公務災害の認定については,「公務上の災害の認定基準について」(平成15年9月24日地基補第153号理事長通知)により基準が定められています。
この基準は,公務上の災害(=公務災害)と認められるものを整理して示したものであり,「公務と相当因果関係をもって発生したことが明らかな災害」を公務上の災害とすることとしています。
災害の発生原因のうち,公務が他の原因に比較して相対的に有力な原因であると認められることをいい,言い換えれば,公務に内在している危険が現実化したものであることが経験則上認められることをいいます。 |
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認定に当たっては,「公務遂行性」と「公務起因性」により判断することとしており,その概要は次のとおりです。負傷と疾病とでは,考え方が若干異なっています。
【公務上の負傷】
~公務遂行性~ 職務遂行中に任命権者の支配管理下で被災したこと
~公務起因性~ 故意や素因・基礎疾患など否定される要素がないこと
【公務上の疾病】
~公務遂行性~ 職務遂行にともない有害因子にさらされたこと
~公務起因性~ 他の危険因子にくらべ職務遂行が有力な原因で発症したこと
公務遂行性と公務起因性のいずれもが認められる場合に,公務災害と認定されます。
認定通知では,次のようにお知らせします。
・ 公務災害に当たる場合 → 公務上の災害と認定
・ 公務災害に当たらない場合 → 公務外の災害と認定
職務遂行中のアクシデント(激突,転倒,接触など)と「負傷」との因果関係については,外見上明らかな場合がほとんどなので,認定に当たっては,公務遂行性の有無の判断が主として問題になります。
次のような場合には,職務遂行中の負傷であっても公務起因性が否定され,公務外の負傷になります。
次の例は,公務に通常内在する危険が現実化したものとはみなされないため,公務起因性が否定されます。 ○ 被災職員の故意又は素因による場合 |
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なお,公務上の負傷と認められるケースは,次のように分類されています。
○ 法令又は権限のある上司の命令により,割り当てられた職務に従事している場合
○ 地方公務員法(地公法)第39条の規定による研修を受けている場合
○ 地公法第42条の規定による,職員の保健のための健康診断を受けている場合
○ 業務待機中の行為(社会通念上妥当と認められる範囲のもの)
○ 生理的必要行為(用便,飲水のための構内通行行為など)
○ 公務達成のための善意行為(公務遂行上の必要性が認められるもの)
○ 食事に行く行為(食事行為のため必要と認められる範囲の食堂などへの往復行為)
○ 医療機関へ行く行為(緊急の治療のため,所属長の了解・指示を得た場合)
勤務の始め又は終わりにおいて行う,職務遂行に必要な次のような行為
→ 更衣,機械器具の点検・整備・格納,作業環境の整備,清掃など
勤務場所において負傷し,又は疾病にかかった職員を救助する行為
非常災害時において,勤務場所又はその附属施設(公務運営上の必要により,入居が義務付けられている宿舎を含む。)を防護する行為(消火活動など)
出張又は赴任の期間中の次の行為
→ 用務,用務に付随する行為,旅行,宿泊施設内における通常の宿泊行為
ただし,次の場合を除きます。
・合理的経路又は合理的方法によらない順路にある場合
・恣意的行為を行っている場合
・出張期間が長期(おおむね1か月)にわたる場合において宿泊施設内にあるとき,又は宿泊施設と勤務場所との間の往復の途上にあるとき
任命権者の支配拘束下にあると認められる通勤など,特殊な事情の下にある次のような通勤(合理的な経路・方法によらない場合及び遅刻・早退の場合を除く。)
○ 緊急用務のため出勤することを命じられた場合の出勤・退勤の途上
○ 午後10時から翌日の午前7時30分までの間に開始する勤務に就くことを命じられた場合の出勤の途上
○ 午後10時から翌日の午前5時までの間に勤務が終了した場合の退勤の途上
○ 引き続いて24時間以上となった勤務が終了した場合の退勤の途上
○ 勤務を要しない日に特に勤務を命じられた場合の出勤・退勤の途上 など
地公法第42条の規定に基づき,任命権者が形式的にも実質的にも計画・実施したレクリエーション(「レクリエーションに参加中の職員が受けた災害の公務上外の認定について」(昭和48年11月26日地基補第542号)に該当するものに限る。)
1~6のほか,勤務場所・附属施設の設備の不完全や管理上の不注意により生じた負傷
(勤務開始前,勤務終了後,休憩時間中に構内で行動している場合の事故など)
職務遂行に伴う怨恨により,第三者から加害を受けて発生した負傷(私的怨恨によるもの,職員に挑発行為があった場 合などを除く。)
○ 公務上の負傷又は疾病と相当因果関係をもって発生した負傷
○ その他公務と相当因果関係をもって発生したことが明らかな負傷