通勤遂行性を判断する際には、「逸脱」と「中断」も問題になります。
逸脱とは:通勤とは関係のない目的で、合理的な経路からそれること |
---|
【原則】
原則として、逸脱・中断の間及びその後の往復行為には通勤遂行性が認められず、逸脱・中断以降に発生した災害は、通勤災害に該当しません。
【例外】
1 日常生活上必要な行為 日常生活上必要な行為を行うための最小限度の逸脱・中断である場合には、合理的経路・方法に復した後は通勤災害の対象になります。(この場合でも、逸脱・中断の間は、通勤災害の対象にはなりません。)
2 ささいな行為 経路上の店でタバコや雑誌等を購入する場合や駅構内でソバ等を立食する場合などの「ささいな行為」は、逸脱・中断に当たりません。
上記の関係を図示すると次のとおりです。
区分 |
当該行為中 |
当該行為後 |
---|---|---|
逸脱・中断に当たらない(ささいな行為)の場合 |
○ |
○ |
逸脱又は中断に該当するが、日常生活上必要な行為であって総務省令で定めるものに該当する場合 |
× |
○ 経路に復した後 |
逸脱又は中断に該当し、日常生活上必要な行為であって総務省令で定めるものに該当しない場合 |
× |
× |
逸脱・中断に該当するものの、日常生活上必要な行為として経路に復した後は通勤とするものかどうかについての事例は、次のとおりです。
経路に復した後は通勤とする事例 |
経路に復したとしても通勤とはしない事例 |
---|---|
(1) 日用品の購入その他これに準ずる行為 ○ 日用品の購入に該当する行為(次のものを購入する行為) ○ 日用品の購入に準ずる行為 |
×次のものを購入する行為 ×観劇等のため回り道する場合 ×同僚の送別会に行く場合 ×冠婚葬祭に行く場合 |
(2) 学校教育法第1条に規定する学校(※1)において行われる教育、職業能力開発促進法第15条の6第3項に規定する公共職業能力開発施設(※2)において行われる職業訓練その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の向上に資するものを受ける行為 (※1)中学校、高等学校、中等教育学校、大学、高等専門学校、特別支援学校 ○ 上記に準ずる教育訓練であって、職業能力の向上に資するもの |
×趣味又は娯楽のために教育訓練を受ける場合
|
(3) 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為 ○ 人工透析を受けるため病院等に立ち寄る行為 |
|
(4) 選挙権の行使その他これに準ずる行為 ・ 衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長等などの選挙の投票に行く行為 |
|
(5) 負傷、疾病又は老齢により2週間以上の期間にわたり日常生活を営むのに支障がある配偶者、子、父母、配偶者の父母及び次に掲げる者(イにあっては職員と同居している者に限る)の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。) ・ 歩行が不可能であり、食事や着替えにも一部介助を必要とする母の介護を行うために、母と同居している姉の住む家に立ち寄る場合 |
×単に様子を見に行く場合 ×通常介護を行っている者に代わって、たまたま介護を行う場合 |