意見書(農業経営安定対策の段階的実施と集落機能の維持を求める意見書)平成18年6月定例会
発議第7号
意見書
農業経営安定対策の段階的実施と集落機能の維持を求める意見書
広島県の4分の3を超える区域が中山間地域であり、農家は急傾斜、小規模・分散といった土地条件のもとで、創意工夫しながら、多種多様な特色ある農産物を生産している。農村は、農業を支える生産基盤であると同時に、農業従事者の生活の場でもあり、これまで農業生産活動を通じて幅広い年齢層の住民がそれぞれの役割を担いながら、農村地域を維持してきた。しかしながら、過疎化・高齢化の進行や国の内外を問わない産地間競争の激化による農産物価格の低迷などにより、農業生産活動や集落機能が低下して農村地域の活力が失われつつある。こうした状況の中、本県においては、小規模な農家を集団化し、効率的で安定的な経営が可能となる「集落農場型農業生産法人」の設立・育成を進めることにより、農村地域の活性化に努めてきたところである。国においては、「経営所得安定対策等大綱」を示して「農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律」などを整備し、「価格政策から所得政策」への転換という基本理念のもと、危機的状況にある農業や農村の構造を抜本的に見直して大規模農家や集落法人などの「担い手」を中心とする生産構造に再編し、これらの担い手へ施策を集中することとしている。国は、地域の実態を踏まえて施策を推進するとしているが、農業者の理解を得て担い手を中心とする地域農業へ転換していくためには、段階的な取り組みが必要であり、小規模農家の意欲喪失を招くおそれのある性急な制度移行は、避けなければならない。よって、国におかれては、新たな農業経営安定対策の具体化に当たり、次の事項について適切に対応されるよう強く要望する。
- 担い手への施策集中は、地域の実情に応じ、段階的に実施すること。
- 集落機能を活性化し、集落を維持するための集落活動を支援すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成18年7月3日