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令和元年広島県議会6月定例会(令和元年6月24日)

印刷用ページを表示する掲載日2019年7月2日

知事説明要旨

6月定例県議会の開会に当たり、ただいま提出いたしました議案の説明に先立ちまして、本年度主要施策の取組状況及び当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。

1, 本県を取り巻く情勢と認識

まず、先月、滋賀県大津市と神奈川県川崎市で相次いで子供たちが犠牲となる交通事故や事件が発生いたしました。

犠牲となられた方々に対しまして、深く哀悼の意を表しますとともに、負傷された方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。

こうした悲劇が二度と繰り返されることのないよう、交差点の安全対策など子供を交通事故から守る取組の徹底や、不審者情報を地域で共有し、地域の皆様と連携したきめ細かな通学路の見守り活動を推進するなど、一層の安全確保対策に取り組んでまいります。

次に、経済の情勢について御報告いたします。

県内の景気は、生産、輸出がともに堅調に推移し、個人消費も持ち直すなど、全体として緩やかに拡大しております。

一方、米中の貿易摩擦など、目まぐるしく変化する外部環境が、県経済に与える影響を注意深く見守っていきたいと考えております。

 

2, 令和元年度主要施策の取組状況

続きまして、本年度の主要施策の取組状況を御説明いたします。

【創造的復興による新たな広島県づくり】

まず、「創造的復興による新たな広島県づくり」に向けた取組でございます。

昨年7月の豪雨災害から、間もなく1年を迎えます。

これまで、「平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興プラン」に基づき、被災者の方々の生活再建、県民生活や経済活動の日常を取り戻す取組を最優先で進めるとともに、速やかな復旧・復興と更なる発展に向けて、集中的に取り組んでまいりました。

生活基盤を支える公共インフラにつきましても、JR等関係機関の御尽力により、

一部不通となっておりました芸備線も10月下旬には運転再開する見込みとなりました。

しかしながら、先月から今月にかけて、私自身も被災市町の現状を確認してまいりましたが、未だ撤去されていない住宅や再建中の住宅・事業所なども多く見られ、直接被害を受けられた被災者や企業の皆様の回復は、まだ道半ばであります。

被災者の皆様は、本格的な出水期が迫ることによる新たな災害への不安、自宅に戻られた方など生活再建ができた人とそうでない人との間で差が生じていることへの不安やあせり、そして大切な家族を失い、将来の展望を描けなくなったことによる不安を抱えておられます。

こうした現状を深く受け止め、これまで以上に、被災者お一人お一人に寄り添った支援を行っていかなければなりません。

このため、災害への不安につきましては、インフラの復旧工事を優先度の高い箇所から着実に実施するとともに、被災された方々や地域住民の皆様にとって、今後の見通しが立つように、市町と連携しながら、きめ細かな情報提供を行ってまいります。

生活や将来への不安につきましては、被災者の皆様が誰かに寄り添ってもらっているという安心感を抱いていただけるよう、地域支え合いセンターにおいて、戸別訪問を集中的に実施するとともに、県と市町との連携により、被災者の皆様への健康調査を実施いたします。

引き続き、被災者の皆様の生活再建と心のケアを第一に、地域コミュニティの再生支援や産業基盤の創生、公共インフラの復旧に全力で取り組んでまいります。

(安心を共に支え合う暮らしの創生)

次に、復旧・復興プランに掲げる4つの柱に基づき、取組状況を御説明いたします。

はじめに、「安心を共に支え合う暮らしの創生」についてでございます。

被災者の皆様が抱える生活や将来への不安につきましては、先ほど申し上げましたとおり、地域支え合いセンターを中心として、地域の方々と協力しながら戸別訪問などに取り組んでまいります。

一方、被災地では、今回の災害を教訓として、従来疎遠であった地域のつながりが強くなったとの声もございました。

このように、住民同士のつながりや支え合いの大切さが再認識され、住民団体による防災活動や住民主体の交流会の開催など、地域コミュニティ再生に向けた取組が芽生え始めております。

