意見書(軽度外傷性脳損傷に係る周知等の措置を求める意見書)平成26年9月定例会
発議第12号
意見書
軽度外傷性脳損傷に係る周知等の措置を求める意見書
軽度外傷性脳損傷(MTBI)は、転倒や高所からの転落、交通事故、スポーツ外傷などにより頭部に衝撃を受けた際に脳が損傷し、脳内の情報伝達を担う「軸索」と呼ばれる神経線維が断裂するなどして発症する病気である。
その主な症状は、高次脳機能障害による記憶力・理解力・注意力の低下を初め、てんかんなどの意識障害、半身麻痺、視野が狭くなる、においや味がわからなくなるなどの多発性脳神経麻痺、尿失禁など、複雑かつ多様である。
しかしながら、軽度外傷性脳損傷は、受傷者本人からさまざまな自覚症状が示されているにもかかわらず、磁気共鳴画像装置(MRI)などの画像検査では異常が見つかりにくいため、労働者災害補償保険や自動車損害賠償責任保険の補償対象にならないケースが多く、働くことができない場合には、経済的に追い込まれ、生活に窮することもあるのが現状である。さらに、本人や家族、周囲の人たちも、この疾病を知らないために誤解が生じ、職場や学校において理解されずに、悩み、苦しむ状況も見受けられる。
世界保健機構(WHO)においては、外傷性脳損傷の定義の明確化を図った上で、その予防措置の確立を提唱しており、我が国においてもその対策が求められるところである。
よって、国におかれては、以上の現状を踏まえ、国民を初め、教育機関に対し、広く周知・啓発を図ることなど、適切な措置を講じられるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成26年10月3日