給付は大別すると、「補償」と「福祉事業」の2つに分かれます。
「補償」は、無過失責任賠償責任に基づき、被災職員の受けた損害を定型的、定額的に補填する制度です。これに対して、「福祉事業」は、定型的な補償によっては充足されない損失について、被災職員の個々具体的な事情に応じ、補償に加えて付加的給付を行う制度とされています。
補償 | 福祉事業 |
---|---|
療養補償 | - |
休業補償 | 休業援護金 |
傷病補償年金 | |
介護補償 | 在宅介護を行う介護人の派遣に関する事業 |
補償 | 福祉事業 |
---|---|
リハビリテーションに関する事業 |
|
介護補償 | 在宅介護を行う介護人の派遣に関する事業 |
補償 | 福祉事業 |
---|---|
葬祭補償 | - |
補償 | 福祉事業 |
---|---|
- |
補償 | 福祉事業 |
---|---|
- |
※ 金額は令和5年4月1日現在のもので、改正される場合があります。
負傷又は疾病が治ゆするまでの間、必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を支給します。
療養の範囲は次に掲げるもので、療養上相当と認められるものです。
ア 診察
イ 薬剤又は治療材料の支給
ウ 処置、手術その他の治療
エ 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
オ 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
カ 移送(通院費など)
療養のため勤務できない場合で、給与を受けないとき支給します。
勤務できない期間について、1日当たり平均給与額の100分の60に相当する額を支給します。
休業補償を受ける者に対して、1日当たり平均給与額の100分の20に相当する額を支給します。
療養の開始後1年6か月を経過しても治ゆせず、障害の程度が地公災法施行規則別表第2に定める傷病等級に該当する場合、傷病等級に応じて年金を支給します。
傷病等級 | 年金額 |
---|---|
第1級 | 平均給与額に313を乗じて得た額 |
第2級 | 平均給与額に277を乗じて得た額 |
第3級 | 平均給与額に245を乗じて得た額 |
傷病補償年金の受給権者に対し、傷病等級に応じて一時金として支給します。
傷病等級 | 支給額 |
---|---|
第1級 | 114万円 |
第2級 | 107万円 |
第3級 | 100万円 |
傷病補償年金の受給権者に対し、原則として傷病補償年金の額に100分の20を乗じた額を年金として支給します。ただし、150万円に次に掲げる率を乗じた額を上限とします。
傷病等級 | 率 |
---|---|
第1級 | 365分の313 |
第2級 | 365分の277 |
第3級 | 365分の245 |
傷病等級第2級以上又は障害等級第2級以上の年金受給権者が、その障害により常時又は随時介護を要する状態(要件あり)で、現に介護を受けている場合に、介護に要する費用を支給します。
病院等に入院している場合には、支給されません。
区分 | 支給要件 | 支給月額 |
---|---|---|
常時介護 | 介護費用が月額77,890円超 | 介護費用実費(上限172,550円) |
介護費用が月額77,890円以下又は親族などによる介護 | 77,890円(支給事由発生月は,介護費用実費) | |
随時介護 | 介護費用が月額38,900円超 | 介護費用実費(上限86,280円) |
介護費用が月額38,900円以下又は親族などによる介護 | 38,900円(支給事由発生月は,介護費用実費) |
傷病補償年金の受給権者又は障害の程度が第3級以上の障害補償年金の受給権者に対し、介護人(ホームヘルパー)を派遣し、又はそれに必要な費用を支給します。
(一部負担金を求めます。)
治ゆ(症状固定)したとき、地公災法施行規則別表第3に定める程度の障害が残った場合、障害等級に応じて年金(第1級~第7級)又は一時金(第8級~第14級)を支給します。
障害等級 | 支給額(年金) | 障害等級 | 支給額(一時金) |
---|---|---|---|
第1級 | 平均給与額の313日分 | 第8級 | 平均給与額の503日分 |
第2級 | 平均給与額の277日分 | 第9級 | 平均給与額の391日分 |
第3級 | 平均給与額の245日分 | 第10級 | 平均給与額の302日分 |
第4級 | 平均給与額の213日分 | 第11級 | 平均給与額の223日分 |
第5級 | 平均給与額の184日分 | 第12級 | 平均給与額の156日分 |
第6級 | 平均給与額の156日分 | 第13級 | 平均給与額の101日分 |
第7級 | 平均給与額の131日分 | 第14級 | 平均給与額の56日分 |