こうした住民同士のつながりによるコミュニティづくりを、サロン活動や地域活動の担い手づくりなどで後押しするほか、地域住民や行政等が協働した包括的な支援体制を構築するため、地域福祉支援計画の策定を進め、「地域共生社会」の実現を目指してまいります。

被災された方々の住まいの状況につきましては、発災後、一時は約1,300世帯が公営住宅やみなし仮設住宅などに入居されておられましたが、自宅の再建の完了などにより、先月末時点で、約900世帯に減っております。

一方で、今なお、再建の目途が立たない方々も多数おられることから、発災後2年間での仮住居解消に向けて、引き続き、市町と連携して被災者の住宅再建を支援してまいります。

災害廃棄物の処理につきましては、生活環境保全上支障となる一次仮置場が解消し、二次仮置場での処理が本格化しており、市町への専門家派遣による技術的支援等により、迅速で適正な処理を促進してまいります。

また、今後の災害に備え、災害廃棄物処理の初動マニュアルを作成し、今月初旬には、市町等を対象に、研修と図上訓練を実施し、災害廃棄物処理体制の強化を図ったところでございます。

引き続き、国や市町と連携して、本年12月までの全体の処理完了を目指し、全力で取り組んでまいります。

 

(未来に挑戦する産業基盤の創生)

次に、「未来に挑戦する産業基盤の創生」についてでございます。

被災企業の速やかな再生といたしましては、被害状況を踏まえ、グループ補助金等の各種支援制度を実施し、約2,900の企業や団体が既に制度を活用又は活用を検討されております。

このうちグループ補助金では、引き続き企業等からのニーズがありますことから、グル-プ認定の申請の受付期限を最終的に8月まで再度延長し、被災企業の皆様に確実に利用していただけるよう取り組んでまいります。

また、被災した小規模事業者への販路開拓支援につきましては、今年度も国の持続化補助金が継続されるため、引き続き、県も国の採択を受けた事業者に補助金を交付することとし、必要な経費を6月補正予算に計上しております。

さらに、県内中小企業が、緊急時に事業活動を継続するための事業継続計画、いわゆるBCPの策定につきまして、策定プロセスを実践的に学ぶワークショップ形式の講座を今月から開始いたしました。

今後、策定したBCPの有効性を検証する図上訓練の実施など、非常時に強靭かつ柔軟な事業活動を継続できる環境整備に取り組んでまいります。

観光産業の復興といたしましては、これまで6年連続で過去最高を更新していた総観光客数が、平成30年の速報値で前年を485万人下回る6,504万人と、昨年7月の豪雨災害の風評被害等により大きな影響を受けましたが、「13府県ふっこう周遊割」や広域での復興キャンペーン等に取り組んだこともあり、昨年12月の総観光客数は、ほぼ前年並みまで回復しております。

今年度は、観光産業を再び成長路線に戻すため、観光需要の早期回復に加え、消費額単価の上昇や満足度の向上など、ひろしま観光立県推進基本計画の着実な推進に取り組んでおります。

さらに、本年4月22日に開催された広島県観光立県推進会議では、観光振興施策の充実と、そのために必要な財源確保策としての宿泊税や、より効率的・効果的な観光推進体制について取りまとめが行われました。

この取りまとめを踏まえ、取り組むべき施策などについて、広く県民や宿泊事業者など関係者の皆様の意見を聴取しながら、丁寧に検討を進めてまいります。

 

(将来に向けた強靭なインフラの創生)

次に、「将来に向けた強靭なインフラの創生」についてでございます。

公共土木施設につきましては、早期の復旧・復興を目指して各種事業に取り組んでいるところでございます。

まず、災害復旧事業では三原市の梨和川など破堤した12河川16箇所の本復旧を今月完了させるなど、優先度の高い箇所から順次復旧工事を進め、先月末時点で、全2,550箇所のうち1,144箇所の工事を発注し、本年度中には、全体の約7割にあたる箇所の工事を発注する予定でございます。

