特定非営利活動促進法(以下、法という。)は、福祉、環境、まちづくり等さまざまな分野の社会貢献活動を行う団体に対し、法人格を付与することによって、市民が行う自由な社会貢献活動の健全な発展を促進することを目的としています。
法人格を取得することにより、契約等の法律行為の主体となることができ、法人名義で資産の保有等の財産管理ができるようになりますが、一方で、法人としての社会的責任や法律上の義務を負うことになります。
さらに、法人に関する情報をできる限り公開することによって、市民の信頼を得、市民によって育てられるべきであるとの考えが法の大きな特徴です。法人の信用は、行政の管理や監督によって担保されるのではなく、活動実績や情報公開等によって、法人自らが築いていくことを目的としています。
事業実施に当たって、法人格が必要かどうかを十分に考えなければなりません。法人格を取得すると契約主体を個人から団体に切り替えることができ、情報公開することによって、市民からの信頼が得られやすくなります。
その一方で、毎年の事業報告書の提出や各種申請・届出、登記手続等、さまざまな責任と義務が生じます。また、NPO法人には休眠制度がありません。設立したものの事業が続かなかったという法人や、これらの義務を怠る法人もみられ、一概に法人格を取得した方がいいとは言えません。まずは任意の団体で活動を行い、団体の目的や活動内容を考慮して、法人格が必要かどうかを十分検討する必要があります。
< メ リ ッ ト >
○社会的信用の向上につながります
会計書類の作成や事業報告書類等の閲覧など、法に定められた法人運営や情報公開を行うことにより、信用が高まります。
○法人名で銀行口座を開設できます
法人の口座を持つことで、団体の経理が明確になります。
○法人名で不動産登記ができます
任意団体の場合、代表者個人の名義で登記することになるため、団体と個人の資産の区分が困難です。法人格を取得すれば、法人名で登記することができるため、代表者が変わっても団体の運営に支障をきたすことがありません。
○法人名で契約を結ぶことができます
任意団体の場合、団体名で契約することができないため、個人で契約を締結し、名義人が責任を負う恐れがあります。法人格を取得すれば、法人名で契約することができます。
< 義 務 >
●法人税法や労働基準法等法律に沿った運営が必要になります
法人としての納税、源泉徴収、職員等の雇用による労働関係の基準、労働保険、社会保険制度のほか関連する法律や規定を守らなければなりません。これらの義務は、本来法人格の取得に関わらず、当然に行っていなければならないことですが、個人や任意団体の場合、ついうっかりということがあるのも事実です。法人格を取得する機会にこれらの義務が守られているかどうかも、一度確認する必要があります。
●さまざまな事務処理が発生します
税務関連の書類、事業報告書、登記書類、所轄庁への各種届出・申請等、作成しなければならない書類が必要になります。社員総会を開催して、社員に対して活動報告を行わなければなりません。また、会計は、「NPO法人会計基準」に従って作成しなければなりません。
●情報公開の義務が生じます
定款や事業報告書等を情報公開することによって、NPO法人の活動を社員等関係者だけでなく広く市民に知ってもらい、それを通じて監督され、支えられることとなっています。そこで、事務所や所轄庁に定款や事業報告書等を備え置かなければなりません。
●法律上の規定を守らなければ、罰則規定があります
法や法人の定款に従った運営がなされているか、他の法令に違反していないか等について、所轄庁に監督されることになっています。規定を守っていない場合、所轄庁はその法人から報告を求めたり、立ち入り検査や改善命令、認証の取り消しを行う場合があります。また、改善命令に違反したり、各種手続き等を怠ったりした場合には、罰則規定によって、罰金や過料が課せられる場合があります。
他の法人格との比較表 (Excelファイル)(23KB)
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NPO法人の認証や認定、特例認定、監督権限を持つ行政機関を所轄庁といいます。 |
法人設立のためには、以下の基準を満たす必要があります。
◆特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること
特定非営利活動とは次の1~19に該当する活動で、不特定多数かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものです。不特定多数かつ多数のものの利益とは、いわゆる公益のことで、特定の個人や団体の利益、構成員相互の利益を目的とするものは特定非営利活動に当たりません。
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(1)保健、医療又は福祉の増進を図る活動 |
◆営利を目的としないものであること
営利を目的としないとは、構成員(役員、社員など)に利益を分配してはいけないということです。つまり株式会社のように利益を株主に分配することが禁じられています。
したがって、有償でサービスを提供したり、給料としてスタッフにお金を払ったりすることは問題ありません。
◆社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと
ここでいう社員とは、総会で議決権を有するもののことです。どのような人を社員とするかは定款で定めることになっています。
また、社員とは別に職員を定めることもできます。職員とは、実際に法人の事務を行う人のことで、社員とは区別されます。
◆役員として理事3人以上、監事1人以上いること
役員は、設立以降上記の人数を常に置かなければいけません。また、監事は職員を兼ねることができません。
◆役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
NPO法人は役員(理事及び監事)の報酬について制限が設けられています。ここでいう報酬とは、「役員としての仕事」に対する報酬等の対価という意味です。理事が有給職員等を兼務している場合は、労働の対価としての給料になりますので、報酬には含まれません。
◆それぞれの役員について、その配偶者若しくは三親等以内の親族は2人以上いないこと。また、各役員並びにその配偶者及び三親等以内の親族の数が、役員総数の3分の1を超えていないこと
NPO法人の業務は原則として、理事の過半数によって決定されることとなっています。そのため、親族が集中し、専断することを避けるために、親族の割合は役員の3分の1以下に制限されています。
◆10人以上の社員がいること
ここでいう社員とは、一般的な会社員等のことでなく、総会の表決権を持つ会員のことです。社員の必要数である「10人以上」とは、団体の組織体として、最低限の人数を定めたものです。社員のことを「正会員」とも言います。
◆宗教活動、政治活動を主たる目的としないこと
◆特定の公職の候補者等や政党を推薦・支持すること、または反対することを目的としないこと
◆暴力団でないこと、暴力団または暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないこと
広島県では、法人設立に関する事前相談を行っています。
対面やオンラインで相談を希望される方は、事前に電話等で予約をしてください。
| 相談日時 | 毎日(土曜日、日曜日、祝日・年末年始の休みを除く) 8時30分~12時、13時~17時15分 ※予約の状況等により、御希望の日時に応じられない場合もありますのでご了承ください。 |
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| 相談窓口 | 広島県 環境県民局 県民活動課 電話:082-513-2721(ダイヤルイン) メール:kankatsudo@pref.hiroshima.lg.jp |
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留意事項 |
事前に相談することなく申請することも可能です。なお、法が定める要件に満たない場合は不認証となります。 |