障害補償年金の受給権者が死亡した場合には、既に支給された年金と障害補償年金前払一時金の額の合計額が次の表に定める額に満たない場合、遺族に対してその差額を支給します。
障害等級 | 支給額 |
---|---|
第1級 | 平均給与額の1,340日分 |
第2級 | 平均給与額の1,190日分 |
第3級 | 平均給与額の1,050日分 |
第4級 | 平均給与額の920日分 |
第5級 | 平均給与額の790日分 |
第6級 | 平均給与額の670日分 |
第7級 | 平均給与額の560日分 |
障害補償年金の受給権者が申し出た場合、障害補償年金差額一時金で定める支給額(限度額)を限度として、前払いで一時金を支給します。
申し出ることのできる金額は、限度額の範囲内で、平均給与額の1,200日分、1,000日分、800日分、600日分、400日分、200日分のいずれかです。
障害補償の受給権者に対し、障害等級に応じて一時金として支給します。
障害等級 | 支給額 | 障害等級 | 支給額 |
---|---|---|---|
第1級 | 342万円 | 第8級 | 65万円 |
第2級 | 320万円 | 第9級 | 50万円 |
第3級 | 300万円 | 第10級 | 39万円 |
第4級 | 264万円 | 第11級 | 29万円 |
第5級 | 225万円 | 第12級 | 20万円 |
第6級 | 192万円 | 第13級 | 14万円 |
第7級 | 159万円 | 第14級 | 8万円 |
障害補償の受給権者に対し、障害等級に応じて一時金として支給します。
障害等級 | 支給額 | 障害等級 | 支給額 |
---|---|---|---|
第1級 | 915万円 | 第8級 | 190万円 |
第2級 | 885万円 | 第9級 | 155万円 |
第3級 | 855万円 | 第10級 | 125万円 |
第4級 | 520万円 | 第11級 | 95万円 |
第5級 | 445万円 | 第12級 | 75万円 |
第6級 | 375万円 | 第13級 | 55万円 |
第7級 | 300万円 | 第14級 | 40万円 |
障害等級 | 支給額 | 障害等級 | 支給額 |
---|---|---|---|
第1級 | 342万円 | 第8級 | 65万円 |
第2級 | 320万円 | 第9級 | 50万円 |
第3級 | 300万円 | 第10級 | 39万円 |
第4級 | 264万円 | 第11級 | 29万円 |
第5級 | 225万円 | 第12級 | 20万円 |
第6級 | 192万円 | 第13級 | 14万円 |
第7級 | 159万円 | 第14級 | 8万円 |
障害補償の受給権者に対し、原則として障害補償(年金又は一時金)の額に100分の20を乗じた額を年金又は一時金として支給します。ただし、150万円に次に掲げる率を乗じた額を上限とします。
障害等級 | 率 | 障害等級 | 率 |
---|---|---|---|
第1級 | 365分の313 | 第8級 | 365分の503 |
第2級 | 365分の277 | 第9級 | 365分の391 |
第3級 | 365分の245 | 第10級 | 365分の302 |
第4級 | 365分の213 | 第11級 | 365分の223 |
第5級 | 365分の184 | 第12級 | 365分の156 |
第6級 | 365分の156 | 第13級 | 365分の101 |
第7級 | 365分の131 | 第14級 | 365分の56 |
障害補償年金差額一時金を受ける権利を有することとなった遺族等に対し、障害等級に応じて定率で支給されます。
被災職員が公務又は通勤により死亡した場合、死亡の当時被災職員の収入によって生計を維持していた受給資格者たる遺族に年金が支給されます。
年金額は、受給資格者の人数の区分に応じた額となっており、受給資格者のうちの最先順位にある遺族(受給権者)に対してのみ支給されます。
受給資格者 | 受給権者の順位 | ||
---|---|---|---|
祖父母 | 60歳以上の者 | 6位 | |
55歳以上60歳未満の者(特例遺族) | 11位 | ||
父母 | 60歳以上の者 | 養父母 | 3位 |
実父母 | 4位 | ||
55歳以上60歳未満の者(特例遺族) | 養父母 | 9位 | |
実父母 | 10位 | ||
兄弟姉妹 | 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者又は60歳以上の者 | 7位 | |
55歳以上60歳未満の者(特例遺族) | 12位 | ||
配偶者 | 妻又は60歳以上の夫 | 1位 | |
55歳以上60歳未満の夫(特例遺族) | 8位 | ||
子 | 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者 | 2位 | |
