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令和元年広島県議会12月定例会(令和元年12月5日)

印刷用ページを表示する掲載日2019年12月5日

知事説明要旨

12月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして、本年度主要施策の取組状況及び当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。

 

1, 本県を取り巻く情勢と認識

まず、本年10月から11月にかけての台風第15号及び第19号をはじめとした豪雨等による災害で犠牲となられた方々に対しまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、今なお、避難所での生活を余儀なくされている方々を始め、被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げます。

この災害により、東北、関東甲信越を中心とした広範な地域で甚大な被害が発生しており、本県では、国や全国知事会の要請を受け、復旧・復興に向けた活動を支援するため、職員を被災地へ派遣いたしました。

昨年7月の豪雨災害において、全国から心温まるたくさんの御支援をいただいた感謝の気持ちも込め、今後とも、被災された方々に寄り添い、被災地のニーズを的確に把握しながら、できる限りの支援を行ってまいります。

次に、ローマ教皇の広島訪問についてでございます。

先月24日に、38年ぶりにローマ教皇が広島・長崎を訪問され、全世界に向けて、核兵器を犯罪と断罪し、核兵器で国家の安全保障上の脅威から国民を守ることはできない、と核抑止力を強く否定されるとともに、核兵器廃絶に向けて、すべての国や人々が力を合わせて行動することや、被爆の実相を記憶にとどめ、広げることの重要性を訴えられました。

被爆者の方々の苦しみに心を寄せていただきながら、教皇ご自身の現在の世界情勢に対する危機感と世界平和に向けた強い意志が表れた、非常に力強い平和のメッセージでございました。

教皇のメッセージにおける、政治リーダーが被爆の実相を記憶にとどめて取り組むこと、核兵器を製造しながら議論のみ行うのではなく、廃絶に向けて行動すること、核抑止から脱却すること、これらは、いずれも、本県がまさに進めているものであり、改めて核兵器のない平和な世界の実現に向けて取り組んでいく強い勇気を与えていただいたと受け止めております。

このため、本県としても、世界トップレベルの研究機関と連携した、核抑止からの脱却に向けた政策づくりを進めるとともに、被爆75周年となる来年に向けて、様々な取組を加速し、平和の取組への賛同者を飛躍的に拡大していきたいと考えております。

次に、海外との交流の取組について御報告いたします。

先月9日から13日にかけて、県議会団や広島県日中親善協会、県内大学、企業等の皆様とともに、友好提携35周年を迎える中国四川省を訪問し、彭清華書記との初めての会談や記念祝賀行事等への参加を通じて交流を深めるとともに、「広島県留学フェア」を開催し、本県の留学環境の魅力をPRしてまいりました。

さらに、四川省教育庁等を訪問し、広島叡智学園や新大学の紹介を行ったほか、重慶総領事館等が主催した、日中防災減災シンポジウムにおいては、災害対策や適切な避難行動を促すための取組などの共有を図ったところでございます。

引き続き、友好提携先である中国四川省と双方の着実な発展につながる幅広い分野の交流を推進してまいります。

次に、経済・雇用の情勢についてでございます。

県内の景気につきましては、生産や輸出、消費税率引き上げ後の個人消費の反動減など、一部に弱めの動きがあるものの、緩やかに拡大しておりますが、引き続き経済動向を注意深く見守ってまいりたいと考えております。

 

2, 令和元年度主要施策の概要

続きまして、本年度の主要施策の取組状況を御説明いたします。

 

【創造的復興による新たな広島県づくり】

まず、「創造的復興による新たな広島県づくり」に向けた取組でございます。

 

(安心を共に支え合う暮らしの創生)

はじめに、「安心を共に支え合う暮らしの創生」についてでございます。

被災者の皆様の生活再建への支援につきましては、地域支え合いセンターにおいて、本年10月に、当初計画しておりました世帯の全てで個別支援計画の作成が完了いたしました。

