2月定例県議会の開会に当たり、県政運営の基本的な考え方や来年度における施策の概要等を申し上げた上で、ただいま提出いたしました令和2年度当初予算案を始めとする議案等の概要を御説明いたします。
まず、新型コロナウイルス感染症への対応についてでございます。
中国国内で感染者が日ごとに増加し、日本国内でも先月16日に初めて感染者が確認されて以降、感染経路が判明しない感染例が確認されるなど、県内で、いつ感染者が発生してもおかしくない状況だと考えております。
このため、本県では、先月29日に、特別警戒本部を設置し、国や関係機関とも連携の上、万全を期して対応しているところであり、引き続き、県民の皆様の安全・安心を最優先に、必要な対策を躊躇なく実施するとともに、万が一、県内で感染が発見された場合には全力で感染の拡大を抑えるとともに、感染者の重症化防止に取り組んでまいります。
次に、日鉄日新製鋼株式会社呉製鉄所の全設備休止についてでございます。
呉製鉄所には関連企業も含めて多数の従業員が勤務しており、休止により地域経済や雇用に与える影響は極めて深刻でございます。
このため、県では、呉市や国などの関係機関をメンバーとした合同緊急対策本部を今月10日に設置し、情報共有や役割分担、相談窓口の設置などを確認いたしました。
さらに、17日には、私自身が呉市長と共に、日本製鉄株式会社に対して、地域経済や市民生活に最大限配慮いただくこと、また、国に対して、最大限の支援を行っていただくことを要望いたしました。
引き続き、関係機関としっかりと連携し、可能なことから順次取り組んでまいります。
次に、暖冬への対応についてでございます。
この度の記録的な暖冬により、スキー場やその周辺の観光関連産業をはじめとする中小企業への影響が懸念されております。
このため、今月3日から預託融資制度による緊急の金融支援を実施しており、引き続き状況を注視し、適切な対応を図ってまいります。
次に、経済・雇用の情勢について御報告いたします。
県内の景気は、復旧・復興需要がみられる中で、公共投資は増加しておりますが、生産や輸出の一部に弱めの動きがみられるなど、幾分ペースを鈍化させつつも、基調としては緩やかに拡大しております。
一方、世界各地での通商問題を巡る動向、新型コロナウイルスの感染拡大、呉製鉄所の休止など、新たなリスクが経済に与える影響を注視するとともに、必要な対策を迅速に実施してまいりたいと考えております。
次に、令和2年度の政策の基本方向について申し上げます。
来年度は、引き続き、平成30年7月豪雨災害からの一日も早い復旧・復興に向け、「創造的復興による新たな広島県づくり」に最優先で取り組んでまいります。
また、「ひろしま未来チャレンジビジョン」の最終年となることから、「欲張りなライフスタイルの実現」に向けて、経済成長や人材の育成など、これまでの取組によって現れてきた成果や、新たに育ちつつある成長の芽を県民の皆様に実感いただけるよう、更なる成果の獲得に向けて取り組んでまいります。
平成30年7月豪雨災害から、1年7か月が経過いたしましたが、この間、「復旧・復興プラン」に基づき、被災者の方々の生活再建や県内企業等の経済活動の再生への支援、公共土木施設等の早期復旧などに全力で取り組んでまいりました。
昨年10月のJR芸備線の全線再開により、県内鉄道網が全て復旧し、道路網につきましても、県民生活等を支える重要な路線から順次復旧を行い、ピーク時には345区間あった全面通行止め区間が先月末時点で19区間となるほか、豪雨災害の影響で減少した観光需要も宿泊客数が前年から増加しております。
その一方で、被災から1年を迎えるに当たり実施した健康調査の結果では、依然として、多くの被災者の方が心理的ストレスを感じ、専門的なケアを必要とされており、引き続き、地域支え合いセンターを中心に、被災者に寄り添った支援を行ってまいります。
また、被災したインフラの災害復旧については、一定程度進んできておりますが、人手不足などにより、依然として入札の不調・不落が高い割合で発生するなど、事業進捗に遅れが出てきていることから、地域の実情に応じた必要な対策を講じながら、引き続き、工事の早期完成に取り組んでまいります。
加えて、県民の皆様一人ひとりが適切に判断し、早期に避難していただくため、研究チームで避難行動の調査分析を進めてまいりました。
この結果を踏まえて、改めて、「自助」「共助」「公助」にわたる、より効果の高い被害防止策を実施し、来年度は、「広島県『みんなで減災』県民総ぐるみ運動」をより強力に展開してまいります。
「欲張りなライフスタイルの実現」に向けては、これまで取り組んできた施策を着実に進めるとともに、新たな社会環境の変化にも的確に対応してまいりたいと考えております。
とりわけ、新たな潮流として、急速に開発が進むデジタル化社会の到来に向けて、先端技術やビッグデータを活用して様々な社会課題の解決と経済発展の両立を図るデジタルトランスフォーメーションを推進してまいります。
また、グローバル化が一層進展する中、増加が見込まれる外国人の円滑な受入れと定着に向けて、就労環境と生活環境の両面から総合的に支援することで、外国人が企業で活躍でき、住みやすい、外国人から選ばれる広島県を目指してまいります。
