意見書(TPP交渉に関する意見書)平成22年12月定例会
発議第20号
意見書
TPP交渉に関する意見書
国は11月9日に、FTA・EPAへの我が国の取り組みがおくれているとの認識のもと、センシティブ品目に配慮を払いつつ、すべての品目を自由化交渉対象とし、高いレベルの経済連携を目指すことなどを内容とする「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定した。この中で、例外なき関税撤廃を原則とするTPP(環太平洋連携協定)について、関係国との協議を開始することを決定したが、これまで国内における議論がほとんど行われていない中での決定はいかにも唐突な感が否めない。米国やオーストラリアなど主要農産物輸出国が加わっているTPPに参加し、すべての農産物関税が撤廃されれば、我が国の食料・農業・農村に壊滅的な打撃を与えることが懸念され、食料自給率50%を目指すことなどを内容とし、今年3月に国家戦略として閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」の考え方とも大きく矛盾するものである。本県においても、水稲や畜産はほぼ壊滅し、野菜・果実等の生産も多大な影響を受けることが予測されるなど、農業に深刻な打撃を与えるのみならず、地域経済の疲弊を招くなど、県全体の社会的・経済的活力を衰退させることになる。また、TPPを初めとする自由化交渉は、農産物関税の撤廃だけの問題ではなく、人の移動やサービス分野など、あらゆる分野で「国を開く」ことを目的としている。これは、我が国の将来像にかかわることであり、国民の十分な理解と共感のもとに進められなければならない。よって、国におかれては、国土と産業の均衡ある発展に重大な影響が懸念されるTPPについては、拙速な判断に陥ることなく、国会における審議を初め広範な議論を尽くすとともに、国民的合意を得るための努力をするよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年12月21日