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通勤災害の認定基準 その2 (逸脱と中断)

印刷用ページを表示する掲載日2023年8月16日

1 通勤における逸脱と中断とは

 通勤遂行性を判断する際には、「逸脱」と「中断」も問題になります。

逸脱と中断

逸脱とは:通勤とは関係のない目的で、合理的な経路からそれること
中断とは:合理的な経路上において、通勤目的から離れた行為を行うこと

 

 2 逸脱・中断後の取扱い

 【原則】

 原則として、逸脱・中断の間及びその後の往復行為には通勤遂行性が認められず、逸脱・中断以降に発生した災害は、通勤災害に該当しません。
 【例外】

 1 日常生活上必要な行為 日常生活上必要な行為を行うための最小限度の逸脱・中断である場合には、合理的経路・方法に復した後は通勤災害の対象になります。(この場合でも、逸脱・中断の間は、通勤災害の対象にはなりません。)

 2 ささいな行為  経路上の店でタバコや雑誌等を購入する場合や駅構内でソバ等を立食する場合などの「ささいな行為」は、逸脱・中断に当たりません。 


 上記の関係を図示すると次のとおりです。

逸脱と中断後の取り扱い

区分

当該行為中

当該行為後

逸脱・中断に当たらない(ささいな行為)の場合

逸脱又は中断に該当するが、日常生活上必要な行為であって総務省令で定めるものに該当する場合

×

経路に復した後

逸脱又は中断に該当し、日常生活上必要な行為であって総務省令で定めるものに該当しない場合

×

×

 

日常生活上必要な行為の事例

 逸脱・中断に該当するものの、日常生活上必要な行為として経路に復した後は通勤とするものかどうかについての事例は、次のとおりです。

逸脱・中断後に経路に復した場合の取り扱い

経路に復した後は通勤とする事例

経路に復したとしても通勤とはしない事例

(1) 日用品の購入その他これに準ずる行為

○ 日用品の購入に該当する行為(次のものを購入する行為)
・ パン、米、酒類等の飲食料品
・ 家庭用薬品
・ 下着、ワイシャツ、背広、オーバー等の衣料品
・ 石油等の家庭用燃料品 
・ 身まわり品
・ 文房具、書籍等 
・ 電球、台所用品等 ・子どもの玩具

○ 日用品の購入に準ずる行為
・ 独身職員が通勤途中で食事をする場合
・ クリーニング店に立ち寄る場合
・ 理髪店、美容院に行く場合
・ テレビ、冷蔵庫等の修理を依頼しに行く場合
・ 税金、光熱水費等を支払いに行く場合
・ 市役所等に住民登録、戸籍抄本等を取りに行く場合
・ 単身赴任者が、帰省先住居と勤務場所間の移動又は帰省先住居と赴任先住居間の移動に際し、これらの移動に長時間要することにより、食堂で食事をする場合や自家用自動車内等で仮眠をとる場合

 

×次のものを購入する行為
・ 装飾品、宝石等の奢侈品
・ テレビ、冷蔵庫、ピアノ、自動車、机、たんす等の耐久消費財
・ スキー、ゴルフ等のスポーツ用品
×通勤途中で娯楽等のため麻雀、ゴルフ練習、ボーリング、料亭等での飲食等をする場合

×観劇等のため回り道する場合

×同僚の送別会に行く場合

×冠婚葬祭に行く場合

(2) 学校教育法第1条に規定する学校(※1)において行われる教育、職業能力開発促進法第15条の6第3項に規定する公共職業能力開発施設(※2)において行われる職業訓練その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の向上に資するものを受ける行為

(※1)中学校、高等学校、中等教育学校、大学、高等専門学校、特別支援学校
(※2)職業能力開発校、職業能力開発短期大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発職業能力開発促進センター、障害者職業能力開発校

○ 上記に準ずる教育訓練であって、職業能力の向上に資するもの
・ 学校教育法第124条に規定する専修学校における教育
・ 職業能力開発促進法第27条に規定する職業能力開発総合大学校における職業訓練
・ 学校教育法第134条に規定する各種学校における教育で、一般的に職業に必要な技術に関し1年以上の修業期間を定めて行われるもの
・ 上記のほか、教育訓練の内容及び形態がこれらに準ずると認められる教育訓練

×趣味又は娯楽のために教育訓練を受ける場合

 

(3)  病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為

○ 人工透析を受けるため病院等に立ち寄る行為
○ 接骨、あん摩、はり、きゅう等の施術を受けるために施術所に立ち寄る行為
○ 家族の見舞い等のため、病院等に立ち寄る行為

 

 (4) 選挙権の行使その他これに準ずる行為

・ 衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長等などの選挙の投票に行く行為
・ 最高裁判所裁判官国民審査法の規定による最高裁判所裁判官の審査の投票に行く行為
・ 地方自治法第76条、第80条又は第81条の規定による地方公共団体の議会の解散の請求、議員の解職の請求又は長の解職の請求の署名を行う行為又は投票に行く行為
・ 地方自治法第74条、第75条又は第86条の規定による条例の制定、改廃の請求、事務の監査の請求又は主要公務員の解職の請求の署名を行う行為

 

(5)  負傷、疾病又は老齢により2週間以上の期間にわたり日常生活を営むのに支障がある配偶者、子、父母、配偶者の父母及び次に掲げる者(イにあっては職員と同居している者に限る)の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)
ア 孫、祖父母及び兄弟姉妹
イ 職員との間において事実上子と同様の関係にあると認められる者及び職員又は配偶者との間において事実上父母と同様の関係にあると認められる者

・ 歩行が不可能であり、食事や着替えにも一部介助を必要とする母の介護を行うために、母と同居している姉の住む家に立ち寄る場合
・ 人に暴力をふるう、しばしば興奮して騒ぎ立てる等の状況にある祖父が、施設に一時的に入所したことから、介護を行うために当該施設に立ち寄る場合

 

×単に様子を見に行く場合

×通常介護を行っている者に代わって、たまたま介護を行う場合

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