続いて、この基本方向に基づき編成いたしました令和2年度の主要施策の概要について、御説明いたします。
まず、政策の基本方向の第一、「創造的復興による新たな広島県づくり」に向けた取組でございます。
はじめに、「安心を共に支え合う暮らしの創生」についてでございます。
被災された方々の住まいの状況につきましては、応急仮設住宅や公営住宅等の入居世帯数が、先月末時点で422世帯とピーク時の約3割まで減少している一方、費用や環境変化への戸惑いから、自宅再建に向けて、未だ意思決定されていない方もおられます。
また、災害関連事業の進捗により住宅再建が遅れる地域等につきまして、2年間となっている応急仮設住宅の供与期間の延長が昨年12月末に国から認められたところであり、今後、延長が必要な方々の手続きを進めてまいります。
引き続き、市町と連携して早期の住宅再建を支援してまいります。
災害廃棄物の処理につきましては、昨年12月末時点の進捗は93パーセントとなっており、着実に進んでおります。
引き続き、残りの廃棄物についても、処理を進め、所有者の意向により、家屋解体などが本年4月以降となるものを除き、来月末までに全ての処理を完了し、県内に20箇所あった二次仮置場の全てが解消する見通しであります。
次に、「将来に向けた強靭なインフラの創生」についてでございます。
公共土木施設につきましては、平成30年7月豪雨災害からの早期の復旧・復興を最優先として各種事業に取り組んでおります。
まず、災害復旧事業では、先月末時点で全2,550箇所のうち、1,710箇所の工事に着手し、このうち634箇所の工事が完成しております。
砂防ダム等の災害関連緊急事業では、本県が実施する170箇所のうち、先月末時点で136箇所の工事に着手しており、このうち15箇所が完成しております。
これらの工事につきましては、技術者の兼務制限の緩和や復興係数・復興歩掛の導入など受注環境の整備を図ってまいりました。
一方で、被災箇所の多い地域において、依然として不調・不落が高い割合で発生していることに加え、全国的に頻発している災害による人手不足などから、労働者の最適な配置が困難なため工期が延伸となるケースが増加するなど、一部の工事に遅れが生じているところでございます。
このため、災害復旧事業につきましては、発災から3か年にあたる来年度中の復旧完了を目標に事業を進めてまいりましたが、このままの状況で今後も推移していくと、全体の約2割にあたる箇所の工事の完成が令和3年度にずれ込む見通しであります。
また、災害関連緊急事業につきましては、本年6月末までに約4割の完成、全体では来年度末までの完成を目指し取り組んでおります。
砂防ダム本体の完成が出水期以降となる箇所につきましても、それまでにできるだけ砂防ダムの整備の進捗を図るなど、少しでも安全度の向上を図るよう努めてまいります。
引き続き、これらの災害関連工事について、地域ごとに異なる事業執行上の課題を整理した上で、県・市町連携のもと、県全体として効率的な執行となるよう必要な対策を講じながら、少しでも早く工事が完成するよう不断の取組を進めてまいります。
また、安全・安心に暮らせる持続可能なまちづくりの実現に向けて、都市計画制度運用方針に基づき、災害リスクが低く利便性が高いエリアへの居住誘導を図る取組を市町と連携して進めてまいります。
ため池の総合対策につきましては、適切な管理と補強、廃止などの対策を推進する上で重要となる、「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」に基づく届出の提出を、市町と協力して所有者等に働きかけ、期限である昨年末までに提出いただいたのは約半数の10,000箇所でございました。
未提出のため池につきましては、再度、所有者等へ提出を要請するとともに、所有者等が不明な場合には、市町や地元関係者と連携しながら確認を進めてまいります。
また、届出により把握した利用や管理の実態を踏まえ、適切な日常管理を行っていただくよう、市町と連携して管理者等に啓発していくとともに、持続的な管理につながる仕組みづくりを検討してまいります。
さらに、事業進捗に遅れが生じておりますため池の廃止につきましては、工事に着手するまでの安全を確保するため、管理者等に水が溜まらないようにしていただいた上で、できるだけ速やかに廃止工事に着手できるよう入札の不調・不落等への対策も講じてまいります。
引き続き、被災された住民の皆様の一日も早い日常の回復が図られるよう、公共土木施設等の早期復旧に全力で取り組むとともに、再度災害防止の観点から、県土の強靭化に計画的に取り組んでまいります。
次に、「未来に挑戦する産業基盤の創生」についてでございます。
被災企業の速やかな再生に向けた支援につきましては、各種支援制度を活用し、これまでに2,818者に対し支援を行っております。
残る一者についても、引き続き支援を行い、被災企業の復旧・復興を推進してまいります。
農地・農業用施設の復旧につきましては、全4,924箇所のうち、先月末時点で1,845箇所の工事に着手しており、このうち759箇所の工事が完成しているところでございます。