改良復旧工事や災害関連緊急事業などにつきましても、順次、事業に着手しており、そのうち砂防ダムや治山ダム等の緊急整備では、本年度中に170箇所全ての完了を、再度災害防止のため本年4月に採択された約300箇所では、概ね5か年での完了を目指して取り組んでまいります。

また、国の直轄事業による砂防ダム等の整備につきましても、本年4月に広島西部山系砂防事務所が開設されるなど、本格復旧に向けた取組が進められております。

中・長期的な視点による今後の水害・土砂災害対策につきましては、本年1月の「平成30年7月豪雨災害を踏まえた今後の水害・土砂災害対策のあり方検討会」の提言を踏まえて検討を進めており、計画的な事前防災を進めるための実施方針を

本年度中に取りまとめます。

ため池の総合対策につきましては、県の基本的な考え方である「整備・廃止・管理等に関する方針」を昨年度末に策定し、まずは、ため池の位置や決壊時の浸水想定区域を示した「広島県ため池マップ」の情報提供を開始いたしました。

また、市町と連携しながら、決壊した場合に人的被害のおそれがある8,167箇所を「防災重点ため池」に選定し、先日、その位置を公表するとともに、梅雨前までに、点検や水位を下げておくことなどを管理者等に要請してまいりました。

今後、ため池の防災情報を更に充実させ、住民の迅速な避難行動へつなげていくとともに、農業利用するため池に対しては適切な管理と補強、また、利用されなくなったため池に対しては、順次、廃止などの対策を推進いたします。

引き続き、被災された住民の皆様の一日も早い日常の回復が図られるよう、公共土木施設等の早期復旧に全力で取り組むとともに、再度災害防止の観点から、県土の強靭化に計画的に取り組んでまいります。

 

(新たな防災対策を支える人の創生)

次に「新たな防災対策を支える人の創生」についてでございます。

将来の大規模災害に備え、本県の防災体制の向上を図るため、昨年の7月豪雨災害における本県の初動・応急対応の検証を行い、その結果を先月公表いたしました。

この検証では、県の具体的な取組状況や課題、改善の方向性を明らかにした上で、

災害発生時に県がとるべき行動を整理し、課題に対しては、対応時期を短期・中期・長期に区分いたしました。

これに基づき、できるだけ早く改善を行い、適切な初動・応急対応が行えるよう、全庁を挙げて取り組んでおり、まずは、災害発生時における他の自治体からの応援職員の円滑な受入れなど、広島県地域防災計画や広島県災害対策運営要領を修正したところでございます。

また、今年度からは、危機管理課に市町防災体制強化支援担当を新設し、各市町の防災体制の強化を支援するほか、自主防災組織の機能強化にも取り組んでおります。 

県民の避難行動等に関する研究につきましては、昨年の面接調査に続き、本年4月には約5,000人を対象とする郵送調査を実施し、現在、防災や行動科学等の有識者で構成する研究チームにより、詳細な分析を行っております。

さらに、毎年度実施しております県民意識調査において、どのような呼びかけが避難行動を促進するか調査を行い、その結果、避難行動を促進するメッセージを示し、市町や報道機関にその活用をお願いしております。

そのほか、避難行動を促進する取組といたしまして、土砂災害警戒区域等の指定につきましては、本年3月に土砂災害防止法に基づく基礎調査を終え、今年度末までに区域指定が完了するよう取り組んでおります。

また、明日から運用が始まる、ヤフー株式会社と共同開発した「防災マップ」による、土砂災害の危険箇所の情報発信など、水害や土砂災害リスクへの理解を深めるための取組にも、着実に取り組んでまいります。

出水期を迎え、県民の皆様には、再度、避難場所・避難経路をご確認いただき、防災情報メールなどを活用して、これまで以上に早めの避難行動を心掛けていただくようお願い申し上げます。

 