孫 | 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者 | 5位 |
(注)年齢は職員の死亡当時のもの。被災職員と生計維持関係のあった者に限る。
受給資格者の人数 | 支給額 | |
---|---|---|
1人 | (1) (2)の妻以外の者である場合 | 平均給与額の153日分 |
(2) 55歳以上の妻又は一定の障害の状態にある妻 | 平均給与額の175日分 | |
2人 | 平均給与額の201日分 | |
3人 | 平均給与額の223日分 | |
4人以上 | 平均給与額の245日分 |
被災職員が公務又は通勤により死亡した場合で、次のときには一時金が支給されます。
(1) 職員の死亡の当時、遺族補償年金の受給資格者がいないとき
・年齢制限により受給資格者になれない場合
・被災職員と生計維持関係にあった遺族がいない場合 など
(2) 遺族補償年金の支給開始後に受給資格者が失権し、他に受給資格者がなく、しかも既に支給された遺族補償年金(遺族補償年金前払一時金を含む)の額が、(1)により算定した一時金の額に満たないとき(差額が支給されます。)
受給資格者 | 受給権者の順位 | 支給額 | ||
---|---|---|---|---|
祖父母 | 生計維持関係のあった55歳未満の者 | 6位 | 1,000日分 | |
生計維持関係のなかった者 | 13位 | 1,000日分 | ||
父母 | 生計維持関係のあった55歳未満の者 | 養父母 | 3位 | 1,000日分 |
実父母 | 4位 | 1,000日分 | ||
生計維持関係のなかった者 | 養父母 | 10位 | 1,000日分 | |
実父母 | 11位 | 1,000日分 | ||
兄弟姉妹 | 生計維持関係のあった者で、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了し、かつ、55歳未満の者 | 7位 | 1,000日分 | |
生計維持関係のなかった者 | 14位 | 1,000日分 | ||
配偶者 | 生計維持関係のあった55歳未満の夫 | 1位 | 1,000日分 | |
生計維持関係のなかった者 | 1位 | 1,000日分 | ||
子 | 生計維持関係のあった者で、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した者 | 2位 | 1,000日分 | |
生計維持関係のなかった者 | 9位 | 1,000日分 | ||
孫 | 生計維持関係のあった者で、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した者 | 5位 | 1,000日分 | |
生計維持関係のなかった者 | 12位 | 1,000日分 | ||
その他主として生計維持関係のあった者 | 三親等内の親族(18歳未満又は55歳以上)※配偶者の父母、叔父叔母、甥、姪など | 8位 | 700日分 | |
その他の者 | 8位 | 400日分 |
(注) 年齢は職員の死亡当時のもの。支給額は、平均給与額の日数を表し、最先順位の者にのみ支給される。
遺族補償年金の受給権者が申し出た場合、前払いで一時金を支給します。
申し出ることのできる金額は、平均給与額の1,000日分、800日分、600日分、400日分、200日分のいずれかです。
補償の受給権者に対し、受給権者の区分に応じて一時金として支給します。
遺族補償の受給権者 | 支給額 |
---|---|
(1) 遺族補償年金の受給権者 | 300万円 |
(2) 遺族補償一時金の受給権者で、配偶者又は被災職員の生計によって生計を維持していた子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹 | 300万円 |
(3) 遺族補償一時金の受給権者のうち(1)、(2)以外の者で、主として被災職員の生計によって生計を維持していた次の者 ・死亡当時18歳未満又は55歳以上の三親等内の親族 ・障害等級第7級以上の障害に該当する三親等内の親族 |
210万円 |
(4) 遺族補償一時金の受給権者のうち、(1)、(2)、及び(3)に該当しない者 | 120万円 |
遺族補償の受給権者に対し、受給権者の区分に応じて一時金として支給します。
遺族補償の受給権者 | 公務災害 | 通勤災害 |
---|---|---|
遺族特別支給金の(1)に該当する者 | 1,735万円(1,795万円) | 1,115万円 |
遺族特別支給金の(2)に該当する者 | 1,735万円(1,795万円) | 1,115万円 |
遺族特別支給金の(3)に該当する者 | 1,215万円(1,255万円) | 780万円 |
遺族特別支給金の(4)に該当する者 | 695万円(720万円) | 445万円 |