市町が行う復旧工事が計画的に進むよう、復旧工法の指導や工事内容の審査など、国の計画変更審査の年度内完了に向けて、国と連携して積極的な支援を行っておりますが、今後、工事が本格化することから、被災箇所が多い市町におきましては、工事の完成が令和3年度にずれ込むとの見通しを示されております。
県といたしましても、市町と連携した発注ロットの調整や、現場条件に応じた必要な経費の計上など、市町が行う復旧工事が一日でも早く完了するよう力強く支援し、早期の生産活動の再開につなげてまいります。
次に「新たな防災対策を支える人の創生」についてでございます。
県民の皆様に適切な避難行動をとっていただくため、避難行動等に関する研究の調査・分析結果を踏まえ、「みんなで減災」県民総ぐるみ運動の取組を強化してまいります。
県内の小学校の全ての児童や、自主防災組織の活動に取り組む地域住民等を対象に、あらかじめ自分と家族の避難のタイミングを決めておく「ひろしまマイ・タイムライン」の作成による防災意識の醸成に取り組むほか、バーチャルリアリティを活用した土砂災害の疑似体験の実施、避難行動につながる避難所環境等の整備に向けた検討、自主防災組織による避難の呼びかけ体制構築の加速などに取り組んでまいります。
また、平成30年7月豪雨災害の県の初動・応急対応の検証の結果を踏まえ、警察やSNSから被害情報をリアルタイムで収集・共有するシステムの整備や、危機管理センターの機能拡充により、災害に迅速かつ的確に対応できるよう取り組んでまいります。
これらの取組を含めて、「自助」「共助」「公助」にわたる、より効果の高い被害防止策を実施し、災害に強い広島県の実現を目指します。
次に、政策の基本方向の第二、「欲張りなライフスタイルの実現」に向けた取組でございます。
はじめに、「デジタルトランスフォーメーションの推進」についてでございます。
本県では、昨年7月に「デジタルトランスフォーメーション推進本部」を立ち上げたところであり、3つの柱立てで取組を進めてまいります。
1つ目の柱、「仕事・暮らしのデジタル化」では、産業、医療、教育、子育てなど、仕事や暮らしにおける様々な分野において、行政や民間事業者など多様な主体が連携・協力し、デジタル技術を活用して、社会課題の解決を図っていくことを推進してまいります。
具体的には、ICTを活用した探究的な学習活動の充実やAIを活用した子供の育ちに関するリスク予測・予防的支援など、様々な分野でデジタル技術を活用して施策を推進してまいります。
また、官民が一丸となってデジタルトランスフォーメーションを推進するため、県、市町、民間企業、各種団体などで構成する協議会を設置し、機運醸成を図るとともに、多様な主体が交流し、社会課題の解決に向けて議論する場の設定や人材育成に取り組んでまいります。
2つ目の柱、「地域社会におけるデジタル化」では、県内のどこに住んでいても安心して、快適で便利に、夢と希望を持って暮らすことができるように、デジタル技術を活用して、中山間地域が抱える様々な課題の解決や、都市の機能・サービスの効率化・高度化を図る取組を市町と連携して進めてまいります。
具体的には、中山間地域に対する集中的な支援や、市町職員の人材育成、相談機能の強化など、市町がデジタル技術を活用して地域課題の解決を図る取組を支援してまいります。
3つ目の柱、「行政のデジタル化」では、インフラの整備・維持管理、防災・減災、警察や水道などの行政手続きや行政サービスにおいて、デジタル化・オンライン化を推進し、県民の皆様の利便性の向上を図るとともに、業務の効率化を進めることにより、職員がこれまでにない新たな施策を生み出すことができる環境を整え、より質の高い行政サービスを提供してまいります。
具体的には、行政が保有しているデータのオープン化を計画的に進めるとともに、デジタル技術を活用したインフラマネジメントの検討や、総合技術研究所においてデジタル技術を活用した技術支援機能の強化などを図ってまいります。
これら3本の柱でデジタルトランスフォーメーションを推進することにより、全ての県民・事業者の皆様がデジタル技術の恩恵を受けて、より便利で快適に、豊かになれる「スーパー・スマート広島県」の実現を目指してまいります。
次に、「社会で活躍する人材の育成」についてでございます。
平成30年度から全県展開を推進している学びの変革につきましては、小中学校段階の児童生徒一人ひとりに対して、それぞれの学習進度、能力、関心等に応じた学習内容を提供する「個別最適な学び」を実現するため、来年度から新たに、県内3地域程度において、効果的なカリキュラムや先端技術等の活用等について実証研究を行ってまいります。
この研究の成果を県全体に普及させることを通して、本県が目指す「学びの変革」を加速させてまいりたいと考えております。
また、デジタル化の急速な進展を踏まえて、学校におけるICT環境を整備して探究的な学習活動を充実する必要があると考えております。
このため、県立学校における高速大容量のネットワーク環境を整備するほか、一部の県立学校において、新入生から、保護者負担による一人一台の生徒用パソコン等を導入し、各教室に設置するプロジェクタ等を整備してまいります。
あわせて、経済的に困難な家庭に対しましては、生徒用パソコン等の購入費用等を給付する制度を創設いたします。