【欲張りなライフスタイルの実現】

次に、「欲張りなライフスタイルの実現」に向けた取組でございます。

はじめに、「すべての子供が夢を育むことのできる社会づくり」についてでございます。

家庭の経済的事情等に関わらず、全ての子供の能力と可能性を最大限高める教育の実現を目指す「学びのセーフティネット構築事業」につきましては、不登校の未然防止や不登校の児童生徒への支援として、まずは、5市町の5小学校・6中学校の校内に、学習支援や心のケアなどを行うサポートルームを整備いたしました。

また、それぞれの学校に専任教員を配置し、一人ひとりの状況に応じた支援を行っております。

さらに、学校における集団での学習になじめない児童生徒を対象に、体験を通して社会とのつながりを促し、学び続ける力の育成を目指す「東大ROCKET in 広島」を、来月開催いたします。

様々なリスクを抱える子供たちの見守り支援の仕組みを構築する「子供見守り支援サポート事業」につきましては、関係者による研究会を開催し、リスクを抱える子供たちに関する様々な情報の把握や共有の仕組みについて、有識者の意見なども踏まえながら、府中町と協働で検討を進めております。

次に、「社会で活躍する人材の育成」についてでございます。

本県では、生涯にわたって主体的に学び続け、多様な人々と協働して新たな価値を創造することのできる人材の育成を目指しております。

本年4月には、学びの変革を先導的に実践する県立広島叡智学園中学校・高等学校や、備北地域において、学びの変革を牽引する併設型中高一貫教育校である県立三次中学校・高等学校が開校いたしました。

両校の開校式では、生徒から、一期生としての決意がうかがえ、また、「話し合いをすることで、相手の意見が分かり、自分の意見も深まる」「高校生の先輩たちと一緒に部活動を頑張りたい」などの意見もあったと聞いており、このような生徒の期待に応えられるよう、着実に取組を進めてまいります。

県立広島大学の改革につきましては、令和3年4月の新大学開学を目指して、法人に新大学設置準備センターを立ち上げ、教員候補者の選考、海外提携校の開拓などの諸準備を進めているところでございます。

また、県内企業や市町、大学、国際機関など、様々な主体と連携した実践的な教育の基盤となる「プラットフォーム」の構築に向け、その準備組織として、本年4月に「新たな教育モデル」連携準備会を設置したところであり、今後、具体的な連携内容の調整を進めてまいります。

次に、「第4次産業革命を好機とした生産性革命」についてでございます。

AI、IoT等のデジタル技術を活用した実証実験「ひろしまサンドボックス」につきましては、県内外の多様な企業や人材の集積に向けて、9件の実証実験を着実に進めていくとともに、共に創造する新たなパートナーを巻き込みながら、県内企業とスタートアップ企業とのマッチングなど、650を超える「ひろしまサンドボックス推進協議会」の会員が新たなチャレンジができるサポートを拡充いたします。

また、医療関連産業クラスター形成を目指す取組につきましては、課題発見型の医療機器開発手法を習得する「バイオデザインプログラム」の導入に向けてインドと連携した取組を進めており、本年4月から、広島大学において国内4番目となる1年間の「フェローシップコース」が開講いたしました。

今後、革新的な医療機器の開発を牽引する人材の育成などを加速し、医療関連産業の振興・集積を図ってまいります。

次に「多様な投資誘致の促進」についてでございます。

昨年10月に事業化を決定しました本郷産業団地の2期及び3期につきましては、企業のニーズを取り込み、早期の企業立地を図るため、今月10日から、分譲予定者の公募を開始いたしました。

今後も、地域経済への波及効果が期待できる企業立地に向け、共同事業者である三原市等と連携しながら、積極的な企業誘致活動を展開してまいります。

次に「中山間地域の地域力強化」についてでございます。

中山間地域振興計画の柱である「人づくり」の核となる「ひろしま里山・チーム500」への登録者数は、これまでの取組により、目標を上回る296名の登録があり、各地域で地域づくり活動の輪が広がってきております。

