熱中症は、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなったり、体の水分や塩分のバランスが崩れたりすることで起こる障害の総称です。症状としては、めまい、頭痛、けいれん、意識障害などがあります。
場合によっては死に至る恐れもありますが、適切な予防方法を知っていれば防ぐことができます。
熱中症で救急搬送される患者も近年は広島県内で毎年1,000人を超えており(図1)、熱中症患者数が急激に増えるとされる暑さ指数が28を超えた日数が多い年は救急搬送者数が多い傾向にあります。(図1)
(気象庁と消防庁のデータからひろしま気候変動適応センター作成)
図1 広島県内における熱中症による救急搬送者数
図2は、2023年7月と9月の日最高気温と熱中症による救急搬送者数の関係を示したものです。35℃付近の救急搬送者数を見ると、9月は10人程度であるのに対し、7月は40人程度と多くなっています。これは、7月は、まだ体が暑さに慣れていないためだと考えられます。暑い日が続くと、体が暑さに慣れ(暑熱順化)、暑さに強くなっていきます。また、適度な運動や入浴などによって、体温を上げ、汗をかくことで、暑熱順化は促進されるとされています。
(気象庁と消防庁のデータからひろしま気候変動適応センター作成)
図2 熱中症による救急搬送者数と気温
2004年度から2015年度まで国立環境研究所が実施した調査によると、広島市内で救急搬送された熱中症患者数は、10年あたり約230人のペースで増加しています(図3)。
日最高気温が29℃程度から患者の発生に増加傾向が見られ、31℃、32℃を超えると急激に増加する様子が観察されています(図4)。
広島市の真夏日(日最高気温30℃以上)日数は増加傾向にあり(詳しくはこちら)、今後さらに熱中症患者数が増加する可能性があります。
(熱中症患者速報 平成27年報告書、国立環境研究所のデータからひろしま気候変動適応センター作成)
図3 広島市の熱中症患者数の経年変化
(熱中症患者速報 平成27年報告書、国立環境研究所のデータからひろしま気候変動適応センター作成)
図4 広島市の日別熱中症患者発生状況
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