学びのセーフティネットの構築につきましては、家庭の経済的事情等に関わらず、全ての子供の能力と可能性を最大限高めることができるよう、小学校低学年からの学習のつまずきの要因・背景を把握するための、新たな学力調査の研究開発を進めており、本年度の先行調査を踏まえ、来年度、本調査となる「学びの基盤に関する調査」を実施いたします。
県立広島大学につきましては、学生がより柔軟に幅広い分野を学べるよう、本年4月より、学部・学科等の再編を行い、地域創生に貢献できる人材の育成に取り組んでまいります。
また、来年4月の開学を目指す叡啓(えいけい)大学につきましては、県内外からの入学者の確保に向けて、ホームページ等でのPRに加え、教員予定者と直接対話できる説明会や模擬授業を通じ、大学の教育に触れていただくとともに、設置認可に係る文部科学省との調整や入学者選抜の実施など、開学に向けた準備を着実に進めてまいります。
次に、「子供の健やかな育ちを支える環境の充実」についてでございます。
先を見通すことが難しい時代を迎える中、こうした厳しい時代を生きていく子供たちが、社会の宝として健やかに成長していくことは、県民の皆様全ての願いであり、子供たちを社会全体で育んでいくため、来月末を目途として「ひろしま子供の未来応援プラン」の策定を進めているところでございます。
今後、県議会の皆様の御意見も踏まえながら策定を進め、県民の皆様と一緒になって、全ての子供たちが健やかに夢を育むことのできる社会の実現を目指してまいりたいと考えております。
ひろしま版ネウボラの構築につきましては、今年度、これまでの取組による成果や課題、利用者評価などを踏まえ、あるべき機能や体制などいわゆる基本型を整理いたしました。
来年度は、ネウボラの導入に取り組む市町に対して、財政支援や課題解決のためのアドバイザー派遣等を新たに実施するとともに、子育て家庭との信頼関係を一層高めるための取組、利用者との面談を適切に行うための情報の一元管理とデジタル化、また、専門職員の資質向上を図るための研修や子育て経験者等の活用による人材の確保・育成など、今後の全県展開に向けて取組を加速してまいります。
子供の育ちに関わるリスクを早期に把握し、予防的支援を行うことにより、問題を未然に防止する子供の予防的支援構築事業につきましては、今年度から府中町をモデルに、行政の保有する情報を、AIを活用して分析・予測する仕組みの検討を進めております。
来年度は、AIによる予測結果を参考に専門職員で支援の必要性を判断し、最適な予防的支援を行う仕組みの構築に向けた実証試験をスタートさせるとともに、地域特性なども検証するためにモデル市町を増やして取組を進めてまいります。
次に、「第4次産業革命を好機とした生産性革命」についてでございます。
AI、IoT等のデジタル技術を活用した実証実験「ひろしまサンドボックス」につきましては、現在進めている9件の実証実験や県内企業等の新たなチャレンジをサポートする、これまでの取組により、「ひろしまサンドボックス推進協議会」に県内外から900者を超える方々に参加いただいております。
来年度は、この協議会がより活性化していくため、首都圏スタートアップ企業とのマッチング支援の実施など、会員のメリットを一層拡充していくとともに、これらの取組を広く発信し共有することにより、県内外の多様な企業や人材が集積する好循環を作り出してまいります。
次に、「中小企業・小規模企業の持続的な成長への支援」についてでございます。
中小企業等につきましては、「広島県中小企業・小規模企業振興条例」を踏まえ、経営基盤の強化や付加価値の創造に向けた総合的な支援を実施しております。
とりわけ経営者の高齢化により喫緊の課題となっている事業承継については、「広島県事業承継ネットワーク」を構成する機関が連携し、引き続き専門家派遣などに取り組むとともに、国の集中支援に呼応した預託融資制度の拡充等により、更なる後押しをしてまいります。
また、総合技術研究所において、デジタル分野の技術を有する人材を継続的に育成するなど、デジタル技術を活用して、中小企業等が抱える課題に対応する基盤技術を整備することにより、技術支援機能の強化を図ってまいります。
次に、「成長産業の柱の一つとなる観光産業」についてでございます。
平成30年は豪雨災害等の影響を受けて減少したものの、昨年は、国内外からの宿泊客数がいずれも前年から増加し、全国の伸び率を上回って推移するなど、本県の観光産業は成長傾向を維持してきたところでございます。
こうした中、年間460万人を超える観光客が訪れる宮島の玄関口である宮島口地区で進めてきた新たな旅客ターミナルの整備が完了し、今月29日に供用開始いたします。
引き続き、廿日市市や民間事業者において整備が進められている周辺施設と一体となって観光振興に取り組んでまいります。
また、来年度は、「せとうち広島デスティネーションキャンペーン」「サイクリングしまなみ2020」の開催に加え、スマートフォンによる情報収集や宿泊予約が一般化してきた外国人観光客に向けて、ターゲットの求める情報を効果的かつ効率的に発信することができるデジタルマーケティングの手法を取り入れたプロモーション等に取り組んでまいります。
併せて、より効果的、効率的な体制で観光施策を実施していくため、県域の観光推進体制を見直す必要があると考えております。