こうした好循環を更に加速させるため、中山間地域の未来を担う人材を養成する

「ひろしま『ひと・夢』未来塾」において、従来からニーズの高かった、起業につなげるための専門コースを新たに開設し、来月から募集を開始いたします。

引き続き、豊かで持続可能な中山間地域の実現に向けて、中山間地域への関心を高める取組や、地域づくりの実践者の裾野の拡大、地方進出に関心の高い企業の誘致活動などに取り組んでまいります。

次に、「都市圏の活力強化」についてでございます。

広島市都心の拠点性向上につきましては、昨年10月に紙屋町・八丁堀地区が都市再生緊急整備地域に指定されたことから、この制度を活用し、本年3月には広島銀行新本店建替えプロジェクトが民間都市再生事業計画の認定を受けました。

引き続き、広島市や経済界などと一体となって、エリアマネジメント活動の支援などを推進するとともに、紙屋町・八丁堀地区への民間投資の呼び込みを一層加速させるため、土地の有効活用を阻害する要因の分析と解消策などを、広島市と連携して検討することとし、必要な経費を6月補正予算に計上しております。

また、広島地域におけるMICE誘致の拡大に向けた検討では、海外事例を中心とした大規模展示会やイベント等の開催需要をはじめ、大規模展示場の運営手法に係る諸課題などの調査を開始いたしました。

今後、調査結果を基に、実現可能性について、関係者と議論・検討してまいります。

福山駅前地区の拠点性向上につきましては、福山市が策定した「福山駅前再生ビジョン」の実現に向けて、本年3月にはデザイン計画の中間とりまとめが行われ、4月には旧キャスパ区画の再開発について、コンセプトと建物概要が発表されたところでございます。

引き続き、福山駅前のにぎわい創出に向けた人材育成や機運醸成のほか、三之丸町地区の再生に向けた市の取組についても、備後圏域の活性化を図る観点から、支援してまいります。

サッカースタジアムにつきましては、先月30日に県、広島市、広島商工会議所の三者で、建設地を中央公園広場とする「サッカースタジアム建設の基本方針」を策定いたしました。

建設地の立地特性を最大限に生かして、年間を通じて賑わいを生み出していくことができるよう、引き続き、事業主体である広島市と連携し基本計画の策定等に取り組んでいくこととし、必要な経費を6月補正予算に計上しております。

広島空港の経営改革につきましては、令和3年4月からの運営開始に向け、国において、本年3月に「広島空港特定運営事業等実施方針」が示されました。

この方針は、滑走路等の基本施設やターミナルビルに加えて、県営駐車場等の周辺施設も一体的に運営することを可能とするなど、これまでの県の要望が反映された内容となっております。

今後、運営事業者の選定手続が本格的に進められますが、地元にとって有益な事業提案をいただくことで、より地域の活性化に資するものとなるよう期待するとともに、国、運営権者、地域の関係者と緊密に連携を図りながら、広島空港が中四国地方の拠点空港として更に発展していくよう努めてまいります。

次に「スポーツを核とした地域づくり」についてでございます。

本年3月に策定いたしました第2期広島県スポーツ推進計画におきましては、従来のスポーツ振興に引き続き取り組むとともに、スポーツの力を活用して地域の活性化や県民の健康増進といった様々な課題の解決に積極的に取り組むこととしております。

こうした中、アーバンスポーツの世界大会「FISEワールドシリーズ広島2019」が、本年4月19日から21日までの3日間開催され、初開催となった昨年大会の8万6千人を超える、10万3千人の方が来場されました。

参加選手も、昨年大会の31か国399人から、39か国528人と伸びており、本県での2年連続の大会開催により、FISEの開催地としての広島の認知度も、確実に高まってきております。

今後は、今回の大会の成果を検証した上で、来年の東京オリンピックの直前大会として、一層、注目が期待される次回大会の開催に向けて、関係団体との協議を進めるとともに、国内アーバンスポーツの発展に向けた拠点として、選手の育成・強化、競技の裾野の拡大を担うアカデミーの誘致に取り組むなど、広島をアーバンスポーツの聖地にする取組を進めてまいります。