家族構成や復旧の進捗状況はそれぞれに異なることから、被災者の皆様が抱える課題は様々であり、複雑化していることから、市町や地域包括支援センター、社会福祉協議会等の関係機関と連携した支援や、家族や隣人、友人、民生委員、ボランティア等によるコミュニティ支援にも取り組んでおります。

また、被災1年後の健康調査の結果から、現在も多くの方が心理的なストレスを感じており、継続的な支援が必要なことから、引き続き、市町、地域支え合いセンター、こころのケアチームが連携し、被災者の皆様のこころのケアに取り組んでおります。

今後とも、被災者の皆様お一人おひとりに寄り添った、きめ細かい支援を行ってまいります。

被災された方々の住まいの状況につきましては、応急仮設住宅や公営住宅等に入居されている世帯の数は、自宅の再建の完了などにより、先月末時点で516世帯とピーク時の半数以下に減少しております。

発災後2年間での仮設住居解消に向けて取り組んでおりますが、災害関連事業の進捗により、住宅再建が遅れる地域もあることから、応急仮設住宅の供与期間の延長について国と協議をしており、引き続き、市町と連携して住宅再建を支援してまいります。

災害廃棄物につきましては、今月末までの処理完了を目標として、市町と連携して処理を進めておりますが、所有者の意向により建築物の解体が年明けとなる案件があるなど、若干の遅れが生じており、今月末の進捗は96パーセントとなる見込みでございます。

今月中に処理が完了しない一部の廃棄物についても、計画的に処理を行い、来年3月までに全ての処理を終える見通しでございます。

 

(未来に挑戦する産業基盤の創生)

次に、「未来に挑戦する産業基盤の創生」についてでございます。

被災企業の速やかな再生に向けた支援につきましては、各種支援制度の活用を希望する約2,800者のうち、これまでに約2,750者に支援を行っております。

残る約50者は、グループ補助金の活用希望者であり、最後の一者まで支援を行うため、引き続き、手続きの完了を支援するとともに、今年度内に交付決定できない案件につきましては、国に対して新たな予算措置を要望するなど、被災企業の復旧・復興を推進しております。

農地・農業用施設の復旧につきましては、予定している4,924箇所のうち、先月15日時点で1,416箇所の工事に着手しており、このうち500箇所の工事が完成しているところでございます。

復旧工事が計画的に進むよう、市町による工事の進捗状況を共有したうえで、国と連携して測量設計段階における県外業者の活用を働きかけるほか、県職員が市町に赴いて工事内容を審査するなどの支援を行っております。

引き続き、農業基盤の着実な復旧を図ることにより、早期の生産再開につなげてまいります。

 

(将来に向けた強靭なインフラの創生)

次に、「将来に向けた強靭なインフラの創生」についてでございます。

公共土木施設につきましては、早期の復旧・復興を目指して各種事業に取り組んでおります。

まず、災害復旧事業では、先月末時点で全2,550箇所のうち、1,599箇所の工事に着手しており、このうち460箇所の工事が完成しているところでございます。

河川や道路等の改良復旧事業につきましては、順次工事に着手するなど取組を進めております。

砂防ダムや治山ダム等の災害関連緊急事業では、本県が実施する170箇所のうち、先月末時点で113箇所の工事に着手しております。

このうち、急傾斜地崩壊対策施設では、一部目標を前倒しして、今月末までに6箇所が完成予定であり、砂防ダムや治山ダムでは、熊野町川角や坂町小屋浦などのダム本体が今月末までに7箇所完成予定でございます。

一方で、これらの災害関連工事につきましては、不調・不落対策を講じながら早期の復旧・復興に向けて取組を進めておりますが、被災箇所の多い一部の地域では、依然として不調・不落が高い割合で発生し、事業進捗に遅れが生じてきていることから、このままでは全体の事業計画に影響が出るおそれがございます。

このため、今後は公共土木施設や農地・農業用施設等について、県、市町など管理者の枠を超えて、地域ごとに工事の稼働状況や今後の発注予定などを考慮し、比較的、業者の受注状況に余裕があると想定される地域からの入札参加を可能とするなど、地域の実情に応じて必要な対策を講じながら、引き続き、工事の早期完成に取り組んでまいります。