このため、本年4月からは、これまで県で取り組んできた観光施策の多くの部分を観光連盟に移管することを予定しており、今後、県は基本計画の策定等を行い、観光連盟は基本計画に基づき観光施策を一元的に実施することで、本県の観光産業のより一層の成長を実現してまいります。
次に、「担い手が生活設計を描ける農林水産業の確立」についてでございます。
担い手が生活設計を描ける収益性の高い経営を確立するため、生産性の向上が見込まれる環境制御技術の導入に向けて、今年度から実証試験に取り組んでいるトマトに加えて、きゅうり、レモンの試験に取り組んでまいります。
併せて、既に環境制御技術を導入している先進経営体へ専門家を派遣することにより、更なる生産性の向上を図ってまいります。
さらに、レモンにおいては、平坦地での生産拡大を進めていくため、水田での寒波対策や排水対策の実証試験を行うとともに、寒波被害を回避できる栽培適地を、デジタル技術を活用した気象予測に基づいてマッピングし、経営体の規模拡大に活用してまいります。
また、地域で長年培われた特別な生産方法等で高い品質や評価を得た農林水産物を知的財産として国が保護する地理的表示保護制度に、昨年9月、県内で初めて、庄原市の「比婆牛」、呉市の「豊島タチウオ」、12月に、廿日市市の「大野あさり」が登録されたことから、県といたしましても、こうした動きを契機として、県産農林水産物の一層の生産拡大やブランド化に取り組んでまいります。
次に、「中山間地域の地域力強化」についてでございます。
まず、「人づくり」につきましては、地域づくりをリードする人材のプラットフォームである「ひろしま里山・チーム500」へ343人の登録を得て、地域課題の解決に向けた成長の芽が着実に育ちつつあり、来年度は、新たに登録者と支援者が広くつながっていくためのウェブサイトを構築するなど、地域づくりリーダーの活動継続を積極的かつ効率的に後押ししてまいります。
「仕事づくり」につきましては、市町と一体となった中山間地域へのサテライトオフィスの誘致に加えて、人材不足などの課題を抱える中小企業が、外部人材を活用して、自社の経営課題に継続的に取り組んでいくための意識啓発を図り、人材活用の新たな仕組みづくりにつなげてまいります。
また、急速に生息域が拡大しているニホンジカによる林業被害の拡大抑制と防止を図るため、5つのモデル地区において、低コストで普及を促進しやすい、IoTを活用した調査と捕獲方法の検証を実施するとともに、林業経営者を対象とした研修を開催し、持続的な林業経営の確立を図ってまいります。
「生活環境づくり」につきましては、交通・医療・防災など生活に身近な分野において、デジタル技術を活用して中山間地域の課題解決を図る新たなサービスを導入しようとする市町に対して、専門外部アドバイザーの派遣や取組モデルの創出に向けた支援を行ってまいります。
また、中山間地域の魅力向上を図るため、鉄道網を活用し、中山間地域ならではの地域交流の拡大や地域の利便性向上に取り組む市町等を支援いたします。
さらに、来年度は、「中山間地域振興計画」の最終年を迎えますことから、本格的な人口減少社会の到来を前に、地域で暮らす皆様が、将来にわたって笑顔で安心して暮らし続けることができるよう、地域の現状を詳細に把握しつつ、次期計画に向けた着実な検討を進めてまいります。
次に、「都市圏の活力強化」についてでございます。
広島市都心の拠点性向上につきましては、紙屋町・八丁堀地区のエリアマネジメント検討組織が中心となり、来月、相生通りにおいて社会実験を行うなど具体的な取組が進められており、引き続き、広島市や経済界などと一体となって、エリアマネジメント活動の支援など都心の活性化に向けた取組を推進してまいります。
広島地域におけるMICE(マイス)誘致の拡大に向けた検討では、今年度、展示面積が10ヘクタールを超える大規模展示場の実現可能性調査を行ってまいりましたが、新たな大規模展示会の需要見込み、巨額の初期投資、国内大都市との差別化など、課題が非常に大きいことから、現時点での着手は見送ることといたしました。
このため、これまで関係者で議論し合意してきた「広島西飛行場跡地利用計画」に立ち返り、スポーツ・レクリエーション機能や新たな賑わいが生み出されるよう、一時休止していた広島西飛行場跡地活用の取組を進めてまいります。
サッカースタジアムにつきましては、昨年10月に一般の方を対象に実施したアンケートや、有識者などを構成員とした「サッカースタジアムについて意見を聴く会」でいただいた多様な御意見を踏まえ、先月30日の「サッカースタジアム建設推進会議」におきまして、サッカースタジアム基本計画の素案を取りまとめたところでございます。
今後、この素案に対する県議会をはじめ県民の皆様の御意見を聴き、基本計画の策定を行っていくとともに、広島の新たなシンボルとして年間を通じて賑わいを生み出す拠点の実現に向け、引き続き、事業主体である広島市と連携して取り組んでまいります。
福山駅前地区につきましては、再開発に向けて旧キャスパの解体工事が進み、複数の物件でリノベーションが行われるなど、再生が目に見える形で進んでおり、今年度末には「福山駅前再生ビジョン」を具現化するための「福山駅周辺デザイン計画」の策定が予定されるなど、取組の加速が期待されます。
