近年、「暑さのため牛乳生産量が減少した」、「鶏卵の殻が柔らかくなった」といったニュースが聞かれます。人と同様に、牛、豚、ニワトリなどにも、暑さによる食欲低下、さらには熱中症が発生します。
家畜が暑さを感じ始める気温は、牛は約19℃、豚は約22℃、ニワトリは約26℃です。
特に乳牛の代表的品種のホルスタイン種(白黒の牛)は、冷涼なヨーロッパ原産のため暑さに弱いといわれています。
暑さでエサを食べる量が減少すると、栄養が不足し、繁殖能力や成長速度が鈍化します。さらに、乳牛では乳量減少や乳成分(乳脂肪など)の低下、ニワトリでは産卵数の減少、卵殻の品質低下(殻が柔らかく販売できない)などが発生します。
この中で、特に繁殖能力の低下は、乳牛では妊娠→出産→牛乳生産のサイクルに影響するので、安定した牛乳と乳加工品の生産が難しくなります。
また、豚では妊娠確率と出産頭数が減ることにより、出荷頭数が減少するため、畜産物の生産への影響が数か月に及ぶことがあります。

ミスト付送風機で涼む牛
夏季の気温の上昇に伴い、少しでも家畜が快適に過ごせるよう、畜産農家は暑さ対策を進めています。例えば、畜舎内への換気扇、送風機、ミスト発生装置の設置や、畜舎屋根への散水、白色塗装など様々な方法が導入され、これらは畜舎内の作業者への熱中症対策にも繋がっています。
その他、日本特有の暑い気候に順応できるような牛への品種改良、暑い時期でも快適に食べられるエサの研究開発など、様々な取り組みが進められています。
畜産物は、私たちの健康維持や豊かな食生活のために重要な食品です。畜産物の安定供給のため、今後、さらなる暑さ対策が必要です。

畜舎屋根の白色塗装