ため池の総合対策につきましては、住民の皆様に迅速な避難行動につなげていただくため、浸水想定区域図の作成及び公表を進めているほか、決壊による被害を防ぐため、適切な管理と補強、廃止などの対策を推進しております。

こうした対策を推進する上で、ため池の利用状況の実態把握が重要であるため「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」に基づき、所有者等からため池の情報を届出していただいているところでございます。

今月末が期限となっておりますが、先月15日時点で、全体の約25パーセントとなる約4,900箇所の届出となっており、市町と連携して所有者等に提出を働きかけてまいります。

また、既に利用しなくなったため池につきましては、市町の要請を踏まえ廃止工事を進めておりますが、権利者の同意取得や工事発注時の不調・不落等により工事着手まで時間を要していることから、事業進捗に大幅に遅れが生じております。

廃止するため池につきましては、直ちに危険な状態ではございませんが、管理者等に対して、廃止工事着手までの間、引き続き、ため池の水位を低下させる措置や堤体の草刈りなど日常管理の周知・徹底を図り、安全性を確保しつつ、順次、工事を行ってまいります。

あわせて、市町職員向けの質疑応答集を充実させ事務の効率化を図りながら、国に対して登記制度の見直しなどを要請するとともに、地域の実情に応じた工事業者の確保に向けた検討も進めてまいります。

引き続き、被災された住民の皆様の一日も早い日常の回復が図られるよう、公共土木施設等の早期復旧に全力で取り組むとともに、再度災害防止の観点から、県土の強靭化に計画的に取り組んでまいります。

また、10月23日のJR芸備線の全線運行再開により、昨年の豪雨災害で不通となった鉄道網が全て復旧いたしました。

今後とも様々な災害発生が想定される中、復旧を契機とした公共交通の利用促進に努めるとともに、鉄道代替バスなど臨時バスの運行状況を提供するバスロケーションシステムの実用化に向けた仕組みづくりにより、災害時にも県民の皆様に安心して公共交通を利用していただけるよう取り組んでまいります。

 

(新たな防災対策を支える人の創生)

次に「新たな防災対策を支える人の創生」についてでございます。

県民の避難行動等に関する研究につきましては、昨年の面接調査、本年4月の郵送調査等の結果に基づき、防災や行動科学等の有識者で構成する研究チームにより、詳細な分析を行っているところでございます。

これまでの分析で、適切な避難行動をとっていただくためには、単に避難場所や避難経路を知るだけではなく、発災した場合の具体的なイメージを持つとともに、居住地や避難経路のリスクを正しく認識し、避難場所の設備や環境、複数の避難経路を把握することが必要であること、また、自分の「避難する・しない」の行動が他者の避難行動にも影響を及ぼすことなどが、報告されております。

現在、面接調査に基づく証言や郵送調査の分析結果を踏まえた、避難行動の事例集を作成しているほか、先月からは、本年2月に実施いたしました県民意識調査の対象者に、今年の梅雨や台風時における避難行動等について、追跡調査を行い、取りまとめを行っております。

今後も詳細な分析を行い、次期出水期までに、「自助」「共助」「公助」にわたる、より効果の高い被害防止策を構築してまいります。

 

【欲張りなライフスタイルの実現】

次に、「欲張りなライフスタイルの実現」に向けた取組でございます。

はじめに、「すべての子供が夢を育むことのできる社会づくり」についてでございます。

ひろしま版ネウボラの構築につきましては、モデル事業を実施している6市町のうち、先行して開始した尾道市、福山市、海田町で、自発的な相談が前年度に比べ約2倍に増加するなど、子育て家庭への浸透が進みつつあります。

こうした変化を加速させるとともに、今後の全県展開に向けて市町との連携を深め、ネウボラの理念や取組内容の共有を図るため、来月15日に、フィンランドの専門家や国内の研究者などを交えたシンポジウムを開催いたします。