引き続き、福山市と連携して、三之丸地区の再生やエリアマネジメントの活性化に向けた人材育成への支援など、備後圏域の拠点性の向上に向けて取組を推進してまいります。
次に、「地域共生社会の実現」についてでございます。
これまで社会福祉の分野では、高齢者介護、障害福祉といった専門的な支援など、公助による福祉が進展する一方で、社会的孤立、ダブルケア、8050問題など、複合的な課題や制度の狭間の課題が顕在化しております。
また、個人の価値観やライフスタイルの多様化など、暮らしや仕事でのコミュニティへの依存が低下し、人々の間のきずなが弱くなり、地域で課題を解決する力が、更に低下する恐れがございます。
こうした中、平成30年7月豪雨災害を経験し、地域コミュニティの力が再評価されております。
こうしたことから、新たな時代に対応したコミュニティの力の再生が求められており、来月末を目途に「広島県地域福祉支援計画」を策定し、住民、専門職、関係機関が切れ目なくつながり、地域における生活課題の早期発見から解決まで着実に導く「重層的なセーフティネット」の構築を進めていくこととしております。
来年度は、地域共生プラットフォームの設置や地域支え合いコーディネーターの配置などの取組をモデル的に実施し、効果を十分に検証しながら、県民誰もが住み慣れた地域でつながり、生きがいや役割を持ち、助け合いながら生き生きと暮らしていくことのできる地域共生社会の実現を目指してまいります。
次に、「外国人の受入環境整備」についてでございます。
外国人材の受入れ・共生対策につきましては、外国人材の受入れ・就労が適正かつ円滑に行われ、外国人が孤立することなく安心して生活できる環境を整備するため、今年度実施した実態調査を踏まえ、必要な取組を進めてまいります。
就労環境面では、外国人材の受入れに必要な生活支援やノウハウ等の情報を提供する企業向けセミナーや相談支援体制の構築などに取り組んでまいります。
生活環境面では、地域住民と外国人の共生を推進するため、市町との連携の下に、外国人が地域とつながりを持ちながら、生活に必要な情報を外国人同士で共有できる仕組みづくりや、中学生や高校生を対象に異文化理解を促進する取組を実施してまいります。
また、医療、防災、住宅確保、教育、生活安全等の各分野で、多言語対応や情報提供の充実を図るなど、外国人が必要なサービスを確実に受けられる環境整備を図ってまいります。
次に、「スポーツを核とした地域づくり」についてでございます。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まで5か月余りとなり、全国的に大会への期待が高まる中、本県では、先月、新たに、メキシコパラリンピック委員会との間で、事前合宿の受入れに係る協定を締結し、本年7月から8月にかけて、大会に出場するメキシコ選手団の大部分を受け入れることとなりました。
このため、改めて関係者との連携を強化し、万全の受入体制を整えるとともに、選手達との交流等を通じて県内全体を盛り上げ、スポーツをはじめとした様々な分野での活性化につなげてまいります。
また、5月に県内で開催されるオリンピック聖火リレーにつきましては、先日、国際オリンピック委員会のバッハ会長の広島訪問が発表され、一層の盛り上がりと、これを契機に広島の平和への願いが全世界へ伝わることが期待されることから、大会組織委員会や市町等と連携し、実施に向けた準備を着実に進めてまいります。
さらに、3回目の開催となる、世界最高峰のアーバンスポーツの大会「FISE(フィセ)」につきましては、東京オリンピック直前の大会として、これまで以上に大会を盛り上げ、主催団体や地元関係者等と連携して、より多くの方に来場していただくことで、地域の活性化や広島の魅力発信につなげてまいります。
あわせて、アーバンスポーツの競技団体と連携し、選手の育成・強化につきましても、広島を中心に展開されるよう、アカデミーの誘致など、聖地化に向けた取組を進めてまいります。
これらオリンピックイヤーで大きく高まったスポーツの機運を、オリンピック終了後も継続して地域に展開していくため、広島版スポーツコミッションを設置し、スポーツを地域活性化のツールとして幅広く活用し、市町と連携して取り組むことで、県内の各地域において多様な形で活気や豊かさが生まれる状況を作りだしてまいりたいと考えております。
次に、「暮らしを楽しむ機会の創出」についてでございます。
国内最大級の花と緑の祭典である「ひろしま はなのわ2020」が来月19日から11月23日にかけて、県内一円で開催されます。
広島ならではの地域資源を活用して、県内全域で回遊と交流を生み出し、花や緑の大切さを分かち合うため、県と県内23市町が連携して、各会場の運営やイベントの開催などを進めてまいります。
次に、「国際平和拠点ひろしまの形成」についてでございます。
被爆・終戦75周年となる本年は、東京オリンピック・パラリンピックも開催され、被爆地広島への注目が高まることから、広島から平和のメッセージを国内外へ発信し、平和の取組への賛同者の拡大につなげる絶好の機会と考えております。
また、先日には、国連のグテーレス事務総長が広島訪問の意思を表明され、現職の国連事務総長からのメッセージの発信が、核兵器のない平和な国際社会の実現に向けた国際世論を大きく高める契機になるものと期待しているところです。
