意見書(高齢者虐待防止法の制定を求める意見書)
発議第24号
意見書
高齢者虐待防止法の制定を求める意見書
最近、介護が必要な高齢者を放置し、家庭や施設内で高齢者に暴力を振るうなどの虐待が深刻化している。高齢者への虐待は表面化しにくく、これまで家庭や施設内の問題として見過ごされてきており、児童虐待に比べ、法整備などの対策もおくれているのが現状である。虐待の背景には、限界を超える介護へのストレスや複雑な家庭内の人間関係などがあり、虐待を自覚していない家族も多く、介護家族を含めた精神的なケアが不可欠であるとの指摘がある。昨年、厚生労働省では、初めて、家庭内での高齢者への虐待についての全国調査を行い、本年4月発表の調査結果で、「生命に関わる危険な状態」に至る事例が一割あるという深刻な実態が浮き彫りになる一方、虐待に気がついた在宅介護支援の専門職の9割が対応は困難と感じていることも明らかになったところである。この結果からも、高齢者虐待の定義を明確にすることをはじめ、虐待防止と早期保護への具体的な仕組みづくりが急務であることが確認されているところである。よって、国におかれては、地域社会全体として高齢者の人権を守る体制を充実させ、虐待防止のための具体的な対策を早急に講じるため、次の内容を踏まえた高齢者虐待防止法を制定されるよう強く要望する。
- 相談窓口の設置と早期発見のための通報システムを確立すること。
- 高齢者を虐待者から切り離す緊急保護のための一時保護施設等を整備すること。
- 関係機関や家族のネットワークづくりを推進すること。
- 施設職員や関係者への虐待防止教育を実施すること。
- 高齢者虐待防止に関する国民への教育・啓発を推進すること。
- 以上の諸施策を含めた高齢者虐待防止のための法律を制定すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成16年12月14日