このシンポジウムに、市町の担当者や子育てに関する幅広い方々に参加をいただくことで、ひろしま版ネウボラの理解促進を図り、県民の皆様への周知にもつなげてまいります。

学びのセーフティネット構築事業につきましては、経済的に困難な状況にある子供たちの修学を支援するため、新たに設けた、高等学校等への入学準備金の貸付制度について、来年度入学生を対象に10月から募集を行っております。

また、不登校を未然に防止するため、モデル校29校において、子供たちに学級に対する満足度や学校生活への意欲などを把握するアンケートを実施し、学級の状況等を踏まえた適切な個別指導や学級集団づくりの支援を実施しているところでございます。

10月以降、2回目のアンケートを実施したところであり、1回目のアンケートからの改善度を確認するとともに、その分析結果を踏まえ、子供たち一人ひとりへの支援の更なる充実に取り組んでまいります。

次に、「社会で活躍する人材の育成」についてでございます。

令和3年4月の開学を目指しております新大学につきましては、名称を叡啓大学とし、東京大学 大学執行役・副学長である有信睦弘氏を学長予定者として、10月末に法人から文部科学省に設置認可の申請を行ったところでございます。

開学に向けて、外国人を含む20名の専任教員や23の海外提携校、県内企業や市町等55の連携先を確保するなど、着実に準備を進めております。

先月からは、説明会の開催やパンフレットの配布等を開始しており、今後、個別の学校訪問なども行い、高校生や保護者の皆様に、叡啓大学の魅力を広くPRしてまいります。

次に、「第4次産業革命を好機とした生産性革命」についてでございます。

AI、IoT等のデジタル技術を活用した実証実験「ひろしまサンドボックス」では、現在進めている9件の実証実験に加えて、新たに、県が提示する課題に対してデジタル技術を活用した解決策を実証するプロジェクトに取り組むこととしております。

現在、AI等を活用して法面崩壊につながる前兆を把握し、崩落を予測するシステムの構築など、道路維持管理における3つのテーマで県内外から広く提案を募集しております。

また、今後、AI、IoT等を担う人材が不足すると言われている中、これからのデジタルトランスフォーメーションを担う県内学生などを対象に、企業や自治体等の課題をテーマとしたオープンイノベーションにより、AI人材を育成し、活躍の場を構築する「ひろしまQuest」を開始することといたしました。

あわせて、自治体行政のデジタル化の推進、県民の仕事・暮らしのデジタル化の促進、地域社会におけるデジタル化の促進の3つの柱により、県全体のデジタルトランスフォーメーションを推進するため、市町をはじめとして県内外の企業や団体との意見交換を進めております。

これらの取組により、県内外の多様な企業や人材の集積を図り、デジタル技術の活用によって、人々の生活のより良い方向への変化を目指すデジタルトランスフォーメーションを推進してまいります。

次に、「観光地ひろしまの推進」についてでございます。

本年4月のひろしま観光立県推進会議での取りまとめを受け、より効果的・効率的な推進体制で県域の観光施策に取り組むため、来年4月から、県は基本計画の策定等を行い、一般社団法人広島県観光連盟はその計画等に基づき県域の観光施策を一元的に実施するよう、新たな推進体制に見直すこととし、必要な経費を12月補正予算に計上しております。

また、しまなみ海道サイクリングロードにつきましては、先月7日に国からナショナルサイクルルートとして指定されたところでございます。

引き続き、こうした世界に誇れるサイクリングロードや、現在「せとうち広島デスティネーションキャンペーン」プレ事業として実施している「せとうち島たびクルーズ」など、広島ならではの資産や魅力を活用しながら、国内外から更に多くの方に訪れていただくよう取り組んでまいります。

次に「中山間地域の地域力強化」についてでございます。

中山間地域へのサテライトオフィスの誘致につきましては、関係市町と一体となって、誘致活動を展開してきた結果、大崎上島町への飲料・食品メーカーの進出や、神石高原町が事業者の参画を得てドローンプロジェクトを実施するなど、具体的な成果が出てきており、引き続き、市町と連携して誘致に取り組んでまいります。