このため、本年7月から8月にかけて、国際的NGO「ICAN(アイキャン)」と連携して実施する次代を担う国内外の若者を対象とした人材育成講座、世界中から多くの賛同を得るために世界的に影響力のある経済人等を招いて開催する「世界平和経済人会議」、東アジアの核軍縮・軍備管理に焦点を当てた多国間協議である「ひろしまラウンドテーブル」など様々な取組を切れ目なく実施してまいります。
さらに、平和に関する情報発信力の強化を図るため、国際平和の実現に取り組む世界的な団体の広島での会議開催の支援や、昨年10月に開設したウェブサイトのコンテンツの充実と積極的なプロモーション等を行うほか、国連や各国政府関係者等へ核兵器廃絶に向けた取組の強化を働きかけるため、「NPT運用検討会議」に参加し、シンポジウムの開催やメッセージの発信を行ってまいります。
次に、当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。
まず、旧広島陸軍被服支廠についてでございます。
旧広島陸軍被服支廠については、平成4年度からの瀬戸内海文化博物館の構想の検討から議論が始まり、これまでも、保存を含め、活用方法等を検討してきたところでございます。
昨年12月に県の方針案を示して以降、県民の皆様などから数多くの御意見が寄せられるとともに、広島市や国会でも取り上げられ、また、県議会議長から、引き続き議論をするための時間が必要である旨の要請をいただきました。
こうした状況に鑑み、県としては、更に議論を深めていくことといたしました。
しかしながら、築100年を超える建物は、劣化が進行し、市道通行者や西側の民家及び住民に多大な被害を及ぼす恐れがあるため、来年度当初予算に安全対策に関する調査等に必要な経費を計上するとともに、利活用方策の検討等を実施してまいります。
次に、広島高速5号線についてでございます。
広島高速道路公社において、昨年11月に公表した再発防止策等の着実な実施をはじめ、公社の改革に向けた取組が進められているところでございます。
県といたしましても、引き続き、広島市と連携して、公社における再発防止策の実施状況を確認するとともに、公社の業務執行体制や組織体制等の改善を図り、その状況を節目節目で議会へ報告するなど、県民の皆様に対しまして、適切かつ丁寧な対応に努めながら、着実な事業推進に取り組んでまいります。
次に、鞆地区道路港湾整備事業についてでございます。
今月16日に鞆町の住民の方々を対象とした事業説明会を開催し、山側トンネルや関連事業の詳細のほか、交通・交流拠点や高潮対策の取組について御説明いたしました。
引き続き、山側トンネルの詳細設計を進めるとともに、来年度の用地買収や関連事業の工事着手に向け、土地所有者など関係者の皆様への説明や用地測量等を進めてまいります。
今後とも、福山市と連携・協力し、現在取り組んでいる町中交通処理対策や高潮対策の早期完成を目指すとともに、鞆のまちづくりの取組が着実に進むよう、県としてしっかり下支えをしてまいります。
次に、水道事業の広域連携についてでございます。
先月、広島県水道広域連携協議会での御意見を参考に、県内水道事業の広域連携の推進に向けた県の考え方を取りまとめました。
県といたしましては、県内水道事業の経営組織を一元化し、全体最適を図りながら、事業運営を行うことができる統合が望ましいと考えており、今後、統合の実現に向け、市町の理解を得ながら、早期に本格的な取組が進むよう取り組んでまいります。
次に、二期トンネル整備事業及び本郷地区土地造成事業についてでございます。
二期トンネル整備事業につきましては、当初の想定より硬い岩盤の出現により、工事の進捗が遅れており、工期を1年延長する見込みとなっておりますが、施工体制を2交代制から3交代制に強化するため、予算を増額し、可能な限り、早期の完成を目指してまいります。
また、本郷地区土地造成事業につきましては、当初の想定より広い範囲で軟弱な地盤が存在しており、既に立地協定を締結している企業もあることから、地盤の改良に要する経費などを増額し、安心して事業活動ができる質の高い団地を提供するための取組を進めてまいります。
今後は、これまで以上に事前の調査を慎重かつ丁寧に行い、適切な事業執行に努めてまいります。
次に、放置艇対策事業についてでございます。
平成30年3月に策定した「放置艇解消のための基本方針」に基づき、令和4年度末までの放置艇解消を目指して取組を進めており、現在、官民の関係機関や団体と連携しながら、禁止区域等の指定に向けた取組を行っているところでございます。
この度、本県独自の取組として、プレジャーボートを係留保管しようとする者に対しても、自動車の車庫証明と同様に保管場所の届出を義務付けることに加え、全国で初めて違反者に罰金刑を科すことのできる条例改正の議案を提出しております。
引き続き、令和4年度末までの放置艇解消を目指して、より強力に対策を進めてまいります。
次に、令和2年度当初予算案の概要を申し上げます。
まず、創造的復興による新たな広島県づくりに1,042億円、欲張りなライフスタイルの実現に向けた主要事業に233億円を計上するなど、重点施策へ経営資源を重点的に配分したところでございます。
