意見書(児童虐待防止対策のさらなる強化を求める意見書)平成30年9月定例会
発議第11号
意見書
児童虐待防止対策のさらなる強化を求める意見書
今般、東京都目黒区で両親から虐待を受け女児が死亡するという痛ましい事件が発生した。
このような虐待事案は、近年、急増しており、平成28年度全国の児童相談所に寄せられた児童虐待相談件数は12万件を超え、5年前と比べると倍増している。
こうした事態を重く受けとめ、国は平成28、29年と連続して児童福祉法等を改正し、児童虐待防止対策を強化してきた。
しかし、今回の事案は、児童相談所が関与していたにもかかわらず、虐待から救うことができなかった。
虐待から子供の命を守るためには、子供の異変に早期に気づき、虐待の芽を摘むことが何よりも重要であり、そのためには児童相談所のみならず関係機関や民間団体等が協働し、虐待の防止に取り組むことが必要である。
よって、国におかれては、こうした痛ましい事件が二度と繰り返されないためにも、児童虐待防止対策のさらなる強化に向け、次の事項に取り組むことを強く要望する。
1 平成28年度に政府が策定した「児童相談所強化プラン」を拡充し、市町村における児童虐待防止体制の強化や中核市・特別区への児童相談所の設置、さらには、児童相談所の機能強化や警察との役割分担なども加えた児童虐待防止体制を強化するプランを新たに策定するとともに、地方交付税措置を含めた必要な財源を速やかに講ずること。
2 児童相談所間及び児童相談所と市町村の情報共有については、仮に転居があったとしても、危機感や支援状況を確実かつ迅速に引き継げるよう、引き継ぎの全国共通ルールを定めるとともに、全国からアクセスできるシステムを整備すること。また、児童相談所と警察との情報共有については、必要な情報がタイムリーかつ確実に共有できるようにするとともに、適切かつ効果的に情報共有できるシステムを新たに構築すること。
3 保育所や幼稚園・学校と情報共有を図ること。いじめ防止対策と同様、小中学校の校務分掌に虐待対応を位置づけ、対応する組織を明確化するとともに、スクールソーシャルワーカーを中心とした学校における虐待対応体制を整備すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成30年10月2日