※( )内の支給額は、令和4年7月1日~令和5年3月31日の間に支給事由が生じた場合における金額
○ 遺族特別給付金 【福祉事業】
遺族補償の受給権者に対し、原則として遺族補償年金又は遺族補償一時金の額に100分の20を乗じた額を年金又は一時金として支給します。
ただし、それぞれ150万円に次に掲げる率を乗じた額を上限とします。
受給権者の人数 | 年金額に対する率 | |
---|---|---|
1人 | (1) (2)の妻以外の者である場合 | 365分の153 |
(2) 55歳以上の妻又は一定の障害の状態にある妻 | 365分の175 | |
2人 | 365分の201 | |
3人 | 365分の223 | |
4人以上 | 365分の245 |
受給権者の人数 | 年金額に対する率 | |
---|---|---|
遺族特別支給金の(2)に該当する者 | 365分の1,000 | |
遺族特別支給金の(3)に該当する者 | 365分の700 | |
遺族特別支給金の(4)に該当する者 | 365分の400 |
○ 葬祭補償【補償】
葬儀を行う者に対し、315,000円に平均給与額の30日分に相当する額を加えた金額(その金額が平均給与額の60日分に満たないときは、平均給与額の60日分に相当する額)を支給します。
障害補償の対象となる程度の障害が残る者のうち、義肢装着のための断端部の再手術、義眼の装かん、局部神経症状の軽減のための処置、醜状軽減のための処置などが必要と認められる者に対し、指定する施設で現物給付の形で行い、又は処置に必要な費用を支給します。
障害補償の対象となる程度の障害が残る者に対し、義肢、装具その他基金が必要と認める補装具を支給します(一定の要件を満たす傷病補償年金の受給権者に支給されるものもあります。)。
障害補償の対象となる程度の障害が残る者のうち、社会復帰のために身体的機能の回復などの措置が必要であると認められるものに対し、原則として指定する施設で機能訓練などの訓練を行います。
障害補償の対象となる程度の障害が残る者のうち、外傷による脳の器質的損傷を受けた者、その他特定の傷病を有する者に対し、療養補償に準じた措置を行います。
なお、傷病ごとに措置の期間、診察・薬剤等の回数・種類などが定められています。
遺族補償年金等などの年金の受給権者で、平均給与額が16,000円以下の者のうち、次の(1)~(4)のいずれかに該当する者に対し、月額として支給します。
(1) 遺族補償年金の受給権者のうち、学校等に在学する者(以下「在学者等」)であって学資等の支弁が困難と認められるもの
(2) 遺族補償年金の受給権者のうち、被災職員の収入によって生計を維持していた子(婚姻をしている者などを除く。)である在学者等と生計を同じくしている者で、その在学者等に係る学資等の支弁が困難と認められるもの
(3) 障害等級が第1級から第3級までの障害補償年金の受給権者のうち、在学者等であって学資等の支弁が困難と認められるもの
(4) 傷病補償年金又は障害等級が第1級から第3級までの障害補償年金の受給権者のうち、在学者等である子(婚姻をしている者などを除く。)と生計を同じくしている者で、その在学者等に係る学資等の支弁が困難と認められるもの
在学者等の区分 | 支給月額 |
---|---|
小学校、特別支援学校の小学部の在学者 | 14,000円 |
中学校、特別支援学校の中学部の在学者など | 18,000円 |
高等学校、特別支援学校の高等部、高等専門学校の第1~3学年、専修学校の高等課程等の在学者、公共職業能力開発施設において中学校を卒業した者等を対象とする普通職業訓練等を受ける者など | 18,000円 |
大学、高等専門学校の第4~5学年・専攻科、専修学校の専門課程の在学者、公共職業能力開発施設において職業訓練(上記を除く)を受ける者、職業能力開発総合大学校において職業訓練を受ける者 | 39,000円 |
遺族補償年金等などの年金の受給権者(※)で、平均給与額が16,000円以下の者のうち、就労のため保育所・幼稚園等に預けられている未就学の児童の保育に係る費用を援護する必要があると認められる者に対して支給されます。
※ 支給対象者の範囲は、奨学援護金の支給対象者と同様です。
支給額は、保育所等に預けられている者1人につき月額12,000円です。
傷病補償年金又は障害補償年金の第1級の受給権者のうち、せき髄その他神経系統の機能や精神の著しい障害又は胸腹部臓器の機能の著しい障害により常時介護を要する者が、年金の支給開始事由が生じた日の翌日から10年経過した後に死亡した場合、一定の要件を満たす遺族に対し100万円を支給します。ただし、死亡原因が遺族補償の対象となる場合には支給されません。
船員の傷病が治ゆした後、勤務できない場合で給与を受けないときに支給されます。
○ 行方不明補償 【補償】
船員が公務上行方不明になったときに支給されます。