この結果、来年度の一般会計当初予算案の規模は、総額1兆905億円となり、対前年度比354億円、3.4パーセントの増となっております。
予算以外の議案といたしましては、「社会福祉法に基づく無料定額宿泊所の設備及び運営に関する基準を定める条例」など条例案26件、その他の議案では、「工事請負契約の締結について」など9件を提出しております。
また、報告事項として、専決処分報告などを提出しております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
ただいま追加提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明いたします。
まず、令和元年度の一般会計補正予算案の概要を申し上げます。
国は補正予算において、安心と成長の未来を拓く総合経済対策として、防災・減災、国土強靭化の強力な推進を主とした公共事業や、Society5.0時代を担う人材投資等を打ち出したところでございます。
本県といたしましては、国の補正予算を活用し、令和2年度当初予算と一体的に、「創造的復興による新たな広島県づくり」や、「欲張りなライフスタイル」の実現に向けた取組などを実施することとし、103億710万円を追加計上しております。
このほか、社会保障関係費などの事業費の確定に伴い、減額の対応を行うとともに、公共事業につきましても、国の認証や事業内容の調整などによる事業費の確定に伴う減額を行うなど、591億9,004万円の減額の整理を行うこととしております。
また、本年度予算のうち、やむを得ず、翌年度に繰り越して実施する事業について、繰越明許費を計上しております。
以上の結果、一般会計につきましては、488億8,294万円の減額となり、本年度予算の累計額は1兆219億1,832万円となります。
また、特別会計補正予算案は10会計で、61億1,482万円の増額、企業会計補正予算案は5会計で、15億3,814万円の減額となっております。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
ただいま追加提出いたしました議案につきまして、その概要を御説明いたします。
新型コロナウイルス感染症につきましては、1月29日に、特別警戒本部を設置し、国や関係機関とも連携の上、感染者発生時の感染拡大抑制のため、各種の措置を講じてまいりました。
こうした中、千葉県で判明した感染者が先月12日に本県を訪れていたことや、今月7日には県内で初めて感染者が確認されたこと、さらに、全国において依然として感染者が増加していることから、県民の皆様の不安はますます増大していると認識しております。
また、学校の一斉臨時休業、イベント等の中止・延期、外出の自粛などにより、休業・休職を余儀なくされる保護者の収入減、従業員の休業等に伴う工場の生産調整、観光関連産業での相次ぐキャンセルなど、中小・小規模事業者をはじめ地域経済への影響も深刻化しているところでございます。
県といたしましては、引き続き、感染拡大を最小限に抑え、県民の皆様の安心と健康を守るため、昨日、「県内発生早期」及び「県内感染期」の具体的な対策を取りまとめた「広島県新型コロナウイルス感染症対策実施要領」を策定するとともに、特別警戒本部に、医療関係者等で構成する専門家委員会に加えて、県内経済における的確な現状把握と課題への対応を行う経済対策部と、経済関連機関の関係者で構成する専門家委員会を設置することといたしました。
また、この度、国の緊急対応策に呼応するとともに、更に県独自の対策を盛り込んだ新型コロナウイルス感染症緊急対応の補正予算案を編成したところでございます。
その内容につきましては、まず、感染拡大防止策と医療提供体制の整備といたしまして、医療施設等に配布するマスクや消毒薬の一括購入、感染症予防の広報・啓発、PCR検査体制の強化を図ってまいります。
また、事業活動の縮小や雇用への対応といたしまして、中小・小規模事業者に寄り添った支援を行うための経営相談支援体制の強化、観光需要の回復期に向けた基盤づくりを進めるための観光客の受入環境整備に取り組んでまいります。
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響による休業等を理由に収入の減少があった世帯を対象とした緊急小口資金等の貸付や、特別支援学校等の臨時休業に伴い放課後デイサービスを利用した保護者の自己負担分の補助などを実施することとしております。
あわせて、異例のことではございますが、今年度中の不測の事態に柔軟かつ機動的に対応するため、予備費を増額することとしております。
これらの結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は19億967万円となり、本年度予算の累計額は1兆238億2,800万円となります。
新型コロナウイルス感染症につきましては、今後も様々な状況の変化が予想されますが、国や市町をはじめ関係機関とも緊密に連携して、県民や事業者の皆様への影響を最小限に留めるよう全力で取り組む決意でございます。
どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。