また、東京オリンピックにつきましては、開催まで1年余りとなり、全国的に機運が高まってきている中、今月1日には、オリンピック聖火リレーのルート概要が発表され、来年5月18日、19日の2日間に、県内12市町において、聖火リレーが実施されることが決定いたしました。

この発表を受け、今後は市町等と連携しながら、「世界平和への願い」を発信し、

昨年の豪雨災害で被災された方々に勇気を届け、世界遺産など広島の魅力を最大限発信する「広島らしい聖火リレー」の実現に向けて取り組んでまいります。

 また、昨年度に続き、4月の広島市をスタートに、メキシコ選手団の事前合宿の受入れが始まったほか、東京パラリンピックに向けて、障害者スポーツの振興と理解促進を図り、更にメキシコとのつながりを深めるため、メキシコパラリンピック選手団の事前合宿の誘致を進めており、先日、メキシコパラリンピック委員会会長の視察が実現したところでございます。

この視察を通じて、本県の競技施設や受入主体となる市町や競技団体による運営面での協力体制の提案が、評価されたことから、引き続き、基本合意の締結など、事前合宿の受入の決定に向けて取り組んでまいります。

次に、「国際平和拠点ひろしまの形成」についてでございます。

本年4月から5月にかけて、米国を訪問し、ニューヨークで開催されたNPT運用検討会議準備委員会に参加いたしました。

まず、国連事務総長と面談し、様々な主体が平和活動へ参画することの重要性や国連が進める核軍縮等について意見交換することに併せて、来年の「国際平和のための世界経済人会議」への参加を依頼しました。

事務総長からは、核軍縮、核廃絶に強い思いを持っており、広島訪問を前向きに検討するとの言葉をいただきました。

次に、国際NGO「ICAN」と核兵器廃絶に向けた次世代人材育成分野での連携に関する覚書を締結し、今後の協力関係を確認いたしました。

また、本県主催のシンポジウムや個別の意見交換会等を通じて、政府、研究機関、NGO等、様々な分野で影響力のある多くの方々と、次世代人材の育成や平和構築活動への経済界の巻き込み、核抑止の問題を掘り下げることについて課題認識を共有することができ、広島の取組の拡大に向けて大きな収穫になりました。

今後、こうした取組を更に進めることにより、核兵器のない平和な国際社会の実現に具体的に貢献していきたいと考えております。

3, 当面する県政の諸課題への対応

次に、当面する県政の諸課題への対応について、御報告いたします。

まず外国人材の受入・共生対策についてでございます。

我が国における本格的な外国人材の受入開始を踏まえ、今後、外国人材が貴重な戦力として県内企業で活躍し、地域社会の一員として安心して暮らせるよう、各局が連携して就労環境と生活環境の両面から必要な取組を迅速かつ総合的に検討・実施するため、本年4月1日にプロジェクト・チームを設置いたしました。

今後、企業における外国人材の活用実態や県内の外国人への新たな在留資格制度の活用意向などの調査を実施するとともに、就労環境の面では、制度の活用に向けた企業向けセミナー、生活環境の面では、外国人専門相談窓口の機能拡充を行うこととし、これらの取組に必要な経費を6月補正予算に計上しております。

次に、鞆地区道路港湾整備事業についてでございます。

現在、山側トンネルについては、地元の意見をお聞きしながら、整備に必要な調査・設計を行っているところでございます。

また、本年4月16日から、鞆町の住民が取り組むまちづくりを支援し、歴史的な景観や町並みの保存と伝統文化を未来に継承するため、福山市と共同で、広く国内外から寄附を募る「『鞆・一口町方衆』応援プロジェクト」を開始いたしました。

今後とも、福山市と連携・協力し、現在取り組んでいる町中交通処理対策や高潮対策の早期完成を目指すとともに、鞆のまちづくりの取組が着実に進むよう、県としてしっかり下支えをしてまいります。

