生活の安心や安全を損なうような企業不祥事の多くが、事業者内部の関係者等からの通報を契機として、相次いで明らかになりました。
このような状況を踏まえ、事業者による国民の生命や身体の保護、消費者の利益の擁護等にかかわる法令遵守を確保するとともに、公益のために通報を行ったことを理由として労働者が解雇等の不利益な取扱いを受けることのないように、『公益通報者保護法』による公益通報に関する保護制度が整備されました。
『公益通報者保護法』は平成16年6月に成立し、平成18年4月1日から施行されました。

 

改正「公益通報者保護法」が令和4年6月施行されました。

<改正のポイント!>

☑事業者の体制整備の義務化

・事業者内の「通報窓口の設置」 ※中小事業者(従業員数300人以下)は努力義務

・通報者の「不利益な取扱いの禁止」 など

☑事業者の内部通報担当者に守秘義務

・違反した場合、30万円以下の罰金(刑事罰)

☑「公益通報者」として保護される範囲の拡大

☑保護される「通報対象事実」の範囲の拡大

 

出典:「改正公益通報者保護法の広報用チラシ」(消費者庁)

(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_220601_0001.pdf)

 

改正「公益通報者保護法」の概要

公益通報者保護法は、労働者が事業者内部の一定の犯罪行為やその他の法令違反行為(最終的に刑罰が規定されているもの)について、「事業者内部」、「行政機関」、「その他の事業者外部」のいずれかに対し、通報先に応じた保護要件を満たした通報を行った場合、公益通報者に対する解雇の無効、その他の不利益な取扱いの禁止等並びに公益通報を受けた事業者や行政機関のとるべき措置等を定めています。

 

公益通報とは

労働者*(正社員、派遣労働者、パートタイマーなどのほか、公務員も含まれます)・退職後1年以内の退職者・役員が、勤務先の企業などの事業者による一定の違法行為を、不正の目的でなく、事業者内部(勤務先)、権限を有する行政機関やその他の事業者外部(報道機関など)に通報することをいいます。

*取引先の労働者、退職者、役員も「通報する人」に含まれます。

公益通報の対象となる法令違反行為(通報対象事実)とは

「通報対象事実」とは、対象となる法律(及びこれに基づく命令)に違反する犯罪行為もしくは過料対象行為、又は最終的に刑罰もしくは過料につながる行為のことです。

「対象となる法律」とは、国民の生命、身体、財産等の保護にかかわる法律として公益通報者保護法や政令で定められた法律をいいます。
公益通報の対象となる法律は、公益通報者保護制度ウェブサイトを参照してください。

公益通報者保護制度ウェブサイト(消費者庁)(外部サイトリンク)

労働者・退職者・役員(公益通報者)とは

「労働者」とは、労働基準法第9条に規定する労働者のことをいいます。正社員、派遣労働者、パートタイマーなどのほか、公務員も含まれます。

「退職者」とは、通報の日前1年以内に雇用元(勤務先)で働いていた者をいいます。派遣労働者については、通報の日前1年以内に、派遣労働者として派遣先で働いていた者をいいます。

「役員」とは、法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人のほか、法令の規定に基づき法人の経営に従事している者(会計監査人を除く)をいいます。

取引先事業者の労働者、退職者、役員も通報の主体に含まれます。

出典:「公益通報ハンドブック」(消費者庁)(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_220705_0001.pdf)

通報先は

通報先は、「事業者内部」、「行政機関」、「その他の事業者外部」の3つで、次のとおりそれぞれ公益通報者保護法に基づく保護を受けるための要件が定められています。

1.事業者内部への通報を行おうとする場合

通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料すること

2.権限を有する行政機関への通報を行おうとする場合

以下(1)又は(2)のいずれかの要件を満たす場合

(1)通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由(※)があること

(※)単なる憶測や伝聞等ではなく、通報内容が真実であることを裏付ける証拠や関係者による信用性の高い供述など、相当の根拠が必要となります。

通報者が役員の場合は、個人の生命・身体、財産保護の急迫な危険がある場合を除き、当該役員が自ら調査・是正に必要な措置(調査是正措置)をとることに努めることも必要となります。

 

(2)通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料し、かつ、次の事項を記載した書面を提出すること