次に、「都市圏の活力強化」についてでございます。

広島市都心の拠点性向上につきましては、広島市において、国際競争力の強化に資する都心の再開発を促進するため、特定都市再生緊急整備地域の指定を目指すことを表明され、先月27日に都市再生緊急整備協議会が開催されたところでございます。

県といたしましても、今後、早期に指定されるよう、広島市と連携して取り組んでまいります。

サッカースタジアムにつきましては、本年10月に一般の方を対象としたアン ケートを実施したほか、「サッカースタジアムについて意見を聴く会」を開催するなど、基本計画策定に向けた検討を進めているところでございます。

年間を通じて、県内外の皆様に楽しんでいただけるような新たな賑わいを生み出す拠点となるよう、引き続き、事業主体である広島市と連携し取り組んでまいります。

次に、「地域共生社会の実現」についてでございます。

地域福祉支援計画につきましては、高齢の親と働いていない独身の子とが同居している8050問題や、介護と育児に同時に直面するダブルケアなどの新たな課題に対応していくため、「共生のまちづくり」と「包括的な支援体制づくり」を基本施策として、検討を進めております。

さらに、昨年の災害を教訓として、住民同士のつながりや支え合いの大切さが再認識されており、こうした視点も含めて、現在、市町や関係団体、学識経験者などから幅広く御意見を伺っているところであり、県議会の皆様の御意見も伺いながら、来年3月の策定を目指して取り組んでまいります。

次に、「外国人の受入環境整備」についてでございます。

外国人材の受入・共生対策につきましては、外国人材の受入に係る企業向けセミナーを県内3か所で開催し、約240社の参加があったほか、市町のニーズを踏まえ、先月から市町の相談員等に対する研修や出張相談を実施するなど、就労環境と生活環境の両面から取組を実施しております。

また、企業や外国人材のニーズや課題を把握するため、本年8月から調査を実施しており、この調査の中間とりまとめを踏まえ、必要な対策の検討を進めるとともに、今後、本県の産業特性や地域特性などを踏まえた分析やヒアリング等を行った上で、最終報告を取りまとめてまいります。

また、海外への渡航に必要なパスポートの申請につきましては、これまで住所地の市町のみで受付をしておりましたが、今月2日から、通勤や通学先など県内全ての市町で手続きができるよう、見直しを行いました。

引き続き、県民の皆様の利便性を向上させるため、取り組んでまいります。

次に「スポーツを核とした地域づくり」についてでございます。

本年9月から10月にかけて、「ジャパンウイメンズオープンテニス2019」、「FIVBワールドカップバレーボール2019男子広島大会」と大規模な国際競技大会が連続して開催され、多くの県民の皆様に、世界水準の技を間近に感じていただけたと考えております。

加えて、先月25日には、世界最高峰のアーバンスポーツの世界大会「FISE」が、来年4月に、3年連続、広島で開催されることが発表されました。

今年の大会は、県外の来場者が2倍近くに増加し、延べ来場者数は10万人を超えており、宿泊や飲食などの経済波及効果も、前回の約5億5千万円から約6億8千万円へ順調に伸びてきております。

来年は、東京オリンピックの直前大会として、大会が一層、盛り上がることが期待されることから、主催団体や地元関係者等と連携して、県内外からより多くの方に来場していただき、広島の観光へつなげていく取組を推進するとともに、国内アーバンスポーツの発展に向けた拠点として、選手の育成・強化、競技の裾野の拡大を担うアカデミーの誘致に取り組むなど、広島をアーバンスポーツの聖地にする取組を進めてまいります。

また、大学等で活躍するアスリートが就職しても競技を継続できる環境の整備に取り組んでおり、先月には、UIJターンを希望する全国トップクラスのアスリートを対象に、県内企業への就職を支援する説明会を開催いたしました。

こうした取組などを通じ、優秀なアスリートの県内定着を促進してまいります。

 