次に、広島高速5号線についてでございます。

昨年12月に判明したシールドマシンの一部損傷に伴いトンネルの掘削作業を一時中断しておりましたが、トンネル施工管理委員会で損傷原因と対応策を審議し、安全な施工が可能であるとの意見を得たうえで、先月から掘削を再開いたしました。

また、昨年10月から行っておりますシールドトンネル工事の増額協議につきましては、現在も広島高速道路公社と施工業者において協議を進めているところでございます。

引き続き、広島市、公社と連携し、適切かつ丁寧な対応を図りながら、着実な事業推進に取り組んでまいります。

次に、広島市東部地区連続立体交差事業についてでございます。

当事業については、昨年2月に県・広島市・府中町及び海田町の関係4者で合意した見直し内容を基本に関係機関との協議・調整を進め、先月16日に県報告示を行い、都市計画変更の手続きが完了いたしました。

引き続き、共同事業者である広島市と連携し、事業認可に向けた手続きを進めるなど、できるだけ早期に工事着手できるよう、取り組んでまいります。

次に、放置艇対策事業についてでございます。

県内の放置艇数は、過去20年にわたり、全都道府県中最多となっており、その解消が喫緊の課題となっております。

そのため、昨年3月に「放置艇解消のための基本方針」を策定し、小型船舶の保管場所確保の義務付けなどによる、令和4年度末までの放置艇解消を目指して取組を進めております。

この度、小型船舶用泊地への係留許可手続等につきまして、必要な条例・規約の改正に関する議案を提案することとしています。

次に、下水道事業の広域化・共同化についてでございます。

本年4月に、下水道事業を運営する全ての市町の参画を得て、「広島県下水道事業広域化・共同化検討会」を設置し、広域化・共同化の具体的な取組等について、検討を開始いたしました。

この検討会において、市町と丁寧に協議を重ね、来年度末の広域化・共同化計画の策定に向けて、取り組んでまいります。

次に、次期総合計画についてでございます。

本県では、これまで、平成22年に策定した「ひろしま未来チャレンジビジョン」に基づき、4つの政策分野を相互に連関させ、相乗効果をもたらしながら好循環を作り出してまいりました。

次期総合計画では、本県を次のステージにつなげていくため、加速する人口減少と少子化・高齢化、進展するグローバル化や急速に進む新たなデジタル技術などの社会経済情勢の変化、さらには、頻発化する大災害などに的確に対応していけるよう、県議会の皆様の御意見も伺いながら、来年10月の策定を目指して検討を進めてまいりたいと考えております。

4, 令和元年度補正予算案等の概要

次に、今回提出いたしました議案について、その概要を御説明いたします。

まず、一般会計補正予算案につきましては、令和元年度当初予算編成後の状況変化等を踏まえ、必要性が認められる事業に適切に対応することを基本として、編成しております。

具体的な補正の内容でございますが、創造的復興による新たな広島県づくりや、「欲張りなライフスタイル」の実現に向けた取組などに時機を逃さず対応するための経費について、予算を計上しております。

これらの結果、一般会計の歳入歳出補正予算額は、2億9,499万円の増額となり、本年度予算の累計額は、1兆553億9,499万円となります。

また、公の施設の管理運営業務を指定管理者に委託するなどのため、一般会計、特別会計及び企業会計において、それぞれ、債務負担行為予算を計上しております。

次に、予算以外の議案といたしまして、「広島県森林環境譲与税基金条例」などの条例案8件、人事案件といたしまして、「広島県人事委員会委員の選任の同意について」など2件、その他の議案では、「工事請負契約の変更について」など20件を提出しております。

また、報告事項として、専決処分のほか、平成30年度繰越明許費繰越計算書、

県が資本金の四分の一以上を出資等している法人の経営状況説明書などを提出しております。

どうぞ、慎重に御審議いただき、適切な御議決をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

追加提出議案(令和元年7月2日)

ただいま追加提出いたしました議案は、副知事の退職に伴う後任副知事の選任につきまして、県議会の同意を求める議案であります。

どうぞ、適切な御議決をくださるよう、よろしくお願いいたします。

 

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