・通報者の氏名又は名称、住所又は居所

・通報対象事実の内容

・通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると思料する理由

・通報対象事実について法令に基づく措置その他適当な措置がとられるべきと思料する理由

(注)通報者が役員の場合は、(2)の保護要件の対象外となります。

 

3.その他の事業者外部への通報を行おうとする場合

通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があり、かつ、(1) ~(6)のいずれか1つに該当すること

(1)事業者内部(役務提供先等)又は行政機関に公益通報をすれば、解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由があること

(注)通報者が役員の場合は、当該役員が調査是正措置をとることに努めることも必要となります。

例:以前、同僚が内部通報したところ、それを理由として解雇された例がある場合

 

(2)事業者内部(役務提供先等)に公益通報をすれば、通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由があること

(注)通報者が役員の場合は、当該役員が調査是正措置をとることに努めることも必要となります。

例:事業者ぐるみで法令違反が行われている場合

 

(3)事業者内部(役務提供先等)に公益通報をすれば、役務提供先が通報者について知り得た事項を、通報者を特定させるものであると知りながら、正当な理由がなくて漏らすと信ずるに足りる相当の理由があること

(注)通報者が役員の場合は、当該保護要件の対象外となります。

例:以前、同僚が内部通報したところ、通報受付担当者が社内全員に通報者名を周知したことがあったが、適切な再発防止策がとられていない場合

 

(4)役務提供先から事業者内部(役務提供先等)又は行政機関に公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求されたこと

(注)通報者が役員の場合は、当該役員が調査是正措置をとることに努めることも必要となります。

例:誰にも言わないように上司から口止めされた場合

 

(5)書面により事業者内部(役務提供先等)に公益通報をした日から20日を経過しても、通報対象事実について、当該役務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該役務提供先等が正当な理由がなくて調査を行わないこと

(注)通報者が役員の場合は、当該保護要件の対象外となります。

例:勤務先に書面で通報して20日を経過しても何の連絡もない場合

 

(6)個人の生命もしくは身体に対する危害又は個人の財産(事業を行う場合におけるものを除く。)に対する損害(回復することができない損害又は著しく多数の個人における多額の損害であって、通報対象事実を直接の原因とするものに限る。)が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由があること

例:安全規制に違反して健康被害が発生する急迫した危険のある食品が消費者に販売されている場合

出典:「公益通報ハンドブック」(消費者庁)(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_220705_0001.pdf)

通報の際の注意事項は

公益通報の際には、他人の正当な利益(名誉、信用、プライバシーなど)や公共の利益を害することがないように注意する必要があります。

●公益通報の際、例えば、

・病院の患者の氏名や病歴など、第三者の個人情報

・通報内容とは関係のない事業者の営業の秘密

・国の安全に関わる情報

などが併せて通報された場合には、他人の正当な利益や公共の利益が害されることも考えられます。

●また、通報内容が真実でなかった場合に、報道や公表を通じて、広く知られてしまうと、個人や事業者が取り返しのつかない損害を受けてしまうこともあり得ます。

●このため、公益通報者保護法では、公益通報者に対し、「他人の正当な利益又は公共の利益を害することのないよう努めなければならない」としています。

 

出典:「公益通報ハンドブック」(消費者庁)(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_220705_0001.pdf)

通報を受けた事業者や行政機関に求められることは

事業者内部に通報があった場合

事業者は、窓口において公益通報を受け付け、必要な調査を実施し、是正に必要な措置をとらなければなりません。また、公益通報者が公益通報をしたことを理由に不利益な取扱いを受けていないかの確認や、書面により公益通報がなされた場合には是正措置等の通知をしなければなりません。

行政機関に通報があった場合

権限を有する行政機関は、公益通報を受けた場合には、必要な調査を行い、適切な措置をとらなければなりません。

通報が、誤って通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有しない行政機関に対してなされた場合には、その行政機関は正しい行政機関を通報者に教示しなければなりません。

 

出典:「公益通報ハンドブック」(消費者庁)(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_220705_0001.pdf)

 

お問い合わせ

公益通報者保護法については、消費者庁のホームページでも情報提供を行っていますので、ご利用ください。

消費者庁ウェブサイト(外部サイトリンク)