意見書(「食料・農業・農村基本計画」見直しに対する意見書)
発議第26号
意見書
「食料・農業・農村基本計画」見直しに対する意見書
「食料・農業・農村基本計画」(以下「農業基本計画」という。)については、本年8月に「中間論点整理」が報告され、来年3月の見直しへ向けて作業が進められている。農業基本計画は、今後の日本の食料・農業政策を大きく左右するものであるにもかかわらず、現在示されているのは、担い手政策のあり方、品目横断的政策等の経営安定対策の確立、農地制度のあり方、農業環境・資源保全対策の確立である。農業の担い手をプロ農家に明確化し、補助金を集中させ、各種施策の重点化や株式会社の農業参入を可能にする農地制度の見直しなど、これまで日本の農業を支えてきた大多数の家族的農家のあり方を抜本的に見直していく内容であり、最大の課題である食料自給率の向上に向けての施策は先送りされたままである。この方向で農業基本計画がまとめられると、米農家は「売れる米づくり」への対応が迫られ、本県においても過疎・高齢化に悩む中山間地域では、市場競争原理を前提とするこの改革の中で集落崩壊の危機さえ迎えることになる。よって、国におかれては、農業基本計画の見直しに当たり、「食料・農業・農村基本法」に基づき、食料自給率の引き上げを基本に、日本農業の再生を図るため、次の事項について配慮されるよう強く要望する。
- 食料自給率が横ばいで推移してきた原因を明らかにし、生産者と消費者の理解と協力のもとに、自給率引き上げ政策を実現すること。
- 担い手は、「プロ農家」に限定せず、意欲を持つ農業者及び地域で「育成すべき担い手」として推薦される者等を対象とすること。また、集落営農は、地域の条件に見合った多様な農業の展開を可能とするものとして位置づけること。
- 価格は市場で、所得は政策でを基本に、耕作意欲を持てるよう、国際ルール上も整合性のとれた所得補てん策とすること。
- 土地・農地等土地利用規制の体系を整備し、農地を農地として利活用できる法制度を早急に確立すること。また、構造改革特区でのリース方式による株式会社の農地取得・農業参入について、拙速な全国展開を行わないこと。
- 小規模農家や地域住民などを含めた農業資源保全の「共同」の取り組みに対する支援策を経営所得安定対策とセットで導入すること。また、環境直接支払制度を創設し、有機農業など環境保全型農業の推進を支援すること。
- 現行の中山間地域等直接支払制度は、拡大・充実して継続実施すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年12月14日