3, 当面する県政の諸課題への対応

次に、当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。

まず、広島高速5号線についてでございます。

シールドトンネル工事において、広島高速道路公社と施工業者との間で、6項目の工事費用が含まれていたか否かについての認識の違いが生じていたことから、昨年10月から行っておりました増額協議につきまして、当初契約時に立ち戻った適正な額として、先日、合意に至ったところでございます。

県といたしましては、公社の設立団体として、今回このような事態を招いたことや、第三者委員会において不適切な対応があったと指摘されたことについては、重く受け止めているところであり、今後、公社がこのようなことを二度と起こさないように、この度策定した再発防止策を確実に遵守していくよう、広島市と連携しながら、公社への指導を徹底してまいります。

また、開発が進む広島駅周辺の拠点性の向上に資する高速2号線との連結路の整備を含め、広島高速道路の全体事業費及び事業期間等の見直しを反映した、整備計画の変更に関連する議案を提出しております。

引き続き、広島市、公社と連携して、県民の皆様に対しまして、適切かつ丁寧な対応に努めながら、着実な事業推進に取り組んでまいります。

次に、鞆地区道路港湾整備事業についてでございます。

本年10月27日に鞆町の住民の方々を対象とした説明会を開催し、山側トンネルのバイパスルート案をお示しするとともに、無電柱化事業や高潮対策の取組等についてご説明し、住民の皆様と意見交換を行いました。

この説明会でいただいた意見・要望を踏まえ、年明け以降の事業説明会の開催に向け、山側トンネルの詳細な調査設計を進めております。

引き続き、福山市と連携・協力し、現在取り組んでいる町中交通処理対策や高潮対策の早期完成を目指すとともに、鞆のまちづくりの取組が着実に進むよう、県としてしっかりと下支えをしてまいります。

次に、広島市東部地区連続立体交差事業についてでございます。

当事業につきましては、本年10月に事業認可を受け、JR西日本と詳細設計協定を締結するなど、鉄道工事着手に向けた事務を進めているところでございます。

引き続き、できるだけ早期に工事着手できるよう、共同事業者である広島市と連携し、取り組んでまいります。

次に、旧広島陸軍被服支廠についてでございます。

旧広島陸軍被服支廠は築100年を超え、劣化が進行し、市道通行者や西側の民家及び住民にとって危険な状態となっております。

このため、現在、県が所有する3棟について、旧被服支廠が有する価値の保存の仕方、建物の保存規模や態様等について、国や広島市も含めて協議・調整を行った結果、将来的な利活用の可能性も念頭に1棟を保存することとして、順次、建物西側壁面の補強工事及び屋根等の改修・補修を行うとともに、2棟を解体撤去するのが適当との対応方針案をまとめたところでございます。

今後は、引き続き議会の皆様をはじめ、県民の皆様の意見を伺いながら、具体的な対応案をまとめ、来年度当初予算要求に安全対策や利活用などの検討に必要な費用を盛り込めるよう、検討を進めてまいります。

 

4, 令和元年度補正予算案等の概要

次に、今回提出いたしました議案について、その概要を御説明いたします。

まず、一般会計補正予算案につきましては、9月補正予算編成後の状況変化等を踏まえ、必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として、編成しております。

具体的な補正の内容でございますが、「欲張りなライフスタイル」の実現に向けた取組などに、時機を逃さず対応するための経費について、予算を計上しております。

また、職員の給与について、去る10月2日に行われました、人事委員会の勧告等の趣旨を尊重し、給料月額や勤勉手当などを引き上げる措置を講ずることといたしております。

これらの結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は、8億2,440万円の増額となり、本年度予算の累計額は、1兆708億126万円となります。

次に、予算以外の議案といたしましては、職員の給料月額等を改定する条例案など6件、人事案件といたしまして「広島県収用委員会委員の任命の同意について」の1件、その他の議案では、「工事請負契約の締結について」など20件を提出しております。

また、報告事項として、専決処分報告を提出しております。

どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

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